« 妙にお腹が空きます | トップページ | ご覧いただいてありがとうございます »

2022年5月10日 (火)

悪循環からの脱出

複雑に問題がからむ刃物は、どこをどうやっても、ズレが収まっていきません。

だったらどう直すの?直せないの?と言われてしまうかもしれませんが、このお話は、そのままの状態を維持しようとしつつ、作業をする場合の話です。

明らかに位置関係がズレているものは、まず一旦、あるべき方向へと、位置関係を合わせて行きます。

これが大きな修復の作業です。

通常だと、全体的に荒めの加工を行い、修正をして行けば良いのですが、それが出来ない状態だと、当方では修復と呼んでおり、単純な見た目の問題等ではなく、あるべき形へと戻していく作業です。

特に問題が出やすい刃物の場合、歪取りから入り、根本的に全面の位置を確認しながら、大まかに削りつつ、位置関係を合わせて行きますが、これが一番難しい作業とも言えます。

それで直るものばかりではなく、ある程度は諦めなければならない事も多くあります。

元々の状態が悪いにしても、いくらでも刃物は削って直せる訳ではなく、削り過ぎれば無くなってしまいますから、これ以上は止めておこう!というラインがあります。

出来れば、最短で削り、最短で仕上げに入りたいのですが、そう簡単な話ばかりではありません。

ある程度、面や線が見える方であれば、え!!!と大声を出して驚いてしまうほど、あり得ない状態の事が多いです。

そして、大まかに削って大体の位置関係を直せたものは、次の段階で位置関係を完全に整えていきます。

そこで更に合わない部分が出て来る可能性がありますが、その場合、最初の荒削りでの位置関係の修復に戻ったり、これ以上は無理だと判断した場合には、そのままで仕上げへ向かえる状態に持っていきます。

多くの問題点の解決の割合は、大体この辺りで決まります。

その先では、仕上げへと向かいますが、機械で出来る刃物と、手作業でしか出来ない刃物があり、大きく二手に分かれますが、最終的に目指すところは同じで、その刃物の性能を引き出せるかどうかや、仕上がりに違和感が出ないかどうかです。

元々状況が悪かったものは、製造時の歪であったり、研磨を行う人の技術レベルであったり、使用者の方の使い方や研ぎの問題など、色々な理由があって、その状態になっていますが、なぜそうなったのかは、大体まで分かります。

最終段階の手前では、必要に応じて、お客様のご希望になられる仕上げに近い状態になるよう、作業を進めて完了となります。

例えばですが、1~10の作業段階があったとして、通常は5~8で良いとしましょう。

それが、悪い状況だと、3や1からスタートとなったりしますし、0は作業不可でお受けできないと考えてください。

そして、仕上げもご希望により、9や10で仕上げる事もありますし、更にご希望があれば、当方では通常では行わない範囲として、11~13(もっと?)の仕上げなどもご用意はしています。

 

« 妙にお腹が空きます | トップページ | ご覧いただいてありがとうございます »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

研ぎ」カテゴリの記事

刃物」カテゴリの記事

砥石」カテゴリの記事