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2024年6月 2日 (日)

思っているよりも1はとてつもなく大きな数字です

刃物の研ぎの事は、素人時代から検証や研究をしてきていて、色々な方達とお話をしてきています。

そんな中で出て来る数字は、「μ(ミクロン)」や「n(ナノ)」のお話が特に多いです。

そういった研究を重ねている方達とお話をすると、一般的な考えやそこまで見えていない人達からすると、頭がおかしくなってくるような数値かもしれません。

しかし、それくらいの領域でモノを見ていないと、刃物は良くならないというのが現状です。

多くの事は、情報として出ていませんから、始めて聞いた時には、本当に驚きました。

もうかなり前のお話なので、細かい時期は忘れましたが、そこまで必要とされず、言われもしていなかった時代に、そういった研究はもうかなり進められていました。

私はそれを早くから知り得たので、研ぎの持つ責任という部分に関して、十分に理解しながら、研ぎの研究をしていました。

本格的に何かの刃物に対し、良い刃というものは何か?!と追及していくと、荒い刃の中にも良し悪しがあり、超細かい刃の中にも良し悪しがありますが、特に難しくなっていくのは細かい方です。

極限の細かさをただ求めるのではなく、刃が揃う事が重要ですが、それが可能な砥石は本当に少なく、研いでいると刃にばらつきが出てしまう事もあり、結果として使える砥石は限られていましたが、それは現在でも同じです。

あとは使い方により、かなり違いも出て来るのですが、数値や細かさだけではなく、砥石が持つ性質にも着目する必要がありますし、本当に難しい世界です。

ほとんどの人には目に見えず、数字も意味が分からないで終わるような範囲ですが、これを理解するのとしないのとでは、研ぎに対しての考えは大きく変わります。

分かりやすい所で言うと、同じ刃物に対し、同じ下地研ぎを段階的に行い、最後の砥石だけを変えて検証したとしましょう。

そこまでやれば、確実に違いが分かるので、あとは研ぎの時間で調整をするなど、どこまで刃が安定するのか、その辺りでの判断が限界です。

そして、何かの対象物を切ってみて、切れ味が良いと考えるのが、一般的な範囲での検証の限界です。

私が行うのは、それに似たような形ではありますが、そもそもそこまでの流れで、砥石を変えてどう違いが出るかは、切るまでもなく、研ぎ目でほとんど分かりますので、これは無理だろうなと思うと、その砥石での研ぎは大体失敗しています。

何で判断するのかは、細かくお話をするのが難しいのですが、砥石と刃物が起こす振動や、引っ掛かりのある粒子による研ぎの違和感、水と研ぎ汁の関係、刃物が持つ光沢や濁りの関係等、その他も色々含めて、意外と判断基準は多くあります。

ですから、それらをクリアした時点で、切れ味が良いのは当然という頭から入りますので、よく切れるかどうかというのは、そもそもその時点でもう見ていません。

どう切れるのかが大切であり、それが切断物の違いに対して、刃がどう作用するのかを表す大事な部分です。

言われてみると、そういう感覚があったかな・・・と思う方はいらっしゃると思いますが、切れ味の中にも、硬い感じや柔らかい感じがあります。

これは、刃が硬いか柔らかいかでおっしゃる方もいますが、決してそういう事ではありません。

刃の性質と砥石による研ぎの傷目の関係で、刃がどのように作用しているかの問題です。

実際に同じような刃物の中でも、やわかめの刃物が硬い切れ味に感じ、硬めの刃物が柔らかい切れ味に感じる事もありますから、刃物硬度の意味ではない事が言えると思います。

切れた時に無理やり切っている感覚と、そこにある何かをほぐすように切っていくような感覚もありますし、何事も無かったかのように切っていく感覚もあるでしょう。

これらの表現は、色々沢山ありすぎて、その時になってみないと分かりません。

それこそ人が持つ感覚の部分で、良い研ぎとは何かを考えていくと、現状で思う限界地点は、細かさの話ではないと思っています。

どうすればそういう研ぎが可能なのかは、刃物を使う側にしか分からない事なので、それを理解して研ぎを行える為にも、私は刃物をそれなりに使えるようにまずしていました。

いつかこういった研究結果を、発表出来る時が来るかもしれませんが、細かくまとめる時間も無いので、だいぶ先のお話にはなるでしょう。

分かる人にしか分からない刃物の性質や研ぎの事は、本当にそれを求める方にお届けしたいと思っていますし、ある意味では極論的な部分でもあるので、普段の研ぎではそれらは含めた研ぎを行いません。

そうはいっても、そこに通ずる道筋の研ぎは含めているので、ある程度は感じられる方もいらっしゃるようですし、なんだかよく分からないけど、切れ方が他と違う感じがする・・・のような言われ方をした事があるので、全く除外している訳では無いと言えるでしょう。

私が行う実用研ぎは、こういった研究も行いつつ、安定化へと繋げられるようにしています。

本格的な細かい調整まで含むと、自分で所有をして、毎回のように使っているような、慣れている刃物の研ぎは無いので、まず性質判断からしなければなりませんし、時間とコストがかなり大きくかかりますから、簡単にはお受け出来ませんので、ご理解とご了承を・・・。

 

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