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2023年9月14日 (木)

硬い砥石は有効なのか

砥石の好みは人それぞれだと思いますが、特に硬い砥石を好まれる方は、どのような事を目的として、その硬さを選んでいるのか・・・。

砥石は表面の砥粒が外れたり崩れたりして、新しい砥粒を出す事で、研削性や研磨性を出しています。

これを自生作用と呼びますが、この自生が遅いものが硬い砥石で、とぎ汁が出ないもの程、硬いと思えば分かりやすいでしょう。

硬い砥石の利点は、一般的には、砥石の減りが少ない事で、面の崩れが少ないという部分です。

その分、研磨力は低く、あくまでも面の保持優先とされています。

それでも柔らかめの刃物相手なら、刃物への食い付きが多少増えますから、自生は促されますし、とぎ汁もある程度は出るかもしれませんが、硬いと感じるのは変わりません。

あとは、面直しだけではなく、目立てをしてから研ぎを行う事で、研ぎの進行を早める事が出来ますが、硬い砥石の場合、その目立ての部分が終わると、その先は自生が促されない場合も多く、その都度、研ぎ味が落ち始めたら、面直しや目立ての必要性はあると思います。

なお、一般的に普通と言われる硬度物や、ある程度硬めのものでも、面修正はそれなりに頻繁に起こなった方が良いです。

それは、面の減りがそれなりにある為です。

硬い砥石の場合、減りがほぼ無いという事は、面修正は研ぎに致命的な精度の問題を発生させます。

つまり、面修正が十分すぎる程の精度を出せていないと、その面の通りに刃物は形を合わせて行きますので、高精度での修正が出来ない方は、硬い砥石を使うのは、やめた方が良いです。

逆に、柔らかい砥石は、どんなに精度良く修正を行っても、その精度を維持したまま、研ぎを続ける事は不可能なので、使用中に頻繁な修正が必要になります。

簡単に硬い砥石がどういうものなのか、他の硬度の話も含めつつ、お話をさせて頂きました。

正直な所、そこまで硬い砥石を使うメリットは、ほとんど無いと考えています。

それなりに硬めの砥石でも、密度が高い砥石の場合、そこまで明らかな減りが一気に来る事は無いので、全体をまんべんなく使うつもりでいれば、それで精度はそれなりに保持されますし、研ぎ味は十分に良い状態は確保され、更に面直しも大変ではありません。

硬い砥石は、どちらかというとデメリットの方が多いと思う部分がありますが、この辺りはお好みでご選択ください。

なお、今回のお話の中に、ダイヤモンド砥石は含まれていません。

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