何を優先するか
刃物の購入や研ぎで、そこに何を求めるかによって、購入すべき刃物と砥石や、研ぎ方が変わってきます。
それらの判断を誤ると、色々合わない事が悪影響を及ぼします。
過去から何度も書いてきていますが、その形をした刃物の研ぎは、一つではありません。
〇〇と名前の付いた刃物の研ぎが、一つの研ぎしかないというプロも、かなりの割合で存在していますが、その名前の刃物の研ぎ方は、何通りもあって、用途により変えないと明確な性能は出ません。
用途とお話をすると、必ず出て来るのは「刺身用です!」というお話になってしまいますが、今一度ご説明をと思います。
刺身用という言葉は、幅広い言葉であって、正確な用途ではありません。
使用をある程度把握されている方なら、ご理解があるかと思いますが、刺身と本来指す部分は、柵取りまで終わって骨は無く、皮引きまで終わっていて、いつでも刺身を引ける状態を指します。
皮引きで鱗が残っていたり、骨の処理が甘く残っていた場合、刺身用としている包丁にはダメージを与える可能性があります。
そこまで刃を保護する必要があるのは、刃物は繊細だからです。
ちょっとくらい欠けても・・・と思っていらっしゃる方には、無縁のお話だと思いますが、プロの中でもしっかりとこだわりをお持ちの方達や、一般の方でもその意識がある方は、しっかりと用途を理解してご使用になられています。
逆に、皮引きや切り分け用として、刺身包丁を設定しておけば、そちらはまた用途として非常に有効な包丁になります。
どんな作業に対し、どんな研ぎが必要なのかを考えると、同じ研ぎではいけないというのは、自ずと分かって来る事ではあると思います。
傷みを出さないように使用するのも、刃物を使う技術の一つであると考えていますし、それを維持し続ける事も、必要な事だと考えます。
予備としての包丁の確保だけではなく、用途別に合わせた研ぎや、その刃物の性能に合わせた用途別の振り分けなど、そういった部分も考えながら、上手く購入する刃物の事を考えていく事も、非常に大事な事だと思います。
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