先日お客様からのご質問で、どの包丁も欠けが毎回出来てしまいますがこれは当たり前に起こる事でしょうか?、といった感じの内容を頂きました。
元々調理経験者であり、研磨や研ぎのプロとして現在活動している私からしますと、欠けは通常は起こりにくい事と考えています。
その理由としては、いくつかありますが、まず初めに、欠けの原因の多くは、シンクや調理器具や器などにぶつけた事による損傷が多い事です。
つまりそれは、単純に使い方の問題であると言えます。
丁寧にとか気を付けてという言葉で済ませるのは簡単ですが、実際にそうならないように使う事は、確かに難しいのかもしれません。
しかし、器の上で包丁を使わない事や、硬いものを無理に切ったり、無理にこじるような使い方をしない事で、まずは注意力の問題以外の範囲は解決できます。
あとは包丁を使う場面で十分に注意する事が解決できれば、その時点で大体はクリアできます。
最後は保管管理ですが、綺麗に洗って水気を完全に拭き取り、包丁立て以外の場所で安全に保管する事が大切です。
キッチンに付属の包丁立ては、包丁を傷める要因が沢山ありますので、どうしても包丁を立てたい場合は、木や竹で出来た、個別で差し込むタイプの包丁立てをお使いください。
内部でつながっているようなタイプや、扉についているタイプだと、扉の動きで包丁同士ばぶつかって高確率で破損します。
可能な限り、購入時の箱に入れたり、引き出しのようなところにタオルやマットを敷いて、負担なく保管する事をおすすめしています。
次の理由としては、それぞれの包丁で用途が異なっており、その用途ごとの使い方を正しくしていない事が挙げられます。
過去に何度も記載をしていますが、例えば三徳包丁は、「肉、魚、野菜」の3種に使えると言われていますが、骨や皮付きのものを切る事を前提としていません。
もしそうであれば、ごっつい厚みや刃角になっていますし、それだとまともに使えなくなる事は、想像が出来るかと思います。
他にも包丁は多種多様で存在していますので、使い道に合わせてそれなりの数の包丁や、種類や研ぎ方を変えた包丁を用意しないと、良い結果にはならないと言えます。
プロの方が包丁1本だけで全てをやっていたら、それはプロとしてどうなのか?と見られるレベルの話ですし、必要に応じてそれなりの本数を用意していると思いますが、ご家庭でお使いの場合、そんなに数は用意出来ないでしょう。
それでも、三徳や牛刀(2丁以上)、ペティ、出刃、とこの辺りは多くの方がご用意されています。
研ぎや修理に出す際に納期を聞いて、包丁が一本しかないからと、稀におっしゃる方もいらっしゃるようですが、何事も一つで何とかしようと思うのは無謀な事ですから、最低限度の数の用意は必要でしょう。
凄く高いものを何丁もご用意頂く必要は無いと思いますが、せめて繊細に使う包丁と、雑に使う包丁の2丁くらいは、用意をしてお使いください。
欠ける事は当たり前ではなく、無意識に使っていても損傷しない方はかなりの数でいらっしゃいますし、刃物を欠損させてしまう事は使い方の問題を第一に疑われますし、道具だから損傷しても良いという事ではないというのを、心に留めておいていただければと思います。