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2024年8月

2024年8月31日 (土)

良好な関係図

刃物と砥石は相性があります。

いずれも良品同士の場合なら、幅広く相性が合うケースがありますが、研いで使って良いと感じるには、やはりこれといった相性は見つけた方が良いです。

砥石側で見ると、まず間違いがないと言われている範囲がありますが、砥石や砥石修正が構図として完成されていればの話です。

刃物に関して言えば、同一の刃物を購入しても、性能を極力あげて製造されている場合、必ず違いが表れますから、少し控えめの性能の物の方が、バランスは取りやすいです。

研ぎで苦労される方の多くは、刃物と砥石の相性がまず良く無い関係性になっていますから、どちらかの買い直しをおすすめする事もあります。

買い直した場合、今使っているものは?と聞かれますが、売却をするか、サブ用に回すと良いでしょう。

刃物も砥石も、いくつあっても損は無いので、色々と用意をしてどれをメインに持って行くのか、試してみると良いと思います。

 

2024年8月30日 (金)

必死に研いだら結果は出ません

研ぎのお話で、ひたすら早くパワフルな動きで研いでいる方が結構多く見受けられます。

余程慣れた方でなければ、早さは攻撃性に変わり、動作の不安定にも繋がるので、安定して研ぎが決まりません。

これはプロの世界でも同じで、早く動かせる人が上手く、研ぎが早く終わる訳ではありません。

この辺りが理解できないと、本当に意味での良い研ぎには繋がりません。

ですから、急いでいるから早く動かして研ぐというのは、マイナスの行動です。

ただ、一部の刃物分野では、動かし方の意味が分かっていて、早く動かす事が有効な範囲もあります。

それらは実際に意味があって、あえて早く動かして研いでいる事なので、それもまた理解があれば納得な話です。

もちろんどんな刃物でどんな条件であれ、基本の部分が安定し、段階ごとに綺麗に研ぎが進められている事が前提なので、最後の仕上げで何とかしようとするのはやめましょう。

一つずつの段階が全て大切なので、ここは適当で・・・が通用するものではありません。

機械作業で見ても、上手い人と下手な人の差は、明確に表れます。

どんなに綺麗に加工されているように見えても、荒傷が多数残っていたり、見た目は完璧に近くても、精度が悪かったりと、そういう事も多いです。

修正整形を含む修理作業の場合、削れる範囲が限られますので、当方の場合には、性能に対して不必要と思う範囲に関しては、全てを完璧に直すまではやりませんから、部分的に身が無い部分は加工を加えられず、ズレたように見える事がありますが、それは意図的です。

そこを削り落としてしまう事で、他は更に無駄に削る事になり、寿命を極端に減らす事もありますから、それを合わせて加工出来ないのではなく、あえてしないのです。

それでなくても、大きく直す必要性があるような作業が多いので、それを直すだけでも最短で行わないと、寿命を大きく縮める事になります。

常連様で色々な刃物の研磨をご依頼頂いているお客様は、意図的に無理に加工をしない場合がある事をご存じです。

意味のない事は当方ではやりませんし、そこを直して見た目での評価を高く貰える事よりも、性能が出てご満足頂ける事の方を大切にしていますので、そういったやり方を優先します。

もちろん、どんなに小さくなっても良いので、見た目や精度を完璧に近く直したい!と言われれば、遠慮なくやらせて頂きますが、その場合、皆さんが想定するより、相当小さくなるでしょう・・・。

そして料金も合わせて高くなります。

 

2024年8月29日 (木)

実用の為の日本刀研磨の進化系

現在当方で行っている日本刀研磨は、「居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)」をベースとして、かなり完成されたオリジナルの研磨になっています。

綺麗に見せる美術研磨は、綜合的に見て決まり事が多く、バランスと見た目の構成が決まっています。

しかし実用の場合、個体差のある日本刀を全て同じ研磨にしてしまうと、性能が全く発揮されませんから、まずはそこから改善を行っていきます。

「居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)」は、綜合的なバランスに優れ、歪取りや修正整形はもちろんですが、斬る事に合わせた構成を作り、研ぎによる面の精度を高めるオリジナルの研磨を行い、「正しく振れて、正しく斬れる」を極力作り出すのが売りの作業となっています。

それにより、振りやすく斬りやすい状態が作り出され、使用する事が楽になったとおっしゃられる方が非常に多いです。

この研磨が完成したのは、実力のある試斬をされる方々のご意見や、私自身の身体が運動による古傷を抱えて負担をかけられない状況の為、それでも楽に斬れる状況を作り出そうという所から始まっていますから、間違いのない結果に繋がっています。

それ以上を求める場合には、「居合抜刀用面精度研磨」の「斬れ味重視」の場合、特別な設定の追加と精密な調整を極力行い、斬る為に特化した状況を作り出しています。

この斬れ味重視は、斬り損じをしないレベルの上級者の方向けとしてあり、非常に繊細な設定を行っています。

逆を言えば、上級者以外には適切な条件になりませんので、「通常の磨き」の設定までのご利用として頂いた方が良いです。

斬れ味重視の意味は、稀に勘違いをされる方がいらっしゃいますが、この研磨を施せば誰でも斬れ味を体験できます!という意味では決してなく、上級者には必要な性能を発揮できるようにしてあります!という意味です。

これを使いこなすには、繊細な使用技術が必要なので、上級者向けとはっきり書かせて頂いております。

なぜそんな難しい設定を作っているのか?と聞かれた事がありますが、腕だけでカバーできない「斬る」という範囲が存在しているからです。

特別な一部の方は、条件に関係なく、何でも上手く斬れてしまうので、そういった方には不必要ですが、状況により斬れ方が全く異なる事を知る方には、この結果の違いは大きくなります。

近年では、この斬れ味重視をご依頼頂くケースが増えましたが、必ず「斬り損じをしない上級者向け」と、説明書きでご確認を頂いていますので、ご自身の実力を考え、無理に背伸びをしてこの「斬れ味重視」をご利用にはならないでください。

ここまで標準となる居合抜刀用面精度研磨の2種を簡単にご説明してきましたが、他にも当方としては簡易作業側になりますが、日本刀研磨の設定があと二つあります。

「お急ぎ実用研磨」は最短納期での作業が売りで、とにかく急ぎで使える状態にしたい方向けの作業となっています。

「おまかせ研磨」は納期は通常より短めで、他におまかせ研磨のご依頼が無ければ、1ヵ月程度での納品が可能です。

これらは、居合抜刀用面精度研磨までは必要無く、今お使いの日本刀に対し、なるべく価格は抑え、早く使える状態に出来れば・・・というお声で作った研磨です。

簡易作業側と書きましたが、それは機械作業を含む為(それぞれ機械作業の割合が異なります)で、細かい事が気にならない方の場合、使用には全く問題は無いレベルで仕上げますので、とにかく頻繁に試斬を行う方の場合、早く安いというのは重要なポイントになるので、おすすめです。

機械作業を含む場合でも、一般的にある日本刀研磨と比較して、すべてを手作業で行うより、こちらの機械研磨を含む研磨の方が精度は高いくらいです。

ちなみに、他で良く行われている機械研磨の場合、当方のような高いレベルの精度は出ていませんので、機械加工=精度が高い訳ではありません。

何か一言に対し、必ず同じような扱いで見る方々がいらっしゃいますが、それぞれに大きな違いがありますので、誤解の無いようにご説明をさせて頂きました。

複数振りあり、色々と使い方を変えていらっしゃる方は、まとめて研磨をご相談ください。

それぞれの日本刀性能や、用途のお話に合わせ、どんな研磨をどれに行えば、上手く実用刀としてまとまるかも、合わせてご案内させて頂きます。

 

2024年8月28日 (水)

しっかりしている方が安心して使えます

砥石を購入して使用を続けると、砥石は薄くなっていきます。

結構見かけるのは、不安定な場所に薄い砥石を置いて、結構力が入った状態で研いでいる方です。

これではまともな研ぎは出来ません・・・。

まずは安定した研ぎ場を用意し、そこに安定した砥石台を置いて、厚みのある砥石を使ってください。

もし環境は良くても、砥石が薄くなってきた場合は、砥石が割れないにしても、たわんで研ぎが安定しない状態になります。

裏に頑丈なものを貼り付け、強度を持たせましょう。

昔は木材を貼る方が多くいらっしゃいましたが、近代では、アルミ、石材、樹脂材(人工大理石や各種合成板)、などの方法があります。

薄くなってきた砥石を、新しい同じ砥石に張り付けている例も見た事がありますが、これはやらない方が良いです。

理由としては、接着剤が砥石に染み込むと、砥石の性能が損なわれるからです。

砥石の製造方法や密度にもよりますが、使用する接着剤に関わらず、新しい砥石接着面の数ミリは少なくとも、接着剤が浸透して性能が出ない状態になっている可能性がありますから、そこを捨てる事になるかもしれません。

砥石の接着には、なるべく浸透をしないタイプで、がっちり固まるか、軽く柔軟性がある程度のものがおすすめです。

水で溶けたり剥がれたりするような接着剤が多いので、色々と試して、自分で思う良いものを見つけてみてください。

 

2024年8月27日 (火)

成果が大きく出ています

今年の途中から導入をしている、刃付け専用の研ぎ方がありますが、これが非常に良い結果になっています。

刃物の種類やご希望内容にもよりますが、使う砥石は変えていないのに、全く切れ方が異なります。

何が違うかは企業秘密なのでお伝え出来ませんが、研ぎの段取りが以前と異なります。

この手のパターンは、一般的な方法がいくつかありますが、それとはまったく異なる方法なので、あえてやる方はいらっしゃらないでしょう。

一般的ではない事からも、マイナス面が多少ありますが、それを上手く回避して作業が上手く出来るのであれば、これは非常に有効な方法だという事が分かり、それから可能な限り使うようにしています。

同じ砥石で下地の条件が同じなら、面倒で手間もかかりますが、こちらを選択します。

そういう技術は、同じ条件下で比較すると、かなり違う事があるので、これは十分に大きな違いと言えるでしょう。

 

2024年8月26日 (月)

砥石が機能しない・・・

お客様から良くあるご質問で、砥石がちゃんと使えず性能が出ていないというお話があります。

この件は、砥石について良く書いていますが、それらをまとめると繋がる部分があります。

まず第一に、その砥石はまともに研ぎが出来る砥石なのか?という所です。

砥石なら何でも買えば、刃物を研げると思っていませんか?

世の中には、製品の名前だけついた、全く使えないものが沢山販売されています。

まずそこに属さないか、良く調べてみてください。

過去をさかのぼってみると、悪評高い砥石も数多くありましたし、特別な知識と腕を必要とするような砥石もあり、それらで結果を出すのはかなり難しいです。

次に、砥石の面修正をしっかりやっていますか?です。

これは刃物の研ぎでは基本中の基本となりますが、必要範囲のレベルまで、的確に砥石の面修正を行って、いつでも同じ精度の面で研ぎを行えているかどうかというのは、研ぎの上手いプロでも絶対に外さないポイントになります。

稀に、上手く高いところを使って行けば、面は直す必要が無い!のような言い方をされる方がいらっしゃるようですが、根本的に精度のお話のレベルが低すぎて問題外です。

そして、砥石の面の目立ては適切かどうか?というのもあります。

砥石の面修正はもちろん必須だとして、その先にあるのは、砥石の目がどうなっているかです。

潰れ過ぎていたり、目が立ち過ぎていても、機能的に不足となる可能性がありますから、研ぐ刃物に合わせ、性質の調整が出来ると研ぎがランクアップします。

また、刃物自体、正確な修正を行った砥石の面で研げる状態になっているのか?は、大きなポイントです。

面修正を頻繁に行いながら研ぐ方は、あまりない事だと思いますが、包丁のように長物を研ぐ場合には、全体が砥石に乗らないので、研ぎやすい場所や圧力が掛けやすい場所は、そこだけ凹んでしまう事もあります。

そうなると、その部分は正確な研ぎをしようとすれば、当たらない場所になってしまうので、まずはきっちりと直し、砥石面と刃物面の合わせ具合を感じ取りながら、自分の研ぎの癖も合わせて直していく必要があります。

刃物の研ぎ面に対し、正確な精度のゲージなどを当て、精度確認をしてみてください。

本来低くなるはずがない部位が低いと、それは研ぎの構成に大きな問題を抱えている事になります。

何が良く無いのか、自分で判断が出来ない方は、専門家に依頼をし、状態の確認や道具の性質のチェックと、改善策としての加工やアドバイスを受ける事をおすすめ致します。

最悪の場合、直しが出来なくなるケースもありますので、まだ大丈夫!自分で直せる!と思わずに、プロの力を有効活用しましょう。

プロとして刃物をお使いの方で、研ぎはご自身で普段行っていても、定期的に整形修正にお出し頂くケースは多いです。

 

2024年8月25日 (日)

プロと素人は何が違うのか???

以前も似たような事を書いた事がありますが、少し目線が違いますので、宜しければ読んでみてくださいね。

研ぎの分野で見て、プロと素人の事で、色々なお話をさせて頂く事がありますが、それのまとめのようなものです。

技術的観点だけで見れば、プロも素人も関係なく、上手い人は上手いです。

知識はもちろんですし技術もです。

それならば、素人でもプロになれるのでは?と思うかもしれませんが、実際はそんなに甘くはありません。

色々な機材や道具の準備や、あらゆる案件に対し、どこまで対応が出来るかどうかの問題があります。

素人で確かに上手い方はそれなりにいらっしゃいますが、ご自身の所持する刃物の範囲のみで、普段は条件が自分が研いで使ったものに限定されますから、その時点でまとまりが出やすいのは当然です。

そこから、自分では想定出来ないような状態や、触った事のない鋼材、硬度や靭性の違い、ご要望にお応えする為の知識と技術、などが他にも必要になります。

ご自身でいきなり初めて、独立をと思っているような方には、自信のあるなら是非プロに!と、嫌味ではなくお話をしています。

本当に好きでプロの世界でやっていきたいのであれば、勢いも必要だと思うからです。

特に修行をした訳でも無いのに、それだけ今まで経験があり、それなりの研ぎが出来るのであれば、将来の可能性は十分にあると思います。

もちろん、軽々しくお話をし、その方が安易に進もうとして、今ある生活や将来を潰す可能性もありますから、その辺りは十分に気を付けてはいます。

逆に、修行にきてそのまま働きたいとおっしゃる方には、潰すような言い方になってしまう事もありますが、厳しいお話をします。

向き不向きもありますし、人より長けた器用さや才能、刃物の事を色々と解明し自らが感じ取れるかどうかも必要ですし、考えてそれを現実的に技術とする事、コスト計算やその技術の需要など、普段の生活では考えないような事まで考える必要があります。

刃物を扱うという事は、危険も伴いますし、何があろうと自己責任になりますから、そういった部分の覚悟も必要です。

一つの技術や、ある程度の範囲だけが出来ても、それは出来る事にはなりませんから、綜合的に全ての事が出来て、色々な範囲に対応が出来て、それでようやく一人前です。

特に当方のように、様々な刃物を深く広くでやっている場合、決まった時間だけちょっと勉強や研究をした程度では、まずまともな事が出来るようにはなりません。

それだけの覚悟があり、何かを継いで行こうと思う気持ちが無いと、こういった技術の世界では上には上がれません。

何となく出来るとか、それっぽいものは沢山ありますが、その程度で終わらさず、本当に認められる研磨や研ぎをご提供する為に、全てをそこに注ぐつもりがあれば、是非頑張ってやってみて頂きたいと思います。

それに関して言えば、どの分野でも同じ部分はあると思いますが、認められた方が限られた人数しかいない業界なので、特にその度合いは強いと思います。

 

2024年8月24日 (土)

一つの目標

私が目標にしている事は数多くありますが、その一つだけを今回はお話致します。

その一つとは、「実用の日本刀研磨と言えば佐藤研磨店!」と言われるようになる事です。

私は実用刀の意味を知り、世の中にある日本刀研磨では、実用には不足がある事を知り、試斬を学びながら研ぎの研究を始めました。

それから年月が経ち、現在はかなりの高評価を頂けるようになりました。

それは先日もお客様からのメールを転載させて頂いた通りです。

それでもまだ、当方をご存じない方も多くいらっしゃいますし、ご利用を頂いていない方もいらっしゃいますから、そういった方々により多く知って頂く事や、ご利用を頂けるようになる事を考えています。

初期の頃と比べ、研磨の構成は大きく飛躍し、精度や斬れ味だけではなく、実際に思うように斬れるというご意見も増え、実際にご利用を頂いた方々からは、他ではもう頼みたくない程別格とのお話も頂くようになりました。

日本刀に必要なのは、「刃」だけではありません。

刃はもちろん必要ですが、形状からくる斬れる為の要素や、確実に正しく振れば斬れるような使いやすさなど、他に大切な事が沢山あります。

それらを改善できず、ただ刃付けにだけこだわったところで、斬れ味と言える状況を作り出す事は出来ませんから、苦労をしてその研究を行いました。

現在でもまだ、上があると思ってはいますので、その上の研磨を完成すべく、色々な方々から細かいご意見を頂きながら、邁進している所です。

今後、今までの研究の成果が形になれば、より多くの方にご利用を頂き、実用刀が生きる研磨となるでしょう。

皆様にはご利用を頂き、応援をして頂ければ幸いです。

他にも目標は沢山ありますが、その一つを今回お話させて頂きました。

 

2024年8月23日 (金)

そこそこまでならやりようはあります

簡単に良い切れ味が出ない刃物は、多くが柔らかい傾向にあります。

硬すぎて研ぎが入らない事もありますが、そちらの方が割合は少ないので、今回は割愛します。

柔らかい刃物の研ぎで、上手くいかない理由は、研ぎで力の入れすぎです。

硬い刃物なら多少の圧力は必要ですが、柔らかい刃物の場合、砥石の攻撃性がもろに入りますから、極力力を抜いて研ぐ必要があります。

それでも刃が荒れたり、刃の形状が変わるような感じになる場合は、更に力を抜いて圧力を落としましょう。

それでもダメな場合、砥石を柔らかいものに変えるか、組織が繊細なタイプに変えましょう。

硬度が一般的な刃物に、一般的な硬度の砥石を使うと、丁度良い傷になるとして、圧力の調整をしても、何倍も荒い感じの仕上がりになる事もあります。

砥石を柔らかくする事で、攻撃性はかなり弱まりますし、組織が繊細なタイプのものだと、そもそも細かく仕上がりやすい傾向にあるので、それらである程度の回避は可能です。

極論を言えば、その条件で#3000で研ぐつもりだとすると、#5000や#6000で研げば、比較的近い目になるかもしれません。

これは例でしかないので、実際はそれでも荒れる可能性はありますが、倍くらい細かいものをその砥石に想定するのも良いと思います。

それでもだめなレベルの刃物は、硬度が低いというよりも、低すぎる場合もありますので、買い直しをする事が解決の道になるかもしれません。

なお、硬い刃物の場合、力を入れて研ぐと、圧に負けて割れる可能性がありますので、研ぎがなかなか入らないとしても、圧力での解決はなるべく避けましょう。

その場合には、ダイヤモンド砥石を使う事が、回避策としては良いと思います。

 

2024年8月22日 (木)

しっとりとかさかさ

表題だけ見ると、肌のお話のように聞こえるかもしれませんが、これは刃物の質のお話です。

刃物の鋼や製造方法により、しっとりとした刃物になったり、かさかさした刃物になったりします。

この表現は、硬いか柔らかいかではなく、言い方を変えますと、粘っこい感じの質感か、サラサラした感じの質感か、そんな感じでしょう。

使う砥石によって、これらを感じやすい場合とそうではない場合があると思いますが、研いだ時にその質感は感じます。

もし、同じ鋼材を使った3種類の刃物があり、それに対して別々の鍛え方や熱処理が行われたいた場合、こういった感覚はそれぞれで感じ方が異なる事もあります。

ただ単に硬いか柔らかいかだけではなく、それ以外にも研いで使って感じる感覚がありますので、色々な事を考えながら、感じ取りながら、まずは研ぎを行ってみてください。

 

2024年8月21日 (水)

ご意見ありがとうございます。

先日、日本刀研磨のご依頼から、作業完了でお返しをしましたお客様より、ご意見を頂きました。

短い内容なので、そのままで掲示させて頂きます。

「本日荷物が届きました

早速使ってみましたが生まれ変わったか?のような斬れ味にびっくりしました

肌も生まれ変わったかのようにきれいになりました

梱包も丁寧でした

色々とありがとうございました」

ご意見を頂きましたお客様は、日本刀の長脇差に対し、「拵の修理」と「居合抜刀用面精度研磨(斬れ味重視)」をご利用の方です。

初のご利用でしたが、複数振りお持ちで、研磨をご検討頂いており、まずは一振りご依頼を頂きまして、作業をさせて頂きました。

居合抜刀用面精度研磨の「斬れ味重視」は、斬り損じをしないレベルの上級者の方をベースに、繊細な調整を含め、オリジナルの構成の研磨で日本刀の性能を引き出し、拵の修理により、その振る力をしっかりと伝える構成となっています。

この研磨は、日本刀で試斬をする事を、しっかりと理解した上で、更にレベルの高い試斬を行う方のご意見も含めつつ、開発を行っていますので、かなり特別な研磨に仕上がっています。

その分、使用に対してもかなり繊細になりますし、調整の意味や斬れ味の持続性には、安定したご使用が必要となる為、上級者向けとさせて頂いております。

斬れる研ぎがただ欲しいと思う方には、「居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)」でも十分に性能は出ています。

日本刀が実用刀となり、居合抜刀試斬に対し、必要な性能を発揮できるようにする為には、それ相応の研磨が必要です。

現状での試斬による結果を打開したい方は、是非当方でご相談ください。

腕で斬れる範囲は、本当に一部の上級者の話であり、そういった方達は、そもそもかなり良い日本刀を状態良くお使いです。

そこに追い付くには、日本刀を良いものに替える必要があるかもしれませんが、今までよくあるような研磨では、間違いなく性能は出ません。

是非その違いを、ご自身でご利用になり、体験なさってください。

間違いなく違いが大きく表れるはずです。

 

2024年8月20日 (火)

切れないよりは切れた方が実は安全です

包丁の研ぎについて、色々とお話をさせて頂いていますが、一般のお客様の中で、切れると怖いから・・・とおっしゃる方が意外といらっしゃいます。

しかしそれは間違いです。

切れない包丁を使用する方の特徴としては、力を結構入れて無理に切ろうとしています。

それにより、毛がをした際に、かなりの重症になる率が高いというのは、意外と知られていません。

また、切れない包丁での怪我は、切れない包丁で食材を切断するのと同じように、組織が傷みますから、傷の治りが非常に悪いです。

ですから、切れる包丁で、無理な力を入れず、安全にご使用頂く事が、非常に重要だと考えます。

包丁を握る方の手の使い方も、色々なやり方がありますが、それと合わせ、添える手の使い方一つで、怪我の有無がまず変わりますので、両手の使い方を是非しっかりと学んでください。

それらが揃うだけで、かなり安全で気持ち良く包丁をお使い頂く事が出来ます。

 

2024年8月19日 (月)

少しずつ

これから少しずつ、新しい販売や技術に関する内容をUPしていきます。

今まで当方では出来なかった事であったり、今までの延長線上であったり、特に決まった形のものではありませんが、喜んで頂けるレベルのものをご用意しています。

楽しみにお待ちください!

 

2024年8月18日 (日)

正しい情報は少ない

刃物や砥石や研磨(研ぎ)の範囲で、どういったところで正しい情報を集められますか?とご、質問を頂く事が多いのですが、正直、正しい情報を見つける事は、かなり難しいのが現状です。

細かくお話をすると、誤解を招く可能性があるので、言及を避けますが、都合良く解釈された情報が多く流されているので、それで得をするのは誰なのか?と思う事は多いです。

本当の意味での研究は、単純に良いものを探したり、技術だけでなんとかなる問題ではありません。

そう聞くと、何が何だか分からなくなると思いますが、私が普段お伝えしているようなお話は、ほんの表面の事だけです。

もっと細かく正確にと思うと、現実はもっとシビアですし、嘘ばかりが世に出ている事ですし、現代で解明された事を知らないプロが多すぎて、それはいつの時代の話ですか?いつのデータですか?と聞きたくなる事が・・・。

何か細かく分けた一つだけに対し、それが良い悪いをお話するにも、相当な時間を要するくらい、色々な事を比較対象にしながらお話をしなければならないので、時間は何時間あっても足りません。

そこまでの研究は、異常だと思うプロもいらっしゃるようですが、もっと難しく細かい研究をされている方は多くいらっしゃいますから、そういった方達に比べれば、これでもまだまだだと自分では思っています。

もちろん研究だけではなく、それをどう技術に反映するのかが、私には必要な事ですから、それらを実際にご利用頂ける方々に、どれだけご理解頂けるような形にできるかが、一番難しくも面白い部分であると考えています。

 

2024年8月17日 (土)

使い比べを是非!

刃物がちゃんと使える状況を知らない方はまだまだ多いです。

実際にお試し頂くと、凄く切れるとかそういう感じの単純なお話ではない部分が多数見えてきます。

何故こういう場面でそれをこう使うと、このような結果になるのか?が分かるようになると、それだけでも今後の研ぎの参考にはなるはずです。

色々な研究の中で、一番重要視したのは、いつもお話をしていますが「実用」についてです。

綺麗に見せるだけなら、色々とやり方があって、誤魔化しはいくらでも出来ます。

しかし実用の場合、誤魔化そうとしても現実的に結果で見えてしまいますから、それだけ難しさがあります。

分かりやすい体験としては、まずご自身で同じ刃物を2本用意し、それぞれで大袈裟に違う研ぎを行ってみて、切り比べてみてください。

最終的に使う砥石の#、刃角、全体的な調整の有無、などを含めると、いくつものパターンが出来ると思いますが、その中から遠く離れた研ぎを行うと特に分かりやすいです。

プロの方々にご提供をするような研ぎの場合、良いと言われる中でも、色々な調整や研ぎで変化を加え、更に相性を合わせて行きます。

つまり現実はもっと幅の狭い中での大きな違いを出さなければならず、非常に難しさがありますが、そこまで行くと、あまり違いが分からなくなってしまう方もいらっしゃるので、お話は少し変わってきてしまいます。

この程度の事・・・とおっしゃる方も中にはいらっしゃるような内容もありますが、その程度がとてつもなく大きく感じられる方達もいらっしゃるので、そこに合わせた研ぎを研究しご提供をしています。

 

 

 

2024年8月16日 (金)

確実にひとつずつ進めてください

研ぎは一気に上手くなる事はありません。

センスの良い方なら、成長は早いかもしれませんが、それを毎回確実に!と言われると、なかなか難しい事です。

研ぎが上手くなるには、一つずつ確実に進んでいく事です。

いきなり上級者のテクニックを学ぼうとしたり、初歩を全部飛ばして成功を狙うのは無理があります。

刃物の種類により、学ぶべき事はかなり変わってきますが、確実に成功へと進みたいのであれば、焦らない事です。

途中で間違った学びと癖をつけてしまうと、そこから抜け出すのは相当な苦労があるでしょう。

そうならない意味では、ただひたすら研ぐのではなく、一つずつ確実に成長をさせる為に、色々な事を考えながら、やっていく事が必要です。

私は幅広く深くで学びましたが、共通する部分もありますので、刃物の種類によっては短期間で学べました。

しかし通常は、一つの業界の一部のみの研ぎしか勉強しませんから、そこは凄く時間がかかるものです。

最初のポイントをクリアし、次をクリアし・・・と続け、いつかそこに確実でレベルの高い研ぎがあった方が、将来には必ず繋がると思います。

細かいところまで神経を使って、頭で考え、実際に実技でそれを出来るようになれば、その時は面白くなってくると思います。

 

2024年8月15日 (木)

大丈夫と思える安心

今作業をしている刃物は、もう少しで納品です。

状態を考えますと、だいぶ良いと思える事が重なっていますから、かなり良い結果になるでしょう。

色々と細かく範囲を分けて見て、その中でいくつのポイントが良いと思えるかが、最終的な結果に繋がりやすいのですが、今回も大丈夫でしょう。

後は実際に使用してみての判断にはなりますが、今までの傾向からすると、かなり良い評価にはなると思います。

過去に色々と試した研磨で、良く無い結果だったものは、実際に導入はしていませんので、明らかに悪い評価はありませんでしたが、それでもかなり条件が悪く、合格点を多く付けられない事もあります。

最初から状況が良く、加工幅も広ければ、かなり高評価になるのですが、そのケースはかなり少ないです。

ある状況と条件から、良い方向へ導くにしても、根本的な問題もありますから、必ずそうできるものでもありません。

ですから、刃物は良いものを!使用は丁寧に!保管管理は確実に!とお伝えをします。

出来ない無理な事はやらず、全て専門家におまかせを頂いた方が、確実な結果に繋がりやすいので、毎回お出し頂いた方が、後に大きな問題を抱えないで済むと思います。

 

2024年8月14日 (水)

サビない訳ではありません

ステンレスの包丁をご使用の方から、この包丁ステンレスなのにサビるんです・・・とご相談を頂きました。

ステンレスはサビないのではなく、サビにくいだけです。

そしてステンレスの包丁でも、サビにくいものとサビやすいものがあります。

サビと無縁と言えるのは、いわゆる非鉄金属のみで、ステンレスは100サビないとは言えません。

ステンレスの包丁をお使いの方には、「使用後は必ず綺麗に洗って、水気を拭き取って保管してください」、とお伝えしますが、洗いが甘かったり、水気の拭き取りを行わなかったりで、その後、気が付いたら浸食サビが発生している例も多くあります。

サビないのではなく、サビにくいだけです。

それを改めて認識して頂き、いつでも良い条件の中でご使用頂けるよう、保管管理を行ってあげてください。

サビは無駄に刃を消耗させ、食材に匂いを移します。

一度出たサビは、大きく削らないと取り除けない場合も多いので、サビたら終わりとまでは言いませんが、そのくらいの気持ちでご使用いただいた方が、より永くお使い頂けます。

 

2024年8月13日 (火)

たまにお問い合わせを頂きますが・・・

刃物の研磨や研ぎに対し、急ぎで必要だから、優先的に作業してもらいたいと言われる事があります。

それに関しましては、作業待ちをして頂いているお客様がいらっしゃいますので、基本的にはお受け出来ません。

お急ぎでの納期をご希望の場合、早くお申込みとご依頼の確定まで頂く事が最短の納期になりますので、まずは想定されるよりも十分な猶予を確保できるように、早くお申込みください。

過去にはお急ぎは割り増しで作業をお受けしていた事もありますが、段取りや予定仕事の時間外での作業となり、その分睡眠を削るしか方法がありません。

その程度の割り増しなら・・・と、実際にご利用を何件も頂いた事がありますが、現在行うとしたら、かなりの割り増しで頂く必要が出てきますし、時期によりお受け出来ない事もかなり多くあるでしょう。

これでも、色々な刃物を幅広くお受けしていて、手の込んだ作業をそれぞれ行っている中では、かなり納期は早い方だと思いますが・・・。

同等の内容を休みありで8時間勤務のところで、同じように一人で作業を全てやっていたら、まずこなせない内容を、基本的な休みはなく一日の仕事の時間も倍以上でやっていますから、これ以上速める事は難しいですし、時間の余裕がある作業方法でなければ出来ない領域を捨てる事にもなるので、そこは捨てたくないと思う部分です。

 

2024年8月12日 (月)

当たり前でも特別な場合もあります

当方で刃物の研磨や研ぎをご利用頂き、凄い切れ味だった!と驚かれる事がかなり多いです。

特に初めてのご利用の場合、今までの研ぎとの差を感じられると思いますが、当初の状態と比べれば、確かに天地の差にはなっている事は多いです。

現状でも十分な技術で研ぎがされていて、それより少し良い程度であれば、違いはあるね!と思う程度だと思います。

当方で思う研磨や研ぎは、当たり前に使える実用の研磨や研ぎを行っていますし、使用の状況をお伺いし、必要に合わせて作業をしていますから、異常な切れ味を作り出すのではなく、刃がしっかり作用するのかや、永切れがどうなのかなど、綜合的にバランスを作ります。

そこが凄く切れると感じる一つのポイントです。

とにかくなんでも細かく研ぎを行い、強度より切れ味優先にされている方もそれなりに多いですが、その状態だと刃を直ぐに傷める可能性がありますし、実際の切れ味が発揮できる状況ではない場合も多いです。

それに対し、凄く切れる刃だと勘違いをされる方も多く、そういう切れ味を最高レベルと思っているようなケースもありますが、それはプロの行う仕事ではありませんから、そもそもが論外です。

私がおすすめする研磨や研ぎは、勉強や研究を重ね、実際にご使用になる方々のご意見も集めつつ、刃物の性能も合わせながら、バランスを作り出しています。

色々な研磨や研ぎをやってきて、その中で学んだ事には、通常ではご提供をしないような内容が、非常に多く含まれていますが、その中には適用できなかったやり方も含まれています。

いくら用途に寄せた研ぎを行ったとしても、それ自体が使えないと判断をしたものは、適用する事は出来ませんから、その辺りを含めて、私がやらない理由を考えてみてください。

 

 

2024年8月11日 (日)

組織の差

刃物の良し悪しは、単純な硬度や靭性の問題だけではなく、金属組織の部分に影響されています。

細かいお話をすると面倒な世界なので、簡単にだけ説明をしますと、組織はより細かく密集している状態が理想です。

格安のステンレス包丁が良く無いと言われる理由は、炭素量が低く、鋼というよりも、ただのステンレス板のような状態である事です。

サビに強い事は利便性がありますが、包丁である以上、まともな性能が出ない時点で、それは刃物としては低級という事になります。

刃付けが出来ない訳ではありませんが、繊細さはありませんし、刃先に強度もありませんので、永切れは期待できません。

そういった格安ステンレス包丁と、上級な鋼の包丁を比較して、一発勝負なら繊細で良いと思われるような、同じ刃が付けられると思っている方もいらっしゃいますが、それはそもそもの間違いです。

同等の仕上がりにする為に、同じ砥石ではまず不可能ですし、繊細になればなる程、組織の悪さがはっきり出ますから、そもそも良い刃を付ける事すら出来ません。

限界の切れ味を狙う場合、更にその差は大きく開き、繊細に研げば研ぐ程に、切れ味が悪化する場合もあるくらいです。

こんな切れ味が!と、超低級ステンレス包丁を使用し、やっている例は良く見受けられますが、それは別格に良い切れ味になる事は絶対にありえません。

そうでなければ、超高級で上質な包丁の存在意義は無い訳で、構図が変わらないという事は、そういう事です。

切れていると思える状態は作れますが、レベルの高い包丁をなんとなくそこそこで研いでも、その切れ味を遥かに越える事は十分可能です。

そもそもの見ているレベルの差がありますから、根本にある基本性能の事を考えれば、同等になる事などあり得ないので、現実がどうなのかを良く考えましょう。

 

2024年8月10日 (土)

上手くなろうとしないでください!

研ぎは上手くなろうとする事より、他にやるべき事があります。

それは、刃物を知り、砥石を知り、研ぎを知る事です。

特に研ぎの事に関しては、色々な知識が必要になります。

一生懸命に研ぐと、上手く研げる訳ではありませんし、適当にやったからといって、必ず酷い研ぎになる訳でもありません。

技術の範囲のお話ですから、身に付くものがどういったレベルなのかで、結果が大きく変わってきます。

刃物を研ぐ事の難しさは、そういう部分であって、その知識や見解と研ぎを繋ぎ合わせる事が非常に重要です。

ですから、本当に知識と技術がある方に、自分の研ぎと研いだ刃物を見てもらい、良し悪しのお話や、不足しているポイントを教われば、かなり結果が近づくと思います。

あとは良くあるパターンですが、むやみやたらに練習をすると、それが悪い癖として体に染みついてしまいますから、そこから脱する事が難しくなります。

ですので、早い段階でしっかりと学べる方のところに勉強に行って、失敗のない流れを学びましょう。

 

2024年8月 9日 (金)

新しい仕上げは完成

ヘアライン仕上げは、様々な範囲の刃物で人気となっていますが、過去に色々なタイプをやってきました。

開店初期の頃は、「荒目、中目、細目」のご用意がありましたが、目の揃いは今と比べりると決して良くはなかったです。

品質が悪いとかではないのですが、下地に凄く左右される部分があり、なかなか結果が伴わない事があったので、途中で他の製品を模索しました。

当時から人気だったのは荒、目のヘアラインですが、何度か部材を変えてはいましたが、現在は安定して一つの完成された仕上げとしています。

他にも、中目と細目が完成していましたが、過去の中目と細目で見ると、細目寄りなのが現在の細目になっています。

これは通常の仕上げでは使われず、特別ご注文を頂いた場合と、元の状態はさほど悪くはなく、磨きだけで面を綺麗に出来そうな場合は、その細目を使うようにしています。

また、今後は更に細目のものをとは思っていますので、そちらが完成した場合、現在の細目は、中目になるでしょう。

下地をかなり細かくしてからの仕上げですから、細目~極細目を狙うと、その領域は価格がどうしても上がりますが、光沢や鏡面よりヘアラインで、細かめが良いとおっしゃる方もいらっしゃいますので、そこを目指しての仕上げを考えます。

ただ、ヘアラインは細くなると、光沢寄りに仕上がりやすいので、磨きと被る部分も出て来ると思いますから、その辺りのバランスを見てからにはなるでしょう。

ヘアラインは素材により、仕上がりが大きく変わってくるので、幅広く安定して仕上がりを作るのは難しいです。

 

2024年8月 8日 (木)

良くなったという実感

ステンレスの包丁は今では当たり前でしたが、まだプロ用としてはさほど流行っていなかった時代、基本性能は鋼の包丁が断然上で、ただ錆びない事がステンレス包丁の良さでもありました。

それ以降、切れ味にシフトしたステンレス包丁が出てきても、耐久性の問題から、直ぐに刃が落ちると言われていました。

その後、近代のステンレス系が出始めてからは、切れ味と刃持ちの両立が言われるようになり、その辺りでステンレス系を使うようにしたとおっしゃる方もいらっしゃいます。

そして近年は、更に進化を続けており、完全体として見た場合の繊細な部分は、まだ鋼には適わない部分はありますが、綜合的に見ると遜色ないとも言えるようになっていると思います。

ただ、砥石を弾くかのように、研ぎが非常に大変になりましたから、その辺りは鋼の方に分があると思います。

現代の鋼系の包丁は、妙に硬く脆いものが増えており、そういった意味では、研ぎの苦労はいずれにしても覚悟が必要かもしれません・・・。

水場で使う刃物は、サビにくい方が当然良いので、ステンレス系の需要は上がっていると思います。

今後、完全にステンレス系のみになる事は無いと思いますが、比率としてはまだまだなので、ステンレス系方面を使う方が増えるだろうと思います。

鋼系の包丁の研ぎ味や切れ味の良さは、もちろん当たり品であれば強く感じる事が出来ますから、時代遅れだとは思いませんし、昔ながらの良さの部分は残してもらいたいと思います。

 

2024年8月 7日 (水)

機械は偉大

どうしても手では厳しい作業は、機械に頼るしかありません。

そこをどうにかしないと、手作業だけではなんともならない訳ですから、とても重要な範囲になります。

機械は色々なタイプがありますが、いくつかの機械を使い分けしており、機械に使う部材を変更する事で、作業内容を変えたり、仕上がりを調整しています。

機械がある事で、本当に助かる範囲は多くありますから、機械は偉大だと思っています。

市販のおもちゃのような機械は、全く使い物になりませんので、それなりに高額なものばかりですが、他に違う技術をと思えば、まだまだ機械は足りていません。

仕上げに関する範囲は、特にまだ足りない範囲が多いので、今後少しずつではありますが、増やしていきたいと思っています。

 

2024年8月 6日 (火)

刃物も砥石も良い品を是非お使いください!

過去から何度もお話をしてきているような内容になりますが、刃物や砥石のご購入についてです。

刃物と砥石を購入する場合、多くの方が刃物に大きなコストを許容し、砥石にはあまりお金をかけない傾向の方が割合的に多いです。

しかし、砥石はどの刃物に対しても、必ず使うものですから、特に複数本の刃物をお持ちの方の場合、砥石の性質にこだわって頂きたいと思います。

刃物は長く使うもので、砥石は消耗品とお考えになるかもしれませんが、刃物を使うには研いで使う事になり、刃物と砥石はいずれも消耗品ではあります。

その中で、刃物と砥石のコスト差を見ると、いずれ砥石が勝ってしまう時期が来る可能性が高いので、それが勿体ないと思う方も多いようです。

しかし、その刃物を生かす意味では、砥石の性能ももちろん大きく影響しますから、刃物と砥石の両方にこだわりをもって頂きたいと思います。

刃物も砥石も良いと言えるものを使用すると、お互いに性能を発揮出来ますから、そうなるとより良い条件で使い続けられます。

それぞれを個別で見たとしても、性能が高い製品を使う事で、自分の技術を補ってくれるような力もありますし、他の砥石では難しい範囲を軽くクリア出来てしまう事もありますから、決して損にはなりません。

刃物に10万かける事はそんなに大きな事ではないと思う方でも、砥石に5万かけるのは高いと思う場合があるようですが、砥石も合わせて性能が必要な範囲ですし、そこを削減してしまうと折角の刃物の性能を生かしきれない可能性が高くなります。

砥石も色々な#(メッシュ、砥石の荒さを表す番手の事)で商品がありますので、一丁だけではなく、必要に応じてではありますが、荒砥、中砥、中仕上げ砥、くらいは用意が必要ですし、砥石の修正器などもちゃんとしたものを用意した方が、正しい研ぎを確実に行う事が出来ますから、それを勿体ないと思わないでください。

業界にもよりますので厳密なお話は出来ませんが、選択する刃物や砥石により、価格差は大きく離れますが、正しく使えばその分だけの満足感は得られるはずです。

 

2024年8月 5日 (月)

当たり前に研いで均等に刃が付かない場合

刃物は短くても長くても、上手く刃が付けられないものがあります。

例えば、特に刃線を見ての判断の場合、平面研ぎだと直線になるはずですが、片面だけの研ぎの段階で、そうならない事があります。

その理由は、歪(ひずみ)です。

ゆがみとも言いますが、刃物分野ではひずみと言われており、それを直す事を、歪取り(ひずみとり)と呼びます。

その歪取りですが、叩いて直せる範囲は極力叩きますが、それで直せない場合や、歪の残りは必ずありますので、その先は削って直す方法しかありません。

一般的に良くあるのは、その状態がおかしい事を疑わず、必死にそれを手で研いで直そうとして、途中でどうもおかしいと気付き、状態の確認や修理的なご依頼へと変わるケースです。

そういった場合だと、だいぶ直しが進んでいて、頑張った形跡を見る事が出来ますが、本来あるべき位置関係で研ぎが出来ないと、不必要な部位を研ぎ減らしてしまっていますので、鋼が無くなる手前になっていたり、歪取り後の他の削り直しが多く必要な事も多いです。

また、直しをしているつもりでも、状態を的確に理解し、直しへと進める方向で作業が出ていなくて、むしろ悪化させている事も良くありますので、ご自身で何とかしようと思わず、早めにご依頼を頂ければと思います。

それにより、後の刃物寿命であったり、無駄なコストも削減できますし、良い状態に直せる条件から外れてしまうと、後で大きな痛手となるでしょう。

購入時に明らかにおかしいと思えば、返品や交換の依頼をし、それが出来ない場合には、当方のように色々な条件に合わせて削り出しによる刃物作りや、修正整形が可能な所にご依頼ください。

可能な限りで調整と今後に繋がる研磨を致します。

なお、今回のようなお話のものは、平面研ぎものを例に挙げさせて頂きましたが、その他でも当方で加工が可能な刃物類に関しましては、全て対応が可能です。

 

2024年8月 4日 (日)

研ぎが荒れる原因

刃物を砥石で研ぐ場面で、砥石から想定される荒さと比べ、どうしても研ぎが荒くなるという事で、ご相談を頂くケースがあります。

まず、砥石は適切な状況にしましょう。

砥石の面を直す事や、水に浸すべき砥石はしっかり浸し、砥石がいつでも安定して使えるようにしなければ、研ぎ目の安定はありません。

砥石の修正は、その砥石の性質や#により、適切な荒さがありますので、色々な事を考えて面修正や目立てを行いましょう。

それでも研ぎが荒れる方は、下地研ぎからの砥石の#が離れすぎているか、砥石の性質が悪い可能性があります。

また、刃物の硬度が低い物は、全体的に荒めに仕上がる傾向がありますので、その辺りも踏まえ、何が原因なのかを探ってみてください。

判断を間違えると、無駄な買い物をする事にもなりかねませんので、そういった判断が確実に出来る方にご相談をすると良いでしょう。

当店では、刃物や砥石をご購入いただいた場合、その刃物や砥石に関わる範囲の事に関して、必要最小限度の範囲までは、無料でご相談と対処法のアドバイスも行っています。

 

2024年8月 3日 (土)

きわどい攻め方

研ぎには保守と攻めがあります。

決まり事をベースに、当たり前な形で研ぎを行う事は、決して悪い事ではありませんし、それが研ぎの安定に繋がる部分もあります。

また、使用に合わせて極端な結果を求め、大幅に基本とされる範囲の研ぎを行う事も、場合により必要ではあるでしょう。

この保守と攻めは、同じ刃物をどれだけ持っているかでも、選択が変わるでしょう。

保守の場合、同じ部類の刃物を一丁しか持っていない方が特に多く、どこかに寄せて研ぎを行ってしまうと、他の用途に使いにくいという事も出てきますから、あまり冒険出来ないというところでもあるでしょう。

逆に複数をお持ちの場合、用途ごとに使い分けができますから、細かい用途別に研ぎを行う事で、性能を生かしやすくなる部分は増えますし、思い切った冒険は出来るかもしれません。

基本を完全に外して、思い切った冒険をする場合、まだ余裕のある攻め方の場合、元に戻す事は可能です。

ただ、攻め方が刃物の性能オーバーとなるような、きわどい攻め方をしてしまうと、もう元には戻せません。

正確に言えば、直ぐには戻せず、相当先にならないと戻らないという可能性が高いです。

それと、初期の状態であれば、直せる可能性はありますが、刃物がかなり減っている場合には、直すだけの領域が残っていない可能性もありますから、そうなるともう元には戻せないという表現は、間違いでは無いと思います。

その刃物をどうやって使って行くのか、その先の使用プランを考え、刃物をどのような研ぎにしていくかを合わせて検討して見てください。

なお当方では、色々なパターンに合わせ、研ぎを大幅に変更できますので、こだわりの研ぎをと思う方は、是非ご相談ください。

削り出しで刃物を形成する事も可能な機材と技術がありますので、大掛かりな作業も当方では十分可能です。

 

2024年8月 2日 (金)

彫刻入りの美術刀剣はいかがですか???

以前から掲示をしています、彫刻入りの美術刀は、まだ売れ残っています。

博物館における、彫刻のある日本刀を展示した開催に展示された経験を持つ、現代刀としては良いランクにあるものです。

今まで多くの方にご覧頂いていますが、圧倒されて言葉を失うような方も多く、それだけ迫力や存在感をもった美術刀と言えます。

個人売買になりますが、価格のご相談や、お支払い方法としては現金以外にも、カード払いも特別に対応致します。

ご購入の際に必要なのは、お支払いと所有者変更の届出のみで、あとは日頃の保管管理だけですし、どなたでも所有する事が出来ます。

この手の彫刻入りの日本刀で状態の良いものは、海外へ出てしまっているものがかなりの割合で多く、高額取引されているようです。

将来的には国内に残る割合としては、かなり大きく減ると言われていますので、そういった意味でも価値は高まって行くでしょう。

ご購入をご希望の方や、お知り合い等でご興味があるという方がいらっしゃる場合は、まずはお早めにお問い合わせください。

メールはこちらからどうぞ。

また、古物商として刃物や砥石などのメインで委託販売も行っています。

出所が怪しいものは一切無しとし、価値があると思える製品のみ当方では扱っていますし、正式な段取りで取り扱いを行っていますので、安心してご利用頂けます。

最近は数も増えてきましたし、是非ご購入を頂ければと思います。

なお、出品のご依頼をご希望の方は、古物商のページ内の記載をお読みになり、ご連絡をお願い致します。

古物商のページはこちらから。

 

2024年8月 1日 (木)

8月の店舗休業日について

同建物内にあります「豆ねこ」が、8月12日月~16日(金)までお休みをいただきます。

水木曜は通常休業日ですが、合計で5日間のお休みです。

当店に関しましてはその期間、通常休業日の水木曜を除き、メールとお荷物での対応とさせて頂き営業を致します。

宜しければネットからのお申込みで、お荷物としてご利用を頂ければと思います。

 

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