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2022年6月14日 (火)

長物の研ぎ

刃物の研ぎは、どれも難しいのですが、その中で特に難しいとされているのは、長い刃物です。

長い刃物は、手元から遠くを研ぐ事になりますし、手前と奥では、形状やバランスが異なる事があるので、余計と難しくなります。

上手く綺麗に研ぎ、形を崩さない為には、色々と考えながら研ぐ必要性があります。

ポイントとなるのは、いくつかありますが、最終的にどうなってもらいたいかです。

分かりやすく言えば、全体を完全に同じバランスを維持し、同じ量だけ研げば、形は変わりません。

しかし、それを簡単にできる訳でもなく、状態を良くする意味では、むしろバランスを変えて行く必要性があったりもしますから、それが正解とは限りません。

一番失敗が多いのは、研ぎやすい場所ばかり研いでしまう事と、傷んでいる所を多く研いでしまう事です。

これらは、他刃物でもそうですが、どうしてもそこを研ぎたくなってしまう方が多いのです。

部分的に見れば、確かにそうなる可能性はあるかもしれませんが、あくまでも全体的な問題だと思い、一部に囚われない事が大切です。

悪い部分があれば、そこを取り除く為には、周りもその位置まで下げる必要がありますから、部分研ぎはアウトです。

それを考えず、やりやすい事や、楽をする事を考え、後に直せない状態にまでなってしまい、専門家に修復を依頼する事になります。

また、特に長いものになると、ちょっとしたミスが、全体的に影響してしまう事もあるので、焦って研ぎを行わない事です。

一つずつ確実に、面倒でも適当にやらないようにすれば、元の状態をかなり維持していけます。

そして最後に、最終刃付けの段階になると、刃が付かない場所が出る方が多いようですが、これは表と裏のバランスが崩れた状態や、部分的に研ぎすぎてしまった所なので、その部位を研いで刃を付けようとすると、どんどん悪化します。

あくまでも、自然に刃が付く状況を作りつつ、微調整が出来る余裕も残せたら、かなり成功と言えるかもしれません。

私が加工をする場合には、仕事の内容によっては、全面触れたり、触れなかったりしますので、その時々で状況は変わりますが、根本的なズレを取るので、ある意味では研ぎに進んだ時に、バランスは保たれていますので、研ぎは楽かもしれません。

そこに到達させるまでの削りは、簡単ではありませんので、もちろん楽に終わるという事は、決してありませんが・・・。

 

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