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2024年6月16日 (日)

意外と使い物になります。

昔から、裁ち鋏(裁縫用の鋏)は紙を切る為に使ってはいけないと、良く耳にした方も多いでしょう。

布を切る場合と、紙を切る場合では、研ぎの設定が異なりますので、確かに相性の問題はありますし、紙を切る方が早く刃は消耗しますから、使わない方が良いと言われている意味は理解できます。

では、紙専用に設定をした研ぎで、裁ち鋏を使うのはどうでしょうか?

実はこれ、色々な業界で使われている方法で、しっかりと確実に切れる鋏である事から、どうも使われているようです。

布専用に製造された鋏なのに・・・と思う方もいらっしゃると思いますが、逆に紙専用の鋏という設定は昔には無く、他には枝や木、髪の毛などの分類に分かれていたそうなので、どれが一番近いかと言えば、裁ち鋏がそれにあたるのでしょう。

遥か昔の情報は持ち合わせていませんので、厳密な事は分かりませんが、業界によっては、昔から裁ち鋏で紙を切っていたそうなので、布専用と言われる裁ち鋏の扱いは、むしろ現代になってからのお話なのかもしれません。

なお、同形状のものでも、刃の種類によっては、ゴムや厚紙を切るものなどもあり、ぱっと見ただけではその差は分からない物もあります。

実際に刃はどうなのか?と見ると、残念な事に、刃付けも同じ状態なので、それで専用品と表現をするのは、適切ではないと思っています。

曖昧な状況で専用品とする刃物は、意外と多く存在していますが、それらは設定をしっかりと変えてあげる事で、性能特化させる事が出来ますし、今までの使い勝手が嘘のように、気持ち良く使う事が出来ます。

私が過去に購入し、刃の性質は特別良くは無かったのですが、一応使えそうな鋏がありました。

それは、現代風裁ち鋏で、高級品ではなく量産品ですが、歪取りと反り捻りの調整をしつつ、裏鋤(刃の裏に凹みを作る事)を作り、表の段刃を取ってから調整研ぎを行ったら、紙がスイスイと気持ち良く切れるようになりました。

元々の購入の理由が、紙用の大きめな鋏としての扱いでしたから、丁度用途には適合しましたが、当初の状態は刃と言えるものはほぼ無く、かみ合わせも酷い状態でした。

そこから色々な直しや調整を行い、まともな刃付けをした事で、繊細で綺麗に切れる鋏へと変化したのです。

この鋏は硬いものは一切切りませんので、本当に薄い紙を1~2枚、必要に応じて形に切る程度ですが、数年に一度研ぐ程度で、まともに使えている状態です。

材質はステンレス系ですが、刃の為に定期的に油を塗り、綺麗に拭きとっておく程度で、本当に良く活躍してくれています。

布や紙に使うからという事で、油を一切ささない方がいらっしゃいますが、それは絶対にダメです。

油をベタベタにしておく必要はありませんが、擦れる構造の為、最低限度の摩擦軽減は必要となりますし、特に鋏を使う際に速度を上げて使う方は要注意です。

オイルスプレーなどを軽くかけるか、ティッシュに吹き付けた物を刃や擦れる位置に塗り、新しいティッシュで出来る限り拭き取っておくだけで、刃の寿命はかなり変わります。

刃の擦りがギシギシとする感じになる方は、鋏の設定や研ぎが悪い場合と、単純に油切れの場合があります。

ビビリのような振動が出ている状態だと、刃はお互いにダメージを与えますから、布や紙に油が移るような状態にはならない程度として、塗って拭き取り、最低限度だけで良いので、油は塗るようにしてください。

 

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