加工方法の変更
出来る限り近いうちに、和包丁の裏鋤加工の方法に少し変更を加えます。
標準的な仕上げとした場合で見て、納品時の見た目はほぼ変わらないと思いますので、気が付かない方もいらっしゃるとは思いますが・・・。
独自の方法なので具体的なお話は出来ませんが、作業面で見ますと、最初の削り始めの部分から荒磨きの段階までが結構変わるので、これで最終的な裏の精度であったり、裏押しのやりやすさが変わると思います。
また、納品時の裏押し状態はあまり変わらない程度ですが、将来的な裏押しの維持がしやすくなると思います。
もちろん、形を維持しつつ、少しずつ減っていった場合で、砥石の修正レベルが低い方や、研ぎで形や面の状況が変わってしまう方の場合、この意味はないかもしれません。
実際に、色々とテストをしてきた段階では、元の状態が大体同じようなものを加工で直した場合、仕上がりの精度はこのやり方の方が、何割も良くなりましたから、かなりおすすめです。
特に当方でご依頼を頂く場合、使用中の物の研ぎ修理的扱いになりますから、柄が付いたままの加工を想定すると、色々と出来ない事が沢山ありますから、その中での技術開発は本当に難しいです・・・。
以前にも書いた事がありますが、裏鋤は浅めにというのが、過去から言われる良い方法であるという扱いでした。
ただそれは、ほんの一部の特別に上手い方が行った場合の結果の話であり、浅くて均一で、研ぎ進んでもそれを維持できるような計算が成り立っている場合ですから、現代ではほぼ無い事です。
裏押しに関しては、現代では裏研ぎが正解の表現になりますが、それを行う場合、それなりに研ぎが上手い方がやっても、裏押しがどんどんベタ化する例も多いので、私は多少深めをおすすめしている話も書いた事があります。
浅すぎても深すぎても、その意味合いが変わってきてしまいますが、浅すぎて研ぎで苦労をするよりは、少し深めの方が良いと考えています。
深くするにしても、もちろんそこまでやらなくても・・・と思う範囲はやりすぎですし、霞のような合わせ系の包丁だと、どこまで掘っても鋼がある訳ではないので、むやみに掘り続ける事は出来ません。
特にべた裏やべた裏気味になっている状態からだと、もう鋼の量がかなり少ない可能性があるので、そもそもが何度も直す事は出来ません。
そう考えると、色々と直しながら使う場合、本焼の有利さはやはりありますし、特にステンレス系や粉末鋼の本焼(正式には全鋼)のものになると、焼きの入ってる部位はほぼ全面になりますから、更に長く使えます。
例えば、10万の霞と15万の本焼があったとしたら、私は迷わずに15万の本焼を買います。
長年の事を考えると、決して損な買い物ではありませんので、色々と調整を加えながら、ストレスなく使っていきたい方は、本焼を是非購入してください。
いつか、本焼にしておいて良かった!と思う方が多くいらっしゃると思います。
裏研ぎの話ついでに、最後にそのお話をします。
裏がベタ化すると、裏の刃先に対し、まともに砥石が当たらなくなって、刃が出にくくなります。
表からの研ぎを主として、裏側は表側から出た刃返りの処理として、仕上げ砥石を当てるくらいで普段は済ませて、裏が無くなってきたら軽くだけ#2000~#3000の砥石で当て、その後に仕上げ砥石わずかにかける程度にしてください。
そのくらいのつもりでないと、綺麗な裏は維持出来ません。
少しでも研ぎ幅が増えたら、ベタ化してきたな・・・と思って頂き、それでももう手遅れの場合も多いので、直しを行いますから、ご依頼なさってください。
裏の研ぎは、少なすぎるかな?くらいの程度でも、多すぎる方がいらっしゃるので、慣らす程度との認識でどうぞ。
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