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2022年9月14日 (水)

研げない?!

砥石を使用し、刃物を研ごうとして、まともに研げないというご相談は、過去からずっとあります。

これに関しては、だいぶ割合的に多いです。

研ぎに慣れている方で、それなりの知識と技術や、道具の数を多くお持ちの方からすると、そんなはずないだろ!!!と思うかもしれません。

しかし、実際には、多くあり得る話なので、結構深刻な問題です。

その理由となる可能性はいくつかあります。

・刃物が硬い

・砥石が硬い

・砥石の面修正や目立て

・研ぎ方

などが、主な理由として挙げられます。

順にご説明をします。

まず、刃物が硬い場合、砥石が乗らず、滑ってしまう事があります。

刃物の硬度、靭性、耐摩耗性、などの影響で、砥石を弾きやすいものは、沢山販売されていて、特にその傾向が多いのは、粉末系(粉末ハイス&ステン等の超硬系)ですが、実際は、硬質なステンレス系、焼きの硬い鋼系、なども含め、総合的に可能性があります。

いわゆる硬い刃物は、一般の人造砥石が想定する硬度より、高い場合には、対応しきれない事がありますから、確実に研ぎたいという場合には、ダイヤモンド砥石を使用した方が、早いと思います。

ただ、ダイヤモンド砥石の質の問題で、それも対応力がどこまでか、使ってみなければ分からない場合もあるので、ダイヤモンド砥石=なんでも研げるではありませんから、ご注意ください。

次に、砥石が硬い場合ですが、砥石はある程度表面が減り、次々に研磨剤が新しく現れる事で、それが研ぎを促進してくれますが、研ぎ汁がほとんど出ない状態や、研ぎ汁が出ても滑っている感覚がある場合には、ほとんど研げていないでしょう。

超仕上げクラスの細かい砥石になると、その傾向は普通にありますが、荒砥や中研ぎの段階で、それらが見られる場合、刃物の硬度に対し、砥石が硬すぎるという考えで、間違いはないでしょう。

面の崩れを防ぎたいという事で、とにかく硬い砥石が良いという方も、中にはいらっしゃいますが、効率の悪さもありますし、修正の頻度を上げれば良いだけなので、私は中硬くらいまでしか、おすすめはしません。

次に、砥石の面修正や目立てですが、砥石の面修正を正しく行ってあるかや、刃物の元の状態が良いかどうかでも、研げる率は変わりますので、そこも確認が必要です。

ただ単に、砥石の表面を平らにすれば、それで確実に研げるわけではなく、砥石表面の凹凸をコントロールしてあげる事で、砥石の性能を各段に引き出す事も可能です。

砥石の面修正は、確実に正しく毎回行える方法を選び、更に、研ぎ滑りが起こりやすい砥石の場合には、目立てをしっかりと行いましょう。

最後に、研ぎ方の問題ですが、これは色々な事を踏まえて、総合的に知識と技術の問題になります。

刃物があり、砥石があっても、それだけでは研ぎは行えませんから、そこを繋ぎ、上手く作用させるのは、研ぐ人の範囲ですから、折角良い道具が揃っている場合には、使い方や研ぎとはどういう事を指すのかを、正しく知る必要はあると思います。

簡単にだけご説明をさせて頂きましたが、このように、研げないというお話は、色々な事に繋がっています。

研げる研げないと、一言で済ませてしまう方も、かなり多いと思いますが、何がどうなって、どういう結果になるのかという、そこの部分を理解して、それを更に自分の思う形で、どれだけ表現が出来るのかと言うのが、研ぎには大切だと思っています。

私はただ仕事として、研ぎをやっているという訳ではなく、自分も使い手側としての苦労を知っていますから、それを如何に楽に出来るかや、その刃物が生きるかを考え、バランスを考える事も多いので、難しい問題であると考えています。

簡単に出来ない分野だからこそ、こうして研ぎ屋として、専門職がある訳ですから、ご自身で全て抱えて何とかしようとせず、必要な部分はご利用を頂いて、解決に近づけてください。

 

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