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2024年5月31日 (金)

切れ味だけでも、永切れだけでも

刃物の研ぎにおいて、良く言われる切れ味や永切れですが、これに関して皆さんはどうお考えでしょうか?

切れ味を優先すれば、永切れは悪くなりますし、永切れを優先すれば、切れ味は悪くなります。

これはどの刃物でも、基本的には同じ考えた方で良いと思います。

分かりやすい所で、包丁をベースにしてお話をしていきますが、刃物の性能によっても、設定が可能か不可能かが変わってきますので、ここでお書く内容は、良くある一般的な範囲となる、中級の中の中間的な所をベースに考えた内容だと思ってください。

瞬間的な異常とも言える切れ味に憧れる方は、結構いらしゃるようですが、色々な刃物の中でも、包丁は鋭角気味な設定の刃物になりますので、切れ味を以上に感じるという事は、刃物にとって大きな負担であり、場合によっては損傷の可能性が非常に高い事を示します。

特にまな板を相手にし、刃物は自由に動かせて切れる刃物ですから、その使い方の具合によっても結果は天地の差が出ます。

私が良くおすすめするのは、切れ味と永切れのバランスを持たせた範囲に収めるところです。

一切硬い物を切らず、まな板にも当てず、コジるような使い方もしないのであれば、切れ味に振っても良いかもしれませんが、正直な所、そこまでしなくても、十分な切れ味は感じられるはずです。

むしろ刃を薄くし過ぎて、研ぎがまともに入らず、砥石から避けてしまうような状況になると、まともな刃が付かない上に、その時点での強度不足は確定していますので、何も良い事はありません。

また、刃の強度ばかりを考え、永切れ優先とされるお話もたまに聞きますが、それだと食材へのダメージが出て、綺麗に美味しく食材を生かして料理をする事が難しくなります。

ですから、刃先ばかりを鈍角に研ぐようなやり方は、良くない状態と言えます。

プロ用の設定の多くは、比較的薄身に研ぎを行うケースが多いのですが、それは毎日研ぎを行う事も踏まえ、とりあえず1日刃が持てば良いという考えがあるからです。

それに対し、家庭用の場合、毎日研ぐ習慣は一般的ではありませんから、個人の考えにもよりますが、1週間~1ヵ月程度は、なんとか使えるくらいの状況を維持できないと、だいぶ苦労が増えるでしょう。

いつでも良い状態を維持したい場合、研ぎ器を使う方も未だに多くいらっしゃいますが、あれは刃先を潰すような結果になりますので、使えば使うほど、どんどん刃がおかしな形状になり、しかも研ぎ器が毎回確実に当たらない切っ先とアゴ付近は、削れずに残って行きますので、早い段階でまな板にまともに当たらない刃にもなります。

無理のない形で管理をしていくには、砥石でしっかりと研ぐ事や、色々とズレが出て来る前に、歪取りや削りでバランスを保ちつつ、手研ぎでの研ぎを行う事が理想です。

色々な加工方法がありますので、ご相談ください。

 

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