研ぎに求めるもの

刃物の研ぎは、好みがありますし、何が目的で研ぐのかでも、大きく異なります。

切れ味、使い勝手、見た目、楽をしたい、など、色々考えがあるでしょう。

私はメインに、使う事を持ってきていますので、性能を重視していますし、その刃物の価値が、性能により左右されると考えています。

ですから、いつでも実用のお話をしています。

ただ、だからと言って、見た目を完全に捨てている訳ではなく、もちろん必要範囲までは、見た目も作っています。

それをお伝えしないので、汚い研ぎ目のままか！と、思われてしまう事もあるかもしれませんが、機械や手で磨きを入れたり、刃物によっては研ぎ目だけで綺麗に仕上げています。

いつも一部のみをお話しているので、それしか出来ない！とか、それしかやりたくない！と思われていないか、心配になります。

ただ、見た目優先にしていくと、性能はどんどん落ちていくのは間違いないので、必要な箇所に対し、必要な研ぎを行い、そこそこで揃えていく事が、私は良いと考えています。

何より、綺麗になりすぎると、次に研ぐ事が、嫌になってしまったり、元に戻せなくなってしまうので、そこまでは・・・とおっしゃる方は、決して少なくはありません。

その労力を、性能に全部振る事も可能ですが、そこまでやってしまうと、流石に振りすぎだとも思っています。

用途に合わせた研ぎを行えば、使い勝手は格段に上がりますが、それ以外の用途には、近い事には良くても、離れた内容には、使いにくくなったり、場合によっては、全く使えなくなってしまう事もあります。

そこまでしてでも、性能を優先するのは、プロの世界では良くあります。

同じ種類の刃物を、複数所有しているのであれば、完全に使い分けをする事で、より良い仕事が出来るので、むしろ必要な事でもあるかもしれません。

何を考えてどう研ぐか。

そして、それを安定させられるように、どう学んで行くか。

もっとまともな事を、誰でも学べる場所があると良いですよね・・・。