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2022年9月13日 (火)

天然砥石での研ぎの仕上げについて

天然砥石が一時的にブームになったのは、もう20年以上前の事になります。

その後、価格の高騰や、人造砥石の進化もあり、現在は使う方も減っています。

そして、使用の場面での、不具合が出る事もあるので、使用を避けている方も多いようです。

私も現在は、特別な注文が無い限りは、天然砥石で仕上げる事は、ほとんどなくなりました。

切出小刀や鉋や鑿の研ぎでは、現在も使用されている方が、割合的に多いと思います。

それらの範囲だと、平面研ぎが基本となり、超仕上げ砥石クラスの細かい仕上げを求める方が多いので、減りにくい事や、条件的に、仕上がりが安定しやすい事もあって、丁度良いとも言えるでしょう。

包丁関連ですと、使う方は相当減りました。

一時期は、包丁の鋼系やステンレス系に対し、天然砥石がどう作用するかなど、色々と議論をした事もありましたが、現在はそういう話もほぼ無くなりました。

天然砥石での仕上げは、傷が取りきれないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、良質な物を使用し、素材や硬度との相性が合えば、無傷と言える状態で、色目も合わせる事が出来ますが、かなり苦労します。

下地がどこまで綺麗に研がれていて、傷の残りが無く、最終段階へ進めるかどうかなので、もしそこまで揃えたいのであれば、相性にもよりますが、例えば、#1000→#2000→#3000(4000)→#5000(#6000)→#8000(もしくは天然仕上げ砥石)と、そのくらいで研ぐつもりじゃないと、本格的に綺麗には揃いません。

そして、もしそれをやる場合、気を付けなければならないのは、色目や傷が合わないからと言って、無理に当たらない箇所を当てようとして、形や面を崩す可能性がありますから、躍起にならない事です。

それをやってしまうと、ただ傷や色を合わせただけで、それが正しい研ぎからは、だいぶ外れてしまう事になります。

もし、綺麗な仕上げを体験したいのであれば、私個人の考えですが、練習しやすいと思うのは、切出小刀です。

これで研ぎ面を綺麗で均等に仕上げ、一切のムラが出なくなるまで、普通に研げるようになれば、天然砥石の仕上がりの味であったり、切れ方の違いに関しても、色々と理解が出来ると思います。

幅が広く、長いモノに関しては、難易度はかなり高いので、相当な勉強をしてからでなければ、揃える事はほぼ不可能です。

もし天然仕上げ砥石を試してみたいという方は、まずは柔らかめで、中間的な荒さの物から、試してみてください。

いきなり硬くて細かいモノに手を出すと、一切の仕上がりも切れ味を、体感する事は出来ないと思います。

気軽に使って結果が出るものではないので、人造砥石で確実に研げて、意味のある刃を付けられるようになってからの方が、天然砥石との違いも良く分かるでしょう。

最終的に、自分には無理だ・・・と、挫折される方の割合が、非常に多いですから、そこまで無理をしてまで、天然砥石での研ぎを、第一に考える必要性は、全く無いと思います。

気軽に研げて、良い切れ味を出せた方が、研ぎの時間も無駄になりませんし、いつでも安定して使えます。

ちなみに、天然砥石は、その名の通り、天然物ですから、不純物を含む場合が多くあります。

それらが表面に出てきて、気付かずに研ぎ続けてしまうと、刃がボロボロになったり、面をガリガリにしてしまう事もありますし、相性や天然砥石の質によっては、地金を引くと言われる、地金に硬い素材が刺さって、いつまでも悪さをする事もあるので、それなりの覚悟は必要です。

気軽に使える物ではないのと、良質な物を求めると、決して安くはないですから、その辺りは覚悟が必要です。

私もそれなりの数で、所有はしていますが、使いやすいタイプと、仕上がり重視タイプなど、色々な硬度と荒さであり、その都度、相性を考えながら、選定して使用していました。

最近は、1ヵ月程前に一度だけ、小型の刃物の研ぎ依頼で、使った程度です。

 

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