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2025年7月

2025年7月31日 (木)

大切なのは入り口を探さずに切れる刃です

刃物を使って切る場面で、切断や切削に対し、上手く刃先が入らず、滑ってしまう事を経験されている方は多いかと思います。

まともな範囲で研ぎを行える方でも、刃が落ちてきた状態になると、同じような経験をされるでしょう。

しかし、切れ味の低下を感知した時点で、研ぎを行う方の場合には、その状況にはならないかもしれません。

話を戻しますが、切る時に滑って刃先が入らない状態は、刃先の先がしっかり刃となっていないか、鈍角過ぎるか、刃の使い方にブレがあるか、その辺りの問題になるかと思います。

研ぎ終わった直後は、刃先が切り込んでいく力は最も強い状態ですから、初期にその感覚が得られず、切り込む為の場所を探しているような状態では、刃の構成が良くないという事になります。

素材への入り口を探さないと切れない刃は、良い刃とは言えませんので、そこそこ荒めの刃だったとしても刃先が整っていれば、意外と当てた瞬間に切れ始めるものです。

特に細かく研ぎを行う方の場合、刃先は非常に細かく鋭利になりますから、この入りの場面では確実に体感が出来るはずです。

その切り込みの初期は、この先に切断を続ける意味でも大切な刃先の先ですが、刃先から内部に向かう中で、刃の強度を維持できるだけの構成を作っておかないと、刃先の先の強度は落ちます。

私が薄めに研いだ刃は、ただ切り込みが特別に強いだけではなく、意外と刃持ちもあるとされていますが、全体の構成の良さがそこには影響しています。

間違いなく気を付けるべき事は、刃付けの場面では特にですが、研ぐ時に力を入れてしまう方は、刃先の先が上手く形成されない事が多く見られますので、ご自身が思っているよりも更に多くの力を抜き、一定角で当てる事だけに集中をしてやってみてください。

特に近年の硬く研ぎにくいステンレス鋼や粉末鋼などで、力を入れて研いでいるケースも良く見受けますが、砥石の上で力を入れて研ぐものではありません、

研ぐ時の音は、実は意外と静かなものですから、ガリガリやジャキジャキやジャージャーのような音がする場合には、それは無駄に砥石を減らしているだけだと思うと良いでしょう。

だからといって、砥石の上に綺麗に当たらないくらいに力を抜きすぎると、それはそれで他の問題にもなりますので、的確な研ぎの加減というものを、ご自身で探して見つけ出してみてください。

 

2025年7月30日 (水)

あまり切れない方が?

刃物の切れ味とは無縁で生きて来た方からすると、良いとされる刃になっている刃物の切れ味は、とても怖いと思う方もいらっしゃるそうです。

今までの使い方では怪我をしなかったのに、まともに切れる状態になったから怪我をしたという例を何件か聞いた事があります。

ちゃんとした使い方と言われる刃物の使い方は、刃物の損傷を防ぐ意味だけではなく、ご自身が刃物を使って怪我をしない事も含まれます。

ですから、出来る限り正しい使い方を学んで、その通りに刃物はお使い頂ければ、刃物の損傷やご自身の怪我を防ぐ事が出来ます。

例えば包丁の場合、切れすぎると怖い!とおっしゃる方には、少し控えめで鋭すぎない刃にして納品する事も可能です。

使い勝手や切れ味を体感するのは少し難しくなると思いますが、致し方ない事と思います。

ちなみに、切れない刃物で使い方を学ぶと、無理な使い方を覚えてしまうので、下手な使い方になると言われています。

逆に切れすぎる刃物しか使った事が無いと、刃物の切れ味にだけ頼る使い方になるとも言われています。

どちらかというと私は後者で、私が刃物を仕事で使い始める前から、ひとまず切れるという領域は超えていましたので、切れ味の悪い刃物を使うと、正直上手くは使えないと思っています。

ただし、上手く使えなくても、上手く使おうとする方法は知っていますので、そこを知らない場合よりは、だいぶましだと思います。

特に最近は、切れる刃物に慣れすぎた感じもしますから、たまには切れない刃物を使って、なるべく大きく刃物を使う練習をするのも良いかもしれませんね。

 

2025年7月29日 (火)

自分で研ぐのか?研がないのか?

ご家庭用の包丁で、おすすめのご質問は良くありますが、当方で取り扱い以外の製品でも、用途やご予算などをお伺いし、おすすめをお伝えさせて頂く事はあります。

もちろん、ただ質問が来て、それにお答えするような事はありませんので、日頃からのご利用がそれなりある方のみの対応です。

大まかな所で言うと、鋼物と言われるサビが出やすい炭素鋼や炭素鋼系の特殊鋼、ステンレス物と言われる低炭素ステンレス鋼や高炭素ステンレス鋼、粉末系と言われる粉末鋼や粉末ハイス鋼やサビにくい部類の粉末鋼、などが挙げられます。

この時点で何が何だか・・・という感じだと思いますが、鋼材名を細かく鋼材メーカーのHPで調べないと、意外と情報が間違っている場合もありますから、注意が必要です。

私も全てを正しく把握している訳ではないので、個別の鋼材名は出さずにお話をさせて頂きます。

ご家庭用としてよく使われるのは、三徳包丁と牛刀とペティナイフです。

これらはどの家庭にでもあると言えるくらい、普及率が高い包丁ですね。

ペティナイフに関しては、昔は果物ナイフと呼ばれてテーブルナイフのような扱いをされていましたが、現代はそれを使う方は減り、ペティナイフが主流化していると思いますので、そちらでお話をさせて頂きます。

この三種の全てをお使うの方もいれば、1丁だけや2丁の方もいらっしゃるとは思いますが、その数は問題ではありません。

お使いになる事だけではなく、ご自身で研いで使うのかどうかというのも、ここには考慮すべき所が大きく存在する事をまずは念頭に置いてください。

ご自身で研ぎやメンテナンスを行う方の場合なら、研ぎやすく切れ味が出やすい炭素鋼や、サビにくく研ぎが比較的楽な低炭素ステンレス鋼がおすすめです。

おすすめが出来ないのは、多くの事例として見て来ましたが、研ぎが難しく苦労をするのが粉末鋼系と高炭素ステンレス鋼系です。

これらは手研ぎだけで全てを解決するには、かなり大変な部分がありますので、ダイヤモンド砥石を購入して使うつもりでも無ければ、一般の砥石で研ぐのはかなり苦労すると思います。

また、特に粉末鋼は、硬く粘り強いとはされていますが、薄い刃にしても耐えられるという事で、かなり薄めに刃を付ける場合が結構あり、それで使い方を誤れば大きな欠損に繋がる事もあるので、正しく丁寧に使える方や、研ぎにかなり慣れた方でなければ、大変な部分が多くあると思います。

逆に研ぎをご自身で行わず、当方のような研磨や研ぎを行う所にご依頼を頂く方の場合、良くおすすめするのは、高炭素ステンレス鋼と粉末鋼系です。

先ほどとお話が逆になりますので、なんでだろうと思う方もいらっしゃると思いますが、その理由はご自身で研ぎを行わないからです。

性質自体は水場で使う刃物としては、非常におすすめな部分もありますので、本当はおすすめをしたいところですが、研ぎという部分を考えると、扱いに困る方が多いという認識をしていますので、そのような回答になります。

おすすめが出来ないのは、炭素鋼系でサビに弱い事から、水場で使う刃物としては、徹底管理を行う必要がある為です。

サビは食材への匂い移りや混入の可能性もありますので、出来る限りサビにくい方が良いのですが、切れ味の気持ち良さを考えると、本当は鋼物も良いとは思っています。

何をとってもマイナス面が無いという鋼材は無いので、これらは何を優先するのかでのお話ですから、あまりかたく考えないでください。

あとは、ご予算の部分で、売られている内容を見ての判断も必要になると思います。

ご予算に余裕がある方は、可能であればプロ用の包丁をご購入下さい。

研ぎは大変になると思いますが、性能の差は別格になる事も多いので、包丁を使う事が楽しくなると思います。

 

2025年7月28日 (月)

玉鋼と白紙2号

日本刀で使われる玉鋼は、たたら製鉄により今でも製造がおこなわれています。

その玉鋼をベースとして、日本刀の製作がされていますが、鍛えて折り返し鍛錬を行う程に良い刃物になっていくのは、独特の性質の鋼だからだと言われています。

この玉鋼と近い性質であるのは、白紙2号と言われていますが、白紙2号は包丁、ナイフ、鉋、鑿、切出小刀、など、様々な分野で現代もメイン鋼材として使われています。

実際に玉鋼の刃物を研いで使った事がある方は、粘っこい感じがする鋼で刃付きも良くて素晴らしいとおっしゃる方が多いです。

それに対して白紙2号の刃物は、同じような形状のもので比較しても、硬い感じがしてサクサク研げるようなイメージと言われています。

独特の粘り強い感じは、折り返し鍛錬によるものという声がある一方 成分は同等でも材質の基本や製造工程が違うから別物というお話も強くあるのは事実です。

私は玉鋼の刃物のだいひょうとして、日本刀の研磨を行いますし、その他としても玉鋼の刃物をいくつも所持していますから、性質の範囲は大体把握できていると思います。

もちろん白紙2号も、昔から馴染みがある鋼材ですから、同じように研磨や使用の経験も多く、その性質はおおよそ理解出来ているはずです。

それを比較した場合、同じか?と聞かれると、答えは同じではないという回答になります。

それぞれに良さはありますが、指先のように使う刃物は白紙2号で、腕の先として使うような刃物は玉鋼が向いていると感じます。

中には玉鋼研究で有名になり、一般の刃物に玉鋼を用いて過去に作られた鍛冶屋さんもいらっしゃいましたが、その方の製品の良さは別格にあったと言われており、私もその系統を何丁か研いだ経験がありますが、お客様のご意見としては、良し悪しにばらつきがあったようです。

純水な炭素鋼としては、これらの二つが安定の性質を持ち、ある意味では代表として名が出て来ますが、他にも似たような炭素鋼が実は複数あります。

いずれも良し悪しがあるとは思いますが、用途ごとに向き不向きを見極め、そこから生み出される刃物の良さは、素晴らしいと思います。

ただ現代では、炭素鋼が良くないという意見が多く増えてきているのも事実で、鋼が大きく変わってしまったのか、鍛冶屋の技術がそこまで成長していないのか、その辺りは色々と懸念される部分もあり、今後の炭素鋼の製品の性質には注目して行こうと思っています。

色々と難しい部分が多いとされる純粋な炭素鋼は、ステンレス鋼や粉末鋼の進出により、割合は減ったとは思いますが、まだまだそこに求める切れ味や研ぎやすさなどもありますし、今後も製造を頑張って頂きたいと思っています。

 

2025年7月27日 (日)

材質による違い

和包丁の柄は、基本的には朴(ほお)の木を使った柄が一般的です。

その他として良くあるのは、黒檀の柄がありますが、こちらは密度が高い為、同じサイズだと少し重量が重くなります。

また、朴柄は経年劣化により、汚れがしみ込みやすくなる事がありますが、黒檀はそれがほぼ無く、衛生面では良いとされています。

黒檀柄の欠点があるとすれば、割れる可能性がある事と金額が高い事でしょう。

朴は比較的ではありますが柔軟に中子と馴染みますが、黒檀は膨張などには弱いので、柄の内部で中子がサビて膨張を始めると、割れてくる可能性があります。

中子と柄の隙間を完全に埋めるような感じで、接着剤での固定がされていたり、木材やパテなどで穴埋め加工をされている場合には、それはほとんど起こりにくいと考えられますので、あくまでも割合的な話ではあります。

私が過去に調理をやっていた頃は、ほとんどの包丁を黒檀柄に交換していました。

その方が衛生的だという話もありましたし、高級感があるという部分も考えての事です。

それは今でも変わらないと思います。

あとは、朴でも黒檀でも、油性のワックスで吸水をさせないようにする方も良く行われているようですが、それだと食材に溶けだしたワックス成分が付かないかと心配される方もいらっしゃいます。

他の方法としては、拭きうるしや拭きカシューなど天然素材を用いて、コーティングを行うと汚れや臭いから柄を守る事が出来ます。

なお、柄の話ではありませんが、黒檀繋がりで言うと、過去には黒檀柄も流行りましたが、それはおすすめしていません。

見た目はかっこいいのですが、包丁の運搬や保管時に、鞘の中で包丁が動く事で、刃の欠損が見られる方が多くいらっしゃったようですが、朴より断然硬い木なので当然と言えば当然ですね。

日本刀の白鞘にも、もちろん朴の木が使われており、その性質の良さは間違いなしとされていますので、包丁の鞘が必要な場合は、朴鞘を強くおすすめ致します。

 

 

2025年7月26日 (土)

研究対象?

先日、初めての刃物に研磨を行いましたが、読めない部分が沢山ありました。

鋼材も良く変わらず、基本的な性質も分からずで、結局あれはなんだったのか?という事だけが気になっています。

新しい鋼材は知らぬ間に増えていますが、もしかしたら今まで触った事のない鋼材だった可能性もあります。

調べても出てこない場合は、他に公表されているメーカーの製品との類似で判断をするしかないのですが、熱処理が変わっただけでも別物になる場合もありますから、確実な答えは見つからないかもしれません。

もし同じ刃物をまた触れる機会があれば、今回の反省を踏まえて、より良い状態でお返し出来るようにと思っています。

現状でも悪い訳ではありませんが、もっと良く出来るという感がありますので、そこを伸ばしたいと思います。

 

2025年7月25日 (金)

地金の違いで研ぎ味は変わります

鉋や切出小刀や鑿で良くあるのが、地金の違いです。

一般的な地金に使われるのは、極軟鉄と呼ばれるものですが、上級の物やこだわりの物の場合には、錬鉄と呼ばれるものが使われます。

極軟鉄は粘り強く硬い感じがしますが、錬鉄は高度が低めで簡単に研げる印象です。

また、使う砥石によっては、地金を引くと呼ばれる、硬い物質が砥石から出て来たものを、地金に刺さって荒傷となったり、地金に荒い線を残してしまう事がありますが、これが錬鉄だと回避する可能性が高くなります。

極軟鉄は密度が高めで素材は一定化している感じですが、錬鉄は高度にばらつきがあり、模様が出たり金属に隙間が出る事もあります。

元々錬鉄はアメリカなどで古い橋脚に使われていたタイプの鉄で、今では貴重ともされていますから、安い刃物にはまず使われないでしょう。

この二つで見た場合、どちらが良いかは特に明確にありませんが、上級品が錬鉄を使用する事が多い事を考えれば、やはり錬鉄を使った刃物の方が、研ぎやすいと言えるでしょう。

ただ、錬鉄が包丁分野に使われない理由は、先ほど記載の通り、隙間が現れる事があるからという話もあり、その隙間に食材や汚れが溜まる事は不衛生になりますから、致し方ない事でしょう。

単純に鋼だけを見るのではなく、地金にも注目をしてみると、その刃物の見え方はまた変わって来るのかもしれません。

その他としましては、鋼と地鉄を連続で薄く重ねて伸ばした積層の地金もありますが、こちらは2枚合わせで良くあるような、歪をおさる効果があるとされています。

別名でダマスカスと呼ばれますが、正式なダマスカスはもう作れないそうなので、ここで挙げるダマスカスは近代的な積層地金を指します。

また、ステンレスや粉末鋼では、ステンレス系の地鉄が使われたりもしますが、高硬度の粉末鋼になると、地金が比較的柔らかめのステンレス鋼の場合もあるので、その辺りも見ていくと見た目だけではなく、研ぎ味としての変化もあるので、色々試してみてください。

このように色々な地金がありますが、それぞれに特徴がありますから、ご自身の好きなタイプを見つけ、鋼と地金の組み合わせで刃物をご購入してみるのも良いと思います。

 

2025年7月24日 (木)

今でも稀にあります

それなりの勉強と研究を重ね、この仕事を始めてからは、実際の状況を見ながら改善の事を学んできました。

しかし今でも未知の領域は残っていて、本当に稀にですが、こういう事もあるんだ・・・という状況に遭遇します。

その時に色々な部分を解明できるかどうかで、次回にそのような状況の物のご依頼をお受けした場合に、しっかりと対応が出来るか出来ないかがはっきりと出ます。

自分の為でもありますが、最終的にはお客様の為になる事でもあるので、出来る限りで難しい案件のご依頼もお受けするようにしています。

作業自体は可能でも、苦労する案件は儲からないしリスクが高いので、受けてくれない所も多いようですが、当方ではそのような感じで出来る限りでお受けしていますので、ご相談を頂ければと思います。

 

2025年7月23日 (水)

今は市場からほぼ消えました

色々な刃物が存在していますが、その中でもナイフや包丁などの範囲で高い評価があったのは、粉末ハイス鋼の中でも特に炭素量が多い、ZDP-189とカウリXでした。

高性能に仕上げようとすると、HRC(ロックウェル硬度)は67程度に達し、砥石で簡単に研げる限界を超えていましたが、切れ味の力強さと刃持ちで言えば、安心感はあったと思います。

かなり高額な部類の刃物でしたが、手にした事で学ぶものは多く、この時代以降でここまで高炭素の鋼は出てこなかった事を考えると、色々と難しい裏事情があったのかもしれません。

刃物好きの方でまだ手にした事が無い方は、ネットで調べて購入をおすすめ致します。

いずれもダイヤモンド砥石を使用すれば、問題なく研ぐ事が可能ですので、宜しければこちらの製品をご購入なさってください。

 

 

2025年7月22日 (火)

久しぶりにテストをしたいのですが・・・

日本刀の研磨で、いくつかテストをしたい事があるのですが、その対象が今手元にありません。

今後に繋がる研磨の改良になるかもしれない事なので、適当に終わらせるわけにもいかず、それ相応の対象物でのテストをと思っています。

もしかしたら今後の日本刀研磨のご依頼の際に、必要以上にお代は頂きませんが、テスト的名部分を含めさせて頂く可能性があります。

以前は実力のある方にお願いをしたり、自分でも可能な範囲でテストをしていましたが、今は試斬のテストが出来る環境が無いのと、ずっと長く試斬をしていないので、そんな私がテストをするよりも、誰かにお願いをしてご意見を伺う事が最適かと思っています。

自分の思い違いでなければ、少し改良を加えて、扱いやすい斬れ方にする事が可能かもしれません。

一応他刃物でも、色々テストをしてきた事の延長線上なのですが、それまでの刃物のテストでは、改善は見られましたから、意味がなく終わる事は無いと考えています。

2025年7月21日 (月)

状況次第で刃付けの時間は変わります。

刃物の機械加工が終わった状態で、そこからの手研ぎを行い、刃物の面付けをしたとしましょう。

そこまで出来ていると、あとは最終的な刃付けの作業になりますが、そこからの作業時間はまちまちです。

5分で終わる事もあれば、15分かかる事もあります。

刃物により手研ぎの手の動かし方や速度が違いますが、それ以外にも刃物の硬度や使う砥石の違いでも、研ぎ方は同じではありませんから、当然差が出て来ます。

私はどんな作業に対しても、とにかく早くすれば良いとは思いませんから、機械加工でも状況により、あえて思いっきり速度を落として加工する事もありますが、これは手研ぎでも同じです。

良くあるのが、仕上げの最終段階だから、静かに研ぐというような事も言われますが、私はその手の事はやりません。

最後の最後だけ静かに研ぎを行った程度では無意味で、それ以前までの研ぎによるダメージが出て来ますから、如何にそのラインを越えない速度で、下地から研いでいくのかが重要です。

どうしても焦って速く研ぎを行いたがる方がいらっしゃいますが、その時点で刃先となる部分は欠損している可能性があるので、極力負担をかけないように刃付けを行いましょう。

そもそも重要な面の基本が構成されていないと、どんなに丁寧に研いでも無意味に終わる事が多いので、刃付けだけに注目をせず、それ以前の整形修正から重要視をして頂きたいと思います。

それをクリアするだけで、研ぎは格段に楽になります。

 

 

2025年7月20日 (日)

凄く古い時代の刃物

たまにご依頼があるのは、とても古い時代の刃物です。

見るからに作りが古く、相当年季が入っているものもありますが、良し悪しは現代よりも幅広くあると感じています。

当時では最新の技術だったのかもしれませんし、もしくは劣る物だったのかもしれません。

昔の刃物を好んで使う方のお話では、今よりも鋼の性質が素直で良かったという声も・・・。

この辺りは好みの問題だとは思いますが、とにかく力強く切ろうとする刃と、滑らかにさりげなく切り進もうとする刃と、大きく分けるとどちらかになるかと思います。

現代の刃物に不満がある方は、30年以上前の刃物を狙って購入してみてはいかがでしょうか?

その辺りの時代ものはまだ、鋼が比較的素直なものが多かった気がします。

私自身、そのくらいの時代の刃物はそこそこの数で所持をしていますが、当時の刃物の組織は良かったと感じています。

刃持ちは現代の方が良いと思いますが、研ぎやすさでは当時に軍配が上がります。

綺麗に直して売りに出したら、欲しいとおっしゃる方は結構いらっしゃるかもしれません。

使い込んだもの以外は、許容範囲の研ぎ減りしかありませんし、状況も悪くはないので、軽く直せば十分売り物になるレベルです。

当時のものが原型に近く綺麗に残っているのは珍しいので、高額にはなりますが・・・。

 

2025年7月19日 (土)

特別な事は必要無いです

研ぎを行い、刃がちゃんとした状態でついているか、指や爪で確認をしている例は昔からよくあります。

これに関しては、以前にも記載をした通り、その程度の確認では刃の付き具合などまともに確認出来ません。

そもそも指が乾燥していたり、水分を多く保持してふやけている場合など、それぞれの状況により、感覚は変わってきますし、結果が違う事も明白です。

つまり、その方法で確認をしている時点で、確実な刃付きの検証とは言えないと言えます。

私が刃物を研いで、紙での切れ味テストを行いますが、刃物の組織が整っているかどうかの確認や、欠けや刃の方向のズレを見ている状態で、良く切れるかどうかを見るのではありません。

また、紙に刃を当てる際には、極力スライドをさせずにただ押し当てて、その後も低速で刃の具合を見ますが、中砥~中仕上げ程度でも、その時点で大きな抵抗を感じたり、切れないという事はまずありません。

同じような刃物があっても、機械研磨や砥石で手研ぎを行う段階のいずれでも、刃物の性質や性能は大体見えていますから、何か必死になって刃付けがどうなのかと考える事はありません。

切り滑りや無意味に切れすぎてしまう事も、ここでは防ぐ意味を持ちますので、予想より刃が弱いかどうかも判断をしています。

特別神経を使うのは、新しい鋼材や新しい製造に変わった刃物で、今まで通りに研いでどうなるのかや、そこからの発展が必要かどうかを見る事が大切です。

私の話を信用して頂けるのであれば、ご自身でもこういった事を考えてみてください。

 

2025年7月18日 (金)

勿体ないですか?

刃物を研いで使う事を、勿体ないとおっしゃる方がいらっしゃいます。

よく言われている事として、この刃物は10年使えます!とか、3世代に渡って・・・など、それらはまともに研いで使っていたら不可能な話です。

特に毎日研いで仕事にお使いになられている刃物は、数年でその用途を終え、他の使い道に変わる事が多いと思います。

研ぐと勿体ないから、切れ味が限界を超えるまで研がないというお話も聞いた事がありましたが、それだと無駄に研ぎ落とす部分が増え、実際は研ぎの回数が少ない割に、無駄減りの量は多くなります。

使用でのストレスを抱えて我慢し、研ぎも異常に時間を要してしまいますし、無駄に減らす部分も増えるとなれば、私はそちらの方が勿体ないと思います。

刃物はまた買えば良いですから、それよりも使用でのストレスを軽減する事の方を、私は強くおすすめ致します。

それは当方に無理に多く研ぎに出してもらいたいからという事ではなく、ご自身で研ぎを行う方にもそのようにお伝えをしている事です。

使いにくい状態の刃物を使い続ける事程、その刃物がストレスと無駄に包まれてしまっているので、刃物もかわいそうです。

是非切れる状態を維持し、気持ち良く刃物を使ってあげて欲しいと思います。

 

2025年7月17日 (木)

今年中には・・・

以前からご要望が多くあった、ある刃物の研磨を、新しくご提供を開始する予定です。

今までも常連様や特別なケースのみで、対応をしてきましたが、ある程度のデータも取れましたので、正式に通常取り扱いの研磨として、導入する事にしました。

いつになるかはまだ未定ではありますが、項目が一つ増える事になるので、これは大きな進化と言えるでしょう。

実際にはまともな所で作業を受けてくれる所は少なく、しかも高額な割には結果があまり良く無いとのご意見も多く、是非やって欲しいとお話を頂いてきました。

ここまで出来るのに何で通常の扱いにしないのですか?とまで言われるので、だったらやろうかな?くらいですが、作業時間とコストは基本的に結構かかるので、金額と納期は特別安くは出来ないと思います。

あとはこだわりの作業もご用意は出来そうなので、結果を優先される方はそちらをという形になるでしょう。

情報をあまり出してしまうと、いつからですか?と問い合わせが来てしまいそうなので、その時まで何の刃物かは内緒にしておきます。

 

2025年7月16日 (水)

未知の鋼材

今でもたまにあるのが、未知の鋼材との出会いです。

全てのメーカーが製品に対し、鋼材名を公表している訳ではないので、触った事が無い刃物の場合、何だかよく分からないものもあります。

それがいわゆる鋼系(炭素鋼など鉄系)なのか、ステンレス系なのか、粉末系なのか、その辺りくらいは大体の表現はされていますが、厳密な鋼材名は出ていない事もあります。

特に新商品などの場合には、情報が全く無い事もあり、とにかく触ってみないと分からないというのが現状です。

そもそも論を言えば、同じ鋼でも製造方法が違えば、かなり性質の違いが出る事もありますので、まさかその鋼材だったとは!と後で知る事もあります。

そこに新しく性質の異なる鋼があれば、研ぎでの結果が思うように出ない事もあるので、研ぎ方の研究も必要になります。

過去に大きく研究をしたのは、粉末鋼系です。

これは明確に良い研ぎ方があり、それを見つけるまでに、ある程度の苦労をしましたが、理解してからは生かせる研ぎが可能になりました。

最初にある程度まで完成させた研ぎ方は、実は良く無い部分や相性の悪いケースも出て来た為、少し経ってから新しい研ぎ方を開発しました。

今ではそれが他にも使える研ぎである事が分かり、併用して使っている技術となっています。

砥石や研ぎ方を上手く駆使すると、そのように特性の変化も可能という事です。

ちなみに、最近の粉末鋼は、そこまで気を使う必要も無くなったと感じていますので、この研究自体の意味は、ほとんどなくなったようにも思えますが、古い粉末鋼だと気付いた時にはそれらが使えますから、無駄な研究では無かったと言えます。

私も古い粉末鋼品は色々なジャンルで持っていますので、それらにはその技術を使って有効活用をしています。

こういうお話を書くと、やり方を教えてくれ!とか、どんな砥石がいいのか?など、ご質問を頂く事がありますが、技術的な話はお答えしていませんので、予めご了承ください。

 

2025年7月15日 (火)

少し生産を・・・

以前から販売を少しずつしています、当方で研磨を行い製品化している刃物の販売ですが、実はいくつか製品化は終わっています。

元のサイズや仕上がり具合により、価格は変更をして販売をと思っていますが、似たような形状の物はまだいくつかあります。

多分ですが、最初の方に身幅や厚みのあるものを持ってくるので、しっかり目が好きな方は、お早めにご注文ください。

メーカーで製造と刻印をし箱詰めして販売されると、この価格では買えないので、かなりお得だと思います。

それ以外にも、色々な鋼材や形状違いのものを、多数入手済みではありますが、そちらはまだ加工の予定はありません。

あとは、今まで予定はしていませんでしたが、ペティナイフなども作ろうと考えています。

フルーツカットや細かい作業向きですが、皮むきや切り分けなどの軽作業に向くように、薄身のものもご用意しようと思っています。

テストとして自分用を作ってしばらく使っていますが、刃物としては研ぎやすく切れ味も十分に出ていますから、問題は無いでしょう。

作業は普段の仕事時間外でやるので、定期的に量産のような事はまず出来ませんが、たまには出てくると思いますので、チェックをしておいてください。

 

2025年7月14日 (月)

スコアからの換算は正しいのか

刃物と研ぎは関係性が深く、いずれも重要です。

そこには砥石ももちろん関係があり、良い砥石を使う事は、良い研ぎと良い刃に繋がります。

ここで簡単に数字を付けての説明をと思います。

まずは良い刃物があって90点で、研ぎは50点。

並程度の刃物があって50点で、研ぎは80点。

これらを合計して見ると、140点と130点になりますから、有効なのは最初の刃物が良い方だと思うかもしれません。

しかし実際は、刃物を扱う方の多くが、後者の研ぎが良い方を高く評価すると思います。

刃物の点差は、もちろんとてつもなく大きな差ですが、使う時に必要な事は研ぎであって、良い刃物に良い研ぎが入った場合に、その刃物性能が生かされる事となるので、研ぎの方が実は重要なのです。

実際に、ハイスペックの刃物で研ぎがまともに出来ない方と、中級刃物をお使いでもそれを生かす研ぎをされている方とでは、後者の方が断然良い結果になっています。

世の中は何もかもを数値化して理解を求めますが、これが数値化の恐ろしい所です。

私が良くお話をしています「現実値」という言葉は、数字では表せない総合評価であり、この説明を見てご理解が頂けるかと思います。

今ある刃物を、誰が何に使うのか。

そしてその刃物の癖や使用時の条件など、それらを組み込んで研ぎを行う事は、大きな結果に繋がります。

私は過去に何度か書いてきていますが、刃物の性能を改善したいと思い、刃物を購入する事でそれを補うか、研ぎを学んで使用環境を良くするか、非常に悩んだ時期がありました。

今ある刃物をどう生かすのか・・・という所で、私は研ぎをまずは必要だと思い、そちらの勉強や研究をしました。

そこから見えてきたのは、どんなに良い刃物を持っていても、それを生かす研ぎが出来なければ、何もその成果が見えてこないという所です。

結果として、私が学んだ研ぎは、非常に有効性が高いと認められ、今に至っていますが、そこにはやはり砥石の勉強も関係性が深くありました。

どんな種類の砥石を使うかで、その研ぎの結果は大きく変わり、刃物の刃を綺麗に作れる砥石と、そうでは無いものがありましたから、私は非常に多くの砥石を実際に手にし、研ぎとの関係を非常に根気強く見て来ました。

今私が完成させてきた研ぎの世界は、考え方と経験からくる結果で、それは誰かに作られた伝説のような話ではありません。

現実的な実用の為の研ぎとしての開発ですから、紛れもない形のものとなっています。

そのお話が信じられる方も、胡散臭いと思う方も、ご利用を頂きまして、ご自身でご判断ください。

当方はプロ向けの作業を基本としていますが、一般のお客様にももちろん対応をしています。

決まった形での研ぎしか扱っていない刃物もあれば、色々なやり方をご提案している刃物もありますので、HPに記載の各種刃物研磨のページでご確認ください。

 

2025年7月13日 (日)

精度の問題の理解者が増えてきています

刃物の精度の問題は、何度も書いて来ましたが、本当に難しい問題です。

世の中の販売品の95%くらいは、この精度問題に直面しており、それを新品に求めるのは難しくなっています。

市販品で全く問題がないとおっしゃる方もいれば、市販品では絶対に我慢できないとおっしゃる方もいらして、意見が分かれる部分はありますが、精度の問題は使用環境や研ぎの環境で全く異なりますから、分かるか分からないかという判断だけではいけないと思っています。

色々な条件が整えば、嫌でも精度の問題を目にして感じてしまいますから、その環境の方達が本当に良かったと言えるのか、その辺りは個人の見解によるものと思います。

ただ、お客様がそれを知り、実際に体感頂いた事で、その精度の大切さと、良い状態を維持する為に、極力元の状態を崩さない研ぎにしようとしてくださっているお話をお聞きすると、ありがたくもあり嬉しくもあります。

精度を理解する事で、仕事で刃物をお使いの場合には特に、今より格段に良いお仕事が出来る事と思います。

私自身はこの仕事の勉強や研究をするよりずっと前から、市販品の刃物に対し、精度がおかしいとずっと考えていました。

当時はそれを話して理解のある刃物屋さんも無ければ、砥石屋さんもありませんでしたし、そんな事は無い、そこまでやれる人なんかいないと言われ、結局自分がおかしいのか?と思っていましたが、実際はそれらに対応出来ない人達しかいなかっただけでした。

最初はこの精度問題は、本当に苦労の連続でしたし、機械を持たずに手作業でやっていた頃はまだ良かったのですが、機械を導入してからは一旦精度ががた落ちしました。

それは機械慣れしていない為、機械で精度を出せなかったのです。

それをカバーするように、手研ぎで頑張ってやっていましたが、今思えばコストも作業時間も酷いものでした。

現在も他と比べると、利益率は相当低いはずですが、それでも機械加工での精度はかなり良い形で出来るようになり、手研ぎは更に精度を上げています。

砥石での研ぎが一番精度が出るので、そこをもっと重要視したいところですが、現状でも数はかなり少ない数しか出来ない状況ですから、どうしても機械に頼る部分は大きくなってしまいます。

 

2025年7月12日 (土)

状況は悪くないのですが・・・

刃物研磨のご依頼の多くは、全く切れないレベルになってから刃物をお持ち頂くか、切れ味は残っていても、欠けや亀裂などの欠損の影響の直しを希望でのご依頼が多いです。

これらに関しては、そうなってしまってから無理に使うのではなく、少しでも早くご依頼を頂いて直す事をおすすめ致します。

刃物がまともに使えない状態で無理に使うと、他に悪い部分を追加で作ってしまう事に繋がる為です。

しかし稀にですが、特別大きな改善が必要無いような状態で、研ぎのご依頼を頂く事もあります。

何が不満なのか、詳細を聞ければ良いのですが、おまかせの範囲の場合には特にお話はしませんので、良く分からないままで終わってしまう事も・・・。

おまかせの場合にマイナス面があるとすれば、こういった場合でしょう。

それ以外は通常使用に合わせての作業を行いお返ししますので、それでご不満になる方はほぼいらっしゃいません。

おまかせの内容でご満足を頂けない方は、打ち合わせをしてからお見積りをする、プロ向けと同じやり方の作業もご利用頂けます。

そちらは現状で改善したいと思う内容をお伺いしつつ、ご使用になる用途に合わせた研ぎを行ったり、ご希望になる仕上げ方などをご選択頂き、それに合わせて作業を行うというものです。

一般の方でもこだわりのある方は、プロ向けと同じ内容をとおっしゃってご利用になる方もいらっしゃいます。

特に細かい事が色々と気になる方や、出来る限り繊細にと考える方、切れ味や仕上げへのこだわりが強い方には、プロ向けの内容でという形でご依頼のお話を頂ければ、そのように出来る限りで対応を致します。

お荷物でお送り頂く事が現在のメインとなる対応方法になっていますが、お問い合わせの際にお話をまずお伺いし、お荷物で刃物をお送り頂きまして、状況の確認とそれに合わせたお見積りを作成致します。

言葉と画像のやり取りだけで、ほとんどの事は解決できますので、出来る限りお話を多く細かくで頂く事で、何をどう改善すべきなのかが見えてきます。

あとは刃物のレベルがそれに追いつくかどうかの問題になるでしょう。

当方の売りの一つは、こうしたご希望に合わせた研磨の変更を行える部分でもありますし、プロ向けの作業を基本として行っていますので、是非ご利用ください。

 

2025年7月11日 (金)

力の伝達

実用の日本刀における試斬は、多くの方は刀身や刃付けが全てと思われている事と思います。

しかし実際の結果を見ると、拵に依存する部分は、1~2割程度あると考えられます。

当方では、実用の日本刀の為に、拵の修理や調整を行っていますが、これを実際にお受け頂いた方々からは、安心感と感覚の伝達が変わり、斬れ方も大きく変化したというお声は多いです。

もちろん当方で研磨も同時にお受け頂いていれば、そこの改善による斬れ味の変化は大きいと思いますが、それだけではなく、その研磨した刀身を生かす為に、拵が緩いようでは性能が出ません。

目釘無しでも抜けないようなしっかり感を出し、各部位の振動を極力減らす事で、刀身からの細かい情報が柄拵に伝わってくる状態となりますから、それが良い斬となった場合と、悪い斬となった場合とで、明確に分かるというのもあるでしょう。

私自身、研磨の研究と合わせ、上級者に指導を頂き、試斬を学んでいた時期もありましたが、その時の経験として色々な事を試し、皆さんの刀身や拵も見せて頂いて、条件の違いなども見て来ました。

その結果、柄拵で無駄に力を吸収してしまう条件も見つけ、折角の振りを生かす為にと研究し、それが今の拵の修理に繋がっています。

何かが動くという事はそこで力を吸収してしまいますし、状況により想定外に刃の向きが変化してしまったり、思うように斬れない要因ともなっていますから、拵がしっかりする事は、良い事の方が多いです。

なお、当方での拵の修理後は、外してのメンテナンスは推奨しません。

外してつけてを繰り返すと、柄拵は各部が緩みます。

上手い外し方とつけかたを理解している方であれば、劣化は少なく済みますが、少なくとも緩みは出て来ますし、適切なピンポイントの固定位置が分からない方が叩き入れると、他部位にまで悪影響が出てしまうので、基本的には触らず、何かあれば当方で確認や作業をしますとお伝えをしています。

そもそも実用刀の場合、拵を外して、油を全面塗り直し、白鞘に納めて保管する必要はありません。

白鞘は長期的な未使用期間に、保管管理をする意味としての役割で、日頃から居合抜刀試斬にお使いになられる方の場合、外す必要性はありません。

なお、拵を外さない事で、ハバキ付近は油の引き直しが出来ないとおっしゃる方がいらっしゃいますが、内部に油は残りますから、水でも流し込まない限り、大きくサビた例は見た事がありませんので、その辺りはご安心ください。

過去の時代は油が天然油だった事もあり、酸化が早く油の効力も低かったのですが、現代は刀剣油のほとんどは合成油になっており、長期的な保管が可能になりました。

スプレーオイル系でも十分な効果は出ますし、フッ素やシリコン配合のものでも、それがサビに繋がる事はないので、問題なく使用できます。

絶対に使わない方が良いとされるのは、556のようなサビを落とす事を売りにするようなものです。

サビを浮かしたり落とす落とすような効果があるものは、更にサビを誘発する事は有名な話ですから、絶対に使用しないでください。

 

 

2025年7月10日 (木)

ただ切れる刃を求めても実用には繋がりません

切れ味を作り上げる事は簡単です。

研ぎに慣れれば、切れると言える状態にする事は簡単になるでしょう。

しかし、それが良い刃となっているのかは、残念ながら別問題です。

多くの方はただ研いでいるだけで、それが良い刃であるかどうかではないので、そこの追求こそが研ぎに必要な要素だと考えます。

その刃物の性質を理解して、使う場面を想定し、何がそこには必要なのかを含め、希望通りになるように研ぎを変えられるようにする事。

それが研ぎの上手さと言えるでしょう。

ですから、無意味に細かい刃にしたり、薄っぺらい刃にして強度は無視し、切れ味を自慢したところで、それは実用には繋がりませんから、その辺りは必ず忘れないで頂きたいと思います。

 

2025年7月 9日 (水)

砥石はそれなりに数を揃えましょう!

この刃物を研ぐのに砥石を一つ選ぶなら?とご質問を過去に何度か頂いた事があります。

実際の所、それ一つで済む事はまずないので、止むを得ずお答えする事はありますが、どんな刃物も一つで何とかなる事はありません。

無意味に多く用意する必要はありませんが、色々な状況を想定し、準備をしておく事は大切です。

そもそも論になりますが、砥石を一つとお話があった時点で、プロからすればまともに研ぐ事は考えていないという目で見てしまいますから、まともな回答は得られなくなると思った方が良いです。

個人的見解を持つ事は悪い事ではありませんが、どうしても必要な要素を考えると、絶対に一つでは無理だという結論に至るはずなので、このような回答になります。

 

2025年7月 8日 (火)

なぜ研ぎの仕上げをいくつも用意しているのか

刃物の種類によっては、研ぎのグレードを作ってあったり、研ぎの仕上げについてのオプションをご用意しています。

これらは何の為なのか?ですが、それぞれお客様が求める内容に合わせ、増やしていった結果です。

機械加工での仕上げでおまかせで十分という方もいらっしゃれば、厳密な手研ぎを求める方もいらっしゃいます。

仕上げ方も色々な表現方法がありますので、それらを通常取り扱いが可能な範囲で、出来る限りとして扱っています。

その選択肢の多さに、驚かれる事もありますが、実はもっと多く仕上げ自体は可能です。

通常取り扱いに入れない理由は、色々な問題があるからで、それを普段からやっている環境であれば、ただ金額の設定だけで済むのですが、それぞれの準備をその都度行わなければならず、環境にも左右されやすい加工の場合、周りの片付けなどもかなり厳密に行う必要性があり、それを理由に金額を設定すると特別高額になってしまうからです。

出来る限り特注でも対応としていますし、同じような内容で他でお願いすると、それ以上にかかる場合もありますから、一応ラインナップに含めても良いのかもしれませんが、意気込んで作業をしなければならない部類は、余裕を持って誰にも邪魔されないように前後の時間を用意する必要もありますし、厄介な問題もあったりします。

もっと機材が多くあり、作業場も広く確保できれば、それらは標準化も可能と思ってはいますが、そういう時期が来る事はあるのか・・・。

 

2025年7月 7日 (月)

砥石を正しいと言える範囲に面修正するだけでは不足です

砥石はちゃんと面直しをしているし、手も安定しているはずなのに、砥石の当たりが安定しないとおっしゃる方は多いです。

その理由は、良くお話をしていますが、刃物の歪です。

曲がりやねじれがあり、素直に研ごうとすれば、砥石の精度を良くしたとしても、状況に対応する事は出来ません。

100%出来ない訳ではなく、やろうと思えば可能ですが、それは歪に合わせた研ぎでしかなく、精度を上げての研ぎにする事は難しいでしょう。

研ぎだけで歪を全部取り除く方法も無くはないですが、それをやってしまうと刃物が極端に小さくなってしまいますので、決しておすすめは出来ません。

そもそも歪は刃物と関わる以上、永遠についてくる問題なので、これは非常に大きすぎる問題です。

だからこそ、歪取りには力を入れていますし、それを崩さないようにする機械加工や研ぎも大切にしています。

実際にご利用になられた方は、今までの努力は何だったのか・・・と、躊躇せずに早く依頼に出せば良かったとおっしゃって頂ける事が多いです。

分かる方にからすれば、歪は本当に邪魔者でしかありませんので、それをなんとかしていく事は、永遠の課題だと思っています。

歪の癖を読み、加工ごとにどちらへ動くのかを考えながら加工せず、面の事ばかり考えているようだと、まず良い所に収まりません。

それ程、刃物業界のプロ達から見ても難しい問題です。

2025年7月 6日 (日)

硬すぎる焼き入れ品は組織が悪い物が多いです

同じ鋼材で見て、硬すぎる焼き入れ品の多くは、良い刃が付かないものが多いです。

研ぎは硬い分だけ入りにくいので、その対策は十分に行い、これでもかと余分に研ぎを行っても、良い結果にはならない事がかなりの割合です。

鋼材ごとに適正値がありますから、その境目を越えてしまうと、このようになってしまうようですが、鋼でもステンでも粉末でも、これらは全体的にあります。

細かい境目の目安までは分かりませんが、機械での加工時や、研ぎ始めの時点で、これらは大体の事を感じ取れますので、やはり・・・という感じいなります。

逆に柔らかすぎるものは、砥石の反応が強く出過ぎるので、それも問題になりますが、砥石の#を変えて研げば使える刃にはなります。

ただ、柔らかい方向の刃のものは、刃持ちが悪い場合も多く、そこは我慢になるでしょう。

どうしても研ぎが上手く出来ないという事で、総合的な研磨や手研ぎでのご依頼も良くありますが、そのうちの8~9割程度は、正確に作業を進めると問題なく良い状況になりますが、残りは高度や組織の問題による性質の影響が大きく、期待通りにならない状態でした。

私は良く、刃物の中級以上を購入するようにとおすすめをしていますが、そのレベルでも特別良いものもあれば、あまり良く無いものもあります。

上級品になっても基本の性質の良さは上がっても、やはり良い物ばかりではないので、その時の製造の当たり外れもありますし、研磨をやり直せば性能が出る物もあるので、色々やってみるしかありません。

 

2025年7月 5日 (土)

やはり重要なのは歪取りです

刃物の歪は、研いでお使いになる方には、邪魔以外の何物でもありません。

歪さえなければ・・・というお声は多くあり、他の状態には全く問題が無くても、歪取りを出来る限りとのご依頼は意外と多くあります。

歪取りをすると、色々な箇所に傷がつきますから、全体的な研磨や磨きは必要になりますが、傷が付かないやり方の歪取りは、効果が薄く戻りが早かったりする事の方が多いので、致し方ないと思って頂いた方が良いです。

また、こじ棒のようなものでこじって直す方法は、一部の刃物以外には適しておらず、基本はハンマーやタガネ等の専用の道具を用意し、叩く事で直す事を推奨します。

こじっても叩いても、割れたり折れたりする事はありますが、%的にはかなり低い割合なので、その辺りは運次第です。

全鋼の鋼やステン系は、こじ棒を使うと大体折れます。

昔のステン系は折れませんでしたが、現代のは硬いものがかなりの割合なので、大量生産品クラスでも折れる事が多くなったと聞きますし、やはり細かく叩いて直す方が安心かと思います。

当方での歪取りは、台は数種用意しており、ハンマーやタガネは刃物の種類や状況に合わせて使えるように、15本以上あります。

研磨の技術だけで取り除く事は可能ですが、無駄に減らしてしまう事になりますので、出来る限り歪取りで状況改善をしてから、精度の高い研磨で全体の調整をする事が必要と考えています。

結局研磨は、「歪取り、機械研磨、手研ぎ」の全てが上手く出来ないと、お客様が研いで使いやすい状態には出来ませんので、どれが欠けても良い評価は頂けないと思っています。

私は鍛冶や熱処理の事もある程度経験があり、熱処理済みの板材からの削り出しによる刃物形成を行う技術も持っていますので、適当に削って研いで終わらせているような表面的な知識と技術ではありませんから、可能な限りの技術を駆使して作業をさせて頂いています。

手間とコストは必要以上にかけていますから、一日に出来る数は僅かですし、場合によっては数日掛かりでの作業を行っています。

実用を知り精度を理解しているからこその研磨を是非ご利用ください。

 

2025年7月 4日 (金)

30年~それ以上前の和包丁

私は結構古い時代の包丁を持っています。

当時は調理師として働いていましたし、包丁には興味もありましたので、仕事で使う以上に色々と購入していました。

正式な製造年は分かりませんが、以前の所有者のお話からすると、現在から計算で、40年以上前のものでは無いかと思う本焼の柳刃を実は所持しています。

当時の鋼や加工技術は非常に良く、今の職人では再現が出来ないようなバランスを持っています。

色々と加工をし、自分でいじろうかとも思いましたが、勿体ないのでそのままにしています。

研ぎや使用での傷は多少ありますが、あの当時の鋼や製造や研磨の技術を凝縮されていると思うと、非常に良い勉強にもなります。

尺1の柳ですが、本黒檀や銀やその他の素材も用いて、特注で柄は作られており、鞘も本黒檀に彫刻入りで、全て特注造りだったようです。

当時の価格で約60万程だったと聞きましたが、現在はその時代の包丁はほぼ残っていないと思いますから、普通に買う事は出来ないでしょう。

現代で同等の物を作るにしても、多分素材が無いので、結局別物になってしまうと思います。

こういったものは、普通に使う事はどうしてもできないので、売るか勉強用に保管するか、非常に迷う所です。

現代にも同等の鋼は存在しているのですが、どう考えても性質が違いますし、研磨も今とは違うので、これは歴史的な貴重さもあると考えています。

何度か試しに使用をした事はありますが、またいつか使う機会があるのでしょうか・・・。

 

2025年7月 3日 (木)

勿体ない刃物が非常に多いです。

特に包丁分野ですが、刃物の性質は良いのに、研磨や研ぎが少し物足りないものは、かなりひどいものが多いです。

そこさえ克服すれば、かなり良い性能と使い勝手を出せるのですが、通常はそこまで研磨にコストをかけていないので、仕方がない部分もあるでしょう。

製造の中でも、研磨や研ぎは非常に重要な部分であり、特に刃付けに関しては、刃先で何とか刃を付ければ良い訳ではなく、その為の構成を研磨や研ぎで作っておかないと、本当の意味での性能は出ません。

構成が良い刃物は、研ぎも楽ですし、刃も付けやすい状態になりますが、これは精度も関係がありますし、刃物を研ぐ事を想定した形状にちゃんとしてあるかが問題となります。

当方で包丁の研磨をされた方の多くは、使用の改善にも繋がっていますし、研ぎをご自身で行う際にも、基準としてのバランスが出来ていますので、研ぎで不足だった部分の発見にも役立つでしょう。

あまり複雑な研ぎ方をしてしまうと、解明するのが難しいと言われてしまう事もありますが、ただ砥石に刃物を当てて擦っている事が研ぎではないので、その辺りも研究対象としては重要な解明になるかと思います。

実用性を重視すると、仕上げへのこだわりは最低限度となる方も多いですが、ある意味それが正解だと思います。

綺麗な見た目にこだわって、精度を維持する事は難しいですし、余計な歪の原因にもなるので、良い所で止める事も大事です。

 

2025年7月 2日 (水)

極薄刃は簡単に破損します

包丁における極薄刃が好きだとおっしゃる方は結構いらっしゃいますが、その理由は刃の入りと抵抗の少なさです。

刃が曲がって設定されていると、それも全く良く感じられなくなるので、特に精度問題は難しくなりますから、適当な極薄刃にすると、かえって切れにくく感じる事に繋がるので、安易には考えないでください。

過去から色々な刃のテストをしてきて、その中の一つが極薄刃でしたが、そこに軽く小刃を付けても、やはり刃の強度は決して高くはありません。

以前のテストをやっていた後に、再度極薄刃の先の極薄刃に加工をして使用しており、カリカリに焼けたピザの耳に真っ直ぐ刃を入れましたが、見事に細かい欠けや刃の潰れが出ました。

もちろん基本性能は十分に高いものですが、通常時の刃と比べれば、何をやっても、上手く使っても、やはり強度は下がる一方なので、柔らかい物専用として考えた方が良いでしょう。

ちなみに硬度が高いタイプの鋼で、極薄刃をやってしまうと、思いっきり欠け落ちる可能性がありますので、十分にご注意ください。

極薄刃に関しては、あくまでもテストでのお話であり、おすすめをしているお話ではありません。

絶対にやらない事をむしろ強くおすすめ致します。

 

2025年7月 1日 (火)

幻想であるというお話の後

私は過去に、日本刀の研磨には、機械加工が行われている範囲は普通にある事をお話しました。

それを聞いて衝撃的だった方は多くいらっしゃったようですが、それは事実です。

刀工が日本刀を鍛え熱処理をして造り、それを鍛冶押しまでして研師に渡し、そのあと研師が仕上げまで行います。

他にハバキや白鞘、拵などの工程もありますが、それらは今回のお話には必要ないので、割愛させて頂きます。

刀工が鍛冶押しを行う場合も、研師が下地研ぎの前段階まで行う場合も、どちらも機械が使われる可能性があります。

現在では、それらをオープンにしている所も増えたようですが、過去には全て手作業で行わないのはおかしいとまで思っていた方もいらっしゃったようです。

もちろん今でも、一切の機械研磨を含めず、研ぎを行っている例はありますので、全ての刀工と研師が機械を使っている訳ではありませんので、その辺りは勘違いをしないでください。

そもそも論になりますが、機械研磨を含めてはいけないと言い出すなら、刀工が一人で作刀する場合、ふいご代わりにブロアーを使ったり、向こう槌代わりに機械ハンマーを使っている事すら、やってはいけない事だとするのと同じだと私は思っています。

これらのお話を人にする事がありますが、それで納得をしなかった方は今の所一人もいらっしゃいません。

現代の作刀を全否定するならば、日本刀や研磨の金額はとんでもなく上がってしまうでしょう。

実際に鍛冶経験がある方や、熱処理までしか終わっていない刃物の研磨を、最初から最後まで手でやった事がある方は分かると思いますが、とんでもない労力と時間を要します。

刃物には、機械加工を行ったからこそ、むしろ良さも出る事がありますので、機械加工が悪い訳では無いという事は、十分にご理解を頂きたいと思います。

私は機械を使う範囲と、機械を使わない範囲は、それぞれ分けて考えて加工をしていますが、どこのどの部位が機械加工で、どの部位が手作業だけなのかは、100人中100人全員が分からないと思います。

そのくらいまともな精度で加工を行えるのであれば、むしろ機械は上手く使って、納期や価格として反映出来れば、それは悪い事では無いと思います。

 

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