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2022年10月24日 (月)

切断テストの話

以前にもこの手の内容を記載した事がありますが、色々と違いも出てきているので、その辺りも含めて・・・。

私が刃物の状態を確認する際には、普通紙を使っています。

その理由は、組織が密で、ある程度ばらつきもあり、刃の引っ掛かりが分かりやすいからです。

切る時は、あくまでも紙と刃は垂直に押し当てるだけです。

スライドさせて切ろうとしたり、斜めに刃を動かしたりして、早い速度を利用したりで、抵抗を減らすような切り方をすると、簡単に切れてしまう事が多いですから、それでは意味がありません。

そして、切れた切断面を見たり、刃の方を見ると、切りカスの状態が見えますから、実はここにポイントがあります。

あとは、切った時の音を聞いたり、手に伝わる振動も拾うので、薄い紙だと意味がないというのもあります。

これが、ただ紙を綺麗に切りたい刃と、実用域の範囲で必要な刃では、色々と変わってきます。

一発勝負の刃として考えられるような状態だと、紙があまりにも切りやすくなりやすくなるので、そういった刃だと、実用強度は大きく不足に陥る場合がありますから、紙を切る事が目的ではないという事を、忘れてはいけないというのが、重要なポイントです。

異常に細かく研がないと、切れないとおっしゃる方も結構いらっしゃいますが、それは研ぎがまともにされていない事や、刃返りの処理が悪いからです。

#1000くらいだと、流石に刃先は荒いので、普通紙の切り口は荒れやすく、切りカスも付きやすいですが、#2000を超えると、段々とそういった事もなくなります。

適当に研いでも、普通紙なら切れるのではないか?という話も、たまにネットで見かけますが、このように、切れるかどうかを見ているだけでは、そこに意味はありませんので、中途半端に紙が切れたかどうかを考えるだけなら、色々な事から外れた研ぎになるので、そこを基準にするのはやめた方が良いです。

また、新聞紙を使う話も、良く耳にしますが、新聞紙は切れ始めると、意外と簡単に切り進んでしまいます。

その理由は、薄い事、密度が低い事、インクの油分がある事、などから、上手い事ほぐれるように、切れてしまう例もありました。

ですので、今は普段の印刷で使う普通紙を、種類固定で買っていますので、それを使います。

色々な所に着目し、色々なテストを行いましたが、本来は確認をする必要が無ければ、一番良い事ではあります。

ただ、100%はありませんし、大丈夫と思っていても、見えるか見えないか程度の欠けが取れていなかったり、見えない亀裂が入っていた場合に、それを見つける意味もあるので、一応確認が可能な刃物類は、テストを行っています。

インスタの方に、やり方の一例がアップされていますので、宜しければそちらをご覧ください。

包丁類や、鉋や鑿などで、それぞれで切断の判断基準も異なります。

包丁類の場合には、切り滑りを防ぐ意味で、ある程度の荒さを残しますし、強度と切り離れの為に、丸みと角度は結構つけますので、意外と音は切っている感が出る事はあります。

平面研ぎ系の刃物は、仕上げを細かくしますので、当たると抵抗が少なく勝手に入っていくような刃が必要ですが、刃物を使用する場面に合わせ、角度や荒さなど、色々と調整を行いますから、それも固定ではありません。

ちなみに、鋏類は普通紙ではなく、基本的にはティッシュを使っていますので、より細かく柔らかい繊維となりますすが、油分や水分が多くなると、切りにくい傾向もありますので、そういったテストも合わせて行う事があります。

 

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