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2024年3月26日 (火)

プロスペック

刃物や砥石に関しては、プロスペックが存在しているのに、研ぎには無いのがおかしいという声もあります。

確かにおっしゃる通りで、研ぎ自体をプロ向けとしているものは、ほとんど無かったでしょう。

当方では開店当初から、プロ向けは別項目として作っている刃物もあり、それを珍しいとおっしゃる方が多数いらっしゃいました。

私の中で思う研ぎは、用途や使用条件で変えるものであり、刃物や使い手に合わせ変化させなければ、必要な性能は出せないと考えています。

研ぎは大まかに見ると、切れ味を優先させて刃持ちが良くないか、刃の強度を優先させて刃持ちが良いか、二通りに分けられます。

あとは、刃物ごとに決まりがある物もありますから、そういった場合には必要とされる決まりに合わせて研ぎます。

プロ用であれば、切れ味を優先するとか、刃持ちを優先するとか、そういう分け方はありません。

使用者の方が考える刃物とは何なのかで、その辺りは大きく変わってくるからです。

同じ刃物でも、用途によって研ぎを変えるのは良くある事ですから、それも合わせて考えれば、決まり事のある刃物以外では、基本的な自由度があると考えられます。

自由と言っても、あまり極端するすぎる事をやれば、刃物が傷むか、切断がまともに出来ないか、そういった事もあり得ます。

ですから、節度のある中でも両極端ではあるので、その辺りはしっかり把握しなければなりません。

お客様の好みにより、研ぎを変えるとすれば、その方が何を求めているのかという部分と、どこまで把握されているかという所を合わせ、近い範囲を探してそこに当てはめていきます。

人により表現や考えが形になると、思っていた物とは全く別物である場合に遭遇するので、その辺りは見定める必要性があります。

今の現状と比較し、どのくらいにしたいのかを見れば、ある程度は分かりやすいですし、どのくらいのズレがあるのかも把握しやすいですが、情報が少なければ少ない程、こうして欲しいと言われても、どの辺りなのかが読めない事もあります。

それを探りながら、何度顔出し頂く中で、そこへと近づける事は可能ですから、お客様に良くお話をするのは、3回は諦めずに出してくださいという部分です。

人の頭の中やその方の感覚まで、何もかもを把握できる訳もありませんし、一度で完璧に思う通りになる事は不可能に近いので、その辺りはご協力を頂きながら、ご希望に近づけられたらと思います。

 

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