硬い刃物は使えるのか
昨日に引き続き、刃物のお話です。
過去には硬さがあっても、それなりに研ぎやすい程度で、抑えられていた部分がありましたが、砥石が進化した影響からから、平然と異常硬度の刃物が販売されるようになりました。
ここでいう異常硬度とは、本来のその鋼での適正値を越え、焼き入れが余分に入り、焼き戻しが弱い状態を指します。
そうなると、単純な硬度は異常ともなり、耐摩耗性が上がりすぎてしまい、研ぎはまともに出来なくなる場合があります。
そして、刃先に出て来る組織も、無理な硬度の影響で荒れており、刃付けは何をやっても細かく綺麗な切れ方をしなくなります。
これは、鋼品でもステンレス品でも、同じように良く見られますが、年間にかなりの数を手研ぎで触っている私からしますと、結構な割合であるような気がします。
逆に、硬度が低すぎても、刃の弱さが出て、まくれや潰れなども出てきますし、研ぎの圧力だけでも、簡単に曲がってしまう事もあるので、硬すぎるくらいなら、柔らかい方が良いという意味ではありません。
丁度当たりだろうと思う硬度は、それぞれの鋼のタイプで異なりますが、しっくりくる範囲で収まるものは、大抵大丈夫だろうと感じています。
研ぎが失敗していて、こういう結果になっているだけかと思い、過去に何度かやり直しをした事もありましたが、研ぎ込んでも、砥石を変えてみても、結果は大きく変わらないので、私自身の感覚を信じています。
昔からそうですが、色々な刃物や砥石の検証をしてきて、そのデータが製品に生かされて来た事は多くありましたので、こういった部分は特に得意分野でもあります。
単純な馴れとかではなく、この感覚は育ててどうにかなるものではないそうです。
良い製品づくりを目指す企業や職人は、ご依頼を頂ければ、ご協力はしますので、ご連絡ください。
私は世の中に、一つでも多く、良い製品が出回る事を、強く願っていますので、やる気と製品への思いがあるところには、出来る限りで協力をしています。
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