しっかり削るか、表面を撫でるか。
砥石の性質や硬度は、3~5段階程度で表現される事が多いのですが、刃物の硬度は平均的なところで同じとして考え、どの辺りが好きなのかの好みは分かれます。
私は3~4くらいの中硬程度を良く使います。
1~2は柔らかめで、刃物が減るよりも、明らかに砥石がどんどん減っていきますが、刃物に砥石が合わせてくれる感じがあって、研ぎやすいとおっしゃる方も多いです。
逆に4~5は硬めで、刃物が減って砥石は減りにくいので、砥石の面直しを的確に行い、正しく研ぎを行わないと、刃物の形状が変わっていく感じになります。
最初に、刃物の硬度は平均的なところで同じとして考え・・・と書きましたが、それだけではなく、鋼材の違いや地金の有無などでも、対する砥石の硬度の感覚は変わって来るでしょう。
硬めの砥石は、研ぎ滑りを起こさない程度であれば、刃物を削っていく印象が強く、柔らかめの砥石は、刃物の表面を撫でる感じでソフトな印象となります。
これら硬度の影響により、研ぎ傷が全く異なる場合もありますが、仕上がりの見た目が光りやすいか濁りやすいかというのも変わってきます。
基本的に、硬めの方が光りやすく、柔らかめの方が濁りやすいです。
最初に荒目の砥石で研ぎ、深い傷がしっかりとついている場合、その次の中荒くらいの砥石で傷を取ろうと思ったら、柔らかめの砥石の方が傷が取れそうなイメージではありますが、削る力は弱いので、表面が慣らされていく程度となり、実際は深い傷が取れない可能性があります。
ですので、中硬程度の中荒目の砥石で、目立てをしっかりと行って研いだ方が、傷は早く取れます。
しかしその次の段階では、その傷取りをした傷を今度は取る事も考えないといけなくなりますから、そういった流れも考えながら、砥石の構成を考えて行く事も大切です。
複数丁の砥石を使うとして、どこかで組み合わせの悪い砥石が一つ入ってしまうだけで、構成はおかしくなりますから、十分注意が必要だと思います。
面白い方法としては、例えばですが、#1000の中硬で研削性が高い砥石で研ぎ、#1000の柔らかい砥石で研ぐと、傷は収まりやすい傾向にあります。
同じ#の砥石を2個使うなんて・・・と思うかもしれませんが、#1000の中硬は#600~800程度と考え、#1000の柔らかいものは#1500~2500程度と思えば、納得できる部分はあると思います。
結局のところ、水研ぎを行う為のいわゆる角砥石は、#表記がメーカーや製品ラインナップで全く異なる事がほとんどなので、その砥石がその刃物に対し、どのような傷を付けるのかを知る事や、相性を知る事によって、傷取りや刃付けの場面で、その傷をコントロールする事が可能になります。
これらを色々と知る事は、研ぎのレベルを格段にあげるポイントにもなりますので、同じ#の色々な砥石を使ってみると勉強になりますし、面白い事も多くあると思います。
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