一番大事
和包丁や和式の刃物の片刃物は、基本的には鋤(すき)と呼ばれる窪みが作られています。
そのおかげで、裏押しを行う際に、最小量で刃を出す事が出来て、正しく刃も形成されやすい事から、重要な加工と言えます。
この鋤は、裏側に作られますから、裏鋤(うらすき)と呼ばれます。
熱処理後の刃物に裏鋤を行うには、機械を使用し削り出して作ります。
この作業がとても難しく、まともにバランスよく削れる職人は、かなり少ないですし、裏鋤後の裏押しでの砥石の当たり具合を見ると、刃がまともに出ないものや、出過ぎてしまうものも多くあり、それが製品化されている事で、使用者の方が最低限度で研ぎを行おうとしても、それが出来ないという事も多々あります。
浅く仕上げれば、刃の出や早くなりますが、微妙な深さでの裏鋤では、簡単にベタ裏化してしまう事も多い為、あまり浅い裏鋤は好まれない傾向にあります。
深く削りすぎると、裏押しを綺麗に出やすいですが、用途によっては、刃が真っすぐ使いにくくなる事もあるので、その辺りは、用途によって考えるべき所です。
当店での刃物の加工で、特に依頼が多いのが、裏鋤の加工です。
メーカーや製造所に修理や加工の依頼をしても、まともに良い状態にならなかったという事で、こういった加工を売りにしている当店へ、助けを求めてくる例が多いからです。
精度で言えば、目視や治具での加工では、刃物は限界がありますので、確実な方法を取り、確認を行っていますので、大きなズレは出ません。
この辺りは、加工に手間とコストをかけ、当方独自の技術も含めつつ、出来る限りの状態を作り出していますので、評判はかなり良いです。
加工を加えずに、最後まで刃物を使いきれれば良いのですが、裏の研ぎすぎ、形の変形、元の加工状態の悪さなど、それらの影響によって、途中での加工が必要になる事がほとんどです。
その時、どこに依頼するのかで、その後の性能に影響しますので、十分な技術を持った所に、必ず依頼してください。
酷い場合だと、裏鋤が入った部分に、ベタ削りをされてしまったり、精度をむしろ落とされてしまったり、見た目だけ磨いて終わっていたりで、その後、改めて別のところに加工を依頼しなければならない事もありますので、軽く考えない事です。
実際に手研ぎまで高精度で行い、使用まで知る身としては、この技術は必須と考えています。
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