実際に使用して見て、技術の詰まったものは、良いか悪いかがはっきりします。
特に刃物の場合、確実な物は存在しておらず、どうしても当たり外れがあったり、良いと思ったものが実は言われている程では無かったりして、それを実際に良いと感じられる方の割合は、意外と低いと考えています。
私自身、色々な刃物を購入して使用し、研ぎを学んだり、研究を重ねてきていますが、使い手側として見る刃物の世界と、造り手や加工をする側から見る刃物の世界では、かなりの違いを感じています。
使い手側が求める物を、作り手側がそのように提供出来ているのか?と考えると、疑問が残る部分はかなり多くあり、その理由としては、作り手が使い手側を理解出来ていなかったり、使い手にはなれていないので分からない事にあると考えられます。
過去に色々なお客様とお話をし、研磨や研ぎやその他加工などのご依頼を頂いて来ましたが、その中で多かったお話は、加工する側の理解の問題でした。
技術力が無いとか、そういうお話以前に、そもそも使い手が感じた事や結果として得られた情報を伝えても、その内容を加工する側に理解されないという事は、致し方ない事でもあります。
加工をする側が、使い手側にそういう場面ではこういう研磨や研ぎが良いとすすめたとして、その刃物を使えないのに、どうしてそれが良いと言えるのか?も問題です。
その刃物を加工する人達全員が、使い手として実際に同じ作業が出来たり、こういう場面でこうなってくれればを体験していれば、そんな事にはならないはずです。
こういうお話をすると、それぞれやいずれかの側に、レベルの差がある場合も考えなければなりませんが、双方共に必要レベルを十分に越え、それらに関する理解や技術を有していると仮定して考えてください。
そこまで到達していない場合は、何か特別な事を考えたところで、その結果の理解の前に、使う事や加工をする事の問題が、何らかのマイナスを生じさせている可能性があり、それらを解決に導くような話には到底届かないと考えられますから、除外をしてお話をしています。
また、逆の事も考えると、使い手側は加工する側の技術や知識が無く、それに準じた加工を行える訳ではありません。
つまり、使い手側が加工する側の理解をする事も難しく、こうすればいいんじゃないか?とただ思うだけなら簡単であり、それが出来ないような場面も多くあったりします。
僅かの一部だけを記載しましたので、何かの誤解が生じる可能性はありますが、双方共に立場が違うという事をお伝えしたいまでです。
そして、そうならない為に、私は刃物の使い方をそれぞれの刃物を仕事で扱うプロレベルで学び、加工に関しても勿論プロレベルで研究を重ねてきて、素人だけではなく、プロ基準にも余裕をもって対応出来るだけ、知識と技術を得ました。
その為、お客様としてご利用を頂く方からは、色々と苦労をされて解決できなかった道が、完全に解決出来たり、かなりの割合が解決出来たケースが多くあります。
・刃物のレベルはどうか?
・使い手のレベルがどうなのか?
・その刃物と使用者のバランスはどうなのか?
・その刃物は希望される用途に合っているのか?
・使用者と自分の考えや方向性が一致しているのか?
・自分が持つ知識と技術で何をどこまで出来るのか?
・最終的な結果はどう変わったのか?
など、色々なやり取りと合わせ、最終的に納品する事が目的ではなく、結果がどうなるのかを考えます。
ここに書いたのは僅か一例であり、刃物の種類や内容に合わせ、相当多くのやり取りを行い、結果に繋げられるようにする事もあります。
こだわるのはいくらでも出来ますし、語るのは知識を何となく得て行けば、使い手でも加工する側でも、それなりに話せるようにはなります。
ただそこに必要なのは、現実的な結果であり、それをどのようにして表現して、上手く形にできるかどうかです。
私が今まで経験をしてきた中で感じるのは、専門的な知識が無い事より、使う技術が無い方が問題なので、色々と難しいお話は無しにして、専門的な範囲は分かりやすくご説明して、そこから得られる思いや希望する内容を伺い、出来る限りそこに近づくようにしています。