人造砥石の硬度と研磨力について
まず、一般論としての、砥石の硬度に対して、研磨力がどう作用するかというのを、記載したいと思います。
砥石は硬いほど、砥面の砥粒の剥がれ(自生作用)が少なく、目つまりを起こし、研磨力が上がりにくい傾向にあります。
砥石が柔らかいほど、砥面の砥粒の剥がれが多く、目つまりが怒りにくく、研磨力が高くなる傾向にあります。
これらが、いわゆる一般論です。
刃物硬度が適正とされる範囲でも、その業界ごとに、刃物の硬度や作りも違いますし、研ぎ方や考え方も違うので、適正な砥石は変わってきます。
鉋や鑿や切出小刀などの、木工や大工道具系にある、平面研ぎ物の場合には、硬めで面の崩れが少ない物と言われます。
しかし、一昔前に流行ったような、異常に硬度が高い砥石を使う場合、面の崩れは少なくても、研磨力が低く、砥石硬度の影響により、荒傷が入る事が良くありましたから、私は一切おすすめをしませんでした。
刃先に欠けや筋を残す事は、最終的な超仕上げまで進む中で、邪魔にしかなりませんし、仕上がった刃がボロボロだったという事もあったようなので、理由を考えるとその砥石が原因であると言える事が多かった為です。
硬度はそこそこで、研磨力が高ければ、面の修正を頻繁に行いながら研ぐ事で、それは十分に平面研ぎと言えるレベルにまで、持って行く事は可能でしたから、必要なのは、毎回同じような修正が可能になるという部分です。
また、包丁関連で良く言われるような、柔らかい砥石というのも、やはりかなり柔らかい砥石が流行った時期もありましたが、そちらもおすすめはしませんでした。
傷取りに使う場合には、刃物に砥石が馴染んでくれる事もあり、良いと思う事が多くありましたが、精度を求めるには不足です。
これらから見て、中間的なバランスを持ちつつ、性能を明確に出せた砥石は、数少ないのですが、効果が高かったのは、シャプトン社の「刃の黒幕」シリーズです。
刃の黒幕シリーズは、それなりの硬度がありつつも、研磨力が十分以上に確保されており、修正も専用の修正器を持たせるなどして、状態の維持までをしっかりとカバーしていて、安定した研ぎを提案出来るのが良い部分です。
今では定番となりましたが、#2000の砥石の重要性を知るきっかけになったという方は、かなり多いと思います。
また、この砥石や専用の修正器で、条件を同じように使える事で、刃物の検証にも使う事が出来ましたし、私の研究が進んだきっかけとも言えます。
ですから、今でも信用度は高いです。
今後、色々な人造砥石の販売が、新しく行われていくと思いますが、刃の黒幕シリーズを超える製品が出てこないと、定番化させるのは難しいと思っています。
そこまで言い切れる程に、使用されている方も多いですし、安心して使える性能がありますから、研究開発を頑張って頂きたいと思います。
今回は、天然砥石と、ダイヤモンド砥石は外し、あくまでも人造砥石の話として、これらを記載させて頂きました。
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