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2024年4月

2024年4月30日 (火)

本格志向

皆さんは何かに対して、本格志向な考えはお持ちですか?

それはご自身でやる事でも良いですし、お金を払って買ったり受けるサービスでも良いです。

私の場合、範囲は明確に限られますが、時間とお金の問題もあるので、ものには限界があるとは思いつつ、少しでも良い物に触れ、その世界を楽しもうという意識はかなりあります。

全く興味のない範囲の事は別ですが、それなりに興味のある事に関しては、結構お金も時間も使って来た方だと思います。

もしそういう性格でなければ、今の研磨や研ぎに関わる事であったり、刃物や砥石等の部分にも、あまり興味は持たなかったかもしれませんし、更にこだわって、どこかに頼んでそれが叶わないのであれば、自分でやってしまおう!とは思わなかったでしょう。

そういった意味では、本格志向の意識を持って何かに取り組む事は、違った道が開ける事もあるという事ですから、こだわって損は無いとも言えますね。

知識と技術が無いのに、ただ無意味にこだわりすぎて、勘違いで終わるパターンもありますから、その辺りは注意が必要でしょう。

 

2024年4月29日 (月)

用途にあった包丁を使ってください

包丁は色々な種類が販売されていますが、用途ごとに正しく使っていますか?

正しく作られているものである事を前提にお話をしますが、それぞれの包丁の設定は、用途に合わせて作られていますので、その中で研いで使ってください。

雑用に使う場合と、本当の意味での専門に使うのは、同じ包丁でも全く異なります。

分かりやすい所だと、刺身用の包丁とされる、柳刃や先丸タコ引きや切付型柳など、その辺りで見ていきましょう。

流石に魚を骨からで使う方はいらっしゃらないと思いますが、中骨部を取り除いたり、ハラスの骨をギリギリで取り除いたりする場合も、中には使う方がいらっしゃるようですし、そこまででは無いにしても、皮引きに使う方もいらっしゃいます。

それらは全てアウトです。

そんな事を言ったら刺身包丁の意味がないじゃないか!と思われた方は、それだと刺身包丁を傷める事を知ってください。

使い分けをされている方は、雑用の為のものと、刺身専用を用意されていますし、更に複数本のご用意をされている方も、本職では結構多いと思います。

刺身専用という意味は、柵取りが終わって、皮引きも終わっていて、本当に刺身を引くだけの状態を指します。

そこまでする理由は、他作業に使う事で、刃を傷めてしまい、刺身が綺麗に引けなくなる事を避ける為です。

そのくらいで差は出ない!とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、元の研ぎであったり、刺身に求める切れ方の質などの事もあるので、求めている部分がそこまででは無いからだと思います。

もちろん私個人としても、雑用の為の刺身包丁と、刺身を引くだけの刺身包丁は、しっかり分けて使います。

雑用の為のものは、刃持ちや性能より、研ぎ修理が楽な部類で、金額も高くはないものを回して、刺身専用の方には高品質で切れ味が良く出やすい包丁を使うのが一般的です。

他には、刺身専用はあくまで切れ味や切り口にこだわった包丁を用意して、雑用の為の物は、耐久性を重視する例も良くあります。

そのように分けるだけで、本当に快適で気持ち良く使えますし、色々な心配もないので、必ず分けてお使い頂きたいと思います。

少なくとも、欠けがあるものや、仕上げ研ぎも行っていないようなもので、刺身を引かないようにしましょう。

僅かにでも損傷がある包丁と、繊細に使うように研いで無傷の状態で切り比べると、切り口は雲泥の差になります。

まずは切れ味を知る事から始めると良いと思います。

 

2024年4月28日 (日)

ここ1年程の様子

過去から色々なお客様のご利用があり、中には長期に渡って継続的にご利用を頂いている方も多くいらっしゃいます。

ご新規の方でも、おまかせの内容であったり、細かいご指定を頂くものもあります。

色々と半年から1年くらいで、仕上げに対してのこだわり強いお客様からのお問い合わせが増えている気がします。

当方は、過去からずっとお話をしてきていますが、実用品としての刃物を、どう研磨するかや、どう研ぐかを重要視しており、見た目に関しては、そこまでのこだわりがありません。

もちろん、あまりにも酷い状況にはなりませんが、細かく調整をした見た目で揃えるような事は、出来たとしてもあまりやらず、表面を整える意味での加工までをベースとしています。

均等に揃えると、色目が綺麗に見えたり、バランス良く見えるのですが、それは荒目の物と細かいものだと、同じ精度で加工をしようとしても、どうしても飛び傷や傷の大小が出やすい為で、そこまで合わせようと思うと、部分的に強い磨きが必ず必要になるので、そこを責めると精度落ちする可能性もありますし、歪が増える可能性もあるので、見た目の為だけにそこまではやりたくないのです。

削りから磨きに入り、深い磨きに入って行けば、使用には関係ない範囲で、どんどん刃物は消耗しますし、均等に磨いていったとしても、先ほど記載をしましたように、バランスの問題で歪が出る可能性が十分にあり、精度が崩れていくと、また削りからやり直しになる事もあります。

折角作った実用の為の良い状態を維持できなかったり、無駄に減らす事になるのは、勿体ないと思う部分が強くありますので、当方では下地加工から研ぎに至るまで、極力刃物の負担を減らし、使いやすい状態をとご提案しています。

いわゆる磨きと称しているものは、通常の仕上げ目で良く使っているヘアラインから、細かく傷を取る加工を何段階も多く含め、そこから最後に何段階かの磨き入れをして、光沢を持たせた状態になります。

その時点で、かなり細かくはなっているのですが、光沢を出す事で、傷目はかえって荒く見えたり、目立ちやすくもなってしまいます。

周りが綺麗であればあるほど、少し荒目の筋があるだけで、非常に目立つのが原因です。

なので、磨きに関しては、光沢感が欲しいとおっしゃる方にだけ、おすすめをしています。

そのくらいの磨きでも、かなりなめらかであり、触る手が滑る感覚が強いので、研ぎの際に手を滑らせたり、反射で眩しくなってしまうくらいにはなっています。

その先に更に進めるようにすると、いわゆる鏡面があります。

これに関しては過去にも記載をした通り、鏡面系と鏡面がありますが、色々な理由で当方では基本的には鏡面系や鏡面の作業はお受けしていません。

こういった仕上げ目に関するお話は、ご興味がある方が多いようなので、また近いうちに、何か書こうと思います。

 

2024年4月27日 (土)

手研ぎという言葉が凄い訳ではありません

お客様の中には、ネットで検索をして、手研ぎというキーワードがあったから・・・という事で、ご依頼を頂くケースもそれなりにあります。

確かに現代では、機械研磨で機械刃付けというのが、かなり一般化していますし、それで充分な刃付けと見る方もいらっしゃるので、手研ぎに対する良さというのが伝わりにくいかもしれません。

機械研磨の良い部分は、短時間で加工が出来る事で、コスト面をかなり落とせる事にあります。

その為、サービス的な研ぎとされるものの多くは、機械研磨だと思った方が良いでしょう。

刃先までもちろん機械研磨です。

あとはもし手研ぎを加えるのであれば、刃先の小刃の部分だけを軽く砥石に当て、刃の具合を良くするといった程度になります。

それに対し、手研ぎの良い部分は、細かい設定が自由に出来て、部分的な研ぎムラが無くなり、必要な箇所に無理のない形で、必要な刃を付けられるという所です。

そして、微調整やご希望に合った内容も可能ですし、機械だと飛び傷を恐れて出来ないようなギリギリの角度設定なども、手研ぎでは可能な事もあります。

ただ、それは手研ぎの世界を熟知し、それを表現できる場合であり、ほとんどの場合、機械作業に手作業が勝てない時代になりましたから、必ずしも手研ぎが良いとは言えません。

単純にそれっぽい面にして、綺麗な目にすれば、綺麗な研ぎだと思われてしまう事もありますが、実際の実用の研ぎというのは、見た目で決まるものではないので、非常に難しいです。

面の構成や刃の形状など、機械では表現しにくい形になるのが研ぎなので、それを越えた性能を出せないと、全く意味はありません。

特に、日頃からお話をしていますが、見た目重視となる研ぎは、実用性を持たせるのが難しいので、その辺りをどう考えるかだと思います。

切れ味や性能と言っても、研いだ直後の一瞬だけ切れる研ぎは存在していますが、刃が一旦落ち着く所があり、その域から先での切れ味や刃持ちなど、その辺りが上手い下手としてはっきり出ます。

凄く切れる研ぎだというものを見せて頂いた事がありますが、その瞬間は確かに良くても、どう見ても刃持ちは全くしない設定でしたので、それは実用とは呼べません。

試しに、同じ刃物を用意して、設定を変えた研ぎを行い、試してみると良いと思います。

最上級に切れると思われている刃は、実用性能が無いので、そういう研ぎをしないだけです。

つまり、5段階評価の5を超える研ぎは、通常ではやってはいけない研ぎになります。

刃持ちばかりを考えると、それはそれで切れない刃になってしまいますが、刃持ちを考えない刃は、事実上で見ると切れる刃とは呼べません。

総合的な考えをその刃に含めて、それをまとめて使える刃と呼びます。

研ぎに慣れると、段々と超仕上げの細かさを求めたり、仕上がりの綺麗さを求めるようになりますが、それは一つの技術なので否定するつもりはありません。

しかし、全ての刃物がそれに属す研ぎをすれば良い訳ではなく、荒さや刃の性質を色々と調整し、場にあった刃を作り出すのが上手い研ぎだと考えますので、実用としての使用から学び、実際にプロがどう使うのかや、どういう刃を求めているのかを理解し、そこに当てはめていく事が、本当の意味での上手さだと考えます。

 

2024年4月26日 (金)

GW中の営業について

当店は毎年、GWやお盆のお休みはありません。

基本的には、年末年始以外と、出張や特別な用事が無い限り、家で何らかの仕事をしています。

今年もGWは特に休みらしい設定は無く、豆ねこの方が用事でお休みを頂く日以外は、店舗も通常営業となっております。

実際に豆ねこがお休みの日でも、私は裏で仕事をしていますので、メール対応に関しましては、出来る限りにはなりますが、順番で行っています。

最近はメールがある程度の数で重なったり、一通が長いメールになる場合なども多くありますが、作業の時間を優先としていますので、夜間や後日になる事もありますので、当方からの連絡があるまでお待ち頂ければと思います。

どんなに長くても、2営業日以内には、ご連絡は出来ています。

なお、当店の店頭対応につきましては、作業などの関係もあり、直ぐに手を空けて対応が難しい為、打ち合わせが必要な場合の店主対応や、プロの方の対応の場合、ご来店対応は予約制となっております。

一般刃物の家庭用の場合には、豆ねこが窓口となり、裏で状態の確認とお見積りをお作りし、その場で合わせて納期もお伝え出来ますので、特に打ち合わせの必要性が無く、おまかせで宜しければ、ご予約が無くても店頭をご利用ください。

ご予約による店主対応が必要な方は、事前に何の刃物の何のお話なのかを事前にメールでお問い合わせ頂き、その時点では対応が可能と判断をした場合、ご予約をお受け致します。

お荷物での対応につきましては、金~火曜の12₋16時内に到着がするように設定をし、安全で破損の無いよう、しっかりと余裕を持った箱を用意し、梱包を厳重にして入れ、着日が営業日であるかを確認の上で、発送を行ってください。

店舗休業日の受け取りは行っておりませんのでご注意ください。

 

2024年4月25日 (木)

加工方法の変更

出来る限り近いうちに、和包丁の裏鋤加工の方法に少し変更を加えます。

標準的な仕上げとした場合で見て、納品時の見た目はほぼ変わらないと思いますので、気が付かない方もいらっしゃるとは思いますが・・・。

独自の方法なので具体的なお話は出来ませんが、作業面で見ますと、最初の削り始めの部分から荒磨きの段階までが結構変わるので、これで最終的な裏の精度であったり、裏押しのやりやすさが変わると思います。

また、納品時の裏押し状態はあまり変わらない程度ですが、将来的な裏押しの維持がしやすくなると思います。

もちろん、形を維持しつつ、少しずつ減っていった場合で、砥石の修正レベルが低い方や、研ぎで形や面の状況が変わってしまう方の場合、この意味はないかもしれません。

実際に、色々とテストをしてきた段階では、元の状態が大体同じようなものを加工で直した場合、仕上がりの精度はこのやり方の方が、何割も良くなりましたから、かなりおすすめです。

特に当方でご依頼を頂く場合、使用中の物の研ぎ修理的扱いになりますから、柄が付いたままの加工を想定すると、色々と出来ない事が沢山ありますから、その中での技術開発は本当に難しいです・・・。

以前にも書いた事がありますが、裏鋤は浅めにというのが、過去から言われる良い方法であるという扱いでした。

ただそれは、ほんの一部の特別に上手い方が行った場合の結果の話であり、浅くて均一で、研ぎ進んでもそれを維持できるような計算が成り立っている場合ですから、現代ではほぼ無い事です。

裏押しに関しては、現代では裏研ぎが正解の表現になりますが、それを行う場合、それなりに研ぎが上手い方がやっても、裏押しがどんどんベタ化する例も多いので、私は多少深めをおすすめしている話も書いた事があります。

浅すぎても深すぎても、その意味合いが変わってきてしまいますが、浅すぎて研ぎで苦労をするよりは、少し深めの方が良いと考えています。

深くするにしても、もちろんそこまでやらなくても・・・と思う範囲はやりすぎですし、霞のような合わせ系の包丁だと、どこまで掘っても鋼がある訳ではないので、むやみに掘り続ける事は出来ません。

特にべた裏やべた裏気味になっている状態からだと、もう鋼の量がかなり少ない可能性があるので、そもそもが何度も直す事は出来ません。

そう考えると、色々と直しながら使う場合、本焼の有利さはやはりありますし、特にステンレス系や粉末鋼の本焼(正式には全鋼)のものになると、焼きの入ってる部位はほぼ全面になりますから、更に長く使えます。

例えば、10万の霞と15万の本焼があったとしたら、私は迷わずに15万の本焼を買います。

長年の事を考えると、決して損な買い物ではありませんので、色々と調整を加えながら、ストレスなく使っていきたい方は、本焼を是非購入してください。

いつか、本焼にしておいて良かった!と思う方が多くいらっしゃると思います。

裏研ぎの話ついでに、最後にそのお話をします。

裏がベタ化すると、裏の刃先に対し、まともに砥石が当たらなくなって、刃が出にくくなります。

表からの研ぎを主として、裏側は表側から出た刃返りの処理として、仕上げ砥石を当てるくらいで普段は済ませて、裏が無くなってきたら軽くだけ#2000~#3000の砥石で当て、その後に仕上げ砥石わずかにかける程度にしてください。

そのくらいのつもりでないと、綺麗な裏は維持出来ません。

少しでも研ぎ幅が増えたら、ベタ化してきたな・・・と思って頂き、それでももう手遅れの場合も多いので、直しを行いますから、ご依頼なさってください。

裏の研ぎは、少なすぎるかな?くらいの程度でも、多すぎる方がいらっしゃるので、慣らす程度との認識でどうぞ。

 

2024年4月24日 (水)

Gmailでのご連絡について

Gmailをご使用のお客様はかなり多くいらっしゃいますが、稀にメールが届いていないとおっしゃる事例がありますので、解説を致します。

同一人物からの返信が連続した場合、設定によりますが、表面上では、一つのメール扱いになってしまう事があります。

それを回避するために、スレッド化を解除する事をおすすめ致します、

それにより、メールが一回送られるごとに、一つのメールとなり、例えば3通送られた場合、同一人物でも3通のメール扱いになります。

私はスレッド化は解除してありますので、こちらに届いたメールは、それぞれ個別で確認を行っております。

詳しくはこちらからご確認と設定を!

 

また、メールフォーム前のメールについてのご説明ページに記載がありますが、メールの送信時には、毎回必ずでお名前のご記載をお願い致します。

他のお客様からのメールもそれなりにありますので、どなたからのメールなのか、メールアドレスだけで、一瞬の判断をする事は出来ません。

内容が書いてあるから!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、同時期に同一の内容について、お話が進んでいるケースもあるので、残念ながらそれも判断基準にはならない事があります。

中には「〇〇の件でお世話になっている△△です。」と分かりやすくご記載を頂いている方もいらっしゃいますので、非常に助かります。

当方からのメールでは、最低限度のマナーとして、毎回少なくとも、ご挨拶とお客様のお名前をご記載をしてから、内容の記載を行っております。

 

2024年4月23日 (火)

加工をしてみたいですか???

刃物をご自身で趣味で作る方は、結構いらっしゃいます。

ブレード材となる鋼板を買ってきて、金属用の鋸でカットをし、成形をしてから、熱処理を加え、研磨をして、ハンドルや柄を取り付け整形と研磨後、刃付けをする流れです。

刃物の種類によっては、鞘やシース、箱なども作る事はあると思います。

それらの加工では、意外と安く済むのは、熱処理までです。

鋼材は刃物を買う事を考えれば、かなり安いですし、カットは手鋸だと相当大変ですが、切れない訳ではないので、時間と労力さえかければ出来ます。

そして、ハンマーと金床があれば鍛造は出来ますし、成形はヤスリで十分に行えます。

熱処理も炭やコークスを使い、上手く熱量さえ上げられれば、粉末鋼でもない限りは、焼き入れ出来る温度には上がります、焼き戻しはそこまでの温度ではないので、焼き入れが出来れば焼き戻しは出来ますし、油でも焼き戻しは出来ます。

もちろん、正しい温度で正確に焼き入れが簡単に出来るものではないので、何本~何十本を作って1本成功すれば良い!くらいに思っていれば・・・の話です。

絶対に成功させたい!と思う方は、業者さんで焼き入れを頼める所もありますので、そういった所にお願いすると良いでしょう。

そんな感じで、それらは毎回かかる細かい費用の分だけですが、研磨やハンドルや柄に関しては、専門的な機械が必要になります。

刃物の種類によっては、高額な研磨の機械がいくつか必要になる可能性がありますし、それに使う部材もかなり多く必要になります。

そして機械の部材は、それなりに高額な消耗品が多く、全ての用意するのは、趣味としては相当高い物になるでしょう。

以前も書いた事がありますが、研磨機械に関しては、使う為のコツがかなり必要ですし、一瞬で形が変わる可能性もあるので、だいぶ難しい部類になります。

研磨に関する機械や部材があれば、是非自分でやってみたい!という方もいらっしゃるかもしれませんが、その辺りは買っても役立たずに終わる可能性が結構高いので、ハンドメイドで頑張った方が良いかもしれません。

過去に時間で機械を使う場として、部材は自分持ちでとお話を頂いた事がありますが、部材は粗削りから仕上げ削りと磨きまで揃えると、総合で1万円では済まないですし、寿命の問題もあるので、練習的に使っていたら、あっという間に千円単位がじゃんじゃん飛んでいきますから、機械なら早くて安い訳ではない事は、十分にご理解を頂いておいた方が良いと思います。

また、機械を使うという事は、危ない事でもあります。

私はそういった怪我はありませんが、指を飛ばしてしまった人や、機械に刃物を巻き込んで、機械を壊した人なども、結構いるようですし、総合的なリスクも合わせて考えると、決しておすすめはしません。

技術職は器用さや安全への配慮は当然ですし、一度にいくつも神経を張っておける人でないと、刃物も機械も自分に対して色々と起こりうる可能性がありますので、気軽に考えるのは危険です。

超低速で回る水研機的な物でも、刃物の形がグチャグチャになったり、手を滑らせて自分の方に回って来る事もあるそうですし、これなら大丈夫という事は、何もないと思った方が良いでしょう。

それなりの覚悟と金額とをかけて、取り返しのつかない事になるより、一回ごとにお金がかかったとしても、失敗が無いように依頼をする形の方が、安心安全で安く確実だと思います。

その後、細かい調整に関しては、ご自身で希望する内容に合わせ、手作業でやれば安心安全です。

プロとしてやる道を選ぶのであれば、そんな事は言っていられませんので、頑張って色々な物を用意して、技術や知識も学んで、代金をお支払い頂けるようにならないといけませんが、趣味の場合には、楽しめる範囲で終わらせておくことも大事だと思います。

 

 

2024年4月22日 (月)

色が違う!!!

以前にお客様からご相談を頂いた内容を、ふと思い出しましたので、少し書こうと思います。

洋包丁を研いでいたら、ある部位だけ色が違って出ましたが、これは不具合品なのでしょうか?というものでした。

結論から言いますと、メーカーと製品名を聞いて、直ぐに分かりましたが、それは不具合ではありませんでした。

その理由は、ハンドル部の中心材となる金属をブレード材に溶接してあり、その部位よりハンドル側が変色して見えるものです。

ブレード材は高いので、少しでも安くする為だと思いますが、サビにくいステンレス材を包丁の途中から溶接してつけてありますから、材が違う事を考えると、研いだ場合の色目が異なります。

また、ブレード材からそのまま一枚通しで作成される場合も、中子にあたる部分からは、焼き入れをしない事が一般的ですから、そこを研げばやはり色目が変わる場合があります。

その理由は、中子は刃としては使わない部位なので、割れや折れを防止する意味でも、焼きが必要無い事や、ハンドル材を左右に取り付ける際に、穴開けをしてカシメやボルトで留めますから、その穴を開ける為には焼き入れは出来ないという事でもあります。

話を戻しますが、そのお客様が、なぜブレード材のツバ寄り部分を研いでいたかというと、刃先だけではなく、面ごと研ぎを行っていた為です。

刃先の段が強くなり過ぎると、食材が割れますから、洋出刃や骨スキでもない限り、段刃状態にならないよう、小刃の範囲までで研ぐのが適正です。

たまに面から研ぎ落とし、刃先に大きく鈍角な段が出来ないようにする事で、切り込みが良くなりますし、食材の割れを防げますので、非常に大切です。

しかし、かなり大変な作業になりますし、左右のバランスの事もあるので、普段から面の研ぎをやって慣れていない方は、いきなり出来るものでもありませんし、バランスを大きく崩すと、切れ方に悪影響も出ますので、そうなったら当方のように整形が出来る所にお出しください。

普段からそういった作業は多くお受けしていますし、お出し頂いて今より悪化するという事はありません。

ちなみに、機械で削ったり磨いたりする場面でも、溶接痕や材質の違い、熱処理のありなしが大体は見えます。

それを綺麗に磨いて仕上げられていると、あまり良く分からなかったりするだけなので、特に気にされなくて大丈夫です。

 

2024年4月21日 (日)

手の込んだ内容

ここ1か月半くらいの流れで見ますと、研磨でご依頼の内容は、当方で上級のものや内容を吟味したものでのものが、結構多くありました。

おまかせ内容や、簡易作業などを除き、通常の一般作業範囲で見れば、かなり十分と感じて頂けるとは思いますが、選択肢が色々とあると、上の方を試してみたくなるようです。

刃物がそれ相応で、使う腕の問題もありますので、必ずその性能差を実感して頂けるとは限りませんが、少なくとも作業内容の違いで、性能差は大きくでます。

レベルが0~10あったとして、当方で言う所の簡易作業が2で、通常のレベルが5だったとしましょう。

それを9までやったとします。

2と9の差は相当あるので、ここを分からない方はほとんどいないと思いますが、5と9でも結構差はありますから、そういった範囲での結果を体験したいという方や、それをキープする形で、ご注文を頂く事も多いです。

色々な物事がそうだと思いますが、上を知ると下には下がれない部分がありますよね。

違いが分かる方からすれば、金額や納期ではなく、作業の良し悪しでしかないので、自分の思う所がそこだと思えば、そこを選ぶしかないのだと思います。

普段の刃物使いで、我慢をされている方は、結構いらっしゃると思います。

それは刃物の基本性能であったり、研ぎの問題でもありますし、その辺りはそれなりの出費さえすれば、解決方法があります。

過去の刃物屋さんは、カード払いが出来ない所も多くありましたし、売ったら売りっぱなしだったような所も多くあったようです。

現代では、カード払いや電子決済なども可能になりましたから、分割という方法であれば、過去にはきつかった金額の物でも、かなり買いやすくなったと思います。

こんな話を書くと、高級品を売りつけて来るのではないか?、と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、以前からお話をしていますように、誰もが最高級品を買う必要はありません。

例えば、20万と25万の差はほとんどありませんから、その差が分かる方だけ買えば良いのです。

ただ、3000円で我慢していても、それはその刃物の基準以下の可能性が高いですから、せめて1万円~3万円にしましょう。

そして、それ相応の研ぎを入れてから、良し悪しを語りましょう。

最高級品と最上級品は意味が違います。

その辺りも色々と刃物を触ると、良く分かると思いますし、3万円でもかなりの高性能品もあります。

物事は試さないと分からない事が多いですし、自分がどこまで違いが分かるのかを知るのも、刃物や研ぎの分野ではかなり重要なポイントです。

最終的には、使い手の技量や保管管理問題が繋がるので、それも合わせて刃物を選ぶ基準にはなると思います。

まともな判断が出来る方にそれを相談し、ご自身にあった刃物を購入してください。

私は使い手側の考えが多くあるので、必要に応じての価値のあるものをおすすめしています。

ご自身の思っている範囲から見て、下側をおすすめしたり、上側をおすすめする事があると思いますが、それが客観的に見た場合の、一つの意見だと思って頂ければ、納得して頂ける範囲もあると思います。

 

2024年4月20日 (土)

一部研磨作業で、内容と金額を変更致しました。

色々と値上げ続きで、かなり利益が落ちていました。

これは円高続きと道具や部材の価格高騰の影響ですが、価格を維持する事が難しくなりました。

昨年の値上げの際には、さほど上げずになんとか頑張りましたが、作業コストを考えると利益が相当落ちてしまっていますので、ダイレクトに影響が出る範囲として、まずは和包丁と洋包丁の作業内容の一部で、金額を変更させて頂きました。

今後まだ、いくつかの刃物で、値上げをせざるを得ない状態ですので、ご了承の程、宜しくお願い申し上げます。

なお、一部作業に関しましては、価格の変更だけではなく、加工のレベルも合わせて上げてあります。

それを導入しなくても、十分な値上げとなる分、仕上げを上げても、価格の上げ幅は事実上落としてありますので、ご理解を頂ければと思います。

 

2024年4月19日 (金)

久しぶりに気になる刃物が・・・

仕事の関係で、刃物は日常的に良く触っていますし、新しい刃物の研磨をご依頼頂く事もあり、それなりに幅広く把握はしています。

しかし、いくつかは明確にこの鋼の製品!と表現できるものに、残念ながら遭遇していなくて、試しに色々とやってみたいと思っている鋼のものが、いくつか存在しています。

この製品は多分この鋼を使っているだろうな・・・と思われるものが、いくつかあるのですが、残念ながら高すぎるのと、サイズの選択肢が無く、いくらテストと言えども、その先に自分で使う事を考えたら、これは選べないな・・・というのがあり、結局手を出せずにいます。

勉強だと思えば、とりあえずその刃物を購入して、自分なりに研究が終わったら、人に譲るという選択肢もあると思います。

しかし私の場合、簡易テストの研ぎだけではなく、色々と削ったり磨いたりも試したいですし、主力として使った場合の実用テストも行いたいので、そこまで色々と触った物を、いくら綺麗にして状態を良くしたとしても、安いならと欲しがる人がいるのかというのは疑問です。

このように、テスト用の刃物があれば、良い研ぎの研究になりますし、その鋼が一般化してきたら、その時に対応できる内容が多い方が良いですし、出来る限りの知識と癖などを知っておきたいとは思っています。

大体の予測は出来ていますが、実際にどうなのか、やはり気になる所ではあります。

新しい鋼の多くは、ナイフや包丁の分野での導入が多いですし、鋼の種類によっては、国によって使われるラインナップも異なるので、世界規模で見ると、日本では一般的ではない鋼類も、経験はしておきたいという思いはあります。

 

2024年4月18日 (木)

またもや値上げの波が・・・

相変わらずの値上げですが、まだまだ続いています。

作業で使う機械の部材は、海外からの輸入に頼る部分が多く、また値上がりをしています。

先日は為替が154円に達しましたので、その影響ももちろん大きいのですが、それだけではなく、製品の値上げが関わっているようです。

開業当初から、海外品は使っていますが、当時と比べると物によっては、3倍くらいになっています。

また、国内品の部材でも、元々そこそこ高額だった部材は、ここ半年で2割弱上がっていました。

製品によっては、倍になってしまったものもあり、コストの部分はあまりにも大きすぎて、どうしようか悩んでいます。

上がったコスト分だけ、作業代金を上げれば、正直それで解決ではありすが、お客様からすれば、上がりすぎていると思う範囲もあるでしょう。

他の製品に変えれば、コストは大幅に下がる事もありますが、仕上がりや精度、作業効率が落ちるので、それで価値を見出して貰えるのか???

安ければ良いというお客様は、当方にはかなり少ないので、性能や仕上がりは非常に大事だと思っています。

当方がいくら見た目より性能重視での考えがあったとしても、もちろん最低限度以上の整えは十分にしていますので、そこを捨てて良いのか?と考えると、答えはNOになるでしょう。

例えば、仕上がりのレベルを変えたとしても、実は上級品を使う場合と、中級品以下を使う場合とでは、上級品を使う方が下地の見た目が不揃いでも、綺麗に仕上がります。

それだけ仕上げ能力が高い部分がありますし、そう考えると、中級以下を使った場合は、下地をそこそこ綺麗に頑張っても、あまりきれいにならないという事でもあるので、その作業差でのコストを考えると、幅は金額分よりもそこまでかけ離れていないのも問題です。

良い製品は、良い意味での力をそれだけ持っています。

今まで色々な製品を使い、そこから選んできたモノたちですが、全体的にかなりのコストをかけて、そのように導入をしています。

それも仕上がりの大きな違いとなっている要因ですから、作業代金だけを見ないで、実際の技術や仕上がりの部分も、見て頂きたいと思います。

今後の開発次第ですが、早ければ再来月くらいには、今までよりも細かい仕上がりの目を、一般刃物類でご用意出来るかもしれません。

それが成功したら、もう一段階上の仕上がりも導入するつもりですから、そうなったら一つの仕上げ方でも、今ある荒目と中目から、細目と超細目まで、かなり幅広く対応が可能になるかもしれません。

もちろん作業代金は、それぞれ段階的に上がる事にはなりますが、今までの仕上げより上を望んでいる方がいらっしゃれば、ヒットする部分は多くあると思います。

仕上がり目だけの話ではなく、精度や性能を落とさずに、どこまで仕上げられるかの問題もあるので、作業に使う部材探しだけではなく、総合的な技術開発も必要になるので、色々と研究は必要になります。

 

2024年4月17日 (水)

丁度話題に出ましたので・・・

つい最近の事ですが、お客様とのやり取りの中で、ヘアライン仕上げについて、話題が出ましたので、少しお話をと思います。

磨き作業の一つですが、線を揃えるように付け、それを仕上げ目とする事です。

加工のやり方であったり、刃物の性質、磨きの下地具合、磨きに使う機械部材、等によっても、見た目は色々と変わります。

それらをコントロールする事で、同じヘアラインだとしても、色々な仕上がりを作る事が出来ます。

包丁関連では、特に洋包丁で良く使われますが、荒目~中荒くらいがおすすめです。

また、和包丁の場合でも、汚れ落としや削り目の目を揃えたり、磨き作業としても使われます。

削りだけでヘアラインを作ろうとすると、可能ではあるのですが、表面はザラついて荒れますので、同じような荒さであっても、磨きでのヘアラインにする方が良いでしょう。

当方で可能なヘアラインは、大まかに見て、7種類くらいあります。

自分で気が付いていないだけで、今前やった事があるというだけのものを含めると、もしかしたらあと2種類くらいは追加出来るかもしれません。

これは下地の具合と、仕上げのやり方の組み合わせによるもので、刃物や鋼材や硬度などによって、使い分ける為に用意してあります。

ほとんどは決まった範囲でのみ、仕上げを行っていますので、ほとんど使わないものもあるのですが、相性の問題があるので、幅広く用意が必要です。

同じ#の物でも、傷の付き方が異なりますし、効率も全く違うので、効率重視か仕上げ重視か、それによって変える事ももちろんあります。

そんなに種類が必要なのか?と聞かれると、多分必要は無く、2種類くらいでも十分仕事としては使っていかれるでしょう。

あとは、ヘアライン+磨きの組み合わせで、違った表情を出す事も出来ます。

ヘアラインも磨きの一つと考えますが、別の磨きを組み合わせる事で、同じような目なはずなのに、違った表情を見せる事もありますので、それもやってみる価値はあると思います。

 

 

2024年4月16日 (火)

決まった原理の中に収めないといけない刃物

刃物の研ぎは自由です。

誰が何に対しどんな研ぎを行っても、それは個人の自由です。

しかし、仕事で刃物を扱う場合、どうしても基準のようなものがあり、その中で収めないといけない刃物も存在しています。

説明をしなくても、大体の想像が出来た方もいらっしゃうかもしれませんが、2枚刃ものには自由度はありません。

1枚刃の場合には、その研ぎが使い物になれば、なんとか使えてしまう場合もありますが、2枚刃の場合、合わさり方の問題があり、刃の作用の仕方もそれぞれの刃物で異なるので、その基準だけは避ける事が出来ません。

もしそれを無視してしまった場合、それは刃物としての役割を全く担えない状態になると思ってください。

なので、2枚刃に関しては、ご自身で何らかの加工を行わない事をおすすめ致します。

何となかるだろう!やってみよう!の結果、取り返しのつかない事になります。

それは直ぐにやってきます。

そうなってしまうと、大々的な修復が必要になるか、買い直しになる事もありますので、そのちょっとの思いが、後で大きな痛手を負います。

もちろん1枚刃でも、基準とされるような研ぎから外れれば、どんどんおかしい事になっていきます。

その主な原因は、砥石の面修正です。

研ぎを行う為には、砥石が必要で、砥石の面に合わせ、刃物は形を変えていきます。

これに関しては、研ぎのご依頼を頂いた時に、本来はこうなるはず・・・と思われる状態があるのですが、砥石の当たり方が明らかにおかしく面に出ますので、これは直ぐに分かります。

極端に低い場所があると、そこは当ててはいけない領域で、砥石が当たらない領域でもあったはずなので、その時点で研ぎの流れが良くない事は直ぐに分かります。

何事にも、決まり事が色々ありますが、最低限度の保持は、必ず必要です。

2024年4月15日 (月)

制限があると厳しいです

以前も同じような内容を書いた事がありますので、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

刃物の状態が悪く、研磨のご依頼を頂く際に、色々と条件がつけられてしまう事があります。

例えば、ここの面はこのままで一切触らないで!や、この面のここだけ削ってそれ以外は加工しないで!など、そういった感じのものです。

これらは一部の例ですが、一般のお客様だけではなく、業者さん経由の依頼でも、そんな感じで制限ありの場合もあります。

例えば、一切の歪が無い高精度で、そこだけを加工出来る例も当然ありますが、部分的加工を行うと、その部位だけを削る事で、他との位置関係がズレてしまうので、形がおかしくなったり刃線が崩れます。

また、反対側の加工だけで直せる場合もありますが、片側のみの加工を行うと、刃物は動きがあり、歪が出て来る場合もありますし、そもそも加工を禁止された面が、削りが必要な場合もあるので、それをスルーしての仕上げは、かなり無理があります。

元の状態が綺麗な面は、残したい気持ちも分かりますが、片面の加工だけであっても、磨きの段階で裏側に傷が飛ぶ事は普通にあります。

それらを含めて考えると、良い結果にならない可能性が高い事は、ご理解頂けるかと思います。

どうしてもの場合で、こちらからこうなりますよ!や、こうなっても責任取れませんよ!とお話をし、それを受け入れてくださるのであれば、そのようにしますが、やはり大体の場合は、ああやっぱり駄目だった!となり、作業をしている私自身も、結構残念に思う状態になりますので、そういった悲しい気持ちになる部分も・・・。

加工の面数が増えると、料金が上がるのが理由かもしれませんし、見た目を維持したいというのもあると思いますが、こういった理由からも、加工に制限がありますと、実用品としての状態を維持できなくなります。

歪取りをすれば、どうしても色々と小傷はつきますし、それを同じ面の中で慣らす程度は、少なくとも必要になります。

細かく調整が必要な歪取りをすれば、意図的に傷が入るやりかtをしないと、まともに効果が現れない場合もますので、それを削ったり磨いて表面を慣らす事も必要になりますし、むやみやたらに削ったり磨いたりしないとしても、必要な作業になります。

そもそも、歪取り自体、どこかに基準を作って合わせますが、それの影響により、反対側の面が一緒に動く訳ですから、その面の構成が今度は合わなくもなります。

初期状態から、色々と大きくズレがあり、それが致命的な場合もありますので、出来る限り直そうと思ったら、全体に手を入れる必要もあったりします。

歪問題は刃物にとって、実はかなり重要な部分で、基準が出ていない物は、もちろん良い方向にはいきません。

歪が出たままで研いで使われていたものは、歪取りで直すと、当たらない部位や、本来は当たってはいけない部位も出てきます。

こうして色々な事を考えて頂ければ、制限が実用品へのマイナスにしかならない事は、ご理解頂けると思います。

出来る範囲を定められた状況では、そこから正しくただ削って研いだとしても、かえって悪化させる可能性もありますし、むやみに寿命を縮めるだけでもあるので、その辺りも十分に考慮の上で、ご依頼の方向性を決めてください。

出来る限りならやりますが、状態が悪いものだと、そこそこであろうという所までですら、加工を終えられるか分かりませんので、お断りをさせて頂く事もあります。

研ぎにくい場合や使いにくい場合は、ただ刃が付いていないだけではなく、歪の影響や、研ぎで必要な要素を崩してしまっている事もありますので、それらの確認も含め、ご依頼を頂けると今の状況がどうなのか、知るきっかけになると思います。

これらが実用品への研磨や研ぎには必要な事です。

 

2024年4月14日 (日)

どちらがお好きですか?

刃物は色々なタイプが販売されています。

その中で、良くお話の話題になるのが、切れ味と永切れの関係です。

・研ぎが行いやすいが、永切れはさほどしないもの

・永切れはするが、研ぎはだいぶ苦労をするもの

この二つがあったとします。

あなたはどちらが好みですか?

一番の理想は、研ぎやすく、永切れする事ですが、そんな都合の良い話は、基本的には無いのです。

更に切れ味の良さも含まれると、研ぎと永切れがあり、それに+されて考えなければならないので、好みに近いものを探すのは、相当苦労すると思います。

私自身は、使い手側の意見も多く含まれますので、研ぎで苦労しすぎるものは、実用から遠のくと考えています。

研ぎが大変だと、ついつい手抜き研ぎをしてしまいがちで今回は忙しいから!とか大変だらか!と言い訳をしてしまう可能性も出てきます。

そうなると、段々と使い勝手も落ちてきて、自分で直すのも難しくなって、扱いに苦労しない物を手に取るようになります。

研ぎが楽だったとして、あまりにも刃持ちが悪すぎると、頻繁に研ぎが必要になるので、それもまた大変ではあります。

だからこそ理想を言えば、バランス良くある事なのだと思いますが、それもまた難しいのが現実です。

何かに特化させすぎれば、何かが失われますし、もしすべての理想を多く兼ね備えた物があれば、それは今度、金額の問題も大きく出て来る事になります。

理想論を言うときりが無いのですが、これは良い!とご自身で思う刃物があれば、いずれ無くなる可能性もありますし、年数を使って研ぎ続ければ、いずれ小さくなりますから、複数本を購入しておくことをおすすめ致します。

時代が変わって、必要無くなる事があれば、売りに出して違うものを購入すればよいので、今までの傾向からすると、あの時のあの刃物・・・と思った物は、後にレア化している事も多いですし、買っておいて損は無いと思います。

 

2024年4月13日 (土)

薄い刃が必要です

料理で包丁を使う場面として、硬い野菜があります。

かぼちゃ、レンコン、ニンジン、サツマイモ、等、この辺りは綺麗に切るのが難しいです。

良くあるのは、食材が割れてしまう事で、これは他の食材では起こらなくても、これらの野菜でははっきりと出る事が多いです。

野菜を沢山切った事がある方は、大体の想像が出来るかと思いますが、問題点は刃物の厚みです。

硬い野菜の場合、切断時に食材の押し開きが難しく、刃の厚がダイレクトに影響し、切断しながら割れていきます。

こればかりは、腕の問題や切り方の工夫でも、回避は出来ません。

硬い食材こそ、刃の厚みをしっかりと付け、角度も鈍角にしないと、刃が持たないと思っている方も多いと思いますが、食材を傷めてしまい、まともに料理に使えなくなる事を考えると、刃持ちは諦めて、そういった食材専用の研ぎが必要になるでしょう。

身をただ薄くするだけでは、もちろん強度が異常に落ちてしまいますから、薄くすれば良いという事でもありませんから、その設定はかなり難しいです。

しかも、刃とブレード全体で見て、左右のバランスが悪いと、片側に刃が動こうとして、それもまた割れの影響になります。

実際に使用の場面になった時に、色々気にしながら、三徳や牛刀などを使ってみてください。

他の野菜では問題がなくても、その辺りの野菜では、結構な違いが出て来ると思います。

お金をかけずに安心して使える環境を整えるとしたら、安い三徳や牛刀を購入して、それを改造して使うのが良いかもしれません。

そうすれば、通常の範囲の使用に十分使える設定の三徳や牛刀は、現状維持が出来ると思います。

 

2024年4月12日 (金)

ブログをご覧頂いてありがとうございます!

最近はお客様から、あまりネタにして頂けないブログですが、ブログの内容を見てのご連絡を頂きました。

時間が無い中で、なんとかこうして色々と書いていますから、読んで頂いて反応をしてくださるのは、本当に嬉しいです。

ブログは時代遅れで、今の時代は、SNSで画像とちょっとのコメントで十分!と、良く言われていますが、それでは伝わらない事の方が多くあるでしょう。

グダグダと長い文章を書いていたとしても、そこまで書かないと伝わらない事も多いです。

むしろそこまで書いても、まだまだ足りていないと思う方もいらっしゃるでしょう。

細かいお話がいくらでも出来るのが、刃物と砥石と研ぎの世界です。

その何とも面倒で難しい世界を、どのように簡単に考えられるようにし、確実に仕上げて行くのかは、今後の課題だと思っています。

環境を整え、道具を整え、技術を身に着けるとなると、どうしてもハードルは高くなりますよね。

難しいのは、高いレベルを望む事であったり、右も左も分からないからこそ、先が見えなくて難しいのです。

出来るようになると、なんであんなことで苦労してたんだろう・・・と、思うような事はあると思いますし、それは研ぎの世界でも同じです。

プロの目から見て100点を貰えないとしても、実用性能や機能性を高めた研ぎが出来れば、それは十分な評価に値すると思います。

そこに達するまででも、遠い道のりかもしれませんが、まともなその道の方から、色々な事を教われば、あとはご自身のセンスや才能の問題です。

年数もそれなりにかかると思いますが、進められる所までは一気に進めて、あとは気長に向き合いながら、改善をしていくしかないでしょう。

あとは、高額の加工機械を何台も持っていないと出来ない事はかなり多くありますし、機械があっても使いこなせなければ出来ない作業も多いので、そういったところまでは、なかなか難しいと思います。

 

2024年4月11日 (木)

どうしようもないです

新品で購入された刃物が、どんな研ぎ方をしても、刃先がボロつくという事で、見てもらいたいとお話を頂く事があります。

残念な事ですが、ほとんどの場合、熱処理や鍛造が良くない場合が多く、今現時点で刃先となっている範囲は、使い物にならないと思ってください。

内部までダメな場合もありますが、ひとまず刃先付近に期待は持てません。

特別ぶつけたとか、コジるような作業をした訳ではないし、新品状態で刃の性質が不安定な場合もありますので、こればかりは仕方がないです。

そこから欠けをひとまず潰し、更に数ミリ単位で減らしながら、刃先を薄くしていって、適正角での刃の具合を見ても、ポロポロと刃先がこぼれ落ちる感じがあれば、交換をしてもらうしか無いでしょう。

特に硬度に振り切った熱処理となっているのは、意図的な場合と、結果的にそうなっただけの場合と、色々あるとは思いますが、完璧な温度管理でもされない限りは、勘で作ればこういう事はあります。

それと、鋼のロットの問題で、良し悪しがあるのは有名な話なので、丁度悪い鋼に当たった可能性もあるかもしれません。

その後、誰かがおかしいと思って、その刃物を販売から省いていたとしたら、何も問題にはならないのですが、おかしいと思わなかったり、おかしいと思っても省かないで、バレなければラッキーの販売をしているとしたら・・・。

色々と憶測で考えてしまう部分もあるかもしれません。

しかし、事実はその刃物が物語っていますので、購入先に相談をし、もしかしたら交換や返品になるかと思います。

何をやっても駄目な場合、色々な加工を加えてみて、改善を試みるのも一つの手です。

それなりの量で削らないと、改善出来ない場合がありますし、そこまでやっても改善出来ない場合がありますが、何もしないで不満が残るより、やれる事をやった方が良いと思います。

製品は全てにおいて、完璧に作れる程、刃物の世界は甘くないですから、ある程度の範囲までは、そういうものだと思ってあげる必要もあると思います。

 

2024年4月10日 (水)

高得点

先日作業をして納品をしたものは、自分の中では高得点でした。

もちろん普段から、高得点狙いで作業を行ってはいますが、刃物の性能であったり、微妙な範囲の事などで、どうしても不可能な場合が多くあります。

ですから、高得点と堂々と言える作業が出来た時は、非常に嬉しいですし、お客様に安心してお返しが出来ます。

作業は早くやっても遅くやっても、結局は同じとおっしゃる方もいらっしゃいますが、そんな事はありません。

ほぼ同等に感じても、細かい所まで見て感じて、それを良い方向へ変えられるかどうかで、その先の良さが変わります。

全ての作業に対して、そういう時間と労力を使える訳ではありませんが、ご依頼の内容と代金と納期次第で、そういった事は可能です。

色々と作業を進めていくと、細かい所でもう少しこうしたい・・・が出てきますが、それを最後までやる事は、時間も利益の関係もありますから、どうしても出来ない事の方が多いです。

こんなお話をすると、普段は手抜きをしているとか、適当にやっているとか、勘違いでそう思われてしまうかもしれませんが、そういう事ではありませんので・・・。

 

2024年4月 9日 (火)

久しぶりに加工を・・・

ある作業で使う為のものを作りました。

特に決まっている訳ではないのですが、今回は木材と人工大理石を使い、2種類作りました。

過去の作成だと、良く使う材の端材として、朴(ほお)の木を使った事がありますが、今回は樫(かし)です。

かなり硬く、皆さんが知るところだと、木製ハンマーに良く使われますし、あとは玄翁やハンマーの柄材としても使われますね。

硬く加工が大変なので、機械カットと機械で削りを行いました。

人工大理石は樹脂系の高硬度ものですが、やはりこちらも、カットと削りは機械です。

30分くらいかかったと思いますが、無事に完成しました。

普段から作り慣れていれば、もっとは早く終わりそうですが、機械の準備から入って作業をしますので、結構時間がかかります。

今まで使っていた物は、使用で小さくなってしまったので、これでまた使いやすく、良い作業になってくれる事を祈ります。

無い道具は全て手作りですから、加工機械が無いと大変な事になります。

余計な負担体に与えると、重要な作業の時に感覚がおかしくなったり、動作が思うように出来なくなる可能性もあるので、なるべく負担をかけないように気を付けています。

 

2024年4月 8日 (月)

常連様の特権

通常のご依頼に対しては、HPに記載の内容までとなります。

それ以外のものは、ご要望があったとしても、あまりご提供は出来ません。

理由は様々ですが、ほとんどの場合、通常作業としていない事には、しっかりと理由があります。

それでも常連様からのご依頼で、金額や納期は任せるから特注でやって欲しい!と言われれば、お受けするケースはあります。

当方は色々な刃物の作業を取り扱っていますので、一種類の刃物だけを扱っている所と比べると、作業の準備や段取りとして、厳しい内容もあるのです。

その為、それらは出来たとしても除外し、通常の作業には含めていません。

稀にではありますが、作業可能な内容としてHPに掲示をしていないのに、当たり前のようにこの作業をとおっしゃる方もいらっしゃいますが、そういったケースでの対応は、基本的には行っていません。

まして初めてのご利用の場合ですと、当店の基本としてご提供をしている技術もご理解を頂いていないですし、それとの比較も分からないと思いますので、おすすめも出来ません。

ですので、明らかに常連様という範囲でご利用を頂いている方以外では、そういった形でのご依頼はお受け出来ませんので、予めご了承くださいませ・・・。

 

 

2024年4月 7日 (日)

日本刀研磨のお問い合わせとご依頼が増えています

コロナ期に入ってから、ご注文がかなり減ってしまっていた日本刀研磨ですが、ここ数か月で、お問い合わせやご注文が増えてきました。

以前はパンクするくらいの時期が何度かあり、ご注文をストップしていた事もありましたので、あまりご注文が無かったのは、正直寂しい感じもしていました。

当店の日本刀研磨は、オリジナルの技術を多く含め、斬る事に特化させています。

開発当初から、もちろん試斬を上級者から学び、練習も行いましたし、ご意見も多く集めました。

細かい改良や、大きな変更をしながら、現在の研磨に繋がりましたが、現状できる範囲としては、最上位まできています。

あとは、見た目を完全に捨てられれば、斬る事に対してもっと特化する事は可能ですが、それを依頼される方はいらっしゃらないと思い、封印しています。

刀身の性能にもよるので、絶対のお話ではありませんが、斬れる要素を潰してしまっている日本刀研磨は、非常に多くあります。

刃物で何かを切る為に必要な要素は、それぞれの刃物で異なりますが、日本刀の試斬で斬る為の要素は、色々な刃物の中でも、かなり特殊です。

大振りをする刃物の多くは、そこまで繊細さを求められない事もありますが、それはなんとなく勢いで行ける部分が多いからです。

しかし日本刀の場合、そこには斬り口や音、連続的な動作、決まった動きの中での斬と、今簡単に挙げただけでも、求められる範囲が決まって来るので、それを生かしつつ使える刃物とするには、色々な性質を重要視しないと、本当に良いとは言って頂けません。

今行っている「居合抜刀用面精度研磨」は、その範囲に十分入っています。

更に、斬れ味重視の場合、斬り損じをしないレベルの上級者向け作業として、特別枠の調整を行っていますが、そちらになると特に斬れ方が大きく変わります。

中には分からない方もいらっしゃるかもしれませんが、今までのご依頼に対しての常連様のご意見ですと、他研磨とは確実に違うというお声がほとんどなので、計算や設定はそれなりに合っていると言えるでしょう。

また近年では、「おまかせ研磨」のご利用も増えていて、色々な内容をおまかせでパック化してあります。

低価格と納期の早さを売りにしていますので、試斬専用刀や予備などには、ご利用頂くケースも多いようです。

ただ、メインとなる「居合抜刀用面精度研磨」が多く順番待ちとなっている場合は、お受け出来ない期間が出てきてしまいますし、他におまかせ研磨のご依頼が入っている場合、おまかせ研磨のみの順番待ちが出てしまうので、納期は早く出来なくなりますので、その辺りはご了承ください。

簡易研磨と私は表現していますが、それは居合抜刀用面精度研磨との比較であり、実用性能的には必要域より上にはしていますから、試斬で使えるレベルならそれでいいよ!とおっしゃる方は、そちらでも問題は無いと思います。

折角であれば、居合抜刀用面精度研磨をご利用頂き、当店の思う日本刀研磨をオリジナル化した範囲で、是非ご使用を頂きたいとは思っています。

日本刀研磨は、納期がそれなりに必要ですので、早い納品をご希望のお客様は、早いお申込みが最短となる事を踏まえ、まずはお早めにお問い合わせください。

HPの方に色々と細かく記載を行っていますので、そちらで内容をご確認頂きまして、不足を感じる部分や疑問がありましたら、お見積り前までにご質問をお願い致します。

 

2024年4月 6日 (土)

新しい切れ味

いくつかの刃物に対し、刃付けに使う砥石を変更しました。

使う砥石は色々あるのですが、鋼材や硬度によっては、今後はこれを使います。

今まで使っていた近い物と、何が違うのか?ですか、刃が確実に狙った角度で研げて、食い込みが強く、適度に荒さが残るので、刃持ちが良いというのが特徴です。

使う砥石により、色々と変化はありますが、最近テストした中では、今のところこれが幅広く高性能に感じます。

もう何年も前に使っていた砥石は、その当時は良いと思っていました。

しかし、色々と研究が進んだ事もあり、細か過ぎず荒すぎずの考えに変化が出てきています。

使い比べた方のお話だと、同じ研ぎ方とは思えないくらいに良いという意見もありましたので、私の思う狙いは当たっていたと思います。

特に常連様だと、こういった事には敏感な方も多いので、全体的な加工の変化もそうですが、刃自体の変化も、楽しんで頂ければと思います。

今後はもっともっと面白くなるように、私の思う研ぎの世界を発展させていきます。

 

2024年4月 5日 (金)

もっと研ぎを身近に・・・

・研ぎはやった事が無い!

・研ぎは難しい!

・研ぎの道具は何を買ったら良いのか分からない!

そんなお声は、日頃から多く耳にします。

実際に研ぎの世界は、刃物を使用するプロがいて、刃物を作ったり修理するプロがいるので、もちろん簡単ではありません。

しかし、最初から難しく考えたり、むやみにハードルを上げ過ぎるから、どんどん遠ざかっていくのだと思います。

まずはそこに刃物があって、砥石があったとすれば、その上を動かして擦ってみる所から始めてみてください。

もしかしたら、「とぎ」の”と”の字は分からなかったとしても、”「”くらいは感じ取れる何かがあるかもしれません。

そもそも、簡単の「と」の字を理解する事すら、もちろん簡単ではないので、理解して出来るようになろうとするのは、プロだけで良いと思います。

その砥石の上で刃物を擦って、それで刃がまともに復活できなくても、研ぐ事に通ずる行動はしました。

最初は本当にそれで良いと思います。

いつかその行動が、研ぎに繋がる事と思います。

0円でスタートをするのは、流石に無理があります。

ボロボロでどんな性質か分からない砥石があっても、それがどんな砥石で、どう研げば良いのか、もちろん分からないと思いますので、最低限度で良いので、道具は揃えましょう。

時間が許すなら、中荒砥石#800前後、中砥石(#1000~#2000)、中仕上げ砥石(#3000~#5000)の辺りで、横の繋がりのある範囲を買いましょう。

#は「メッシュ」と呼ばれますが、砥石の荒さの事です。

ただ、これは厳密な基準がありませんので、メーカーごとに表記と研いだ結果は異なりますので、その辺りは注意が必要です。

最初に#800を手にし、#5000で仕上げる事はほぼ不可能ですから、その場合には、#2000くらいにしましょう。

もし#1000を手にしたならば、#3000くらいを選びましょう。

そんな感じで、砥石の#が飛び過ぎないように、研ぎを行います。

また、砥石の面は、研げば崩れてきますので、面直しを使いましょう。

研ぐ時には、砥石の安定が必要なので、砥石台を購入しましょう。

大まかに見て、こんな感じで揃えていき、段々と必要に応じて、砥石などを増やしていくと良いと思います。

また、現在の刃物の状態が悪い場合、どんなにがんばって研ごうと思っても、プロですらそれはかなり厳しい条件です。

その場合、まずはプロにお願いをして、最低限度でも良いので、良い状態に直して貰いましょう。

それを基準にして、研ぐ事として行動をしていけば、いずれ研ぎと言える範囲になってくると思います。

こういった事が分からなければ、研ぎの専門家に聞いて下さい。

もちろんどこへ行っても、無料では教えてくれません。

道具を購入するついでに教えて貰えば、多少は無料で教えてくれるでしょう。

可能であれば、研ぎを教えて欲しいと伝え、有料でも良いので研ぎの初めだけでも良いので、最低限度は学びましょう。

あとは自力で頑張ってみて、ダメならまら相談や教えて貰うようにして行けば、想像しているよりも、出来るようになると思います。

凄い技術を学ばないにしても、それなりのレベルの方に学ばないと、そもそもの入り口が間違っていると、その先へはもう進めなくなる可能性がありますので、十分に注意してください。

変な癖がつくと、それが抜けるまでに、相当な苦労をするのは、プロの世界でも同じです。

色々とコントロールが細かく出来る方であれば、そういった問題は無いかもしれませんが、それは稀な方なので、大丈夫と思わない事大切です。

ご自身が楽しく出来る範囲から、まずは始めてみて、必要に応じて、色々と進めてみると良いと思います。

 

2024年4月 4日 (木)

少しずつ増やしていきます。

研磨のご依頼や、今後の新しい仕事で使えるように、新しい道具を探し始めました。

今までの物でも出来なくは無いのですが、より仕上がりを良くする事や、状態を揃えるなど、良い方向に技術の改善が少しでも出来ればと思っています。

当店のお客様の多くは、実用性能としての刃の性質を求めてのご利用が多いのですが、近年では特に、上級の仕上げを望むお客様が増えつつあるので、少しずつ段階的に、仕上げを変えて行こうと思っています。

今後色々とテストをし、それらが導入で来たとして、今までの仕上げと入れ替えにするだけの場合と、別項目として作る場合と、分かれるとは思いますが、良い方向に変わる事だけは確実にしたいと考えています。

以前より何度も、こちらのブログではお伝えをしていますし、お客様とのメールやご来店でのやり取りの中で、仕上げにこだわり過ぎると、実用性能が落ちる事が多いというお話は、今も考えとしては変わっていません。

細かく綺麗な仕上げにしていくと、微調整が良く出来て、綺麗に精度まで良くなると思っている方も意外と多いのですが、磨き込みの作業になってくると、当たらない部位を無理にでも当てなければならず、それが微妙にでもズレたりすれば、ほとんど削れないくらいの荒さであっても、大きなズレが生じる事があります。

また、傷のバランスが変わる事で、刃物の反り曲がりなど、歪としても出てしまう事がありますので、それを避ける意味もありました。

そうなるよりは、荒さをそれなりに残しても、丁度良い頃合いで収まる範囲が、私は良いと考えていますので、その先に行く事はあまり乗り気ではなかったのです。

しかし、お客様からのお声で、出来るなら是非というお話が比較的多くあり、技術的な問題ではなく、私の心情の範囲である事を考えれば、ご理解を頂いた中でのご利用であれば、問題は無いと考え始めた部分があります。

何の刃物にどのように導入するかは、今後の道具次第になりますが、比較的幅広く使えるようなものを選び、仕上げの調整に使えればと思っています。

 

2024年4月 3日 (水)

久しぶりに奥の方から引っ張り出しました。

私が過去に集めた機械の中には、木工用のものが結構あります。

刃物の加工としては直接的に必要な訳では無いのですが、色々と私が木材を使い、作業などで使う台であったり、保管用の箱を作ったりと、色々な事をやるので、いくつか購入しました。

そのうち、低価格の中古を購入し、部品をいくつか自力で交換して、通常通り使えるようにしたものとして、オートリターン超仕上げカンナがあります。

一般的に鉋機械として良く使われるのは、手で持って使う電気カンナですが、これは幅広い材や凹凸を大まかに取り除く用で、そこまで精度が出るものではありませんし、調整が非常に難しく、あまり色々な面で期待は出来ません。

また、木工で使われる電動のカンナ系だと、自動カンナと呼ばれるものもありで、板材や棒材などを機械の削り口に入れると、真っ直ぐゆっくり進みながら、面の凹凸を上手く削り出してくれる機械です。

残念ながら、安定してパワフルに削ってくれるので良いのですが、削り始めと終わりには、どうしても段が付いてしまうのと、削り方が縦回転の刃の為、削り痕が波をうつ事が避けられません。

その為、そのまま仕上げとするのは難しく、手鉋での削りや、サンダーで表面を慣らす必要があります。

しかし、超仕上げカンナは、フラット刃に材をそのまま当てる為、しっかり調整さえされていれば、鉋をかけたようなフラットな面となり、それなりに切れる刃の状態で使えば、そこそこの光沢まで出ます。

今回はその超仕上げカンナを出して、少し使ったというお話になります。

普段の仕事の中で、鉋を出してきて調整して手削りを行う事は、今はあまりなくなりました。

普日頃から頻繁に使っていない鉋は、刃や台の調整をそれなりの範囲で行うには、かなり時間を要するからです。

その時間があれば、他の仕事がもっと有意義に出来てしまうと考えると、致し方ない事です。

そういった場面で超仕上げカンナは、そのまますぐ使えて、一瞬で削り終わる状況が作れますから、かなり助かる機械です。

機械を裏から引っ張り出してきて、セットして最低限度の状況確認をして、実際に使用するまでが5分。

使用を開始して、一応満足の範囲に削り終わるまでが5分でした。

片付けは5分だったので、計15分という所です。

もしこれが、手鉋を久しぶりに出して、台調整と研ぎを行ってから削る場合だと、多分30~45分はかかっていたと思います。

削り時間は特に手より機械の方が断然速いし、疲れる事も全く無いので、本当に助かる機械です。

その削りで満足するのか?と聞かれれば、ちゃんとした削りを考えると、もちろんNOですが、調整不足の鉋で平面がしっかり作れないのであれば、それよりはだいぶましだと思っていますので、今回のように頼れる時は頼りたい機械だと思っています。

ちなみに、機械系の鉋はなぜ「鉋」と表記せずに、「カンナ」と表記するのか、疑問だとおっしゃる方もいらっしゃいました。

これは手道具の「鉋」に対し、機械ものは別物であるという観点から、「カンナ」と表示していると聞いた事があります。

なので、機械物の鉋の場合、鉋と同じ意味合いで表面を削るものであっても、カンナになるそうです。

手道具と機械では、色々と考え方も違う事がありますし、言葉は同じでも表記が違うというのは、面白い考え方だと思います。

 

2024年4月 2日 (火)

試してみませんか?

ご自身で思う研ぎが出来ない方は、何が不足なのかを理解できていない方が多いです。

それを見たり感じて、はっきりと判断出来るようになるまでは、レベルの高い方に見て頂いて、何が悪いのかを教えて頂き、自分に何が不足なのかを知る必要があります。

それを繰り返して受け入れていくうちに、自分にも同じような見える目や感覚が養われる可能性があります。

今までも良くお話をしてきている事ですが、誰かが出来る事に関しては、同じ人間なので自分にも出来る可能性があります。

しかし、才能の問題もありますので、その方の才能が特別に良いものであれば、成長をしても手が届く事すら難しいかもしれません。

だからといって諦めれば、そこで終わりですし、どこまで自分が得ようと思えるかでしょう。

最終的には誰かとの比較ではなく、自分との勝負になるので、結果が全てであると思ってやってみるしかないと思います。

自分で自分に投資をし、自分を信じてやってみない事には、未来はありません。

素人で終わるか、プロでも並で終わるか、一流と言われるまでになるか、天才と言われるか、それはやってみないと誰にも分らないと思います。

 

2024年4月 1日 (月)

原因はそれだけではありませんが・・・

研げていない物は切れません!

こればかりは、確実な答えです。

もちろんそれが原因だけではなく、研ぎはそれなりに出来ていても、刃物が悪い物だとどうしようもない事もあります。

ただ、基本的な部分はクリアーしたとして考えれば、研げていないから切れないのです。

研ぎが出来ていればと一言で言っても、問題はまだ沢山ありますが、ただ研ぐだけでは研ぎとは言いません。

刃物の形状やバランス、刃角や刃の荒さ、刃自体の形状など、それらが融合する事により、良い研ぎになります。

どうしてそんなに切れるのに、永切れするのでしょうか?と聞かれる事が良くありますが、それが良い研ぎに近いものになっているという証拠でもあると思います。

ただ砥石を使って擦っても刃は付きませんし、切断物や使い方による刃に必要な要素は異なるので、それを理解できない事には、改善点も見つからないと思いますし、簡単には改善も出来ないでしょう。

何十年やっても、それが理解できずに引退していく人の方が、多分多いと私は思っています。

使い方や原理と理論、それを考え実現する頭脳と技術の融合、そして刃物や砥石を見極められる力。

それらが一つ欠けても、まともな事を感じ取れる方に良かったと言って頂ける研ぎには、そう簡単にはならないと考えています。

特に手の込んだ研ぎのご依頼に関しては、毎回の研ぎが全て勝負になるので、色々と考えながら、色々と感じながら、色々と研ぎを変えて、結果に繋げるようにしています。

 

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