手研ぎという言葉が凄い訳ではありません
お客様の中には、ネットで検索をして、手研ぎというキーワードがあったから・・・という事で、ご依頼を頂くケースもそれなりにあります。
確かに現代では、機械研磨で機械刃付けというのが、かなり一般化していますし、それで充分な刃付けと見る方もいらっしゃるので、手研ぎに対する良さというのが伝わりにくいかもしれません。
機械研磨の良い部分は、短時間で加工が出来る事で、コスト面をかなり落とせる事にあります。
その為、サービス的な研ぎとされるものの多くは、機械研磨だと思った方が良いでしょう。
刃先までもちろん機械研磨です。
あとはもし手研ぎを加えるのであれば、刃先の小刃の部分だけを軽く砥石に当て、刃の具合を良くするといった程度になります。
それに対し、手研ぎの良い部分は、細かい設定が自由に出来て、部分的な研ぎムラが無くなり、必要な箇所に無理のない形で、必要な刃を付けられるという所です。
そして、微調整やご希望に合った内容も可能ですし、機械だと飛び傷を恐れて出来ないようなギリギリの角度設定なども、手研ぎでは可能な事もあります。
ただ、それは手研ぎの世界を熟知し、それを表現できる場合であり、ほとんどの場合、機械作業に手作業が勝てない時代になりましたから、必ずしも手研ぎが良いとは言えません。
単純にそれっぽい面にして、綺麗な目にすれば、綺麗な研ぎだと思われてしまう事もありますが、実際の実用の研ぎというのは、見た目で決まるものではないので、非常に難しいです。
面の構成や刃の形状など、機械では表現しにくい形になるのが研ぎなので、それを越えた性能を出せないと、全く意味はありません。
特に、日頃からお話をしていますが、見た目重視となる研ぎは、実用性を持たせるのが難しいので、その辺りをどう考えるかだと思います。
切れ味や性能と言っても、研いだ直後の一瞬だけ切れる研ぎは存在していますが、刃が一旦落ち着く所があり、その域から先での切れ味や刃持ちなど、その辺りが上手い下手としてはっきり出ます。
凄く切れる研ぎだというものを見せて頂いた事がありますが、その瞬間は確かに良くても、どう見ても刃持ちは全くしない設定でしたので、それは実用とは呼べません。
試しに、同じ刃物を用意して、設定を変えた研ぎを行い、試してみると良いと思います。
最上級に切れると思われている刃は、実用性能が無いので、そういう研ぎをしないだけです。
つまり、5段階評価の5を超える研ぎは、通常ではやってはいけない研ぎになります。
刃持ちばかりを考えると、それはそれで切れない刃になってしまいますが、刃持ちを考えない刃は、事実上で見ると切れる刃とは呼べません。
総合的な考えをその刃に含めて、それをまとめて使える刃と呼びます。
研ぎに慣れると、段々と超仕上げの細かさを求めたり、仕上がりの綺麗さを求めるようになりますが、それは一つの技術なので否定するつもりはありません。
しかし、全ての刃物がそれに属す研ぎをすれば良い訳ではなく、荒さや刃の性質を色々と調整し、場にあった刃を作り出すのが上手い研ぎだと考えますので、実用としての使用から学び、実際にプロがどう使うのかや、どういう刃を求めているのかを理解し、そこに当てはめていく事が、本当の意味での上手さだと考えます。
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