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2024年11月

2024年11月30日 (土)

来年のどこかで・・・

色々と道具の値上がりが増えてきています。

これは技術作業にとっては大きな痛手になります。

今年は作業の多くの部分で道具が値上がりとなった一部の作業のみ、値上げをさせて頂きました。

ほぼ変わっていない範囲もありましたので、気が付かなかった方も多いかと思いますが、作業のクオリティーは落としていませんので、その辺りはご安心ください。

値上がりの影響が出てしまう範囲が、いくつか出て来そうですが、その範囲は来年のどこかで値上げとなると思います。

円安の問題が収まれば、何とか上げなくてもいけそうなところもあるので、動向を見守っていきます。

 

2024年11月29日 (金)

意図したもの

研ぎは偶然で切れるのではなく、意図した形で切れるように出来なければ、安心して使う事が出来ません。

最初はたまたまの事もあるかもしれませんが、何が今回良かったのか、前回と比べて何が違うのか、等を解明していかないと、良い結果に繋がってはいきません。

可能性や読みが良ければ、こうしたらこうなるかも?がある程度見えてくるかもしれませんから、そういった考え方を持つ事も大事だと思います。

あとはやって見ながら、良い形で研ぎを身に付けていき、悪い癖を付けないように気を付ける事です。

良い癖と考えがまとまってくると、良い結果になると思います。

 

2024年11月28日 (木)

久しぶりに研いでみると・・・

普段使っている刃物で、切れ味の落ちは感じていて、まだまだ行けると思って使っている場合でも、研いでみると全然変わってきます。

・切れ味が落ちは感じる程度

この状態は、皆さんが良く考える場面だと思います。

そしてその先に、

・切れ味が落ちてきてはいるがまだ使える

そう考える頃には、何とか使おうという気持ちが出ていると思います。

最後に、

・切れなくなってきた

に変わって、研ぎのご依頼になるかと思います。

実際に切れなくなってきたという表現は、私から見ると大体が「切れない」の状態にあります。

つまり、研ぎに出すのが遅く、その手前の期間は、相当無理をして刃物を使っている状態です。

代金がかかる事なので、なるべく長く使いたい気持ちも分かりますが、状態が悪くなってから研ぎに出すと、金額が高くなる事もありますし、ほとんど切れないような状態で、無理に力を入れて切ったり、使う事がストレスになるよりも、早めに研ぎを行って、気持ち良くご使用頂きたいと考えています。

その為、ご家庭用包丁の研磨に関しては、面倒な事を無しと考え、定額制にしてあります。

包丁の種類とサイズは限定させて頂いていますし、内容はおまかせのみで、プロが使うような内容には合わせてありませんが、ご家庭でお使いになるには十分な内容となっており、改善箇所は、歪(ひずみ)、欠け、サビ、刃線、などを含んでおり、状態によっては総合整形も行っていますので、使える状態を作る為の基準はしっかりとしています。

意外と簡単な直しや、ただ刃付けをするだけに見えても、必要な場合はこれらも含みますので、実際はかなりお得です。

状態を悪化させずにご使用になる方の場合、刃の落ちだけが問題になりますが、その場合も適当に研がれてしまえば、当然その先での悪化は防げなくなりますから、軽く考えない方が良いでしょう。

また、特に良い包丁をお使いの方には、プロ用を基準とした研磨や研ぎのご利用をおすすめします。

プロ用の設定に関しては、レベルの高い加工を含めつつ、調整も更に繊細で多くなり、仕上げの見た目も細かくしていますので、こだわりの研ぎも是非ご利用ください。

 

2024年11月27日 (水)

どこの誰がやるのか

刃物の世界は不確定な事が多すぎて、色々と追及をしていくと、見えない事ばかりです。

安定した生産など限界を求めると出来ませんし、鋼もロットによって性能が変わる事があるのは有名な話です。

その為、性能を少し控えめにし、安定した大量生産をしているケースも、それなりに多くあるようです。

研ぎも同じで、機械研磨で自動的に行われる範囲を除いては、やはり安定した研磨や研ぎは難しく、どうしてもばらつきは出てしまいます。

加工自体が人の手によるものなると、それは大差になりますから、どこの誰がその作業をやるのかで、結果は別ものと化します。

なんとなくで良ければ、それっぽいものにはなりますが、細かい部分を見て行くと、限定した人がやらないと明らかな不足となります。

見た目はほぼ同一なものがあって、それを大量にまとめて研磨や加工をした事がありますが、実際に研ぎを行ってみると、角度が違ったり、丸みが違ったり、位置関係が違っていたりと、ある意味では別物でした。

同じような流れの作業でも、違い人が行うとそれだけ別物になるので、上手い人だけが作業すればもっと価値は上がるのに・・・と思ってしまいます。

以前にも書いた事がありますが、機械研磨と手研ぎは、それぞれ別ジャンルになるので、同じ人が行う事は無いでしょう。

両方がやはり出来ないと、位置関係の違いやズレまでは、感じ取る事は出来ませんので、そういうものが流通すると、お客様が研いで違和感を感じ、直しの依頼が来る事になります。

そして、使う側にも立たないと、その違いの理解は出来ませんから、総合的にその刃物を知る事は、大きな力になっています。

ただ刃物を使うのではなく、その用途にあった使い方として、正しく使う事も必要になりますので、プロと一緒に刃物を使ってみる事で、学ぶ必要性もありますから、誰にでも出来る事ではありません。

熟知とはそういう事だと考えています。

 

 

2024年11月26日 (火)

下を作るのも上を作るのも大変

技術が丁度平均的に良いところで収まっていて、全体的な評判がかなり良い状態を維持していると、そこからの変更は本当に大変です。

良いものを改善のつもりで出して、改悪になる可能性もありますから、勝手な判断で良いと思って変更はしないようにしています。

改善という言葉がどれだけ重いか、自分自身が良く分かっていますので、違いが良い方向に確実に進むと思えない場合は、導入を見送る事もあります。

また、同じように良いところで収まっている技術があっても、下の技術を求められる事も多くあります。

それは金額面だったり、納期の問題だったり、そこまで必要無いと言われたり、その辺りが要因となります。

出来る事なら技術を上にどんどん進めるのは当然と思いますが、逆に下にと言われると、上げて来た事は必要無かったのかな?と思ってしまう事もありますが、確かに手の込んだ作業になって行くと、それが無駄だと思うご意見があっても仕方がないとは思う事もあります。

では下の作業を作る時に、どこの何をどのくらい落として下位グレードとするかですが、これはそのランクを望むお客様からご意見を集めなければならないので、かなり難しい問題でもあります。

作業をただ簡略化すれば、それで安く早くは可能かもしれませんが、内容が落ちすぎて使い物にならなければ、そこに価値はありませんし、性質や性能を生かす事は残しつつ、精度や見た目の部分で落とす事が失敗は無いと思っています。

精度や見た目は必要とする方にとっては大事ですが、実用性能の部分で考えると、その辺りは良く分からないとおっしゃる方もそれなりの割合でいらっしゃるので、実用性能を極端に落とさないためにも、そうするのが良いと考えます。

上下だけなら2段階なので、作れないという訳ではありませんが、これが3段階や5段階になると、どこをどう変えるのかが難しすぎて作れなくなります。

下を作っても更に下をと言われると、それはうちでやらなくても良いのでは?と思ってしまう事もありますが、それでも信用があってうちでその技術をと求めて頂けている以上は、なるべくご期待には沿いたいという思いがありますから、いくつかはそれで作った事があります。

実際にその辺りのご依頼を頂く量が多い訳ではなく、上位の技術のご利用が一番多いので、それは他ではなかなか出来ない範囲がほとんどですから、そこを求めてご利用を頂けている事は、特に感謝しなければならないと思っています。

もっと上をと言われる事は、近年ではほぼありませんので、上をかなり越えた上には来たのだろうと思います。

 

2024年11月25日 (月)

最近の進化

機械加工に関しては、年々良くなってきていますが、特に今年の上級作業に関しては、相当良くなったと思います。

やり方は色々とありますが、ご希望の内容に合わせて加工方法を変えています。

綺麗に仕上げるならこの方法で、実用性能を重視するならこの方法と、違った機材や部材が用意してありますが、同じように仕上げるつもりでも、結果が色々と違って出るので、使い分けをしています。

この業界では良くこの方法が使われているというような内容は、十分に把握をしていますが、その方法が必ず良い訳ではなく、コストの問題でそれが主流化している場合も多いです。

つまりその方法を避ける事で、より結果が良くなるという事もあるという事です。

その分コストは当然上がるので、作業代金は上がってしまいますが、当方で金額が高くなりやすい研磨の範囲は、そういう理由があります。

それを知れば、結果が出るのも納得される方が多いかと思いますし、実際に上級作業をご選択でご利用を頂いた場合は、その違いを実感して頂けると思います。

綺麗な仕上げと実用性能を両立出来ないと良くお話をしているのは、そういう理由があります。

どこからが綺麗になって、どこからが性能が高いと言えるのか、それらは人それぞれの判断です。

綺麗な仕上げと言っているのは、最上級の仕上げの事ですから、そこまで求めずに加工が揃った綺麗さで十分という事であれば、当方はその基準を十分満たしていると思います。

私が両立出来ないと言っているのは、両方が最高レベルの場合なので、仕上がりが汚いという訳ではありませんから、その辺りはご心配なさらないでください。

見ている目線があまりにも高いレベルになってしまうと、良い悪いの基準が色々厳しくなっているというだけの事です。

それらのニュアンスを感じ取って頂くには、お話だけでは難しい事なので、実際にご利用を頂き、色々な研磨をご利用頂ければと思います。

 

2024年11月24日 (日)

切れ味を取るか、永切れを取るか

刃物の研ぎで多くの方が悩まれているのは、切れ味と永切れのバランスです。

どちらを優先するのかで、研ぎの基本から大きく変わってきます。

両方のバランスを取ろうとしても、上手く取れない方もいらっしゃいますから、これは難しい問題なのだと思います。

そして刃物のランクが中級以上でなければ、こういった部分の調整は上手く出来ませんから、低級刃物で多くを望む事はまずやめましょう。

よくあるお話ですが、格安の刃物で最高の切れ味を!という事をやろうとしても、一回切ったら刃が落ちてしまうという事もあります。

格安刃物に耐久性はそもそもありませんから、永切れを期待するのは無理があります。

そして正しい情報をお伝えするならば、格安刃物は組織が悪いので、どんなに必死に細かい刃を付けようとしても、組織が悪すぎて良い刃は付きません。

上級の刃物で中仕上げ~超仕上げ手前程度まで研ぎ、それなりに仕上げ切れた場合、相当良い切れ方をする状態に持って行けますが、低級刃物で必死に細かさを求めたり鋭さを求めたとしても、そのレベルですら超える事はまず難しいです。

なぜなら、低級刃物は金属組織が悪すぎて、刃が整い仕上がりが良くなる事が無いからです。

それで最高の切れ味というお話をしている人がいれば、それは上級刃物や上級の研ぎを知らない方達なので、その時点でお話にならない部分です。

 

2024年11月23日 (土)

省略研ぎは後で苦労する事になります。

時間の関係や、面倒だからということで、通常の研ぎ方ではなく、簡略化した研ぎを行っている方は多くいらっしゃいます。

その時は研ぎの時間を短く出来ますから、得した気分になるかもしれませんが、本来かかる時間を省略するという事は、その分だけ後で大きな加工が必要になるという事です。

よくある事ですが、刃先だけをひたすら研ぎ続け、段が大きくなったものは、取り除くのがかなり大変です。

手作業で出来ない訳ではありませんが、一日研ぎ続けても終わる保証はありません。

研ぎでバランスを崩すと、刃物の歪にも直結する事がありますから、そういったものを直しつつ、段を取り除く必要性も出てきますから、個人で正しく行うのは本当に大変だと思います。

そうなった場合、当方のようなところにご依頼を頂ければ、総合的な直しを行えますし、刃付けまで考えますと、今まで体験した事が無いような良い状態になると思います。

販売用の研磨と実用の為の研磨が異なりますし、それを体感頂く意味でも、実用の研ぎを重要視している当方では、実用の場面での結果が大きく出ます。

個人店としては、機材や道具もかなり揃っていますから、幅広い刃物に対応をしていますし、それらの知識と技術を用いて融合させたものを表現していますので、何か一つの刃物だけの取り扱いをしている所とは、違った結果が出てくると思います。

もちろんそれぞれの刃物に必要な基準はずらさず、必要な内容はしっかりと盛り込んでいますので、独自の技術をとはいっても、決してズレた事はやっていませんから、その辺りはご心配には及びません。

一流のプロの方々からのご利用も多く頂いており、そこを基準として技術をご用意していますので、レベルの高い技術を是非ご利用ください。

 

2024年11月22日 (金)

色々と試し続けています

刃物の研磨や研ぎは、いつもお話をしていますが、現状での満足はしていません。

誤解があるといけないので、ちゃんと説明をしますが、現在の研磨や研ぎが明らかに発展途上であるという訳ではなく、それなりに良い評価は頂けていますから、一つの完成形ではあると言えます。

私自身が思う研磨や研ぎとして、まだ先のビジョンがありますから、それを現実化したいという意味で、現状に満足をしていないと表現をしました。

日々の仕事の中で細かい気付きがあったり、アイディアが浮かんだり、そんな事もありますが、それを現実的に改良するのはかなり難しい事です。

そもそも簡単に出来るのであれば、今現在がそこに到達していますから・・・。

多くの場合、機械や部材や道具の問題で出来ない事がほとんどで、技術的にやろうとして出来ないと思う範囲は少ないのですが、色々と揃えて行く事は簡単ではないので、簡単に進展する事はありません。

何かのきっかけで進展さえあれば、格段にレベルを上げられる可能性はそれだけあるので、それだけでも良い事だとは思っています。

ふとした時に、何かの出会いがあって入手出来れば、そこで技術が大きく変化する可能性はありますので、私自身も期待をしている所です。

 

2024年11月21日 (木)

砥石の使いどころを考えましょう

砥石のタイプによって、刃物との相性があります。

製造方法や硬度や荒さの違いは、手研ぎ用の砥石の場合には基準が無い世界なので、どこで何を使うかで大きな差になります。

良くお話の中で違和感がある事を感じるのは、砥石の#のみのお話になる場合です。

あるメーカーの砥石の#1000は荒く力強いのに、もう一方は繊細で研ぎに時間がかかり細かく仕上がる。

また、他の製品として#1000を使ってみると、砥石は荒い感じがするけれど、研ぎは思うように進まない。

更に別の製品の#1000を使うと、研ぎはかなり早いのに、仕上がりは細かく揃っている。

そんな事は良くあります。

同じ表示で#1000があったとしても、それらは決して同じではありません。

中砥と言われる範囲に属す#1000は、中荒砥となる場合もあれば、中仕上げ砥にもなる事があります。

今まで挙げた例の砥石達を使うとして、刃物の種類や鋼の種類などによっても、適材適所がとにかく変わります。

同じ鋼なら同じ刃物と感じるような仕様になっている訳ではないので、聞いていた鋼とは作業効率が全く異なったり、仕上がりが異なる事も多くあります。

それらに合わせて色々な砥石を使い分け、相性を見極め、効率と結果を上手く求めて行けば、ストレスのない研ぎが出来ると思います。

砥石は同時に数多くを所持して使用し、刃物との相性を見極めて行かないと、この辺りの事はなかなか学べませんから、刃物を沢山買うのも良いと思いますが、砥石も色々と購入して使ってみてください。

それにより、色々な組み合わせが見えてくると思います。

 

2024年11月20日 (水)

出来る限りで対応をしています

・他で作業を断られた。

・出来ると言われて頼んだのに実際はちゃんと出来なかった。

・細かい相談をしようとしたら対応をしてくれなくなった。

こういったお話は数多く耳にしてきました。

色々なお店を利用し、それらで満足がいかず、当方を最後の砦のようにご利用を頂くケースが多くあり、沢山の事例を実際にお話頂いてきています。

私自身も過去に刃物を使う側として、色々な違和感や損失を経験してきており、誰も出来る人がいないなら、自分が出来るようになればいい・・・と思い、現状の形を作りあげた部分があります。

作業を他で断られた場合、何と言われたのかにもよります。

よくあるパターンは、お話を伺うと、金額を渋った事にあったり、作業に必要だからと言われた内容を拒否し、それでは出来ないと断られたという事も多いです。

その辺りに関しては、作業をする側からすると、条件を付けられると出来ない事もありますので、その辺りはただ希望を突っぱねるのではなく、なぜそれが必要なのかをちゃんと説明として聞いてください。

もしそれが理解出来ないのであれば、無理に条件を付けてはいけないと思います。

その内容なら出来ますと言われ、結果として全くそこに届いていなかったお話も多くありますが、それは求めるレベルが高かったのか、作業をする側がただ出来たつもりだったのか、たまたまそれ以上の作業が困難な状況だったのか、色々なパターンがあると思います。

やってみないと分からない事が多い世界ですが、ある程度の所までなら、状態を確認した時点で読めるはずです。

それが出来ていないとなれば、当然加工技術もその程度ですし、そこに期待を持つ事は無駄に終わると思います。

また、伝えた事が的確であったのかは、後に良く考えた方が良いと思います。

形のあるものでは良くありますが、自分の思う事がその通り、相手側に伝わているとは限りませんし、プロにはプロの目線もあるので、お互いに寄り添って合わせて行く必要性があると思いますが、それが出来なかったらただの話のぶつけ合いでしかありません。

加工をする側からすると、その事への理解はして頂きたいと思いますが、だとしてもお客様がおっしゃる内容がどこでどうなっているのか、それをしっかりと確認する必要性はあると考えますから、細かい設定が必要な場合、しっかりとお話をしつつ、図面を使ったり、ゲージで測りながらのお話ををさせて頂きます。

細かい相談を拒否される例は多く耳にしますが、過去から決まった形しか出来ない場合や、決まった形以外で出来たとしても、それを受けられる余裕が無かったり、他の仕事への影響を考えて断るしかない場合もあると思います。

納期や金額の事は、細かい設定が必要になればなるほど、どんどん長く高くで変化してしまうものです。

それを望む事がどれだけ大変なのか、職人側は理解をしていても、お客様は気軽にこうしてよ!程度で話されてしまうと、そこには大きな壁が立ちはだかる事もあるので、伝え方やその細かい設定をお願いする事に、配慮は必要になると思います。

職人仕事の多くは、気持ちでやっている所もありますから、その人の為にどれだけ気持ちを入れて作業が出来るかで、同じ技術者であっても、大きく結果は異なると考えています。

ただ加工をするのではなく、結果がどう出るかが重要ですから、その為に余裕をもった納期と金額で設定をする事が出来れば、無理難題でも受けて頂ける事はあると思います。

それがどのくらいの割合で増えるのかは、それぞれの考えによると思いますが、数割増しから何倍もあり得る事なので、どれだけ大変な事を頼もうとしているのかを知識として持っている必要はあると思います。

 

2024年11月19日 (火)

形が崩れる前にご依頼ください

刃物のバランスは非常に大事で、形が崩れたり、相互的なバランスがおかしくなると、もう一般の方では直せません。

こういった内容に関しては、何度も書いて来ましたが、本当に難しい事なので、無理をして直そうとしないでください。

研ぎシロを失ってしまうと、本来簡単に直せた可能性があるものも、もう手遅れになります。

研ぎ減らして形を整える世界ですから、どこをどう整えるのかを理解出来て、それを的確に作業できるような技術や環境が必要です。

形が崩れる原因が刃物にあるのか、研ぐ方にあるのかは、確認をしなければ分かりませんが、状況の改善を出来る職人は、かなり少ないと思います。

直ったように見えても、綺麗に仕上げられていて、いわゆる新品状態になっただけの可能性も高いです。

新品状態は最高の状態ではありません。

その時点で、その刃物に研磨や研ぎでどれだけのコストが掛けられているか、刃物の購入金額からそれなりに推測が出来ます。

改善をするには、安い金額では難しい事も多いですが、元々のコストが安く、流れ作業となってしまっていれば、当然そのような現象が起こりうる事ですから、それなりの時間と金額をかけて改善出来る可能性はあります。

近年では、色々な鋼物も増えてきており、それに対応出来ない所も多くありますが、それらの鋼に対して対応も可能ですから、是非ご相談ください。

プロ用基準をベースに、素人向けにもそれらを生かして技術をご提供しています。

 

2024年11月18日 (月)

酷い形

刃物はそれぞれの種類で、基準的な形状が存在しています。

それは研いで使う事を前提として、いつしか完成された形状もであります。

もちろんそれが現代の技術で考えると、不足な場合もあるのですが、多くはその範囲で十分だったりします。

しかし、その基準的と見える形状の中でも、触っていくと明らかに位置関係がおかしい物も多く存在しています。

それを極力直すには、叩いて削って直すしか方法はありません。

本来ある位置関係にそれが準じていない場合、研ぎは難しく困難を極め、お手上げ状態になる事も多くあると思います。

そういった刃物を直し、ただその場限りで切れる状態にするのではなく、普段の研ぎを楽にする事も、私の考える研ぎ屋の仕事だと思っています。

むやみやたらに叩いた削れば良い訳ではありませんが、それをやらずになんとかしようとするところも多いようで、基準がズレているものをそのまま研いでしまえば、もう取り返しのつかない事になります。

どこかに基準を作り、そこから全体のバランスを考え、構成を作り上げる事が出来なければ、刃物研磨や刃物研ぎを行ったとは言えないと考えています。

私は過去に、全ての作業を手で行っていましたから、機械が無い事で出来ない作業もありましたし、ここをこうしたいに届かない事もあり、本当に苦悩しました。

それが現在は、機械により研磨と手研ぎによる研ぎと、その二つの融合から生まれる仕上げを行えるようになった事で、最終的な仕上がりも大きく変化しました。

機械作業と手作業と、両方がしっかりと行えなければ、それだけの結果にならない事は、自分が一番経験をして苦悩してきた部分ですから、手作業が全て素晴らしいという訳では無い事は、ご理解を頂きたいと考えています。

いずれかだけしか出来ないと、それは作業をする事の責任を全う出来ない事も多いので、上質な機材や部材と、手作業の為の道具を多くご用意し、ご依頼をお待ちしています。

 

2024年11月17日 (日)

刃物が使えると色々な事が出来るようになります

色々なジャンルにおいて、刃物は活躍をしています。

細かくお話をしていくとキリがないので、完全に割愛をして、大まかなお話とさせて頂きます。

その分野において刃物が必要な場合、それが使えるかどうかで、大きな結果の違いが出ます。

そして、その刃物の研ぎが自分で出来ると、更に自分好みの刃物として使え、より刃物を使う事が楽になったり楽しくなります。

刃物は危険なものですから、使い方を覚えるのも大変ですが、上手く慣れてくると、自分で刃物を使って何かをする事が楽しくもなりますし、幅が広がってきます。

何もかもの刃物を使えるようになると、出来ない事はかなり減りますから、それだけ生活に刃物が必須であるという事を実感できます。

人の進化は刃物の進化と言っても過言ではないと思う事が多く存在していますから、それを実感頂く意味でも、刃物を使う事を大切に考えて頂きたいと思います。

 

2024年11月16日 (土)

カッターナイフと切出小刀

以前にも似たような内容を書いた事がありますが、私は色々な作業に、カッターナイフや切出小刀を使います。

カッターナイフは、替刃式で切れなくなったら先を折って先端を新しくして使いますが、作業によっては刃の中心部や全体を使います。

その場合、刃先を折ったところで、刃は復活しませんから、少し使って捨てる事になります。

私はそれが勿体ないので、替刃を研いで使っています。

替刃の良さは交換するだけですぐに刃が復活する事ですから、これは理に適っていない使い方ではあると思います。

しかし、わずかな回数だけ使用し、使える部位がある状態でその刃を諦めるのは、私には出来ません。

止むを得ない場合もありますが、刃先の研ぎで復活出来る範囲までは、手研ぎで研いでいます。

刃先の段が大きくなると、さすがに面の削りから行う必要があり、それを治具にセットして安定した状態で機械に当てるのは、それこそ時間の無駄になってしまいますから、ダイヤモンド砥石を使って手研ぎで僅かな時間で終えられるという判断をする場合のみです。

早く終わる場合は、30秒もあれば研ぎは終わり、洗って水けをふき取り、刃返りの処理をしたら、油を塗ってセットすれば完成です。

研ぎを身に付けると、こんな事も簡単に出来るようになります。

もちろん大きく刃が傷むような使い方をする方は、諦めて替刃の交換する事をおすすめ致します。

あくまでも状態次第での復活であるという事が大事なので、全てにおいての復活を望むと時間とコストの無駄になりますから、ご注意ください。

 

2024年11月15日 (金)

だいぶ寒くなってきましたね

だいぶ寒くなってきていて、刃物を手研ぎで行うのは辛い時期になってきました。

私は毎年お話をしていますが、ぬるま湯を使った研ぎを推奨しています。

研ぎは水でと言われますが、熱いお湯でなくぬるま湯であれば、研ぐ事に何ら支障は出ませんし、凍えた手で冷たい刃物を研ぐより、むしろ手の動きが安定し、刃物も割れにくくなりますので、冷え冷えの研ぎよりは断然良いです。

金属は冷えると締る傾向があるのは、皆さんがご存じの事と思いますから、それを考えますと、ある程度の温度があった方が研ぎやすくなるのもご理解頂けるかと思います。

稀にいらっしゃるのは、水以外で研いでいると、刃物が熱くて触れなくなるというお話ですが、それは力をかけ過ぎていたり、研ぎの速度が速すぎたり、水分が少ない事で起こります。

刃物の研ぎは、必死になって研ぐようなものではないので、冷静に静かな心で研いでください。

短時間で終わらせるにしても、例えば100回の動作を丁寧に行い、ミスが0で終わるのと、500回の動作をとにかく速く必死に動かし、ズレが何割か出たとすれば、その動作が終わった後、ズレが出た分だけ新たに時間が必要になるので、余分な体力と直しを考えれば、早ければ早く終わる訳でもなく、崩れも増える可能性が高いという事は、お分かり頂けると思います。

焦って速くやる事だけが、技術は慣れや上手さではありません。

落ち着いて冷静に状況判断をし、的確に少ない量や数で終わらせる事で、その先へと繋がると考えます。

 

2024年11月14日 (木)

少し改良を・・・

刃物の手研ぎと手磨きに関して、いくつかの刃物で適用をしている部分になりますが、磨きを一部変更しました。

これはしばらくの間だけか、この先も続くかは分かりませんが、少なくとも半年以上は続くと思います。

特に変わるのは、荒磨きによる仕上げの部分ですが、荒い磨きでも荒れた磨きと揃った磨きがあり、どちらかというと揃った側になりますので、気持ちランクアップという感じでしょうか・・・。

お客様からしますと、良い改良にはなると思いますので、ご依頼時に荒磨きとして手磨きが含まれる刃物は、ご期待頂ければと思います。

 

2024年11月13日 (水)

研磨や研ぎは疲れますか?

お客様から以前、研磨や研ぎのお仕事をされていて、一日やっていると疲れますか?と聞かれた事があります。

答えはイエスです。

何が疲れるかは人それぞれだと思いますが、私が一番疲れを感じるのは、精神的な部分です。

その作業中はかなり集中をしていますから、息抜きの時間には結構ぐったりきます。

特に機械作業だと、一瞬のミスが大きな問題になる可能性があるので、かなり神経を使います。

刃物の失敗の事も、自分の怪我の事も、両方に気を配る必要性があります。

研ぎに関しては、同じ動作をひたすら行いますので、持続するだけの筋力も必要ですし、力加減や角度などの安定も大事です。

使う砥石の種類や使い方にもよりますが、研いでいる音があまり大きいのは、刃物へのダメージや歪の影響を及ぼしますし、研ぎのズレが必ず出ますから、極力静かに動作の安定をさせます。

細かく神経を張って、動作や音を確認しながら、何か変わった事は無いか?を考えながら研ぎますから、その集中はやはり疲れます。

機械でも手でもやはり疲れはどっと来ますので、アスリートのような集中力や精神力は大事だと思います。

 

2024年11月12日 (火)

見逃していませんか?

刃物の欠けを僅かだからと思って、見逃していませんか?

その欠けはいつか取れるから・・・と思っていても、実際はなかなか欠けが消えて行かないというお話が多くありますが、理由は簡単です。

欠けが原因で、そこから欠けは広がる事が多いからです。

特にサビが出やすいタイプの刃物だと、気付かないうちに欠けからサビが進行して、研いでも研いでも減って行かない!むしろ広がっている!という現状になってしまいます。

欠けた部位は、厚みが出るので強いと思っている方も多いのですが、欠けの刃先の部分は、刃先の厚みと同じ角度ですから、両端に角が出来ているのと同じ現象になります。

繋がっている線となった厚みより、角の厚みの方が弱いので、どんどん欠けの幅が広がり、奥へも進行をする事があるので、なかなか減らないという事です。

そうならない為には、面倒でも頑張って一度で取りきるか、欠けサビを取り除く所まで、研磨の依頼に出してください。

ご自身でそれをやるには、わずかでも結構大変だったりしますので、刃物を見る事に慣れた方が、一瞬で見える大きさの場合、結構きつい状態だと思いますから、それを全体の形を崩さずに取るには、結構な労力や技術が必要になります。

欠け取りついでに、整形修正のご依頼を頂ければ、その先は安心して使えると思います。

 

2024年11月11日 (月)

一番いいところはどこか?

刃物は研ぎの角度が決まっている部類と、層では無い部類があります。

角度設定がほぼ固定的に決まっている刃物の場合、刃物の性質に関わらず、大体そのくらいのという基準があります。

それ以外の刃物は、使い勝手や個人の好みに合わせ、いわゆる「刃角」を自分で設定します。

毎回特に決まりが無い方もいれば、いつもの研ぎの構えで覚えている方もいらっしゃいます。

そこで問題になるのは、切れ味と永切れのバランスについてです。

良く言われる研ぎの角度のお話は、情報が間違っている事も多いので、十分にご注意ください。

このくらいの角度で・・・のように言われている物で、確定的な設定がある刃物以外は、ほとんどが適当に作られた話です。

原理を考えると、当たり前にそれがおかしい事に気付くと思いますが、理解出来ない方が多く、いつまでもその話が残り続けて、それを信じて研いでしまっている方が多くいらっしゃいます。

話を戻しますが、研ぎの刃角設定は、その刃物の使い方から考え、実際の性能を知るところから入り、使いながら調整をするのが理想です。

言葉で書くと僅かな文章ですが、それが相当難しい事とされていて、自分の思う所と、実際の研ぎの角度が、一致しない方が多いのも現状です。

その理由は、多くの刃物で言える事ですが、刃角にこだわり過ぎているからです。

刃角を考える前に、刃物全体や面の厚みや丸みなど、その辺りの設定が十分に成り立ってから、最後に刃角の問題になるのですが、それまでの事が完成されていないので、刃角どころではないのです。

その刃角を作る前に、まずは全体の構成の完成を知ってから、最後の最後に刃角になりますから、そこをまず覚えておいてください。

そう考えると、設定が決まらない理由は、刃角では無い事に気付くと思います。

色々なご相談やご依頼の中で、やはり刃角に対してのお話が多いのですが、まず全体を直してからでなければ、そこの意味は生きてこないという所を知って頂ければと思います。

 

2024年11月10日 (日)

本当に困ります・・・

今使っている道具類で、今後、入手が難しくなりそうなものがあります。

年々金額は上がり、製品の数は減っているそうで、その辺りを今後どうするかは、大きな課題になりそうです。

全ての仕事で使う道具ではありませんが、意外と幅広く使っていますから、無くなると結構困ります。

それによって仕上がりに影響が出ますから、他の製品類などで対策が出来ないか、少しずつ探しておかなければと思っています。

しかも、安い部類の道具ではないので、結構コスト問題が今でもありますから、これ以上、金額が上がる事になると導入すら難しくなります。

昔から金額が高い部類でしたし、近年は更に値上がりもしていて、現状でもかなり厳しい状況ですから、色々と諦める事も出てくるかもしれません。

 

2024年11月 9日 (土)

確実性を上げる

技術は成功例だけ見ていても、それは正しいレベルとは言えません。

総合的な安定や、技術の基本レベル、突発的な事への対処力、他では出来ない事や断られる事への対応力、などは特に大切な事だと考えています。

専門業として何か一つの刃物の事だけをやっていたとして、そこで当たり前の事を当たり前にやる事すら、とてつもなく大変で難しい世界ですから、そもそもの必要範囲で考えても、技術が不足している事の方が多く見られます。

実際に色々な刃物業界の方とお話をしていても、それで成り立っているだけだという声も多くあり、まともな事を求めるお客様には、正しく技術をお届け出来ていないとも言われています。

特に上を見ている職人さんの場合、基本の技術レベルは高い方が多いのですが、提供できる幅はその一人だけですから、どうしても狭くなってしまいます。

それをより多くと思うと、本当に優れた職人が、優れた才能を持っている人に対し、直接指導をして教え、一人で任せても安心できるレベルまで育てなければ、まず難しい事だと思います。

そういう環境を作れる業界は、刃物分野においても僅かであり、それ以外はまとめて雇う形がほとんどなので、突出した人はそう簡単に出て来ません。

こういう部分での仕組みを、どこかで作れれば、刃物分野の未来は明るくなりますが、それもなかなか難しい事でしょう。

もう30年以上前から、良い職人が減ってきていると言われていましたし、更に今は若手が育たないと言われているので、今後は更に業界のレベルが落ちるとも言われています。

お客様側からしても、良い職人探しをするところから、かなり大変な思いをされている方が多い事は、お話の中から感じ取れていますし、探しに探してようやく・・・となってしまえば、面倒さや苦痛となり、簡易的な方面にどうしても行ってしまうのも、きもち的には理解せざるを得ない部分が多くあります。

私が対応できる範囲では、出来る限りの技術を駆使し、確実性の高い技術をご提供するようにと思っていますが、範囲を広く扱っていますので、それぞれのレベルをしっかり保ち、ただ扱っているだけと言われないよう、しっかりと取り組んで行きます。

 

 

2024年11月 8日 (金)

言葉だけなら簡単です

実際に使用して見て、技術の詰まったものは、良いか悪いかがはっきりします。

特に刃物の場合、確実な物は存在しておらず、どうしても当たり外れがあったり、良いと思ったものが実は言われている程では無かったりして、それを実際に良いと感じられる方の割合は、意外と低いと考えています。

私自身、色々な刃物を購入して使用し、研ぎを学んだり、研究を重ねてきていますが、使い手側として見る刃物の世界と、造り手や加工をする側から見る刃物の世界では、かなりの違いを感じています。

使い手側が求める物を、作り手側がそのように提供出来ているのか?と考えると、疑問が残る部分はかなり多くあり、その理由としては、作り手が使い手側を理解出来ていなかったり、使い手にはなれていないので分からない事にあると考えられます。

過去に色々なお客様とお話をし、研磨や研ぎやその他加工などのご依頼を頂いて来ましたが、その中で多かったお話は、加工する側の理解の問題でした。

技術力が無いとか、そういうお話以前に、そもそも使い手が感じた事や結果として得られた情報を伝えても、その内容を加工する側に理解されないという事は、致し方ない事でもあります。

加工をする側が、使い手側にそういう場面ではこういう研磨や研ぎが良いとすすめたとして、その刃物を使えないのに、どうしてそれが良いと言えるのか?も問題です。

その刃物を加工する人達全員が、使い手として実際に同じ作業が出来たり、こういう場面でこうなってくれればを体験していれば、そんな事にはならないはずです。

こういうお話をすると、それぞれやいずれかの側に、レベルの差がある場合も考えなければなりませんが、双方共に必要レベルを十分に越え、それらに関する理解や技術を有していると仮定して考えてください。

そこまで到達していない場合は、何か特別な事を考えたところで、その結果の理解の前に、使う事や加工をする事の問題が、何らかのマイナスを生じさせている可能性があり、それらを解決に導くような話には到底届かないと考えられますから、除外をしてお話をしています。

また、逆の事も考えると、使い手側は加工する側の技術や知識が無く、それに準じた加工を行える訳ではありません。

つまり、使い手側が加工する側の理解をする事も難しく、こうすればいいんじゃないか?とただ思うだけなら簡単であり、それが出来ないような場面も多くあったりします。

僅かの一部だけを記載しましたので、何かの誤解が生じる可能性はありますが、双方共に立場が違うという事をお伝えしたいまでです。

そして、そうならない為に、私は刃物の使い方をそれぞれの刃物を仕事で扱うプロレベルで学び、加工に関しても勿論プロレベルで研究を重ねてきて、素人だけではなく、プロ基準にも余裕をもって対応出来るだけ、知識と技術を得ました。

その為、お客様としてご利用を頂く方からは、色々と苦労をされて解決できなかった道が、完全に解決出来たり、かなりの割合が解決出来たケースが多くあります。

・刃物のレベルはどうか?

・使い手のレベルがどうなのか?

・その刃物と使用者のバランスはどうなのか?

・その刃物は希望される用途に合っているのか?

・使用者と自分の考えや方向性が一致しているのか?

・自分が持つ知識と技術で何をどこまで出来るのか?

・最終的な結果はどう変わったのか?

など、色々なやり取りと合わせ、最終的に納品する事が目的ではなく、結果がどうなるのかを考えます。

ここに書いたのは僅か一例であり、刃物の種類や内容に合わせ、相当多くのやり取りを行い、結果に繋げられるようにする事もあります。

こだわるのはいくらでも出来ますし、語るのは知識を何となく得て行けば、使い手でも加工する側でも、それなりに話せるようにはなります。

ただそこに必要なのは、現実的な結果であり、それをどのようにして表現して、上手く形にできるかどうかです。

私が今まで経験をしてきた中で感じるのは、専門的な知識が無い事より、使う技術が無い方が問題なので、色々と難しいお話は無しにして、専門的な範囲は分かりやすくご説明して、そこから得られる思いや希望する内容を伺い、出来る限りそこに近づくようにしています。

 

2024年11月 7日 (木)

切れなかったら研げばいい!

単純な話になりますが、刃物が切れない事に悩むのは辞めましょう。

ちゃんと砥石で研げば良いのです。

包丁の場合、適当な研ぎ棒や、研ぎ器で研ごうとしても、最初は何となく切れるかもしれませんが、正確に言うとそれはまともな研ぎにはなりません。

瞬間で終わるような刃の立て方は、刃先に大きな段を作ったり、角度をめちゃくちゃにするだけです。

真っ直ぐ切れなくなる事も多く、刃の欠損も多く見られるのが特徴ですが、刃への負担が大きい事もあります。

また、適切な研ぎと適切な刃先の刃返り処理をされていないので、それが包丁の場合、食材に残り、口に入る可能性がありますから、大変危険です。

砥石で研ぐ事は、非常に重要ですし、先へと繋がる良い再生方法ですから、是非砥石で研ぐ事の重要性を知ってください。

刃物を使用する事に対し、リスクを回避するのも、刃物の研磨や研ぎには大切な事が含まれています。

2024年11月 6日 (水)

技術の追求や進化を止めたらそこで終わりです

自分自身の現在の知識や技術に対し、私はいつでも不満を持っています。

日頃から色々な仕事をする中で、まだまだ遠い先の技術の構想があり、そこに到達する為の一歩先や2歩先が、まだ経由地として見えてない事もあります。

あまりにも遠い先を無理に見据えようとしている訳ではなく、それだけ理想が高くあるという事です。

目の前の仕事に対し、色々と改良を加える事は良くありますが、それも1歩とは言わず、半歩でも先に進む為です。

世の中はコストダウンとして、人数や手間の省略、工程数を如何に減らすかなど、そういった部分に着目し、改良のつもりが改悪になっている事も多いです。

また、新人が仕事場に入り、まだ確実に任せられるレベルにないその人が作業に入ると、製品や技術の質が落ち、それをそのまま出してしまえば、常連のお客様には分かる事です。

そのような感じで、後退する事は決して望まないので、少しずつ改良を加え、進化をさせ続けていますから、気付く方には分かると思います。

実用性能や使えばはっきりと出ますから、そこは誤魔化しの利かない世界です。

年々進化を続け、ここまで良い評価を頂けるようになっても、まだまだ先の構想が見えている間は、今がまだまだだという事ではなく、伸びしろがあるという事なので、止まる事無く進めていきたいと思います。

まだ誰にも話ていないような技術の形も、いくつか今後は開発していこうと思いますが、その為には色々と導入しなければならないものも多いので、簡単な話ではありませんから、地道な努力が必要でしょう。

 

2024年11月 5日 (火)

無知でも良いと思います

お客様からのお問い合わせや、直接のご来店でのご利用で、色々とお話をしている中で、「無知ですみません」のように遜ったり謝る方が結構いらしゃいます。

知識や技術が無くても、ちゃんとしたお店や職人を探し、技術の依頼をと思う訳ですから、それで良いと思います。

逆に知識や技術が中途半端にあって、「知っている」や「出来ている」と勘違いをしてしまい、ただのつもりになっている事も良く見受けられますが、そうなってしまうと正しい情報を受け入れられなくなったり、技術の進歩の邪魔をしてしまう例が多いようです。

そうなるより、まともなところでまともな知識と技術を用いて、良い結果になるように方向性を見てもらった方が、間違いなく正解だと思います。

私自身も素人時代に、刃物屋さんや砥石屋さんに数多く行きましたが、自分で損をしたと思っている部分もあります。

もちろん、当時の知識と技術の勉強や研究は、一部でプロレベやプロ以上とも言われる事があり、ある程度の確証がある答えは持っていましたから、この程度で専門店の看板を出せるのかと、残念ながら思ってしまう事もあり、それはプロになって業界の色々な範囲を見るようになってからも、あの頃の見解は間違いではなかったと思う事もあります。

そう考えると、必ずしも勘違いとも言えないのですが、知っているのと出来るのは違いますし、出来るのと知っているのが違う事もあります。

つまり、知識と技術のバランスや融合の問題になりますから、人と確実なお話をする為には、ああでもないこうでもないと色々とお話出来て、それを結果で見せなければならないので、それなりのレベル以上のプロの話は、ちゃんと聞ける体制を持った方が良いと思います。

あとは経験的な部分もありますが、その辺りは難しく他では何件も断られたような仕事も、無理だと判断をしたり、お客様の得にならないと思わない限りは、出来る限りでお受けしてきていますから、利益では無く技術優先でやってきたと言えますから、その辺りもご安心ください。

 

2024年11月 4日 (月)

刃物にも慣らしは必要です

刃物を購入し、最初から本領発揮の状態とは限りません。

刃物の製造時、外側に悪い影響が出やすい事もあり、ある程度刃物を使うまでは、メイン使用品にはしない事をおすすめします。

それは刃物自体の問題だけではなく、使用に関してもです。

その刃物の持つ性能を的確に理解するまでには、何度も使って研いでを繰り返し、性能を知る必要性もあるからです。

色々な分野で、慣らしが必要と良く言われますが、刃物の世界も同じです。

刃物が慣れて行く事と、自分が刃物に慣れて行く事と、いずれも慣らしになりますので、様子を見てあげるのも大切だと思います。

そこから見えた性能や研ぎの設定で、何用にしていくのかを決めれば、よりその刃物が生きる道が見つかると思います。

 

2024年11月 3日 (日)

かなり助かります

刃物や研ぎの良し悪しの影響で、使用は本当に楽になります。

久しぶりにそこそこ真面目に研いだ刃物を使うと、はっきりと違いが出てきます。

つい最近だと、こういう作業で上手く切れていなかったのが、何も考えなくても勝手に綺麗に切れるような感覚は、ストレスが無くなります。

いつでも切れる状態で、設定が適切になっていれば、それは理想的かもしれませんが、常時その状態にするのは、それなりの努力が必要です。

多くの場合、最初は維持出来たとしても、段々と研ぎの癖が出始め、形が変わってきたり、良かった時の切れ味や永切れから遠ざかる事もあります。

それを直すのはかなり困難な事ですし、無駄に減らすだけで直らない可能性も十分考えられますから、私達のような専門家の所へご依頼なさってください。

無駄に減らすだけで直らないとは失礼な!と思うかもしれませんが、もしそれだけの技術があって、丁寧に普段から管理が出来ていたら、そういう状態にはならなかった訳ですから、そこは素直に受け入れましょう。

定期的に大きな問題が無くても、調整の依頼が入る事は良くある事ですし、それが恥ずかしい事ではありません。

自分の刃物は自分で研げ!と言われる業界は多いですが、状態が悪い中で良い研ぎを行おうとするのは、まず無理な事ですし、それがかえって悪い研ぎの癖をつけてしまう事もあるので、総合的に考えると、依頼をして直し、そこから角度や研ぎの一致をして、バランスの良い研ぎを覚えるというのは、決して悪い事ではないと思います。

条件が良くなれば、研ぎは安定しやすくなりますし、形や角度の違いなども学ぶ事が出来ますから、良い勉強になると思います。

 

2024年11月 2日 (土)

スペシャル仕様

刃物を何かの専門仕様にする場合、他の用途への使用が合わなくなる可能性があります。

以前から何度か記載をしていますが、今回も分かりやすく包丁にしましょう。

柳刃などの刺身包丁系で考えますと、刺身用とはとは何か?から入ります。

刺身包丁は、刺身を引く為に作られていますが、骨が弱い魚の場合、そのまま卸したりもしますし、皮引きに使ったり、大まかな柵取りに使ったり、最終的な刺身として引いたり、薄造りに使う人もいます。

それだけ見ると、多用途で感じられますが、今回のような専門仕様だと、一番多いのは刺身を引く専用になります。

そこをメインとして研ぎを行った場合、皮引きや弱い骨を持つ魚の卸しに使うと、刃が損傷する可能性もあります。

損傷しないにしても、刃持ちに影響が出たり、刺身用設定なのに、骨や皮引きの影響で、刃が早く消耗したりで、綺麗に刺身が引けなくなる可能性もあります。

切れ方をどうしたいかで、研ぎ方も色々と変わりますが、性能特化とはそのような感じです。

また、和包丁でよく使われる薄刃も同じで、剥き物メインに使うのか、打ち物(刻み)に使うのかで、刃の設定はもちろん変わります。

両方使えるようにする事は可能ですが、場合によってはどちらも使いにくくなったり、刃持ちに影響が出る事も多いです。

出刃で言えば、水洗い用と骨叩き用、卸し用、などに分ける事も多いです。

雑用の刺身包丁、刺身用の刺身包丁、刺身用の予備、のように、例えば3丁を用意しておけば、かなり安心だと思います。

人によりますが、雑用×2、刺身用×3、のように、用意をして使用していた方もいらっしゃいました。

そこまでしないと包丁の性能は完全には出しきれないと感じるのは、それだけ刃物と研ぎを知るからこそでもあります。

一つの研ぎにより、全てをまかなう事は可能であったとしても、個別の作業で見ると、本当にそれが適切であるのかが疑問になる事は多いです。

それは研ぎが下手な事や、刃物の性能に問題があるからではない事の方が多いですから、こだわりの範囲だと考えるのが妥当でしょう。

 

2024年11月 1日 (金)

見た目はほぼ変わらないのに・・・

私が仕事で使う道具類の中には、使い捨ての製品もあり、それらのコストはかなり高いです。

いくつか並べてみても、同じようなものや、色違いにしか見えないようなものもありますが、それぞれの価格も天地の差がある事も・・・。

仕事の内容に合わせ、同じような道具でも、使い分けをしていたりしますが、それは作業時間や仕上がりの違いにあります。

価格が安めの作業に、最高級品を使う事は出来ませんから、上級の仕事が入った時にしか使わないものも会ったりします。

ただそれがあるか無いかで、仕上がりや結果の差が大きくなるので、必要になる時の為の用意です。

ほとんどご依頼の無い作業専用の道具は、その時になって仕入れをする事もありますし、あまりにも入らない場合、その内容は廃止してしまいますが、必ずこの作業は入るけどいつか分からない・・・といった感じの作業の場合には、大体の準備はしてあります。

その為に何倍も金額が違う道具を保管しておきますから、コスト性は悪いこと間違いなしですが、レベルの高い仕事には安い道具は使えないので、それもまた致し方ない事です。

 

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