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2024年8月29日 (木)

実用の為の日本刀研磨の進化系

現在当方で行っている日本刀研磨は、「居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)」をベースとして、かなり完成されたオリジナルの研磨になっています。

綺麗に見せる美術研磨は、綜合的に見て決まり事が多く、バランスと見た目の構成が決まっています。

しかし実用の場合、個体差のある日本刀を全て同じ研磨にしてしまうと、性能が全く発揮されませんから、まずはそこから改善を行っていきます。

「居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)」は、綜合的なバランスに優れ、歪取りや修正整形はもちろんですが、斬る事に合わせた構成を作り、研ぎによる面の精度を高めるオリジナルの研磨を行い、「正しく振れて、正しく斬れる」を極力作り出すのが売りの作業となっています。

それにより、振りやすく斬りやすい状態が作り出され、使用する事が楽になったとおっしゃられる方が非常に多いです。

この研磨が完成したのは、実力のある試斬をされる方々のご意見や、私自身の身体が運動による古傷を抱えて負担をかけられない状況の為、それでも楽に斬れる状況を作り出そうという所から始まっていますから、間違いのない結果に繋がっています。

それ以上を求める場合には、「居合抜刀用面精度研磨」の「斬れ味重視」の場合、特別な設定の追加と精密な調整を極力行い、斬る為に特化した状況を作り出しています。

この斬れ味重視は、斬り損じをしないレベルの上級者の方向けとしてあり、非常に繊細な設定を行っています。

逆を言えば、上級者以外には適切な条件になりませんので、「通常の磨き」の設定までのご利用として頂いた方が良いです。

斬れ味重視の意味は、稀に勘違いをされる方がいらっしゃいますが、この研磨を施せば誰でも斬れ味を体験できます!という意味では決してなく、上級者には必要な性能を発揮できるようにしてあります!という意味です。

これを使いこなすには、繊細な使用技術が必要なので、上級者向けとはっきり書かせて頂いております。

なぜそんな難しい設定を作っているのか?と聞かれた事がありますが、腕だけでカバーできない「斬る」という範囲が存在しているからです。

特別な一部の方は、条件に関係なく、何でも上手く斬れてしまうので、そういった方には不必要ですが、状況により斬れ方が全く異なる事を知る方には、この結果の違いは大きくなります。

近年では、この斬れ味重視をご依頼頂くケースが増えましたが、必ず「斬り損じをしない上級者向け」と、説明書きでご確認を頂いていますので、ご自身の実力を考え、無理に背伸びをしてこの「斬れ味重視」をご利用にはならないでください。

ここまで標準となる居合抜刀用面精度研磨の2種を簡単にご説明してきましたが、他にも当方としては簡易作業側になりますが、日本刀研磨の設定があと二つあります。

「お急ぎ実用研磨」は最短納期での作業が売りで、とにかく急ぎで使える状態にしたい方向けの作業となっています。

「おまかせ研磨」は納期は通常より短めで、他におまかせ研磨のご依頼が無ければ、1ヵ月程度での納品が可能です。

これらは、居合抜刀用面精度研磨までは必要無く、今お使いの日本刀に対し、なるべく価格は抑え、早く使える状態に出来れば・・・というお声で作った研磨です。

簡易作業側と書きましたが、それは機械作業を含む為(それぞれ機械作業の割合が異なります)で、細かい事が気にならない方の場合、使用には全く問題は無いレベルで仕上げますので、とにかく頻繁に試斬を行う方の場合、早く安いというのは重要なポイントになるので、おすすめです。

機械作業を含む場合でも、一般的にある日本刀研磨と比較して、すべてを手作業で行うより、こちらの機械研磨を含む研磨の方が精度は高いくらいです。

ちなみに、他で良く行われている機械研磨の場合、当方のような高いレベルの精度は出ていませんので、機械加工=精度が高い訳ではありません。

何か一言に対し、必ず同じような扱いで見る方々がいらっしゃいますが、それぞれに大きな違いがありますので、誤解の無いようにご説明をさせて頂きました。

複数振りあり、色々と使い方を変えていらっしゃる方は、まとめて研磨をご相談ください。

それぞれの日本刀性能や、用途のお話に合わせ、どんな研磨をどれに行えば、上手く実用刀としてまとまるかも、合わせてご案内させて頂きます。

 

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