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2023年8月 2日 (水)

奥の更に奥に・・・

和包丁で良くご相談を頂く内容に、納品初期の研磨が酷く、研ぎ面の穴が多く空いていたり、研いでも傷が全く取れないというものがあります。

これらは、原因が明確に分かっています。

まず、研ぎ面を研ぐ場面で、穴的な状態が現れ、砥石が当たらない部位が多くあるのは、円形の円部を使って加工をしている為です。

円の円周で削る場合、点で当たる加工を行いますから、どうしても穴的なものは出来てしまいますし、磨きでも同じように、円の円周を使う事が一般的なので、整えられているように見えて、実は面がグチャグチャだったりします。

それと、近い内容でのお話では、面にすらなっていないというのも良くあります。

円の円周を使い、平面を作る事は、まず不可能なので、基本構成すらズレたままで、削りと磨きを円周で行い続けると、あちらこちらに方向がズレ、面自体の構成すら危うい状態になるのも、良く目にしています。

これらは、平面に近い加工が可能な機材を使えば、解決はそれなりに可能ですし、その先で一流の職人が手作業で手研ぎを行えば、砥石をまともに修正して研ぐ方の場合で考えますと、9割方まで当たるレベルにする事は可能です。

ただ、それを行うと、かなりのコストと時間がかかりますし、腕が試される部分でもあり、誰にでも出来る仕事ではないので、決して安くはありません。

ベタなら比較的楽に出来ますが、レベル高くハマグリ刃系で仕上げる場合には、何となく出来るレベルの人がやると、特別良くはならないので、頼まない方が良いです。

和包丁の研ぎ面は、ただ簡単に面付けを行う事は出来ず、色々な要素が含まれています。

それらの加工を高レベルで行い、更に良い刃付けを行う事は、本当に難しい加工で、それらが出来る職人の数は、ほんのわずかです。

狙って探さないと、そういう加工はしてもらえませんので、どこでも頼めば出来る訳ではない事は、十分に理解をしてください。

もう1点、研いでも全く傷が取れないと、ご相談を頂く事があります。

それに関して言うと、お客様が荒砥で付けた傷が取れていない場合と、商品として加工された場面で、荒傷をきっちり取らずに表面的に仕上げられている場合の傷が、お客様が研いだ事で現れる場合もあります。

判断基準としては、自分の研ぎ癖や、砥石の使い方を考え、研ぎの向きと傷の向きが、同等であるかどうかを見ると、大体の判断は付くと思います。

そもそも穴が多くあり、砥石が当たり切っていない可能性もあるのですが、砥石が確実にあたり、色目が同じで面が揃っている事が確認できても、傷の方向が違っていて、そのような症状がある場合には、商品化の際の傷であると言えるでしょう。

なお、当方では、それらの加工や手研ぎでの作業は、標準化していますので、高レベルの精度や切れ方を望まれる方は、是非ご利用ください。

大手一流メーカーにも適用されている技術ですが、更に当店オリジナルとして、上のレベルの作業も用意しています。

安い作業ではありませんが、一度ご利用を頂きますと、基準が出てきますので、その先の研ぎや使用が楽になります。

長い目で見ますと、毎回では無くても良いので、短期で定期的にご利用を頂き、状態を安定化させて頂く事をおすすめ致します。

それにより、大きな加工を行う必要性が減りますので、無駄に削り落とす事もなく、使用でのストレスも多く減らす事が出来ます。

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