販路の拡大
研ぎの場合、技術であり、商品ではないですから、販路という言葉が適切ではないかもしれませんが、技術も一つの商品の販売と考えれば、それで良いかと考えています。
現在の私の研磨に対する活動は、世の中の実用刃物で苦労する難民を、助ける事を目的としています。
単純に物を研ぐだけだったり、意味のない研ぎをただ行う訳ではなく、お客様の実用の場で、どのようにその刃物が意味のある活躍をするのか、そこを考える形としています。
優先されるべきは、刃物に対する、お客様の実使用という訳です。
今までも、色々な方面に対し、少しでも多くの方のストレスや苦労を取り除ければと思い、協力をしてやってきましたが、今後の仕事の流れに変化を加えるべく、もっと幅広く対応をして行こうと考えています。
これは単純に、業者様相手の販路という意味合いだけではなく、コミュニティーの場であったり、各種専門職同士の中でも、必要とされる場があると考えていますから、一般のお客様を含め、枠を固定的に考えず、より多くの方にという考えです。
今までは、作業内容に対し、制限をかけての行動をしてきましたが、今後は、当方で可能な範囲全てを用いて、そういった活動にも対応をしていきます。
皆さんがまだ体験んしていないような、実際の刃物の性能や、使用が大きく変わると、何が違うのか、そういった部分も体感して頂けるような、そんな研磨を忘れず、実用を大事にやってきていますが、まだまだそれが届いている範囲は、僅かでしかありません。
特に、外部からの委託での仕事の場合、当方の存在は、特に表に出る事なく、ただの「職人」という言葉に隠れ、知られる事もありませんから、直接のお客様や、その方とのお付き合いがある方以外は、こういった活動や研磨や研ぎの違いも、なぜうちの作業が良いのかと、ご理解頂ける事もないと思います。
修理的な研磨や研ぎは、それぞれの刃物メーカーや鍛冶屋の製作品の違いもありますし、使用者の方の使用条件も異なります。
つまり、それらに合わせ、状況次第で大きく変えなければなりませんが、それをやってくれる研ぎ屋は、ほぼ存在していないはずです。
世界に付き合いを多くお持ちの企業のTOPの方のお話では、国内だけでみても、研ぎを変えての対応は、異例の範囲との事でした。
同じ刃物の名前を付けられただけで、同じ作業をされて出荷される。
それで満足されないのは、当然の事です。
そもそも、刃物の持つ性能が違い、使用者の方の使用環境が異なる訳ですから・・・。
それらを考えず、実用も理解せずでは、満足を得られない方が多いのは、当たり前の事です。
本来、日本が作り上げた刃物文化や、その用途に合わせた刃物の関わりは、もっとレベルが高かったという認識を持っています。
現代では精度の高い定規があり、便利で高性能な機械があって、良質な砥石がほぼ安定で供給されています。
そんな中で、人の技術は劣化し、ただ簡略化され、それっぽいだけで騙されている状態と言えるでしょう。
実際に、ご利用を頂いているお客様の多くは、色々な研ぎ屋やメーカー等に研ぎの依頼で出して、ご満足されなかった方達です。
それが一流と言われる範囲では、本当に情けないという思いです。
よりその刃物が生きる場を作る為には、刃物をまず生かせる状況にする必要があり、それを販売したり、使用する方達も、何が違うのかを、もっと理解すべき事と考えています。
それにより、関わる人達全てが一体となって、刃物が本当に生きる場所が作れると思っているからです。
私は過去に刃物を使う側にいました。
その時に感じた違和感は、今私の技術を直接お客様にご提供する場では、もう十分に取り除けています。
刃物と砥石と研ぎを見せて頂き、使用まで確認をさせて頂いて、各所にマイナスを作る範囲を見つける事が出来ますから、商品の実用性能を上げたい方メーカーさんや刃物職人さんや、同じ職場の方々、趣味やプロとして活動をされる団体の方々、ご家庭での使用に関わる方など、一部の話だけではなく、幅広く刃物を生かす事を考えて行かれればと思っています。
私が関われる範囲は、刃物の研磨や研ぎという、刃物ライフの中で、一部でしかありません。
しかし、長く続く刃物の一生に対し、一番関わりが多く、性能と使用を繋ぐ事が出来るのは、この研ぎの仕事ですから、誰よりもその考えを持ち、ただ仕事としてこなすだけではなく、刃物を可愛がってもらえる環境作りが出来れば、これ以上のことは無いと思っています。
一緒にそういった活動をしていきたいと思ってくださる方々は、年々増えてきていますが、まだまだどうして良いのか分からず、こんなものなのか?と苦労して、留まってしまっている方も多いと思いますから、そこから解放をしてあげられれば・・・と。
一人で関われる数は少ないですが、必要とされる場が増えれば、そこに関わる人も増えていき、いずれ多くの安定までたどり着けるでしょう。
才能のある人を探す事は、だいぶ難しい事ですし、その後の結果も才能社会なので、そこにはまだ高いハードルがありますが、やりたいという方と、才能が一致すれば、より多くの方を助けられる環境作りも可能です。
私は仕事が出来なくなるまで、今の活動を、どんな形であれ、続けていきます。
本当に刃物の事を考えるからこそ、こういった事もやっていきたいので、多くの方との共有が出来れば幸いだと思っています。
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