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2024年9月

2024年9月30日 (月)

期待しすぎです・・・

色々な製品は、大量生産品、量産品、単品製作や特注品、と、大まかに分けると3パターンで製造されていますが、刃物もそれは同じです。

大量生産品への期待度は、特に大きくない事は理解していますが、量産品への考えはかなりハードルが高い事になっているようです。

色々なお客様とお話をしていると、そう感じています。

実際に量産品というのは、大量生産から製造数が落ちた事で、流れ作業の速さや丁寧さが変わって来ますから、それなりに良くなっていますが、それでも単品製作との差を考えると、かなり遠い所にあると考えています。

結局は製造速度やコストの問題で、加工の削減をされていたり、丁寧に行う所を短時間で済ませたりしますから、その差は大きいでしょう。

価格帯や仕上がりを見ると、大体の事は分かるかと思いますが、大量生産品に対して色々と細かい所を見て、ダメだしをされる例もあるようですが、それが価格相応の事なので、期待をし過ぎな話だと思います。

それ以上を求めるのであれば、まずは金額をもう少し出して、量産品クラスを狙っていきましょう。

しかしその話をするにも、近年の大量生産品は、バラツキが少ないそれなりに高品質の製品化に成功している例も多く、そこから量産に変えて製造をしているようなケースだと、予想よりも仕上がりが良く無い単品製作品よりも、かえってぱっと見では良かったりしますし、製品の性能も決して悪くは無かったりします。

それは上手く製造できる流れを良く作れているという事になりますから、もう特別な単品製作は必要無いとも思えてしまう事があるくらいです。

まだ試せてはいませんが、かなりの評判で、高級メーカーだと20万くらいで売られているタイプのものが、3万円台くらいで買えるとなると、あえて20万円に行く必要があるのか?と思ってしまうでしょう。

実際にはそれ相応の差はあるはずですが、今の商品で十分に満足があれば、それ以上に行かないという形も十分あり得る事なので、そこまでして何倍も高い刃物を買わなくても・・・と思う事は、おかしい事では無いと思います。

予算と考え次第で、一番上を必ず買う必要性はありませんから、私も必要な内容やご予算に合わせ、丁度良い所をご案内するようにしています。

まずは中級くらいからスタートして、それ以上が必要だと思ったら、少し上やそれより上を購入するのも良いと思います。

いきなり一番上に行こうとすると、それまでの違いや良さも分からずに終わってしまい、ただ高かったと考えるようになってしまい、必要無かったものを買って高いで終わってしまいますから、ある程度の段階を踏んでご購入される事をおすすめ致します。

一つ言える事は、無駄にお金を出す必要は無いですが、多くを望むのであれば、高額な資金が必要になるので、その世界を知りたければ、頑張って購入をするのもありだと思います。

それぞれの刃物に対し、私はそれ相応の資金を投入して、自ら勉強をしてきたタイプの人間ですから、損も得も多くの経験をしています。

その中から言える事は、求める領域と予算をしっかりと考え、求めすぎない事も大切だと思います。

 

2024年9月29日 (日)

満足するところまで

刃物や砥石や研ぎに関しては、深く広く色々な事が混在しています。

これらの組み合わせや使い方で、本当に幅広く深く、違いが大きく出てきます。

何をどこまで求めるかは、個人での違いが大きい所ですから、こうしなければならない!のようなものはありませんが、最低限度のラインというものは、一応設けておく必要性があるとは思っています。

ご自身で設定が難しい場合、どのように考えると良いのかや、知識と技術が不足しているからなのかと、色々思う所はあると思いますが、一番分かりやすい考え方としては、満足するかどうかだと思います。

色々なレベルがあって、基準を作る事が難しい場合も多いと思いますが、それについての事を調べて勉強しようと思うと、時間も労力もお金もかかります。

ですから、特に何も考えない中から、その結果が満足かどうかを見る事で、自分に合う部分を見つける事が出来ると思います。

こだわりは必ず持たなければならない事ではありませんし、最上級だけが全てでは無いと思っていますので、満足を感じるかどうかという所から、まずは体験してみて頂きたいです。

 

2024年9月28日 (土)

参考になりますか?

ブログを色々と長年書いて来ましたが、技術に関する部分のお話は、お客様からあの内容を見ました!とお話頂ける事が結構あります。

見てくださっている事を、普段は認識する事が出来ませんので、そのようにお話を頂ける事は、ありがたい事でもあります。

またその記事をきっかけに、ご利用を頂くケースも多いですから、なるべくちゃんと書こうとも思っています。

自分の声を自分で書く事で、今までの認識がどうなのかや、ご自身での知識と技術が理解できる範囲にあるのか、その比較にも使ってくださっている方はいらっしゃるようです。

私がお話する事は、あくまでも私が思う範囲であり、それが全て正解だとは言いません。

あとは好みの問題もありますし、使う刃物や砥石の違いでも、色々な見解がありますから、一例として捉えて頂ければと思います。

そして年数が経てば、私の意見や結果論も変わる事がありますし、使う砥石や刃物が変わってきたり、研ぎ方に変化が出て来れば、お話する事が変わっていく場合もあると思いますから、ずっと変わらずに新しい内容を見て頂けると良いかと思います。

ただ変わらないものは、私自身が刃物は実用品として、性能を重視しているという所です。

これは開店から10年以上経った今でも、変わらずに研究してご提供を続けている技術の基本としています。

 

2024年9月27日 (金)

音に注目

研ぎを行う際に、色々な注意点がありますが、私が注目すべきと思うのは、音にあります。

音は色々なものを表現してくれますが、砥石や刃物の関係性を明確化してくれる一つの要素です。

音の大きさもそうですが、鳴る音の高い低いや、継続的に同じ音なのか、断続的なばらついた音なのか、それらでもある程度の事が見えてきます。

研ぎをマスターする中で、選択する砥石は色々と変わってくると思いますが、音があまりしない砥石もあります。

その手の砥石に関して言えば、研削性が低いと考えるかもしれませんが、意外と音が少なく小さい方が、思いっきり削れているケースもあったりするので、その辺りは特性の違いを読み解くのも大事です。

同じ砥石を同じ条件で使った場合に、刃物ごとに音が異なるのであれば、それは色々な違いです。

もちろん刃物の種類によっては、全鋼と地金との合わせがあり、その違いだけでも音はかなり変わりますが、刃先を小刃として研ぐ場面では、面から研ぐ場合との比較でみると、そこまで大きな差には出ない事もあります。

他にも研ぎで気にすした方が良い点はいくつかありますが、今回は音に関してのお話を少しだけ書かせて頂きました。

 

2024年9月26日 (木)

本来は当たり前の事です

刃物が色々な意味を含め正しく研げていて、それがまともであれば、刃の切れ味というのはほぼ確実に出ます。

しかし、それが現実的に当たり前ではない事が多く、研ぎに出しても初期のような切れ味が出なかったとおっしゃる方が多いのです。

そもそも初期は、製造業者が製造をしており、製品製造の専門業者が研磨や研ぎを行っています。

販売をしている所は、実は加工は特に行っていないという事も多く、初期の状態に近い設定や研ぎが出来ない為、メーカーに出したのに・・・の声が多いのです。

また、加工する方の当たり外れもあったりしますので、その時の上手い下手は出やすい傾向にもあります。

それと、刃物にはそれぞれの特性や癖がありますから、それを読み取れない場合、切れ味とは無縁に仕上がってしまう事も多いです。

その辺りは経験や年数的な話だけではなく、読み取る力も必要ですから、上手い下手だけの一言の問題ではないと思います。

使用の場面を考えれば、いつもお話をしていますが、ただ刃を付けるのか、その刃に意味を持たせるのかで、全く違った研ぎという言葉に変わりますから、意味のない刃付けから卒業できなければ、本当の意味での良さを理解する事は出来ないでしょう。

使う砥石も人造砥石と天然砥石で、賛否がありますが、私は特別な例がない限り、人造砥石を使います。

過去に色々と試した際に、比較的低価格の天然砥石~超高額の天然砥石まで、色々と試しましたが、今はほぼそれらを使う事は無く、それでむしろ評価が高い部分もあるので、天然砥石を使った仕上げに対して、もう特に価値を感じていない部分もあります。

今でも一部の刃物やお客様には、天然砥石での仕上げでご提供をしていますが、それはあくまでも相性と用途の問題に対しての良さなので、人造砥石が明らかに劣っているような表現になる事は無いと感じています。

ただ、そう感じられるのも、使う人造砥石に良い部分が多くあるからで、人造砥石の9割以上はそういった刃にならないので、結局は砥石をしっかりと選んで使う事を忘れてはいけないのだと思います。

 

2024年9月25日 (水)

厳しい状況

刃物研磨や研ぎでの作業は、どんな状態でも完璧に直せる訳ではありません。

まず大前提として、直しの量が多くなればなる程、完璧に近い直しをしようとすれば、刃物はどんどん小さくなります。

そして場合により、鋼量が減らす事にもなりますので、極力最低限度の範囲を狙い、まずは直す事を考えます。

例えば、浸食サビが深く入っている場合、研いだ部分やその他がどのような状態であったかに関わらず、その浸食サビを取る為には削り込みが必要になります。

また、歪が酷く、そのままの状態で研がれてしまったものは、歪取り後に位置関係が全く合わないものは、全体的に削りでの調整が必要になります。

元の状態が良く、わずかにだけ欠けた場合や、研ぎで少しだけ形が崩れた物に関しては、分からない程度で直す事が出来ますし、最初からこうだったのではないか?と思う程、綺麗に直ります。

あくまでも状態次第で、直せるかどうかや、どのように直すかの選択肢が多いか少ないかも決まりますので、まずは状態の確認とお見積りのご依頼をと思います。

最低限度のラインとしましては、この先、研いで使える状態にするところから始まり、出来る限りの内容を盛り込んでやるのが一番最高地点になりますが、元の状態と合わせ、ご希望になる内容により、納期と金額は大きく変わりますから、ご予算も含めてご相談ください。

状態がかなり悪いor最悪なのに、超低価格で直せるという事は、業界を知る限りでは無いので、むしろそういうお見積りが出るような所は、作業の内容ややり方に大きな問題があるかもしれませんので気を付けてください。

自社製品は安く作業を受けて、他社製品は高いというケースはたまにありますから、安いと感じても、内容や条件など、出来る限りの事を確認の上で、修理や調整をご依頼される事をおすすめ致します。

最終的には、依頼先の知識や技術力であったり、ご相談をされる方のご要望と打ち合わせやご質問のやり方にもよるとは思います。

良い結果の為には、良い知識と技術を持ち、やり方が一つではないような、幅広く対応が出来るところにご依頼ください。

あとは相性の問題だと思います。

 

2024年9月24日 (火)

上級品と低級品

厳密には分ける事が難しい事ですが、刃物のランクで考え、上級品と低級品があったとします。

それらに同じ研ぎで良いのか?と、疑問をお持ちの方が多いようですが、それに関しては私も考えるところです。

実際に今までお話をしたお客様の例で言えば、上級の刃物にはプロ用の研磨と研ぎを行い、低級の刃物には家庭用としての研磨を行うという事が多いです。

仕事で使うかどうかで、刃物研磨や研ぎについての事を決める事が、普段は多いかもしれませんが、上級の刃物に対し、安い研磨を行ってしまうと、勿体ないという部分があります。

当方で行う研磨や研ぎは、プロ用の研磨で無ければまともに切れないという事はありませんが、それでも細かい範囲を見ていくと、作業や加工の方法が色々と異なるりますし、仕上がりの見た目にも違いが多くありますので、高い研磨にして良かったというお声が多いです。

そう考えると、上級品には上級の研磨と研ぎを行う事をおすすめ致します。

考え方を変えますと、日頃から5000円の刃物までしか研いでいない所に、10万円の刃物の研ぎを出せますか?

日頃から30万の刃物を研いでいる所であれば、10万円の刃物の研ぎを出しても安心ではないでしょうか?

それがお店や職人が持つ、仕事のランクの違いであったり、その刃物に必要な研磨や研ぎではないかと考えます。

実際に、20万円の刃物を、2000円で研いでくれる所に出して、取り返しのつかない事になった例も耳にした事がありますので、刃物のランクに合わせ、研磨や研ぎのランクも考えて行きましょう。

私自身、自分でお金を使い、一般の範囲での高額とされる以上の刃物を購入して、研いで使って色々と勉強もしてきていますので、そもそも高額品を触る怖さがありませんし、良し悪しも下から上までかなりの範囲を把握していますから、そういう点は特にご安心頂ける材料かと思います。

 

2024年9月23日 (月)

表面的な事ばかり見ていると本質を見失います。

刃物や研ぎの世界は、奥深く繊細なものです。

何となく理解した感じや、それっぽいものが非常に多く、実際にそれでは不足ばかりなのですが、なぜだかそれを最高であると勘違いをしてしまっている方が多いです。

その理由は、物の売り方であったり説明に問題がある事が原因で、どうしてそんなものが一番良い扱いになっているのかと、疑問に思う事も良くあります。

好みの問題であれば、人それぞれで・・・と思いますが、明らかに間違った内容を正しい事とされてしまっている事も、決して少なくはないので、その辺りは懸念材料でしかありません。

ですから、規模や名前で判断をせず、そこに何が存在するのかは、確実に見ていなければならないと考えています。

分かりやすく例えて言うと、ある企業があって、そこが知らぬ間に名前を変え、似たような事業をしていたとしましょう。

その場合、新しく無名の会社に見えても、今まで培った技術や生産性を発展させ、0スタートのように見える形で凄いものを販売したとしても、それに誰も気付く事はありません。

しかも、無名で存在が良く分からない所の話は、簡単に耳を傾けてもらえないので、その情報が本当は正しくても、実績が無いと判断をされて信用されませんよね。

しかし、現実は実績も経験も豊富で、それが新しく見えただけの事なのですが、結局人が見ているのはそういう所です。

また、よく言われるような信者化したユーザーは、一つの形だけを信じ、他は間違いだと勘違いをしてしまう例も多く、そこで情報の受け入れ態勢は消え去っていますので、他に正しく良いものがあっても、なかなかそこから動こうとしないという事も多いです。

色々な範囲で幅広く見て、良い道具や技術をお探しの方は、誰かの意見に惑わされる事なく、現実を的確に見ている場合が多いのですが、そこまで到達するには、ご自身での知識と技術であったり、経験もそれなりに豊富に必要ですし行動力も大事なので、気を付けないと一つの事だけで頭を固めてしまうようでは、それっぽい情報に取り込まれて終わります。

私自身、色々な経験の中から、良し悪しを見て来ていますが、全てのメーカーの全ての製品を、100%良いと言った事はありません。

おすすめ出来る製品もあれば、あまりおすすめ出来ない製品もあったりします。

それはお客様に素直にお伝えをしていますが、ただおすすめ出来るか出来ないかではなく、その理由も色々と述べた上で、あとはお客様がご自身でそれが良いと思うかどうかんも判断をして頂いています。

つまり、否定をしているとか、売れるものではないという扱いをしているのではなく、プラスがあればマイナスもあるという事を、現実値としてお話をしているだけの事です。

逆に使いようによっては、あるところに性能特化する事もあるので、そういう所を読み取って頂く為にも、誰にでもおすすめが出来る訳ではないという事をお伝えしています。

刃物と砥石と研ぎについて考えると、幅広くおすすめ出来る範囲と、そうではない場合がありますので、色々な事を考え、気になる事があればご質問をして頂き、そこから表面では見えない深い場所の本質について、しっかりと見て頂きたいと思っています。

私自身、今でもお客様からのご意見や情報に、色々と助けて頂いている部分が色々とありますので、お互いに良い方向へ進めるように、偏った考えではなく、正しい見解をしっかりと維持していかれればと思っています。

 

2024年9月22日 (日)

必要か、不要か

砥石の面直し後、砥石の目立てを行うかどうかは、人それぞれです。

私は効率と仕上がりの為に、それぞれ目立てを行う事がありますが、100%ではありません。

本来砥石は、どんな状況であっても、砥石の表面が研ぎで自然に崩れながら、目の調整も行われるものです。

ではなぜ目立て必要になるのか?ですが、砥石が全体的に硬い方向に変わってきているからです。

一時期、意味も無く硬いだけの砥石がいくつも販売されていた時期もありましたが、その手の物は使い勝手が悪く、効率も悪いので、直ぐにブームが去りました。

そういった異常に硬いだけの砥石の場合や、天然砥石の岩のように硬いタイプを使うには、名倉で擦ったり、自分で好きな砥石をカットして、それを名倉にして使ったりして、砥面の調整をされる方が多くいらっしゃいました。

そうしないと、研ぎを進める為のきっかけが作れない為です。

私は硬めは好きですが、タイプにもよりますが、5段階で言えば3~4くらいの硬さを好みます。

柔らかい方が良いような高硬度刃物や、高靭性で耐摩耗性が高い刃物も現代では増えたので、3辺りが実際は必要な感じもしますが、その辺りは硬さだけの問題ではなく、砥石の粒子がどう作用するのかも大事なので、硬さだけでは言い表せない部分はあります。

使う砥石の硬度が変わると、それに対する目立てのやり方や考えも、色々と変えなければ効果が薄れますから、色々な方法での目立ては一応出来るようにしてあります。

可能であれば、砥石のみの性質を使用し、上手く研ぎが出来れば良いのですが、微妙な相性の調整に対しては、有効性は高いと思いますから、私は目立ては100%とは言わないにしても、いつでもできる状況は作っておいた方が良いと思っています。

 

2024年9月21日 (土)

価格以上?

先日、ネットで色々な刃物を検索していて、良さそうなのを一点見つけました。

どうも情報を見る限りでは、新しい鋼材を使用し製造されているようですが、私が知る限りですが、大企業の刃物製造としては初めてのようです。

評判はかなりよく、低価格なのに高性能と言われているようで、一般の方やプロの方など、総合的に評価は高いようです。

サイズがもっと大きいものがあればと思いますが、その辺りは家庭用として作られたものなら仕方ないと思います。

今後機会を作り、是非体験をと思っています。

もしそんな低価格で噂通りの性能だったら、高級品を買う必要はなくなるかもしれません。

色々と細かい所を見れば、価格相応の部分はあるかもしれませんが、刃物の基本となる性能部分がどうなのかで、価値はそれ以上に変わりますから、正確に判断をしたいところです。

 

2024年9月20日 (金)

まだ猛暑日が・・・

少しだけ涼しくなってきたかな?と思う日もあったりしますが、相変わらずで猛暑日がちらほらあります。

夏が苦手な私は、夏の活動力がどうしても落ちてしまいますが、それでもやらなければならない事はあるので、そうも言っていられません。

出来れば夏以外を頑張って、夏は暑さを避けて、雪が降る寒い地域で生活をしたいくらいです。

今年は梅雨の雨が少なく、水不足が懸念されていましたが、その後の雨の多さで関東に関係するダムの貯水率は、かなり高い値を維持しています。

水が無ければ私の仕事は出来ませんので、水不足は死活問題ですから、雨はそれなりに降って貰いたいと思いつつも、線状降水帯やゲリラ豪雨のような危険性のある雨だけは無しにしてもらいたいものだと考えています。

 

2024年9月19日 (木)

結局は作業をする人で決まります

お客様からのご相談で、あるメーカーで同じ刃物を毎年で購入されていた方から、製品のレベルが下がったというお話がありました。

研ぎを行う限りでは、誤差の範囲の性能差だと思いますが、お客様が気になったのは仕上がりだそうです。

見ると確かに、機械加工された範囲で、下地の傷が大きく残っている部分が多く、以前のものはそれが見られません。

もちろん、使用傷は多少なりともありますが、製造時の傷は見え方が別なので、違いは分かります。

これは過去にも記載をした事がありますが、メーカーが改良を加え、製品が変わる事はありますが、業務の委託先や、自社生産だったとしても、作業をする人が変わったりすれば、そういった見た目の違いは大きく変わる事があります。

正直なところ、機械加工の場合で見た目にこだわった仕上げ作業では、段階を踏んだ作業をまともにやっていれば、そこまで目立つ下地傷が出る事は無いのですが、それでも傷を残してしまうような加工品が出回る事はあります。

その時は、外れだと思うしかないでしょう。

もしくは生産基準が変わり、そういった傷はスルーする生産になったなど、裏事情があるかもしれません。

その刃物を過去に購入し、その時の感動や安心感を!と思えば、やはり遜色ない状態というのは求められますから、最低限度の品質管理として、管理責任者の責任は大きいでしょう。

手作業品に関しては、100%同じにするのは難しいので、機械加工とは違う見解になります。

当方での機械作業と手作業でも、レベルの高い範囲に関しては、年々良くなっているとおっしゃって頂けていますので、見た目重視ではなく、実用の刃物の性能を引き出す研磨や研ぎとしては、安心してご利用ください。

 

2024年9月18日 (水)

ご案内が少し遅れていますが・・・

8月末か9月頭に・・・と思っていたご案内が、いくつか遅れてしまっています。

そのうちの一つは、出来る限り早めにと思っていた内容で、何となくのご説明ではなく、正しく書かないといけない内容なので、簡単にだけ書き出してある内容を文章にまとめ直し、掲載をしなければと思っています。

 

2024年9月17日 (火)

苦労は必ずします

研磨や研ぎの仕事だけではなく、どんな技術職であれ、慣れた仕事であろうとなかろうと、大変さはありますし、毎回難しいと感じます。

もしそれが、余裕で適当にやっても完璧に出来る!と思うくらいなら、それは本当の意味でまだまだ出来ていないのでしょう。

ある程度の誤差があるにしても、毎回状態の把握と作業の進行を見つつ、その都度で色々やり方を調整したり、基準をどこに作るのかなど、模索しながらやらなければ、良い仕事にはならないと考えています。

同じように見える刃物でも、それぞれに色々な違いがありますから、全く同じではありません。

そこから考えると、同じ作業を同じようにしているのでは、結果が良くはなりませんから、やはりやり方を色々と変えながらやります。

正直なところ、加工出来る範囲に限りがある作業の場合、元の状態に依存した作業になるので、終了時点で想定が変わってしまう事がありますが、それはどうしようもない部分です。

何もかもを加工出来れば、それは回避できる事もありますが、削り過ぎていたりするものを調整するのは、かなり困難な事なので、製造時の状態であったり、使用中で現在の状態など、それらがどうなっているのかというのは、本当に大きな問題点になります。

ですから、無理にご自身で直そうとせず、お早目に調整や修理などのご依頼をなさってください。

 

2024年9月16日 (月)

ジャンル違いです

以前にも似たようなお話を記載した事がありますが、日本刀研磨に関してのお話です。

お問い合わせの中で、居合抜刀試斬にお使いの日本刀の研磨を、美術研磨の方にお願いしようとして、斬る為の研ぎをとお願いしようとしたら、お断りされたとの事でした。

理由は美術品として綺麗に仕上げる事が、美術研磨における仕事となっていますので、実用性を求めたお話はお断りされるという例が多いと聞きます。

逆に当方のように、居合抜刀試斬用の実用研磨を行っている側からすれば、美術研磨のように綺麗にして欲しいと言われれば、それは美術研磨の領域になりますので美術研磨の研師さんにお出し頂いた方が・・・と、必ずお話をしています。

同じ刃物であっても、それぞれで得意分野が異なりますので、確実に分けて考えた方が良いと思います。

良くある居合研ぎと言われるものは、美術研磨の作業の流れを省略しているものなので、厳密に実用品でもなく、どう捉えて良いのか分からないとおっしゃる方がいらっしゃいますが、美術研磨の綺麗さに近い状態を安く得られるという意味では、見た目を気にされる方が低価格で研磨に出す為の範囲との認識です。

残念ながら、美術研磨程の厳密な形状や面の構成、拭いや刃取りの精密さや綺麗さ、実際に斬る場面でしっかり生きる刃、は存在していませんので、そこは価格相応の事と判断される方は多いようです。

美術研磨の高額な作業は、日本刀展示などの場で品評会の賞を取らないと、なかなか仕事が貰えないようですから、名前が売れるまでのつなぎや、仕事が暇な時にのみ受けているとされるのが、居合研ぎになります。

美術研磨は美術品としての芸術的研磨を受け、居合研ぎは美術と実用の中間の研磨受け、当方のような実用研磨は実際に試斬に使う為の研磨を受けています。

そういった判断をされる方が多いですし、私もそのように考えています。

一番の理想を言えば、美術研磨で素晴らしく斬れる事だと思いますが、それだとあまりにも金額が高くなり過ぎて、綺麗さや刃をキープしきれない実用の場合には、適さないとは思いますので、丁度良い頃合いが居合研ぎになったのだと考えられます。

私が明確に実用研磨としてのお話をするまで、日本刀の世界では実用研磨を大々的に売りにするところはありませんでした。

日本刀の美術研磨としての正式なやり方の流れはもちろん把握していますが、その流れの中からだと、本当に実用に向いた斬れ方を表現する事が難しい事が分かりましたので、他の色々な刃物研磨で培った技術を色々と含め、実用の為だけの日本刀研磨を開発しました。

ただの刃付けではなく、形状や構成、研ぎの段取りなど、それらの違いが特にはっきりと出るのが、刃物に対する実用の研磨や研ぎになります。

それは日本刀でも例外ではなく、必要な構成が不足していれば、そこを生かす事はやはり出来ませんので、研究や開発を色々な方々のご協力も頂きまして、こうして完成をしてきました。

特に試斬や斬稽古が多い道場の方のご利用が多く、ご意見もフィードバックしてきていますので、間違いなくおすすめを致します。

美しさにかける部分を、実用性能に全て持って行っている分だけ、別格や別物と言われる違いは表現出来ているかと思います。

日本刀を造る刀工の方でも、ご自身の日本刀を居合抜刀試斬方面に販売されたい方は、是非ご相談ください。

過去の特注での日本刀販売に関する実績などもありますし、当方は割合的に多くの方が実用メインの方なので、そちらの方面で実用刀を欲していらっしゃる方は多いです。

中古で買うにしても、実用性能がどうなのかが分からないので、購入を躊躇されている方が多いと感じていますが、性能に対しての安心感が出せれば、新作刀のご購入は増えるはずです。

なお、拵の製作や修理なども合わせて当方でお受け出来ますので、総合的におまかせを頂ければと思います。

それと、古物商の免許を正式に持っていますので、日本刀を堂々と扱えますから、売買をご希望の方も、是非ご相談ください。

 

2024年9月15日 (日)

たまに訪れる別格で良いと思える刃物

研磨のご依頼品の中に、研いでいてしっくり来るものがたまにあります。

これは何となく良いかも?程度ではなく、明確に違いがあって、これは凄い!と思うレベルです。

今回もそれがありました。

商品の金額が高いものなので、全ての製品がそうであって欲しいと思いますが、ほんの僅かな事の違いなのでしょうけれど、それでなぜかこれだけは・・・のような特別なものが現れます。

それを引いた方はラッキーだと思いますが、ご自身でそれをどこまで感じられるのかは、私が研磨する事にもかかっていますので、良いと感じてもらえると嬉しいのですが・・・。

 

2024年9月14日 (土)

切れる刃物と切れない刃物の差

刃物を研いで使うのは当然ですが、その刃物が切れるか同課の問題には、色々な事が関係しています。

刃物の性質、使う砥石、研ぎの技量、などが主な部分となります。

その中でも重要なのは、やはり研ぎの部分です。

同じ形の刃物を10本持っていたとしても、研ぎに問題があれば、10本とも生きてこないからです。

良い刃物と良い砥石を持っていて、砥石修正もしっかりして、研ぎは安定している状態でも、まともに切れる状態を作れない方も多くいらっしゃいます。

その理由は、刃物に刃付けをする事にだけ注目している為です。

刃物で切断をする場合、刃物の刃はもちろん重要ですが、その形に大きく影響されます。

刃が鋭角になって行く方と、鈍角になっていく方は、いずれも良くいらっしゃいますが、それ以外にも丸みが強くなったり、段が大きくなったり、色々なパターンもありますので、それらの組み合わせにより、刃が付いているかどうかではなく、切れなくなる要因が増えます。

切れないと一言で言っても、切りにくいで済めば良いのですが、切り込めない、切り進められない、などの問題に直面する場合もあります。

刃物が切断対象に対し、どのように作用するのかを考えると、その刃やその形状では難しいという事が判断できますが、慣れていない方の場合や、一般的に当たり前のような研ぎしか行わない所では、それは理解できない部分になります。

何かで表せるようなものではなく、実際に作用する具合というのは、私は総合的な「現実値」としています。

それは、数字では表せられないような、感じ取る事や実際に起こる状況として表現をしているので、数値で表されているのに、どうも違う感じがする事が多い中で、納得のいく表され方になるでしょう。

体感をただ伝えるだけなら、その一本の刃物で出来ますが、この現実値に関しては、他との比較を含めた表現が必要でありますから、経験や知識などを豊富に持たないと、表現が出来ませんし、話を受け取る側も理解するのは難しいでしょう。

入り色な方々とのやり取りの中で、こうした現実値は生まれてきますが、これから目に見えない感じた部分を大切にと思う方は、少しでも多くの経験と知識を持ち、交流を深めて行かれれば、どのように刃物を購入し、それをどう研いで使って行けば良いのか、まともな方向性が見えてくると思います。

私が色々な商品や技術をご案内する場合、自分がどうであるという意見も勿論含めますが、色々なパターンに合わせ、適切に一致しやすい内容をお話させて頂いています。

お客様側としましても、ご自身がどういう考えをお持ちで、実際に自分の今の状況がどうなのか、理解をしてお話する必要もありますから、望む部分だけを表に出すのではなく、それがどういった方向性や立ち位置になるのか、ご理解頂く事も大切かと思います。

 

2024年9月13日 (金)

梱包は非常に大事な事です!

色々なところでネットから商品を購入するようになり、荷物を多く受け取るようになった頃から、ずっと気にしている事がありました。

それは、荷物の梱包についてです。

自分が購入して届いた中で、何度も商品の破損を経験しており、なぜこんな状況で送って大丈夫だと思ったのか?と不思議でなりませんでした・・・。

一言に梱包と言っても、色々な箱のタイプがありますが、箱自体の強度はさておき、梱包がどのようにされているのかを、過去から興味がありました。

丁寧なところは箱の縁が整っており、強度の為にテープの補強貼りがされていたり、中には緩衝材を丁寧に入れてあり、商品が絶対に破損しないように!という気持ちが強く出ている所もありました。

箱ものの中に箱が入っているのに、更に2重箱のようにしてあったり、商品との間に緩衝材や段ボールで衝撃をおさえるようにしてある事もありました。

特に割れ物の場合や、曲がる可能性がある物の場合、梱包には色々な計算が必要となります。

私が開業する前に、色々な企業の方や、様々な分野の開業をされている方などに、色々なお話をアドバイスとして頂きましたが、その中に梱包のお話が僅かですがお聞きする事が出来ました。

元々荷物で色々な商品を受け取っていましたし、この梱包はどうなんだろうか?と思う事も多くありましたから、やはり梱包に気を遣う必要性は強く感じました。

開業から現在まで、梱包不良による商品などの破損は、今まで一件もありません。

特殊な刃物も扱っていますので、その辺りのご心配をされる方もいらっしゃると思いますが、色々と検証をしてそこから計算をした梱包方法も考えてありますし、そのおかげもあると思います。

梱包が開けにくい!ゴミが多く出た!そんな大きな箱で送ったら送料が高くなる!と、お叱りを頂いた事が過去に何度かはありましたが、破損してお届けしてしまうよりは良いと思っていますので、そこはご理解を頂くしかありません・・・。

余裕をもった梱包により、衝撃から守れる範囲が多くありますから、なるべく大きめの箱に入れるようにしているのも特徴です。

そこまでやらなくても大丈夫では?と言われた事がありますが、万が一であっても破損は極力避けたいので、同じような条件であっても、出来る限りの事はやっています。

見る方からすれば、それは丁寧で神経質で職人としての信用もあると、非常に嬉しいお言葉を頂けた事も多くありましたので、ご理解を頂ける事は非常にありがたいと思っています。

私が状況を確認して、お見積りを作成し、作業をして、梱包をして、お届けとなっていますので、一貫して私の目と手で繋がっていますから、そこには複数の目や手など人を介したような、どこかで一つの問題も基本的には起こりません。

よく言われるお話ですが、料理のコースを食べて、一品でも美味しく無かったら、そのコース自体が美味しくなかったと感じてしまう方が多いとされるように、それぞれが大切な事だと思っています。

真面目に刃物と向き合っていますし、正しい情報をお伝えしようとしていますので、その辺りは厳しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、お客様のご機嫌を損ねないように・・・と、上手く話を合わせてご機嫌取りをして嘘を伝えるような形ではないので、信用をして頂ければと思います。

実際に今まで、色々なところで刃物研磨をご利用になり、何が悪いのか解決出来なかった方が、当方をご利用になって、使用や研ぎに問題がある事を知り、なぜ今までのお店は真実を伝えてくれなかったのか・・・とショックになられている方もいらっしゃいました。

真面目に向き合うと、悪く聞こえてしまう事もあるかもしれませんが、真実を知らずにずっと恥をかき続けるより、改善の道に進める方が良いと考えていますので、率直に状況や改善の内容をお伝えしています。

自分が正しかったのか間違っていたのか、お店が正しかったのか間違っていたのか、お互いに正しかったのか間違っていたのか、それらが分かるだけでも、その先の刃物ライフは大きく変わります。

いくらでも厳しくと言われれば、私がその刃物の状況を色々な方法で確認をし、何が良く無いのかを細かい範囲までお話も出来ますので、ご予約の上でご来店なさって、刃物のこの先の為にご相談ください。

 

 

 

 

2024年9月12日 (木)

粉末系の鋼はサビるのか

粉末鋼や粉末ハイスと呼ばれる鋼は、管理が悪いと当たり前のようにサビが出るタイプと、サビにくいタイプとで分かれています。

それは鋼を製造する時に含める成分の違いで、言うならば「鋼系」と「ステンレス系」のような違いです。

サビが出る場合、全体がサビるタイプと、点サビだけ出るようなタイプがあり、これらは上記の鋼とステンレスの違いのようなものです。

どうしても炭素部分はサビが出る可能性がありますので、良く言われるサビにくいとされるステンレスやモリブデンでも、使用状況によってはサビは出ますから、決して「サビない」とは言われていないと思います。

もし万が一、絶対にサビません!と言われたら、それは残念ながら嘘です。

粉末系のものでも、全体的に錆びやすいものは、強度と硬度を重視した感じで作られており、鉋や切出小刀、革包丁などに使用される事がありますが、鋼の延長線上として高強度の鋼扱いだと思うと分かりやすいでしょう。

包丁方面でそれらが使われる事がありますが、家庭用の物で左右にステン系で挟んだものが多く、刃の部分だけがサビるような例が多いです。

また、サビにくいタイプの場合は、包丁に良く使われていますが、全鋼での使用より、ステン系との2枚合わせや、左右にステン系で挟んだものが多くあります。

鋼が高価である事や、扱いが難しい為、地金を付けた方が加工性が良く、破損にも強くなる為とされていますが、その辺りは同じような粉末でも性質の違いなどもあり、靭性が十分にあるタイプや、製造方法により靭性を確保できる場合には、一枚鋼でも製造されていますので、その辺りは製造や販売次第と言えるでしょう。

粉末鋼が出始めた初期は、刃がボロついたり、想像よりも耐久性が低いと言われた時期もありますし、切れ味の初期低下が早いなどと言われた事もありしたが、粉末冶金法の進化により、それはかなり改善されています。

それに関しては、よくある鋼系やステンレス系と比べ、研ぎ方次第で性能差が特に変わりますので、粉末鋼の場合の良い研ぎ方というのを、どれだけ解明出来るかで、生きる刃が作れるかどうかになりますので、この辺りは大きな難関になるかもしれません。

その辺りは私の研究材料として、解決策を見つけてありますので、それだけでかなり回避が出来ます。

中研ぎ~中仕上げ程度までなら、そこまで気にしなくても良いと思いますが、超仕上げクラスの研ぎをと思う方は、想定より良い刃に仕上がらないという事はかなり多いようですから、知識として知っておくのは良いと思います。

 

 

2024年9月11日 (水)

注意書きについて

当店のHPには、各作業や販売ページに、注意書きを色々と書いています。

今までご質問頂いた内容や、予めお伝えをしておいた方が良い内容を、出来る限りで書いてあります。

特に研磨や研ぎの事に関しては、注意事項が多く書いているページもあります。

こういう場合には・・・は非常に重要な事です。

それらを必ず良く読んでください!と、何度かブログでも記載してきましたが、実際にご利用の場面になって、それは知らなかった!とならないように、必ず良く読んでください。

書いてあるそれ以外でも、もしかしたら・・・と思う事やご心配があれば、遠慮なくご質問ください。

必要に応じて出来る限りでご回答を致します。

よくあるご質問は、事前見積りですが、これに関してはHPに記載の通り、参考価格を書いてありますので、そちらでご確認ください。

作業として可能性のある範囲や、オプションとしてご選択を頂いた場合はそれらも足して、送料を含めれば大体の金額になります。

注意書きを書いてあるのは、色々な理由がありますので、是非しっかりと読んで頂き、必要に応じてご質問も頂ければと思います。

なお、お客様に絶対これだけは自己判断しないで頂きたいのは、刃物が曲がっているかやねじれているかどうかの判断です。

これに関しては、大変申し訳ありませんが、ほとんどの方が曲がりの見方をご存じありませんし、見方を知っても見えない方がほとんどな状況です。

ですから、私の目や高精度ゲージで確認をするまでは、正しい情報とする事は出来ません。

もし、曲がりはありません!、とご連絡を頂いても、そうおっしゃるなら歪取りは不要ですね!と、素直に受け入れる事は難しいので、そこは当方の判断におまかせください。

逆に曲がりが大きいなら、それはお伝え頂いておいた方が良いのですが、カメラのレンズや撮影で歪みも出ますので、良くも悪くも、やはり実物確認をするしかありません。

良い結果になる為に、必要な事が多く含まれたお話でもありますので、是非ともご協力をお願い致します。

 

2024年9月10日 (火)

店頭でお使い頂けるお支払方法のご案内です!

店頭では以前より、現金とカードと電子マネー(一部)でのお支払いが可能でした。

本日このブログ更新時点より、可能な範囲が増えましたのでご案内を致します。

「現金、カード、電子マネー、QRコード、IC(交通系電子マネー)」、など、幅広く対応となりましたのでご確認ください。

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ご予約により店頭をご利用で、私が直接対応をする場合や、豆ねこ経由で刃物をお返しする場合にも、現金とこれらのお支払方法を合わせてご利用頂けます。

また、ネットからのご利用の場合、現金のお振込み以外のお支払いに関しましては、「PayPal」経由でカードによるお支払いのお手続きも頂けます。

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※ネットからのご利用で、「Square」経由も可能となっており、店頭ご利用の場合と同じカード6種が対応可能です。

必要に応じて、「PayPal」か「Square」からご選択ください。

これらの情報は、HPにも常時掲載を行ってありますので、こちらからご確認の上でご利用くださいませ。

 

2024年9月 9日 (月)

正確には覚えていませんが・・・

過去、始めて砥石を手にした時から、現在までに所持や触った事がある砥石は約500丁です。

その中には、頂き物で似たようなサンプル品なども含まれていますが、一応別物ではありますので、それらもカウントに入れていました。

途中から数える事をやめていたので、正確な数は分かりませんが、500丁は多分超えています。

その経験からお話出来る事は、かなり多くありますが、特に数から得られた情報としては、砥石とは何なのか?という所です。

砥石は刃物用のもので、人造砥石、天然砥石、ダイヤモンド砥石、があります。

その中でも多いのは人造砥石で、製法も何種類かあります。

人造砥石の利点は、安定した性能の品を手に入れられる事で、誤差等は仕方が無いと思いますが、改良がされていない限りは、ほぼ同等の製品を何度でも購入できますので、私は一番おすすめをしています。

天然砥石に関しては、色々な荒さの物を使用しましたし、特に仕上げ関連の物に関しては一番多く試しています。

不純物が出る事がありますし、層が変わったところで性質が変わる事もありますから、天然砥石はおすすめしにくく、良品に出会うのはギャンブルを重ねる必要があります。

厚みの比率で見ると、寿命が長い所は良いですし、特に炭素鋼系との相性は良いと思います。

上手く使いこなすと、成果が出るタイプの砥石になります。

それらの内容から、気軽に砥石を使いたい方にはあまりおすすめはしていません。

ダイヤモンド砥石はいくつかの製法がありますが、研ぎで良く使われるのはレジンボンド系の物でしょう。

電着系やセラミック系で見ると、研削性は高いのですが、攻撃性が高すぎて、刃物との相性が悪い物が多いですし、レジンボンド系がおすすめしやすいです。

レジンボンド系は過去製品だと、研ぎ滑りや目つまりする物が多く、力も弱く感じてしまう場合があり、想定の#より荒目を使っている事も多くありましたが、現代では研ぎ味の良いレジンボンド系も出ていますので、そちらはかなりおすすめです。

ダイヤモンド砥石の良い所は、硬質刃物への対応力が高い事や、研ぎ減りが少ないので、砥面管理をしやすい所にあります。

金額的には厚み比率で見ると高額になりますが、人造砥石と同じmm数だけで見るより、何倍も多く研ぎが出来ますし、特別な性能として考えれば、異常に高いとは思わないでしょう。

それらの砥石の使用経験から言える事は、刃物との相性だけではなく、砥石として全く機能しない製品が意外と多いという事です。

500丁として見た場合、100丁以上は使いどころが無いと言えるような性能でした。

ただ研磨剤を固めただけでは、砥石として機能しない事が、そこからは良く分かります。

良いとされる砥石の製造は、研究開発ので苦労があり、非常に繊細な世界でもあると感じています。

詰まり、砥石を扱いには、その性質を良く知り、性能を生かせるような使い方が大切になります。

研ぎが早い事は非常に助かりますが、仕上がりが悪ければ意味がありません。

そして、仕上がりが良くても、研ぐのに時間が異常にかかれば大変になってしまいます。

丁度良い頃合いがありますので、その範囲で相性良く使える砥石を見つけ、使いどころに合わせて砥石を変えていく事が正解であると、私は過去から強く感じています。

良い砥石とは何なのか?と考えると、良質の材で研究の末開発された砥石であり、その砥石を使う事の安心感があるというのが、手を伸ばしやすい砥石にもなると考えます。

研ぎを学ぶのはもちろん大切ですが、それと合わせて刃物や砥石を知る事で、研ぎは格段に良くなります。

実際に私がお客様のご使用に合わせ、おすすめした砥石や砥石修正器などを使用した事で、一気に研ぎが飛躍したケースが多くあります。

それ程に良い砥石は、研ぎをサポートしてくれますから、良品を使う意味は大きいと思います。

当店で砥石や砥石修正器をご購入の場合、ご使用方法も簡単な範囲までならお伝えしていますので、良い結果に繋がるようなお買い物を是非なさってください。

 

 

2024年9月 8日 (日)

研ぎによる「光沢」や「濁り」の違い

刃物と砥石の関係性により、仕上がりの見た目は大体が決まってきます。

どうしても思う見た目にならない!のように、ご相談を頂く事があります。

刃物硬度や砥石のタイプにより、その結果が変わって来ますし、それぞれの硬度によってもそれは変わりますから、大体の事は把握をしておくと良いでしょう。

まず刃物の研ぎで光沢が出やすい場合ですが、刃物の硬度が高く、砥石が硬い場合に多く見られます。

硬い同士だと表面が擦れる程度で、研ぎ汁も出にくく、砥石の表面で刃物を研ぐような感じですから、光りやすい状態になります。

逆に刃物が濁りやすい例としては、刃物硬度が低く、砥石が柔らかい場合に多く見られます。

刃物が柔らかいと、砥石を多く掘り出し、砥石の攻撃性が上がったのと同じ状態になり、研ぎ汁が多くなりますから、濁りやすくなります。

このように、とぎ汁の量によって、濁り具合が出やすい傾向がありますから、硬めの刃物と硬めの砥石の場合でも、予めと研ぎ汁が多く出るように、砥石の修正を荒くしておいたり、砥石の面直しなどの方法でその砥石の汁だけが出るようにし、その状態で研ぐ事でも結果が変わります。

また、力加減としては、強い力で研ごうとすると光沢寄りになり、弱い力で研ぐと濁りに寄ります。

とぎ汁を流しながら研ぐ事で、濁りにくくなるというのもありますので、研ぎの環境や状況を変える事で、研ぎの仕上がりを変える事も可能です。

最終的な仕上がりの状態により、切れ味の変化が出る事はありますか?と聞かれる事もありますが、同じ刃物と同じ砥石の組み合わせでも、研ぐ方によりかなりの差が出ますから、明確に変化は出る!とお答えできます。

研ぎの上手い下手をそこで議論するつもりはありませんし、個人の好みの問題ですから、その辺りはご自身での判断になりますが、刃の性質や切れ味を上手くコントロールするという意味では、これらをいくつもの方法で扱えるようにしておくと、意味のある研ぎが完成しやすくなると思います。

良く言われるような、刃物の厚みや角度などで表される研ぎの性能や切れ味とは異なる視点で、こういった内容も合わせて考えていくと、更に良い研ぎへと繋がって行くでしょう。

逆にそれが出来ないようでは、一流のプロの研ぎとは言えないと思いますから、研ぎをお願いする場合、色々なコントロールをして表現が出来る方なのかは、良い研ぎをお願い出来るかどうかの判断基準の一つでもあるでしょう。

お代を頂く以上、プロとしての技術を盛り込んで、ご満足頂ければと思っていますので、何も考えずに作業をするような事はありません。

お客様にお返しをし、それが良かったと言って頂ける事で、ようやく安心できるのが私の仕事ですし、その先もお使い頂いてどうだったのかは、気になる事なので、その場しのぎの研ぎで、瞬間的な良さで誤魔化すような事はしません。

 

2024年9月 7日 (土)

代金は変わりますか?

お客様からの刃物研磨のお問い合わせで、刃物の種類、メーカー、刃物の名前やランク、鋼の種類、などの詳細情報を頂けるケースが多いです。

当方としましても、お問い合わせで何をどうしたいのかというご要望だけではなく、どんな刃物なのかが分かれば、お話出来る内容が多くなりますので、どんな事に関しても細かくご記載頂いた方が良いです。

ご自身で把握をされていない場合、想定的なお話でしかありませんので、なんとなくだけ可能性論をお話するしかありませんし、実際に実物を確認してみたら、状況が大きく異なり、その想定も大きく外れてしまう事はあります。

特に気にされるケースが多いのは、粉末系の鋼のご依頼の場合です。

高硬度系は研磨が難しく、簡単には削れてくれないので、代金が上がるケースがありますが、そもそも削れるのかどうかという所をご心配になる方もいらっしゃいます。

当方では、高硬度鋼にも対応できるよう、色々とご用意がありますので、その辺りは問題ありません。

他の鋼類に比べると、確かに加工には時間がかかりますし、機械で使う部材の消耗も早いので、その分の代金は高くなってしまいますが、加工自体が出来ないという判断にはなりませんので、その辺りはご安心ください。

実際に高硬度刃物の研磨は、断られたというお話は多く耳にしますので、機材や道具などが対応出来ない所は意外と多いと思います。

唯一お受けしていないのは、セラミック系の刃物です。

削って刃付けが出来ない訳ではありませんが、製造メーカーが加工しているような専用機材や部材は持っていませんので、相性の問題で良い条件を作り出せませんから、メーカーに直接お出し頂く事が一番良いと思います。

それ以外の鋼に関しては、ほぼ問題なくお受け出来ます。

あとは実際の硬度や形状次第になりますので、それぞれの各種刃物研磨のページに記載の内容をご確認頂き、情報が不足している場合には、直接お問い合わせください。

少なくとも、メーカーと商品名などが明確に分かり、メーカーHPや販売店の説明書きが確認できれば、可能かどうかの事は大体分かりますので、詳細と合わせてお問い合わせください。

 

2024年9月 6日 (金)

研磨や研ぎで直せるものと直せないもの

欠けやサビなどにより、研磨と研ぎでの直しのご依頼は良くあります。

軽い物であれば、いずれも問題なく直せる事の方が多いのですが、その辺りでもご心配な方は多いようです。

例えば、サビと一言で言っても、どのくらいが軽度で、どこから重度になるのかの判断は、一般の方では難しいと思いますので、このくらいは大丈夫!とは簡単に思えないのも分かります。

表面的なサビというのも、軽そうに見えて浸食している場合もありますから、実際は作業をしてみないと分からない場合もあると言えます。

浸食している場合、表面だけ軽く磨いたり削る程度では取れないですし、刃先側に浸食している場合は、穴になる可能性があるので、その場所は研いでも刃が付きませんから、削り混んで取り除く必要性があります。

欠けに関して言えば、ほんのわずかに見えるか見えないかの欠けもあれば、大きくごっそり欠けているものもあります。

大きな欠けの場合には、全体的にその欠けの分を取り除きますから、かなり大掛かりな作業になります。

一番怖いのは、欠けだけだと思っていたら、内部に亀裂が入っている場合で、亀裂は見えにくく確認もしにくいですから、様子を見ながら削って確認をしていくしかありません。

表面的に見えている亀裂も、亀裂が綺麗に合わさって見えていれば小さく見えてしまうので、実際は大きく入り込んでいる事もあります。

これらで直せないのは、全く無いように見えるかもしれませんが、刃物の性能や寿命面を見れば、正確に言えば直せない場合もあります。

その刃物が、このくらいの厚みと幅が必要である!という場合、削り落として直すしかないものは、極端に小さくなりますから、今と同じ状況を維持する事を条件で可能かどうか?と聞かれれば、NOと言わざるを得ません。

この辺りは考え方によるのですが、100%の条件を維持する事は不可能なので、何も変化せずというのは何をやろうにも難しいです。

直すという事がどういう事なのかを理解すれば、そういう状況にならないように使う事がどれだけ大切な事なのかも分かるでしょう。

調整と言える範囲の直しで収まるように、刃物は大切に使ってあげてください。

それが低コストで長寿命の刃物ライフを送る良い形になります。

 

2024年9月 5日 (木)

鋼材や製造方法により刃物の性質は大きく異なります

同じ形状の刃物でも、大きく違いがあるのは、鋼材の違いや、鍛造、熱処理、などで変わる範囲です。

細かいお話をすると長くなるので割愛します。

良くあるご質問は、同じ鋼材なはずなのにこれとあれがこんなに性能差があるのはなぜなのでしょうか?というお話に繋がります。

一番の違いは、熱処理温度によるものだと思いますが、どう考えてもおかしい硬度のものはたまにあります。

そういった場合、鋼が違うのではないか?と疑われやすいのですが、中にはそういうものもあるでしょう。

現代では金属の成分分析が試験で行えますから、鋼を偽ると大問題になります。

もちろん製造方法を偽って販売する事も、商品を偽った製造販売になりますので、大問題になります。

食品で言えば有名なお話になりますが、産地偽装と同じようなものです。

どれだけ大きな問題なのかを考えれば、製品の製造方法や鋼を偽る事で、わずかな利益差を獲得したところで、後に残る偽装企業としての汚名の方が将来を潰す事になるので、正常な考え方としてはやらない事だと思います。

刃物の硬度は色々な表現がありますが、分かりやすく砥石で研ぐ事で感じ取れる硬度として考え、硬いか柔らかいかの違いが、意図的に狙ったものなのか、意図せず変わってしまっているのかで、その刃物の使用範囲や価値は大きく変わるでしょう。

実際に買ってみないと刃物の性質は分かりませんので、どこの誰が薦めているのか、何をメインに考えて薦めているのか、良く考えてその方の意見を受け入れましょう。

有料案件による、ただの宣伝目的の紹介も多いので、それが本当に良いとした紹介とは限りませんから、十分にご注意ください。

 

2024年9月 4日 (水)

ジャキジャキ???

包丁で色々な野菜を切る時、ジャキジャキ・・・のような凄い音がしていませんか?

この原因は、刃がまともについていない場合か、小刃やその付近ばかりを研ぎすぎていて刃の厚みが分厚くなっていたり、刃角が鈍角過ぎる場合、などが多いです。

これらの回避の為に、刃先方面の厚みを抜く研ぎを行いますが、ご自身で日頃から上手く研ぎながら使う方と、普段は小刃付近のみを研いで、厚みが増えてきたら当方のような研磨のプロの所にお出し頂き、直される方も多くいらっしゃいます。

あまり極端に薄くし過ぎると、強度が低下しますので、野菜がバリバリと裂けるような感じにならないギリギリを狙うと良いと思います。

当方でこの手の直しを依頼される場合には、想定より少し鋭角気味にします。

それでは先に記載をしましたギリギリを・・・の話とは違う感じに見えてしまうかもしれませんが、小刃の研ぎを多く繰り返す方の場合、厚みが早い段階で増え始める傾向がありますので、初期は傷めないように気を付けて使って頂き、少し小刃研ぎを行った頃合いで、丁度良い感じになるところを狙っている為です。

日頃から厚みの事を意識して研ぐ事は、結構大変な作業になりますし、時間もかなり必要になるでしょう。

特に研ぐ本数が多い方の場合、毎日の研ぎは重労働になりますから、そこから解放される意味では、定期的に当方にお出し頂き、厚み抜きやその他調整を行って頂くと、普段の研ぎ自体も楽になりますし、良い状況を維持できます。

包丁の研ぎは、ただ刃を付けるだけでは不足なので、出来る限り環境に合わせ、研ぎを色々と変えていきましょう。

それにより、食材へのダメージを減らすだけではなく、気持ち良く刃物を使えますし、ストレスから解放されます。

 

2024年9月 3日 (火)

手が込んだ作業が増えました

当方で現在行っている日本刀研磨は、大きく分けて4種あります。

・お急ぎ実用研磨 ※作業内容の指定不可、ネットからのお申込みでお荷物でのみ対応)

・おまかせ研磨 ※作業内容の指定不可、ネットからのお申込みでお荷物でのみ対応)

・居合抜刀用面精度研磨(通常の磨き)※当店の日本刀研磨の基準となる研磨

・居合抜刀用面精度研磨(斬れ味重視)※切り損じをしないレベルの上級者の方用

となっています。

これらのご説明は、何度か書いてきていますので、割愛させて頂きます。

詳しくはこちらのHPでご確認ください。

さて、お急ぎ研磨はまだ開始して長い年月が経っていませんので、お伝えするレベルでの変更等は特にありませんが、それ以外に関しては、大きな改良をお伝えしている以外にも、細かい改良は色々と行っています。

ご依頼を頂く性能や状態などにより、色々なパターンの日本刀を見て来ましたたが、想定される範囲とは異なるものも稀にある為、それらにも対応が出来るように技術を追加をしたり、少しでも良い状況が作れるようにやり方を変えるなどしています。

一番多く変更されたのは、おまかせ研磨で、過去に比べ機械の使用量を減らし、手作業部分を多くしました。

それは、お急ぎ実用研磨が出来た事で、そちらは機械ベースの作業としていますから、レベルUPをしたかったというのがあります。

お急ぎ実用研磨とおまかせ研磨だと、結果にどのくらい差がありますか?とご質問を頂いた事がありますが、日本刀の現状の状態や性能により・・・としか言えません。

居合抜刀用面精度研磨と比べ、厳密で高精度な作業を主な部分としていませんので、現状の状態から斬れる状態に持って行く事を重要な部分としています。

その中でも、おまかせ研磨の方は、居合抜刀用面精度研磨のような高精度な面の構成は作りませんが、手研ぎにより調整は行っていますので、お急ぎ実用研磨よりは精度が良く、総合バランスは上になります。

これらはいずれも当方の中では並研磨としていますが、機械研磨を行う時点での精度が、良くあるような機械研磨のように凸凹ではありませんので、それだけでも無駄な膨らみがあったり、やり過ぎた凹みが出来る事により、強度が部分的におかしくなるような事は出ませんから、実用刀としての研磨では、十分信用には値すると思います。

なお、お急ぎ実用研磨とおまかせ研磨は、現在お使いの日本刀に限りますので、打ち下ろし刀や加工途中のものなどの対応は、例外を除きお受け出来ません。

特に打ち下ろし刀の場合、最初のバランスや調整の作りによって、将来の方向性が大きく変わってしまいますから、バランスや精度をしっかりと持たせた下地から作る居合抜刀用面精度研磨のご利用が最適です。

あと、居合抜刀用面精度研磨は、過去と比べて磨き率を落としました。

これは、手抜きをする方向に持って行ったという意味ではなく、試斬時に必要な性能の為に、あえてそのようにしました。

それ以外の部分で、研ぎの段取りを数段階多くし、調整をより厳密にしつつ、使う砥石も変えた事で、どうしても細かくマイナスが生じやすかった部分の研ぎの範囲が、ほぼ解決していますので、高性能化を実現しています。

実際に過去の居合抜刀用面精度研磨と、現在の居合抜刀用面精度研磨で比較の場合、現在の方が斬れ味がそもそも出やすく、元から切っ先まで幅広くお使いになる方のご意見では、部分的なバランスの差が感じにくく、安心感が増したというご意見を頂いています。

分かる方は、素振りの時点で、今までとは違う総合的なバランスを感じられたり、振る事に対しての違和感が払拭されたケースもあるので、斬る前段階で、もうご満足頂くケースもあるくらいです。

日本刀は長物ですから、研ぎにはどうしても色々なズレが生じやすいのですが、必要範囲に待たせる精度のズレは、極力無くしたいというのがあり、当方ではその技術の開発に成功をしています。

更に斬れ味重視では、特別な調整や設定を行いますので、その作業の違いにより、格段に性能の飛躍がされますが、繊細な設定内容の為、斬り損じをしないレベルの上級者向けとさせて頂いています。

いずれも、実用刀としての斬れ味には、それぞれに違いがあっても、自信を持っておすすめをしていますので、ご予算や納期や内容に合わせ、ご選択の上でご利用頂ければと思います。

 

2024年9月 2日 (月)

修正、整形、修復

刃物の研磨には、まず初めに、サビを取ったり、欠けを取る作業が良くあります。

それらは手作業では難しく、綺麗にするのは大変ですから、基本的には機械作業です。

機械が使えない刃物や作業内容の場合は、それらも手作業にはなりますが、特殊な刃物や形状の場合なので、通常の範囲であれば問題ありません。

また、修正や整形は、それなりに大きな直しを行ったり、崩れているバランス(購入初期から、使用や研ぎにより)に関しても、極力正しい状態になるように直します。

一般的に直すとお話をしているのは、これらの修正や整形を行う事を指します。

調整としてのお話の場合、歪取りや位置関係の直しなども含まれます。

そして、修復として表現をするものは、ほとんどがかなり状態が悪く、直す事が非常に大変な状態を指します。

かなり大きく削ったり、色々な面の構成も直す必要が出て来るので、正直なところ、作り直した方が全然楽だとお話される職人さんも多いくらいです。

製品化されているという事は、あり得ないくらいに削り直す程は、削りシロが無いという事ですから、最小で収めるのは難しい技術になります。

ここまで来ると、時間とコストがかなりかかりますので、金額はだいぶ上がり、納期も長く頂く事にはなりますが、大切にお使い頂き、今まで以上に条件良くお使い頂ける可能性もありますので、いけるだろうと踏んだ場合には、無駄にはならないと思います。

ある程度の範囲は、完全体にするのは難しく、掛けのような範囲は出てしまいますが、それでもそのレベルで刃物をお使い頂いた事が無いくらいの所までは到達するでしょう。

高い金額をかけても良くならない可能性が高い場合には、買い直しをおすすめする事もありますが、基本的には直しでの復活をお受けしています。

止むを得ない場合や、ご予算が合わない場合、将来性を見据えた流れを見た場合など、それらによっては、買い直しの方が良いと思える事もありますが、直せるなら直そうと思う気持ちは、出来る限り大切にしたいと思っています。

 

2024年9月 1日 (日)

日本剃刀は素晴らしい

近年、製造がほとんどなくなった「日本剃刀」ですが、10~15年程前まではある程度の生産があったようです。

それが良質で有名どころのものなどは、新しいものが入手しにくくなり、オークションなどでの取引が増えています。

当方では、日本剃刀の研ぎのご依頼が昔から結構多く来ていて、大掛かりな整形や裏と表の鋤直しなども、良くご依頼があります。

サイズは小さいものですが、色々な技術が凝縮されていて、厳密な研ぎが求められますので、ちょっと上手く研ぐ程度では性能は出せません。

相性に合わせ、使う砥石の選定もかなり厳しく行っていますし、研ぎの精度の為に面修正もしっかりし面管理をして、必要に応じて鋤き直しも行い、刃物に合わせた適切な圧力での研ぎも行い、気持ち良く使える刃に仕上げています。

替え刃式も素晴らしい研磨技術で製造されていますが、それでも切れ方や長切れに関しては、鍛え上げられて精密に製造された上質な日本剃刀に、高レベルな手研ぎを行った状態には、さすがに適わないようです。

実際に色々とご使用になられているお客様のご意見からすると、日本剃刀の素晴らしさというのは、本当に明確にあるようです。

他の和式刃物もそうですが、全体の歪取りであったり、整形修正、鋤作業、研ぎの厳密さ、など、色々な調整修理的な要素が必ず必要になりますから、それらが可能なところで研磨のご依頼をしてください。

そこそこの研ぎ程度では、それだけの感動の研磨にはまずなりません。

感動する切れ味を是非とも体感頂きたいです。

 

 

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