« 手の込んだ内容 | トップページ | 加工をしてみたいですか??? »

2024年4月22日 (月)

色が違う!!!

以前にお客様からご相談を頂いた内容を、ふと思い出しましたので、少し書こうと思います。

洋包丁を研いでいたら、ある部位だけ色が違って出ましたが、これは不具合品なのでしょうか?というものでした。

結論から言いますと、メーカーと製品名を聞いて、直ぐに分かりましたが、それは不具合ではありませんでした。

その理由は、ハンドル部の中心材となる金属をブレード材に溶接してあり、その部位よりハンドル側が変色して見えるものです。

ブレード材は高いので、少しでも安くする為だと思いますが、サビにくいステンレス材を包丁の途中から溶接してつけてありますから、材が違う事を考えると、研いだ場合の色目が異なります。

また、ブレード材からそのまま一枚通しで作成される場合も、中子にあたる部分からは、焼き入れをしない事が一般的ですから、そこを研げばやはり色目が変わる場合があります。

その理由は、中子は刃としては使わない部位なので、割れや折れを防止する意味でも、焼きが必要無い事や、ハンドル材を左右に取り付ける際に、穴開けをしてカシメやボルトで留めますから、その穴を開ける為には焼き入れは出来ないという事でもあります。

話を戻しますが、そのお客様が、なぜブレード材のツバ寄り部分を研いでいたかというと、刃先だけではなく、面ごと研ぎを行っていた為です。

刃先の段が強くなり過ぎると、食材が割れますから、洋出刃や骨スキでもない限り、段刃状態にならないよう、小刃の範囲までで研ぐのが適正です。

たまに面から研ぎ落とし、刃先に大きく鈍角な段が出来ないようにする事で、切り込みが良くなりますし、食材の割れを防げますので、非常に大切です。

しかし、かなり大変な作業になりますし、左右のバランスの事もあるので、普段から面の研ぎをやって慣れていない方は、いきなり出来るものでもありませんし、バランスを大きく崩すと、切れ方に悪影響も出ますので、そうなったら当方のように整形が出来る所にお出しください。

普段からそういった作業は多くお受けしていますし、お出し頂いて今より悪化するという事はありません。

ちなみに、機械で削ったり磨いたりする場面でも、溶接痕や材質の違い、熱処理のありなしが大体は見えます。

それを綺麗に磨いて仕上げられていると、あまり良く分からなかったりするだけなので、特に気にされなくて大丈夫です。

 

« 手の込んだ内容 | トップページ | 加工をしてみたいですか??? »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

研ぎ」カテゴリの記事

刃物」カテゴリの記事

砥石」カテゴリの記事