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2024年7月

2024年7月31日 (水)

シンプルで当たり前

研ぎは特別な事ではなく、当たり前に行う事です。

その中でも、シンプルなものと、派手なものがあります。

私はシンプルで当たり前に良いと感じるものが好きなので、その辺りでの良さを特に重要視している部分があります。

普段からご提供をしている研ぎは、そのシンプルさの中に、明確な良さを出す形で、研ぎの世界を知って頂こうと思っています。

今回はこんな研ぎをしました!みたいな感じで、凄く派手で目立つような特別感も必要な場合はありますが、静かにさりげなく切れるような、大人しくも力強く、刃物とかこうあると良いな・・・といった感じの研ぎは、確かな良さではないかと思っています。

ぱっと見で、特別感は何もないかもしれませんが、確実で当たり前に刃物が使えるというのは、違和感なく使える刃物としての条件だと考えています。

 

2024年7月30日 (火)

研ぎやすい時期

暑さで何かと厳しい時期ではありますが、研ぎには良い時期です。

何が良いかと言いますと、刃物が冷たくない時期ですし、水も丁度良く冷たすぎないので、研ぎがしやすいという部分があります。

刃物が冷えていると、研ぎにくいというのは、過去に何度かお話をしていますが、冬場に冷たい水と冷えた刃物に対し冷たい水に浸した砥石で研ぐ事は、逆に何も良い事はありません。

金属は冷えると締まるという性質があり、有名なところだと、電車の線路の伸び縮です。

強度面で言っても、刃物が冷えすぎていると、割れやすいという事もありますので、使用時や保管時も冷えすぎないようにする事は必要だと思います。

 

2024年7月29日 (月)

研ぎの設定について

色々な刃物で、研ぎの内容の設定をご用意しています。

これは、表面的な仕上げの部分のお話は除き、今回は使用用途に合わせた部分のお話です。

同じ刃物でも使用用途により、研ぎの設定を色々と変える事で、性能を特化させる事が可能です。

角度、形状、研ぎ目、などの変更で、相性が変わりますので、その調整を行います。

おまかせの内容の場合、平均的な部分や、一般的な範囲で収めて、良さを引き出すようにしますが、それではご満足されない方にむけ、そういった設定のご用意もあります。

仕上げ方も含めると、それなりに金額は上がりますが、ご満足頂ける内容でまとまるかと思います。

 

2024年7月28日 (日)

ギリギリは攻めないでください

刃物はそれぞれで異なりますが、ある程度の厚みから、急激に強度が落ち始めます。

そしてその先で、極端に薄くなってくると、刃付けは困難になってきますし、強度と言えるだけの強度も無くなります。

分かりやすいところで言うと、片刃の和包丁を思い浮かべて頂いて、身幅は同じなのに、鎬が大きく上がった状態を想像してください。

刃角はかなり変わり、標準的な強度と比べて、半分くらいになってしまう事も良く見受けられます。

鎬を上げ過ぎてはいけない!と言われているのは、これが原因です。

片刃だと傾いて切れてしまうからという事で、なるべく鋭角に持って行こうとする方もいらっしゃいますが、その場合は両刃(正式には諸刃)をお使いください。

片刃の刃物の設定は、必要で意味があり、その角度を設定されている事も多いので、その辺りから外さないようにして使うと、総合的なバランスのよう性能を引き出しやすいと思います。

注目すべきところは、刃先の先だけではなく、全体の厚みにもありますので、鍛え上げた鋼であろうと、厚みの壁は乗り越えられない事は、覚えておいてください。

更にべた研ぎをすれば、それ以上に強度と言える強度は無くなります。

 

2024年7月27日 (土)

当たり前に切れるものなのですが・・・

ご家庭用の包丁を研いで、良く驚かれるのは、食パンが綺麗に切れてボソボソと表面がしない!と言われる事です。

これは当方の研ぎでは当たり前で、営業開始の初期から言われてきました。

食パンはタイプにもよりますが、私が調整と研ぎを行ったものは、焼きたての柔らかくべたつきやすく潰れやすい食パンでも普通に切れます。

良く言われているのはトマトや長ネギが綺麗に切れるかというお話ですが、それよりも難しいとされるのは食パンだそうです。

私からすると、いずれも今まで当たり前に切っていましたから、最初はそういったお話を頂いた時、逆に驚いてしまいました。

研ぎ器や簡易的な研ぎをしている所に出していると、そういった範囲も難しい場合が多くありますし、価格も同じ程度な事が多いので、まともな切れ味を知っていただく為には、ちゃんとした職人に依頼する事をおすすめ致します。

 

2024年7月26日 (金)

研ぎ残し

毎回のように、研ぎが足りていない例が良くあります。

いわゆる研ぎ残しですが、その理由は、本来必要な#から研ぎ始めず、細かい#の砥石からスタートする事によるものが多いです。

その場合、折角の研ぎも勿体ないので、もう少し下の#からスタートしましょう。

その方が全体的な研ぎの時間も早く、確実に研ぎ上がります。

傷を残したくないから・・・と、細かい#だけで頑張って研ぐ方もいらっしゃいますが、それだと本当に凄い時間がかかります。

 

2024年7月25日 (木)

こんなに切れるものなんですか???

包丁の研磨で良く言われるのは、タイトルの通り、「こんなに切れるものなんですか???」です。

これは大袈裟でもなんでもなく、実際にそういった反応が多くあります。

そもそも、市販の包丁の研ぎは、まともな状態ではありません。

それとの比較なので、当然と言えば当然です。

お客様の使用に合わせた場合、特にこういった反応は多く、切れ味や強度などの計算であったり、砥石の#による違いなどは、明らかに違った形で表れますし、更に研ぎ目の調整も含めて考えると、用途によって包丁が別物のように感じられるでしょう。

良質な包丁の場合は、更に別格な切れ方をします。

それは硬度や組織など、その辺りが良く作られていますから、それを生かす研ぎを当たり前に行えば、当たり前に切れるという事です。

色々な物を切る動画は多数ありますが、実際に実用としての良い事が何なのかを体感頂く事が、一番良いと思います。

最低限度として付けた刃ですら、こんなに切れるなんて!!!!!!!!!と驚かれる事も良くあるので、世の中で言う所の良いと言われているレベルが、どのくらいなのかが良く分かると思います。

同じ金額を使うのであれば、レベルの高い研ぎを当たり前に行っていて、特別な神経を使わなくても、そのくらいの切れ味を余裕で越えて来るくらいでなければ、本当の意味での職人とは呼べないでしょう。

 

2024年7月24日 (水)

決まり事

刃物の世界には、色々な決まり事のようなものが沢山あります。

そこはどうしても・・・のような内容で、それに関しては、基本的に守る事が大切だと思います。

決まり事の中でも、どこの誰がそう決めて、そうしなければならなくなったのか不明であったり、全く無意味な事も沢山あります。

しかし、その通りにすべき事も沢山ありますから、そこはきちんと守った方が良いでしょう。

そこを守らない人は、ズレた考えとして扱われ、相手にされなくなるのが目に見えています。

私自身、色々な決まり事の中で、その原理や理由などを考え、必要のないものは除外して考えていますが、これは良く無いと思う事に関しては、しっかりと守っています。

 

2024年7月23日 (火)

良くわからない仕様

刃物を新品で購入して、色々おかしいと感じる事があると思います。

そもそもそういったものには手を出さない方が良いと思いますが、ネットで購入が増えた現代では、そういった事も増えていると思います。

開封から一切触らずにそれに気付いた場合、返品をした方が良いと思いますが、それが出来ない場合、諦めるしかない事になります。

実際に仕様に関しては、どうしてこうしたんだろう・・・や、どうしてこうなったんだろう・・・と思うような構成ものは、意外と良く見かけます。

世の中の多くは、まともな物ではないレベルの中で、販売がされていますし、良い物と言える範囲は僅かなのが現状ですから、安く済ませようとするとそういった事は多くあるでしょう。

高ければ絶対に良い物であるとは言えませんが、少なくとも安い物に対しての割合で考えれば、高い製品の方が外れを引く率は少なくなります。

あとはその刃物を、どのように使って行くのかで、意外と生かせる場面もあるかもしれませんし、予備としての用途もあるかもしれないので、外れを悔む事よりも、使い道を考えましょう。

 

2024年7月22日 (月)

思い切った加工を

刃物の性質は良いのに、製造された際の研磨や形状が良く無いという事は良くある事です。

そういった場合、全体的な整形修正のやり直しをおすすめをおすすめする事が多くあります。

折角の刃物性能も、ご自身の使用に合わなかったり、研ぎにくいと感じてしまうと、結局は使わない刃物候補になってしまいますから、少しでも自分に合わせた構成にしていく事は、とても良い事だと考えています。

大事な事は、どこでその加工をお願いするかです。

同じ事だけをやっている所でお願いをしても、思うような加工にはならないので、幅広くそういった加工が出来るところにお願いをしましょう。

そして、加工自体の意味合いを理解している方でなければ、無意味に終わってしまう事もありますから、どのようにその構成を考えるのか、まともな技術と知識をお持ちの方に、そのご相談をなさってください。

当方でも良くその手の加工は行いますから、宜しければご相談ください。

新品の見た目を残したいという事でなければ、今までとは違った良い結果に繋がると思います。

 

2024年7月21日 (日)

何を優先するか

刃物の購入や研ぎで、そこに何を求めるかによって、購入すべき刃物と砥石や、研ぎ方が変わってきます。

それらの判断を誤ると、色々合わない事が悪影響を及ぼします。

過去から何度も書いてきていますが、その形をした刃物の研ぎは、一つではありません。

〇〇と名前の付いた刃物の研ぎが、一つの研ぎしかないというプロも、かなりの割合で存在していますが、その名前の刃物の研ぎ方は、何通りもあって、用途により変えないと明確な性能は出ません。

用途とお話をすると、必ず出て来るのは「刺身用です!」というお話になってしまいますが、今一度ご説明をと思います。

刺身用という言葉は、幅広い言葉であって、正確な用途ではありません。

使用をある程度把握されている方なら、ご理解があるかと思いますが、刺身と本来指す部分は、柵取りまで終わって骨は無く、皮引きまで終わっていて、いつでも刺身を引ける状態を指します。

皮引きで鱗が残っていたり、骨の処理が甘く残っていた場合、刺身用としている包丁にはダメージを与える可能性があります。

そこまで刃を保護する必要があるのは、刃物は繊細だからです。

ちょっとくらい欠けても・・・と思っていらっしゃる方には、無縁のお話だと思いますが、プロの中でもしっかりとこだわりをお持ちの方達や、一般の方でもその意識がある方は、しっかりと用途を理解してご使用になられています。

逆に、皮引きや切り分け用として、刺身包丁を設定しておけば、そちらはまた用途として非常に有効な包丁になります。

どんな作業に対し、どんな研ぎが必要なのかを考えると、同じ研ぎではいけないというのは、自ずと分かって来る事ではあると思います。

傷みを出さないように使用するのも、刃物を使う技術の一つであると考えていますし、それを維持し続ける事も、必要な事だと考えます。

予備としての包丁の確保だけではなく、用途別に合わせた研ぎや、その刃物の性能に合わせた用途別の振り分けなど、そういった部分も考えながら、上手く購入する刃物の事を考えていく事も、非常に大事な事だと思います。

 

2024年7月20日 (土)

刃物のおいしいところ

刃物にはおいしいところがあります。

その意味が分かるようになると、その刃物を上手く使っている事になると言われていますが、色々と言われている事には理由があります。

その辺りは、刃物ごとに違いがありますので、細かいお話は変わってきますが、使い始め直ぐよりも、少し使い込んだ辺りから、使用可能領域の半分以内を指す事が多いと思います。

刃物の鋼材や形状により、何を理由にして良い所と言われているのかは違ってきますから、それも明確ではありません。

鋼の刃物の場合、外側は熱の影響や脱炭の影響もあるので、端の端は良く無いと昔から言われていますが、そういう事も含んでのお話ではあると思います。

使い始めの頃は刃がしっくりこなかったけれど、使い進んだら刃が安定して良くなったというお話もあるので、実際にそういったおいしい部分があるのは間違い無いでしょう。

良い範囲までどう使い、良い範囲をどう使って行くのかが重要なので、早期に刃物を買い足していく事をされている方の多くは、美味しい部分を如何に継続して使えるかを考えている場合もあるようです。

各種専門で刃物をお使いになられる方のお話は、非常に勉強になる事が多く、特に細かく状況を把握されている場合には、使用者でしか分からないデータが多くあるので、その辺りのお話を伺う事は、今後に役立ちますから、大切な情報源です。

 

2024年7月19日 (金)

暑い夏の為に・・・

私は夏が昔から苦手で、クーラーがあって本当に助かっています。

普段は外に出る機会はさほどありませんが、室内でも作業中は暑くて、冬場でも扇風機を付ける事があるくらいです。

その暑さへの対策は、冷たい飲み物を飲んだり、アイスを食べるなど、体内から冷やす事ももちろんしています。

それだけでは不足な事も多いので、ネッククーラーを使ったり、扇風機とクーラーのセットで風を動かして、冷風を直接当てるなどもしています。

それらでも不足となる事もあるので、空調作業服を購入しようか検討している所です。

回りの空気が涼しくなっていれば、特に効果は大きいようなので、それで全体的な体温を冷やす事が可能になるでしょう。

まともな物をと思うと、結構な金額がしていますので躊躇していますが・・・。

今年はかなり暑く危険な夏になると言われていますので、皆さんも熱中症には十分すぎる程にご注意ください。

熱中症は軽度でも、結構長く体へのダメージが続くと言われていますし、このくらいと思うのは本当に危険です。

夏の手作業での手研ぎは、体の負担が相当大きいので、冷やしながらやらないと、汗が止まらなくなりますし、水分補給と休憩はしっかりとらなければと思っています。

機械作業と手作業では、消耗する体力が全く違いますし、出来る作業時間もかなり変わって来るので、当然手作業の方が高くなります。

同じような金額で見積もるような方達もいらっしゃるようですが、それは明らかに大きな間違いと言えます。

 

2024年7月18日 (木)

切れ味の勘違い

刃物の刃について、日頃から実用性のお話をしています。

その実用性に関してですが、未だに勘違いをされている方が多くいらっしゃいます。

いくつか例を挙げますが、

・細かくすればするほど良い刃である

・初期の切れ味が鋭いほど良い切れ味が持続する

・刃の強度は使い方で問題は出ない

と、この辺りは特に多いと思います。

刃物の刃は、実際は非常に弱く、持続性はありません。

それを研ぎでカバーしていると思えば、刃物に期待をしすぎであると考えます。

どうして実用という言葉があるのかというと、見た目の問題による販売品としての部分や、とりあえず刃付けを行っただけのものとは、完全に別枠にあるというのが考えられます。

実用で使う刃物の刃は、実用に適した研ぎを必要とし、総合的なバランスであったり、その時に必要な刃を付ける事にあります。

一発勝負の刃であれば、色々な芸も可能になりますが、それ自体に意味はありません。

私が過去に勉強をしていた頃行った、生の鋼に刃を付ける事の研究も、ある意味ではそれと同じなのです。

現実的ではない事をやれたとして、それを表に出す為ではなく、難しい条件下でその結果を出す為であり、それを人に見せる為でもありません。

実用の良さを知れば、無意味な事がどこにあるのか、明確に分かってきます。

切れ味を求める事は、その刃物がしっかりと活躍できる場面を作り上げる事にあり、それが刃物を生かす事にも直接つながる事であると言えるでしょう。

 

2024年7月17日 (水)

良い物はどうしても値段が高い方向にはなります

安くて良い物!と良くキャッチフレーズにありますが、そんなものは存在しないと、色々な業界の方からお話を伺った事があります。

良い物の為には、質や手間が必要となり、そもそも最低限度の金額の部分で、価格勝負になるような状況にはならないというのが、よくある事のようです。

刃物や砥石や研磨で見ても、それらは同じ事が言えると思います。

もし3000円の刃物が、50000円の刃物に勝てるのであれば、50000円の刃物の存在の意味は?となりますね。

研磨も同じで、2000円の研磨と20000円の研磨では、当然内容は異なりますし、コストのかけ方も変わります。

そう考えていくと、どの辺りがねらい目なのか、それぞれの業界での良いところが見えて来るかもしれません。

もちろん、それ相応にその業界のそのものを知らないと、ただ金額が高くて騙される事もあるかもしれません・・・。

高ければ良い!とは決して言いませんが、安い物に良い物は存在しない!という事だけは、覚えておいて損はないと思います。

安さを求めるのであれば、質が下がるのは当然だと思い、内容に関して贅沢な事は、決して言えないと思います。

 

2024年7月16日 (火)

機械の大々的な整備

先日、一日かけて、メインで使用している機械のうちの一台を、色々と整備しました。

定期的に細かい整備はしていますが、大々的なものは年に1~2回程度です。

今回は消耗品の交換や、精度調整、性能に関わる範囲の整備、などが含まれます。

こういった整備も、千円単位ではなく、10万単位でかかってきますから、性能を出来る限り維持していく事は、非常に大変な事です。

こういった事をせず、機械を信じて加工をする業者も多いようですが、それでは良い仕事は継続が出来ず、精度が落ちている事に気付かず、作業のレベルが下がっている事に気付かない訳ですから、残念な事だと思います。

私はこの仕事に対して、適当な作業をしてお客様を騙すような事はしたくないので、その時に出来る事を精一杯やっています。

一日かけての整備は、仕事が一日止まる事なので、結構痛い時間の消耗ですが、それ以上に必要な事が多く含まれているので、これも大事な仕事の一つと考えています。

 

2024年7月15日 (月)

砥石の精度が上がると研ぎの成功率は上がります

折角良い砥石を使用しているのに、研ぎが不安定であったり、形がどんどん変わってしまう方は多いです。

刃物に問題が無い場合、一度まともな加工が可能なところで、修正整形をしてもらってください。

それにより、初期の研ぎでは、正しい研ぎの感覚を得られると思います。

砥石の面修正は、絶対的に確実さを求めてやって頂きたいと思いますが、完全な精度では無いとしても、毎回最低限度の精度の中で、修正が安定している必要性はあると思います。

砥石の面修正後、定規を当てながら横から覗いて確認される方もいらっしゃるようですが、市販の定規の精度は低く、しかも本体の歪もそれなりにありますので、まともな確認は出来ません。

それなりの精度の計測ゲージを使用した場合、目に見える隙間のレベルは、相当精度が低い修正を表します。

そのくらい修正への精度の問題は、かなりシビアです。

砥石の修正は、直したつもり・・・や、ちゃんと直した・・・では、実際は修正に不足だらけです。

正しいと言える範囲を目指し、砥石の面修正として、確実さを求めるのであれば、砥石の面修正器の使用をおすすめ致します。

ダイヤで修正するタイプは、修正器自体の面の管理をする必要がありませんからおすすめです。

こちらのページに記載の、空母と硝子修正器を是非ご使用ください。

ご来店のご予約を頂ければ、製品のサンプルを直接ご覧いただけます。

 

2024年7月14日 (日)

しっくりくる刃物

研いでも使っても、凄くなんだかしっくりくる刃物があります。

これは、人それぞれの好みにもよりますので、誰かが良いと言ったからといって、それが必ずしも自分にもしっくりと来る訳ではありません。

そういう刃物に出会える方は、全体の何割くらいなのかは分かりませんが、手にした方はラッキーとも言えるでしょう。

研ぎは誰かに任せたとしても、使用だけでしっくりくることも、結構難しい事だと思いますし、逆に研ぎだけで見ても同じ事です。

自分との相性の合う刃物というのは、必ずどこかにはあるはずですが、それにいつどのような形で出会えるのかは、全くの未知数です。

少なくとも、色々な刃物を多く触って、新しい物を購入し、研いで使ってみる事を繰り返さないと、そういう刃物には出会えないと思います。

 

2024年7月13日 (土)

加工は可能です

ご自身で刃物をお作りになられる方から、市販品以外の研磨は可能ですか?とお問い合わせを頂く事があります。

内容によりますが、違法性のない物に関しては、研磨をお受け出来ます。

これは当たり前の事ですが、銃刀法に触れない内容で、問題の無い製造環境で作られたものまでとなります。

特殊な形状で、研磨が難しい構成のものは、お受け出来ないか、相当金額が高くなるか、その辺りの判断は状況次第にはなります。

鋼材は一般向けにも一部では販売されていますし、そこから削り出しを行い、熱処理も頼む事が出来ますから、そこまで出来たら研磨を行って、各種刃物ごとに必要な柄やハンドルを取り付けて完成です。

ちなみに、ハンドルや柄の作成や加工も、可能な限りでお受けしています。

総合的に加工する技術や機材や道具は一応揃っていますので、趣味で製作されている方のサポートも、当方では十分にお受け出来ます。

なお、作業場所の提供や、機材や道具の貸し出し等は、現在不可となっておりますので、あくまでも加工のご依頼のみ、特注で対応となります。

 

良いと言われる仕事の為に

私の考える実用の刃物研磨や研ぎは、考え方が特別なのではなく、作業が特別だと言われます。

当たり前の事を当たり前にやるのは当然ですが、そこに色々な考えと結果に合わせた内容を加え、変化をさせています。

気付かない人には気付かない違いかもしれませんし、とんでもなく違いが出ている事もあると思いますが、その時に必要と思った内容を盛り込み、ご期待に沿えるようにと作業をしています。

何も冒険をしなければ、基本すら難しい世界ではあるので、当たり前の事をやれば当たり前に良い評価になりますが、それでは不足を感じられる方が多くいらっしゃいますから、それ以上を表現する事が結構多いです。

まずは標準的な範囲でお試し頂き、それでも通常は十分かそれ以上だと思いますので、不足な部分を次回おっしゃって頂ければ、それ以上の変化を加える事をおすすめしています。

作業のやり方をいくつも持っていますので、この刃物=この作業といった決まった形ではなく、お好みに合わせた形をご提供しています。

私はお客様から良かったと言って頂く為に、色々な勉強や研究を重ねており、現在もまだ色々な進化をし続けていますので、今の状態以上のものをご提供できるようにと考えています。

満足のいく技術の為に、まだまだ色々な事を吸収して、発案して、出来るようにしていきます。

長年ご利用の常連様からは、年々進化しているとお褒めの言葉を頂く事も多いので、ご利用を頂き成長を見てくださっている方々には、特に感謝の気持ちが強いです。

 

2024年7月12日 (金)

日本刀研磨は少し早く納品できそうです

想定される仕事の量が少なく来ている関係で、作業時間がある程度空きやすくなっています。

その為、日本刀研磨の作業に関する納期は、少し速まる可能性が出ています。

ここで指す日本刀研磨とは、当店でいうところの上位研磨にあたります、「居合抜刀用面精度研磨(標準)(斬れ味重視)」の事です。

並研ぎの「お急ぎ実用研磨」は、一般刃物の納期と同じような流れでの作業となり、最短1週間の場合もあるかと思いますが、これ以上速くなる事はありません。

また、同じく並研ぎの「おまかせ研磨」は、混雑が無ければ1ヵ月程度となっており、これらの納期に関しては、基本が速く設定となっておりますので、それ以上速くなる事はありません。

現在までのの納期の目安をお伝えしておきます。

毎回お話をしていますが、あくまでお伝えする納期は「納期目安」となり、作業の状況次第で進み方が変わりますので、100%お約束出来る納期ではありません。

・お急ぎ実用研磨→2週間

・おまかせ研磨→2カ月

・居合抜刀用面精度研磨(標準)→12月~2025年1月

・居合抜刀用面精度研磨(斬れ味重視)→12月~2025年1月

となっておりますが、そこから早まる可能性があります。

当方の日本刀研磨の状況としましては、だいぶ空いている方ですので、この機会に是非ご利用ください。

お急ぎ実用研磨とおまかせ研磨はネットからのお申込みで、お荷物での対応のみとなっておりますので、店頭でご予約対応は不可となります。

予めご了承くださいません。

日本刀研磨のページはこちらです。

日本刀の販売も行っておりますが新作刀としましては最後の一振りとなりますので、ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

2024年7月11日 (木)

柄は外さなくて大丈夫ですよ!

和包丁の研磨のご依頼の際に、結構な割合でご質問があるのは、柄は外すのか?という内容です。

これに関しましては、なぜそういうお話になるのか、把握はしています。

理由としましては、製造メーカー等に研磨の依頼に出し、修理としての整形修正を行う場合、「柄が邪魔で加工出来ない。柄を交換する代金がかかる」と一般的に良く言われる事にあります。

研ぎを行う面だけを研ぐ場合、あまり必要無いように思われますが、歪取りを行った場合、平面や裏面の修正が必要になる事も多いので、そうなると柄は加工に邪魔になると言われるようです。

その背景には、和包丁に関する製造の部分が関わってきます。

和包丁の製造時に、裏面と平面は、機械の縦当てや横当てや斜め当てなど、様々な方向からの削りや磨きを行います。

それにより、上手く形作られている部分があるので、その方法でなければ加工が出来ない方達が多いのです。

ちなみ、最初に書いた「柄は外すのか?」というご質問に対する回答は、通常の作業範囲であれば、「外す必要はありません」です。

縦だけ、横だけ、斜めだけ、と加工の固定的方法のみで、私は考えて加工を行っていませんから、作業自体は柄を避ける形で行う事は問題ありません。

ただ、良くある新品の和包丁のように、「斜めに木砥を当てて欲しい!」とか、自分は「縦目の仕上げがいい!」や、「磨きを綺麗に!」と言われると、柄があると出来ない作業になってしまうので、致し方なくその場合には・・・と柄の取り外しと交換をお話せざるを得ない状況になります。

ちなみに、通常は行っていませんが、上位の磨きより上となる、鏡面に近い磨きや完全鏡面系の磨きの場合、削りの目を綺麗に消したいと言われると、やはり柄があるとどしても出来ません。

ちなみに、100点と言えるような鏡面まで行かず、80点くらいまでで良いと言われれば、柄の取り外しが無くても出来る事は、色々な実験で確認済みですので、鏡面系や完全っぽいところまでなら、必ず縦横斜めが必要だとは私は思いません。

ただ、他の問題として、機械を当てての加工が色々と増えると、柄に絶対に傷を付けずに加工ができるとは限らないので、一応普段から瞬間的にガリガリにならないようなガードは行っていますが、その辺りの補償問題を言われてしまうと、外させて頂くしかない状況にはなります。

現代では柄の交換は相当高くなってきていますので、昔のように気軽に・・・とは言えないのも現状です。

柄を外す時は、基本的に破壊しての外しとなりますので、再生は不可能です。

稀に薬品やお湯などを使用し、柄を外して再利用をするお話も聞いた事がありますが、材の性質が変わってしまいますし、完全に内部まで乾かしての取り付けをするには、数か月の期間を空けないと乾ききらないので、中子がサビて包丁が折れる可能性がありますし、絶対におすすめはしません。

現代の和包丁は、焼いて差し入れただけではなく、接着剤を使用し、内部を綺麗に埋め込む事が多いので、叩いてもそう簡単には外れず、壊したくないと思っても、亀裂や割れが必ず出てしまうので、再利用は諦めた方が良いです。

 

2024年7月10日 (水)

完成された技術

完成というと語弊があるかもしれませんが、現段階では完成と思っている技術がいくつかあります。

それらに関しては、実用として使用する中で、本当に良いと思えるものが多く盛り込まれており、同じような加工で比較をしても、かなり良いと思える範囲にありますから、本当におすすめです。

これ以上は無いし無理なんじゃないですか?と言われる事もありますが、色々な範囲で私が思う部分としては、まだまだ先がある事の方が多く、それに合わせて必要な事が揃っていないというのが現状です。

以前も書いた事がありますが、こんな小さなところにこんな技術があるなんて・・・のような感じで、絶賛してくださる方も結構いらっしゃいます。

メーカーや有名な職人だけが、業界に対しての基準となっている訳ではありません。

私は表に出る事が好きではありませんし、有名になる事は無いと思いますが、それでも器用さとまともな勉強や研究は、相当な事をやってきていますので、幅広く深くを大切に、結果が出る研磨や研ぎを行っていると言えると思います。

あまりこの先の変更や改良を考えていない範囲も中にはありますが、改善は色々と必要だと思っていますので、その辺りも捨てた訳ではありません。

折角であれば、細かい部分の一つでも良かったとおっしゃって頂けるように、おすすめ出来る事を増やしていきたいです。

 

2024年7月 9日 (火)

今までとは違った方向性の作業

実はもう初歩までの準備は終わっているのですが、今まで当方で行って来た方向性の作業とは、だいぶ違う方向性となる作業について可能となっています。

これは前になんとなく予告をしていた内容の部分で、ブログをご覧頂いている方は、そんなような事を書いてあったな・・・くらいは覚えていらっしゃるでしょう。

具体的に今はお話は出来ませんが、様々な条件に対し、その作業を行う事が出来ます。

刃物だけに限らず、それ以外の範囲でも色々と可能なので、面白いと思います。

基本準備は終わっていますが、それを正しくお伝えする為の準備に、結構時間がかかってしまいそうなので、まだ先にはなりますが、これを望んでいた方は結構いらっしゃると思います。

オリジナリティや面白みの部分をと思う方に、今後ご提供をしていきますが、その形はまだ確定していません。

メインの部分が何なのかも含め、まだお話出来ないのが残念なのですが、色々と発表出来ない理由が今はあるので、もうしばらくお待ちください。

こんな感じで、準備と時期待ちの内容が、いくつか溜まってきているので、どんどん出して行きたいのですが、それ以前の事もまだ終わってない部分が多くあるので、どれからやっていこうかと悩んでいる所です。

なお、作業に関わる範囲で、大々的に発表する程ではないような、細かい内容の変更等は、こっそりもう変更済みのものも多いです。

特別金額が変わっていないものも多いので、頻繁にご利用になられている方以外だと、お気づきにならない場合もあるかもしれませんが、良くなった気がする!と、そう思って頂けるだけでも、導入する意味はあります。

 

2024年7月 8日 (月)

これも時代の進化

過去に800万~1500万程で売られていたような製品が、現代では100万円で手に入る時代になりました。

もちろん性能差はそれなりに大きくはありますが、超高額品のレベルまでは必要ないという方からすれば、大きい物が小さくなり、気軽にとは言えませんが、買えない額ではなくなった事は大きいと思います。

それ自体、100%同等で比較をしなければ、同じ価値とは言えませんから、正しく同等で見ていくと、3分の1~4分の1くらいまでは落ちてきているようです。

分野によると思いますが、使う素材の価格を抑える事が出来たり、量産が可能になった事などで、今までのノウハウを入れつつ、価格を抑える方向にはなっていると考えると、値上げばかりの世の中ですが、求められる所に合わせ、性能を維持しつつ、低価格化を実現したと思うと、素晴らしい事だと思います。

そんな情報を教えて頂き驚いていますが、色々な選択肢が出来たという所が、とても大きなポイントだと私は思っています。

いつも色々な方々が、色々な情報をお教えてくださるので、非常に勉強になっています。

 

2024年7月 7日 (日)

本当に触らない方が良いです

日本刀研磨や拵の修理に関して、私は過去から、素人は何か作業的な触りをしない方が良いとお伝えをしています。

これは、刃物の世界で考えますと、使用者が研ぎを行う業界ではないので、そもそもそういう範囲に属しているというのはあります。

根本的な部分で言えば、日本刀は長物なので特にですが、一部に何かしらの加工を加えた事で、そこを直す必要性が出た場合、全体に同じような量で加工を行わないと、バランスが崩れるという問題が出てきます。

そもそもの歪の問題がありますから、そこを直さずに間違った研磨を行うと、もうその先はまともな状態にはなりませんから、致命的な問題になります。

拵も同じで、良かれと思ってご自身で加工した内容が、後で正式に直しを行う際に邪魔になり、重ねて修理が出来なくなる例も多いです。

場合により、その間違った加工を取り除くのに、かなりの手間を要したり、もう取り返しのつかない状態になっている事もあるので、作り直しのお話をしなければならない事も多々あります。

一部にちょっとだけ何か少しの加工し、全体が落ち着く事などありません。

こうすれば直ると思われている事の多くは、構成を理解していない事から起こる問題を、小さく捉えすぎています。

それは直しではなく、ただの一時的な誤魔化しでしかありませんから、その行為による全体への問題がどれだけ大きい事なのか、分かっていらっしゃらない方が多いのは、本当に大きな問題だと思います。

不具合が出る事の問題は、使い方だけではなく、間違ったメンテナンスをやってしまう事でも起こります。

簡単に買い直せるものであればそれでも良いと思いますが、数十万~100万単位の金額で購入した日本刀に対し、わずかな加工だけだからと思っても、実際にそれが大きな問題になる事を理解すれば、とにかく触らない事が私は良いと思います。

私は、日本刀研磨だけではなく、拵の修理に関しても重要視していますが、拵や白鞘の作成も実際にやった事がありますし、分解しての構造の確認もした事があります。

その時に学んだ事は、一つ何か細かい事でも不足があると、全てが崩れるという事です。

この重みが分かる方は、絶対にご自身の範囲で加工をなさらないでください。

いざという時に、大きな痛手を負うのは、ご自身になります。

なお、当方だけではないようですが、日本刀の研磨も拵の修理も、素人が触った形跡のあるものは、追加で代金が必要になる事があります。

場合によっては、断られる事も多いようです。

本来はやらなくて良い事を、多くしなければならなくなるので、当然そうなってしまいますから、最小限度で済ませる為には、とにかくご相談を早く頂く事だと思います。

現状なら安く早く終わる事も多いので、とにかく手を加えないでください。

口を酸っぱくしてその辺りは何度でもお話をします。

 

2024年7月 6日 (土)

雑用や準備

日頃の作業が順調に進むのは、普段の準備が出来ているからです。

分かりやすい所で例を挙げると、ちょっと使う程度であっても、その場でわざわざカットして使うようなものは、予め切って保管しておく事などです。

その手の物は、私の行う作業では、結構な数があり、凄い時間がかかっています。

もしその準備が無かったとしたら、その都度の作業が流れる事無く、長い時間止まる事になる場合もあるでしょう。

技術の場合のこういった準備は、その場でやる方と、予め用意する方に分かれると思います。

私はその作業の流れを止めたくないので、予め準備する事にしています。

技術職全てなのかは分かりませんが、私が行う研磨や研ぎの仕事は、かなりの神経や集中力を使い、色々と多く考えをその時に持ちながら、感覚を研ぎすましつつで作業をしていますから、流れが止まるとその状態から脱してしまい、自分の思う所に到達できなくなる場合があります。

そこまで異常な集中をしているのではなく、入り込みすぎると見えない物や感じない物が出てきてしまうので、ある意味ではリラックス状態にも属すような維持しつつ、頭と体はフル回転として、良い仕事に繋がる形を作ろうとしていますが、そうじゃないと思う状況が出てしまうと、違った頭と動きになってしまい、色々と結果が落ちる可能性があります。

ですから、瞬時に次の流れに進める事は、私にとって非常に重要な事でもあります。

雑用も色々とありますが、私は使う部材や道具の種類がかなり多い方だと思いますから、そういったモノの仕入れや管理なども重要で、その部材や道具を切らしたら、その仕事がまともに出来なくなる可能性もあるようなものもあるので、忙しくても必ず在庫の確認をします。

納期も大体読めているものは、残りの数やその先の仕事の見込みに合わせ、準備をしておきますから、かなり管理は徹底しているでしょう。

普段はほぼ使わない物は、在庫として持たないようにしていますので、もしその物が無くなれば、必要に応じて買う形にしています。

何でもかんでも大量に在庫を持ち、仕事を回していられるような状況であれば、そんなに神経も使わないのですが、それだけ仕入れるには10万単位では済まないような金額が必要になりますから、メーカーや多人数の職場でもない限り、そういった仕入れは難しいでしょう。

必要なものは、皆さんがご来店頂いたりお荷物で対応をし、何かを目にされたり、私の説明で出て来るような物は、ほんの一部の物なので、あまり想像も出来ないかと思いますが、作業や雑用で使う物の種類を全部数えたら、100は軽く超えていますから、それらの管理や準備は、結構大変です。

いわゆる経費は、かけ過ぎと言われるくらいかけていますので、作業がその分だけ、良い結果になってくれていると思います。

 

2024年7月 5日 (金)

可能な場合も実は多いんです

刃物の研ぎで、どうしても思うような刃にならない・・・とおっしゃる方は結構いらっしゃいます。

刃物自体の問題で、理想通りの良い刃が付きにくい場合や、どうやってもそういう刃は付けられない場合もあります。

しかし、ご希望の刃に出来る事は結構な割合であります。

その研磨後、実際に結果を体験されて、どうしてそう出来たのか分からないと、皆さん口を揃えておっしゃいます。

それが可能になった理由は、その刃物の性質を読み、正しく確実に研げた事が、一番に挙げられるかと思います。

必要な要素を確実に盛り込めば、それなりの刃にする事は可能です。

あとは、その刃物の性質が特殊な場合、研ぐ方法をそれに合わせて変える事で、通常は回避できない部分を、上手く回避しつつ性能を引き出す事も出来ます。

言葉だけだと、分からない事も多いと思いますが、色々な鋼の性質を研究で理解していますから、いくつかの方法をそれに合わせて開発してあります。

その鋼の性能通りではない場合、上手く回避できない事もありますが、その場合は諦めるしかありません。

ただ、出来る可能性を捨てる事無く、やれるだけの事はやるというのが、私の基本スタイルです。

最初の段階で、私が無理だと完全にお話をする場合は、何をやろうとどう考えても無理な内容や結果の場合です。

 

2024年7月 4日 (木)

実は仕上げにもこだわっています?????

お客様からご依頼を頂き、色々とその後もご連絡を頂くケースが結構ありますが、見た目として綺麗になった事や、仕上がりに対して想像以上だとお伝え頂く事も多いです。

「見た目より実用」といつもお話はしていますので、汚い仕上げなのかもしれれない・・・と、たまに誤解される方がいらっしゃいますが、全体的にプロ向けとしてのご依頼をメインに活動をしていますので、見た目が100%捨てられているという意味ではありません。

見た目として良く言われるのが、特殊な分野を除いては、削って調整をしてから細かく磨きていき、ギラギラとした光沢を出すような作業までしないと、綺麗では無いとおっしゃる方もいらっしゃるので、いつからか忘れましたがそういった表現に変えました。

ですので、実用の為に酷い見た目になります!と、お話をしている訳ではありませんので、その辺りは誤解のないよう・・・。

当方で良く行う仕上げは、ヘアライン仕上げですが、これに関しては、幅広い分野で使う為、いくつものパターンをご用意しています。

通常良くご提供しているのは荒目ですが、荒目の中にもいくつもパターンがあって、荒いものと細かいものがあり、あとは刃物の硬度や材質の影響などでも変化しますので、大体のところを狙って加工する形です。

また、中目としての仕上げも、やはりいくつかパターンがありますが、荒目と比べて中目は下地をそれなりに細かめにしないといけないので、この辺りからだいぶ仕上げは気を遣うようになります。

それと、細目のご用意もありますが、そこまで行くと、下地は結構な細かさまで仕上げてあるので、軽い光沢は自然に出てきますが、ヘアラインの細目で終わらせるのか、そこから光沢が強く出るような磨きに進むなど、選択肢が出てきます。

その先の極細目もいつか・・・と思っていますが、その場合、ヘアラインと光沢の出る磨きとの境目が、あまり良く分からなくなるような場合も出て来るようなので、そこまで必要なのか?と思い、今のところは留まっています。

刃物の種類によりますが、中目や細目のヘアライン仕上げに関しては、特注扱いでの対応となり、刃物の形状や鋼材などによって金額が変わります。

荒目のヘアラインが人気な理由は、傷が多少ついても目立たない事や、切断時の切り離れが良い事などがあります。

どんな仕上げであっても、砥石を当ててその面を研げば、見た目はそこだけ変わってしまいますので、その辺りは気にしないとおっしゃる方が多いです。

磨きや鏡面系の部類は、錆びには強くなると言われていますが、実際は錆びる時は錆びますし、そこからまた磨きを入れて戻すのも、かなり高額になりますので、管理が面倒な部分があります。

そして、ちょっとした傷がつくだけでかなり目立ちますし、手で触ると滑りが出てかなり研ぎにくくなるのに、使用の場面では張り付きが出やすいなど、マイナス面がかなり多いと思いますから、おすすめはしていません。

そんな事もあり、ヘアラインを推奨している部分もあるので、特に力を入れて色々な目を表現できるようご用意をしています。

こう書いていると、見た目へのこだわりを捨てていない事は、十分にご理解頂けると思いますが、実用性能重視である事は変わりませんので、つまり総合的にこだわってますとお話をしても、決して過言ではないのかもしれませんね・・・。

今後も色々なご意見を頂ければ、それに合わせた内容を出来る限りで増やしていきます。

まずは当店での標準的な範囲でご利用を頂き、そこからどう変えたいかをお伝え頂いた方が、内容は一致しやすいと思います。

 

2024年7月 3日 (水)

効率が全てではない

技術職の場合、効率や時間作業で言われる事がありますが、それは決まった流れと決まった加工の場合です。

何もかもに対し、そういった決まった形で行うものではありません。

特に、一つずつの仕事の内容が異なる場合や、同じ仕事でも条件が異なる場合は、全く同じ時間では終わりませんが、それを無理に終わらすとなれば、必ず不足が出てきますから、それでもなお効率を優先するのは、私は間違いだと考えています。

場合によっては、結果が思わしく無ければ、加工のやり直しを行う場合もありますし、出来る限りの事はします。

その為、納期は見込みであって、作業完了時が納期とさせて頂いています。

ご依頼内容が、その時期までと限定された場合、もし間に合わないとしても、出来るところまでやって、なんとかまとめて終わりになる事も、可能性としては出てきてしまいます。

そうなると、勿体ない部分も多いので、納期には余裕を頂くようにとお伝えはしています。

少なくとも、予備の刃物をご用意頂ければ、そこまで焦って手元に戻す必要もないと思いますから、何かあった場合の事も考え、予備は最低限度でも良いので、ご用意される事をおすすめ致します。

仕事の現場で刃物をお使いの方は、必ずメインで使う物以外に、予備や用途ごとの刃物をご用意されていると思いますが、必要に応じて入れ替えるだけではなく、不測の事態に対応できるようにしておくのも、もちろん重要な事です。

普段は2丁の刃物があれば、一日余裕で使えるとして、3~4丁ご用意されている方も少なくありません。

それ以上という方もいらっしゃいますし、ぶつけた、欠けた、落とした、などの事も可能性としてあるので、やはり予備は必要だと思います。

 

2024年7月 2日 (火)

拵の修理には自信があります!!!

当店で行う、日本刀の拵(こしらえ)の修理は、かなり厳密にやっています。

実用として日本刀を振り回す中で、緩みやガタツキは、周りから見ても最悪の結果をもたらすとされています。

特に試斬をする場合、その力のかかり具合に、かなり大きな差が出ますから、緩みやガタツキは無駄以外の何物でもありません。

その日本刀専用に作られた拵の場合、緩みの原因は木材の伸び縮みによるものや、外して組み直しをしての繰り返しをやったり、正しい組み方をしていない事にあります。

意外と知られていないのは、日本刀の拵に関して、正しい外し方や組み方の基準です。

これは、構成を理解し、正しく外して正しく組むという事を理解さえすれば、難しい事ではありません。

適当に外して、適当に組んでいる方は、新品で拵を作ったものであっても、短期で色々な痛みが出てきます。

正しく外して組んでいる方は、長年大きなズレは出ないでご使用になられています。

不具合が出てしまった拵は、早めに直せば問題は起こりません。

しかし、それを放置したり、間違った工作を加えたり、部品自己判断で交換してしまったりすると、その後はもう直せなくなり、新規で作り直す必要が出て来る事も多いです。

誰かにやり方を教わったパターンは、ほとんどがやらなければ良かった・・・となります。

そうならない為に、確実に直せる当店の拵修理や調整を、ご利用頂ければと思います。

目釘に頼らないしっかりとした拵修理は、実用の設定としては、新品よりしっかりする事も多いです。

 

2024年7月 1日 (月)

機械作業が安い訳ではありません・・・

機械で作業をすると楽で簡単に儲かると、勘違いをされている方は結構多くいらっしゃいます。

当方の場合でお話をさせて頂きますが、手作業に比べて機械作業の場合、加工速度は速くなりますが、コストはドーン!と上がります。

機械で使う部材はかなりの割合で高いので、短い時間で1000円札がどんどん飛んでいくと思って頂けると、分かりやすいでしょう・・・。

機械作業は楽で速くて安いとすれば、それは一般的に使われるような機材や部材を使用し、安く簡易的にした加工の場合の話です。

機械のメンテナンス管理も、頻繁に行って精度維持が出来るようにしていますし、そういった部分にもお金はかけています。

私が何の為に機械を使うかというと、あくまでも速度であったり、手では出来ない作業がメインとなりますが、大きく直しが必要な場合には、必須とも言えるかもしれません。

私が機械で使う部材は、海外からの仕入れが半分以上と多く、そこでのコストはここ数年でとんでもない金額になってしまいました。

国内で入手でき、それで充分に満足な性能の物は、もちろん国産品を使うようにしていますが、海外品でなければ手に入らない性能ものも多いので、致し方なく・・・といった感じです。

昔は海外品の方が安かったのですが、現在は国産に比べ数倍になる事もありますから、この辺りの構図は大きく変わりました。

作業の内容によっては、30分~1時間で5000円以上、機械の部材だけで飛んでいく事もありますし、その先に手作業でのコストが多く乗りますから、うちの作業は本当にコストがかかっています。

それ以上の場合もそれなりにありまして、一つの仕事で見て、一日で数万の部材コストという事もあるくらいです。

逆に、部材がそこまでにならないような価格の物もあるのですが、それは低価格作業の場合に使っていますから、同じような作業をやったとしても、それだけ結果が大きく違うので、使うものを変えているという事です。

もし、上級作業に使う部材を、低価格の作業に使った場合、やり方は同じにしたとしても、今と比べると、倍近くになってしまいます。

そこまで良い部材を使う必要はあるのか?と思われるかもしれませんが、本当にそれだけ結果が違ってきます。

そして、その部材の使い方も、上級作業の場合だと、良い所だけを使って、次のものに交換をしてしまいますから、そこを含めると、本当に凄い金額がコストとして乗ってきます。

そのおかげもあって、当方の機械作業ものや、その先の手作業の結果が、非常に良い評価を頂いている部分があります。

もし金額が高いと思われる方がいらっしゃれば、安く作業をする事は可能ですが、その分だけ仕上がりはかなり落ちる事になりますので、無意味に金額が違う訳ではないという事を、ご理解頂ければと思います。

内容は関係なく、ただ安いだけがご希望であれば、そういうのが得意なお店や職人が沢山いますので・・・。

 

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