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2024年9月 8日 (日)

研ぎによる「光沢」や「濁り」の違い

刃物と砥石の関係性により、仕上がりの見た目は大体が決まってきます。

どうしても思う見た目にならない!のように、ご相談を頂く事があります。

刃物硬度や砥石のタイプにより、その結果が変わって来ますし、それぞれの硬度によってもそれは変わりますから、大体の事は把握をしておくと良いでしょう。

まず刃物の研ぎで光沢が出やすい場合ですが、刃物の硬度が高く、砥石が硬い場合に多く見られます。

硬い同士だと表面が擦れる程度で、研ぎ汁も出にくく、砥石の表面で刃物を研ぐような感じですから、光りやすい状態になります。

逆に刃物が濁りやすい例としては、刃物硬度が低く、砥石が柔らかい場合に多く見られます。

刃物が柔らかいと、砥石を多く掘り出し、砥石の攻撃性が上がったのと同じ状態になり、研ぎ汁が多くなりますから、濁りやすくなります。

このように、とぎ汁の量によって、濁り具合が出やすい傾向がありますから、硬めの刃物と硬めの砥石の場合でも、予めと研ぎ汁が多く出るように、砥石の修正を荒くしておいたり、砥石の面直しなどの方法でその砥石の汁だけが出るようにし、その状態で研ぐ事でも結果が変わります。

また、力加減としては、強い力で研ごうとすると光沢寄りになり、弱い力で研ぐと濁りに寄ります。

とぎ汁を流しながら研ぐ事で、濁りにくくなるというのもありますので、研ぎの環境や状況を変える事で、研ぎの仕上がりを変える事も可能です。

最終的な仕上がりの状態により、切れ味の変化が出る事はありますか?と聞かれる事もありますが、同じ刃物と同じ砥石の組み合わせでも、研ぐ方によりかなりの差が出ますから、明確に変化は出る!とお答えできます。

研ぎの上手い下手をそこで議論するつもりはありませんし、個人の好みの問題ですから、その辺りはご自身での判断になりますが、刃の性質や切れ味を上手くコントロールするという意味では、これらをいくつもの方法で扱えるようにしておくと、意味のある研ぎが完成しやすくなると思います。

良く言われるような、刃物の厚みや角度などで表される研ぎの性能や切れ味とは異なる視点で、こういった内容も合わせて考えていくと、更に良い研ぎへと繋がって行くでしょう。

逆にそれが出来ないようでは、一流のプロの研ぎとは言えないと思いますから、研ぎをお願いする場合、色々なコントロールをして表現が出来る方なのかは、良い研ぎをお願い出来るかどうかの判断基準の一つでもあるでしょう。

お代を頂く以上、プロとしての技術を盛り込んで、ご満足頂ければと思っていますので、何も考えずに作業をするような事はありません。

お客様にお返しをし、それが良かったと言って頂ける事で、ようやく安心できるのが私の仕事ですし、その先もお使い頂いてどうだったのかは、気になる事なので、その場しのぎの研ぎで、瞬間的な良さで誤魔化すような事はしません。

 

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