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2015年5月19日 (火)

小刃付けについて

以前から、何度か「小刃(こば)」について、記載をしてきましたが、かなり苦労をされている方が多いようです。

そこで、ポイントとなる所を、包丁をベースにして、改めて記載してみます。

過去の記載の中にも、色々と読んでいただくと、出てくると思いますので、お暇があったら、是非読んでみてくださいね。

まずは簡単なおさらいから・・・。

小刃は刃物の刃先付近に、わずかに小さな段のような刃を付け、正式な刃とする事を指します。

小刃は別名で「糸刃(いとば)」とも呼ばれますが、鉋や切出し小刀で言う「糸裏(いとうら)」と間違える方も多い為、当方では糸刃と言う言葉は使わないようにしています。

いわゆるべた研ぎを行っている方達が多いのですが、それでは完全に使った砥石の性能通りになっていない事が多くありますがその説明もしなければなりませんね。

その原因は、刃先が砥石や研ぎ汁から逃げる事にあります。

特にべた研ぎの場合には、刃物の厚みが薄くなり、刃先は特に薄くて弱くもなる可能性が高いので、そうなってしまうと、「研いでも刃が付かない」となってしまいます。

そして、そのままヤケになって一生懸命研ぎすぎると、力を入れたり、スピードを無理に増加させたりして、余計と刃先が形成できなくなるのです。

面全体のお話をすると、長くなってしまいますので、今回は記載しませんが、刃先の先で素材へ侵入し、刃の面で押し開きと共に摩擦抵抗が起こります。

初期段階として、まず素材へ侵入する為の刃先は、とても重要な部位になります。

さて、小刃を研ぐ中で、決してやってはいけない事は、力を入れて研ぐ事です。

刃先は弱いものですから、そこに力を入れてしまうと、刃先が逃げ、刃先の先よりも少し上の面を研ぐ事となり、実際には刃先も研げず、更に強度を弱めるような、大きなマイナスとなってします。

その為には、刃物の重さすら逃がす程度に、軽くなでるつもりで、砥石の上を滑らせると思って頂くと、分かりやすいかもしれません。

もちろん、当て方の安定だけは必須となりますので、ただ力を抜いたり、重さを逃がす事を考えると、刃先を潰す事になりますから、十分に注意が必要です。

明かな段刃を小刃だと思っている方も、結構いらっしゃいますが、小刃の理想としては、一瞬で見えないくらいの量です。

遠目に見て、明らかに段がきつく、幅が広く見えるようですと、それは小刃ではなく、「大刃」になってしまいますね。

この小刃を上手くコントロールする事は、容易ではありません。

精度良く、面を研ぐ事も難しいのですが、それよりも明らかに難しいと言う方もいらっしゃるくらい、小刃の研ぎと言うのは、繊細で難しいのです。

そして、角度の事も重要です。

今ある刃先の状態と、刃物の強度を見極め、使用用途によっても、付ける小刃の状態は大きく変わります。

ですから、小刃はこれ!ではなく、こんな小刃もあれば、あんな小刃も・・・と、無数に存在しているものですから、総合的な研ぎプランの中に、計算として含めておかないと、最後の最後に失敗となってしまうのです。

これだけ書くと、難しさがなんとなく伝わるかと思いますが、文句なしと言える小刃を造れた方は、今の所一人もいらっしゃいませんでした。

総合的な研ぎも含め、惜しい所にある方は、数名いらっしゃいましたが、同じ条件の中で、研いで比べて頂くと、明かな差になっていますから、小刃を知る事は、難しい範囲の一つだと考えています。

これは、教わって、ある程度は出来るようになりますが、あとは個人の感性の問題となります。

今後、例えば包丁やナイフなどの刃物で、良く使われる可能性のある鋼材が進んでいくであろう方向では、小刃は必要になってくる可能性も高いと読んでいます。

特にステンレス鋼や粉末鋼系では、角度の問題にプラスとして、刃先の形成に関する部分は、馴れない方からすると、結構苦労されると思います。

本来ある性能と、それ以上の性能と、色々なテストをさせて頂いている中で、良い方面への進化に反比例し、馴れ無い方には扱いにくさがプラスされてしまう事もあるので、その辺りの対応力により、性能の良し悪しの感じ方も、賛否が出てくるかもしれません。

私はどちらかと言うと、研ぎに苦労があっても、その刃物としての性能が、明確に良く出ている物が好きですが、扱いやすさを優先される方も多いと思います。

早い段階で、ちょっと厄介さのある刃物に慣れておけば、さほど苦労はされないと思います。

その一部として、小刃を付ける事を、覚えて頂ければ、色々と楽になる部分も増えて行くと思っています。

この小刃の事は、研ぎ教室の中でも、もちろんお教えしています。

ご希望になる範囲によっては、面の造り方から、刃先の形成まで、色々な方法をお伝えしていますから、世の中で良く行われている、べた研ぎで仕上げた物と、小刃付けを行ったハマグリ刃と、比較をして頂く事も可能です。

こんなに変わるものなのか・・・と、驚かれる方がほとんどですが、その細かい範囲までコントロールしないと、お客様個人や刃物ごとに合わせた研磨と言うのは、ご希望通りに収める事は出来なくなります。

まずは、当店の研ぎや、研ぎ教室をご利用頂けますと、考えややっている事がご理解頂けると思います。

単純に指導する事は簡単ですが、お客様が自ら選択をする事を、残すようにしています。

それしか方法が無い場合や、絶対に辞めた方が良いと思う場合には、そうお伝えをします。

そんな感じで、可能性がいくつかある場合、お客様が選ぶ方が良いと考えていますから、ご希望の方向に合わせてやっていますから、まずはご希望をお話頂く事で、何かが変わる事もあるかもしれません。

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