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2024年6月28日 (金)

裏鋤(うらすき)のお話

裏鋤(うらすき)とは何か???と、たまにご質問を頂きますが、簡単に説明をしますと、凹みを作る事で、研ぎの際に当たる領域を最、低限度に調整された状態を作る事です。

良く知られる範囲だと、和包丁がそれにあたりますが、現代の和包丁のほとんどは、機械で裏側に丸く掘り込みを入れ、それを裏鋤と呼んでいますが、昔は違いました。

そういった機械が無い時代、他の刃物でもまだ使われている手法として、銑(せん)と呼ばれる刃物のようなもので、少しずつ削り混むような、鋤く(すく)作業をして凹みを付けた事から、裏を鋤く作業で、裏鋤という言葉が残っています。

この意味を知れば、正式な呼び名が、裏鋤である事も理解できるでしょう。

以前に見た事があるのは、様々な業界において、裏透きと書いてある例が多かったです。

ほとんどの場合、ひらがなで書かれているのですが、正式な字が分からない方も多いのだと思います。

現代では銑鋤(せんを使ってすく事)を行っていませんので、裏すきや裏スキや裏透きでも良いと思いますが、名残はそのまま使われる事も多いので、裏鋤と私は使っています。

今でも銑による鋤が行われている事が多いのは、切出小刀の裏側や、鉋の裏側です。

裏押しを行う際に、刃が出やすいようにする事や、設定を減らして平面研ぎが行いやすくしてある状態です。

これが無いと、べた研ぎで裏を研ぐ事になりますが、可能ではあっても、精度を高く研ぐのは、相当難しくなります。

裏鋤はどの刃物においても、非常に重要な作業です。

銑鋤と機械鋤の違いで言えば、銑鋤は同一回転による一定形状の加工と異なり、深く入れたい部位と浅く入れたい部位に合わせ、鋤量を変えられる事にあります。

機械だと、円での当てが通常ですから、部分的な調整は難しく、後の崩れ量は多くはっきり出やすいとも言えます。

ちなみに、裏鋤を正式な意味で、銑鋤として行う場合、熱処理後は加工不可になりますから、機械で行うしかありません。

手作り刃物の感じで思い浮かべて頂ければ分かるかと思いますが、焼き入れ前に整形をほぼ終え、そこから熱処理を経て、最後に研ぎ上げて完成という例が多いのですが、銑は硬度の高い刃物のようなものでしかなので、熱処理後の鋼部にはもうかかりません。

その為、熱処理前に行われる必要があります。

熱処理で刃物の形が色々変わってしまったら、その鋤は想定通りの形として残りませんから、難しい加工条件の一つだと思います。

現代では、板材のような状態出で鍛えを行い、熱処理後に削り出しで作成されますから、裏鋤は機械で行う方法しかありません。

当方には、様々な裏鋤を行える環境が整っており、色々な刃物に対応できるようにしてあります。

細身の物から、幅の広い物まで、裏鋤は必須の技術ですが、これが非常に難しい為、正しく加工を出来るところは少ないと聞きます。

まず基準として必要な部分が裏鋤にはありますから、裏鋤の上手下手は、かなり気にした方が良い部分だと思います。

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