最近の研究による刃の切れ方の違い
過去から現在まで、可能な限りで色々な研究をしてきていますが、最近の研究の一つに、「刃の鋭さ」という範囲を少しやっています。
この刃の鋭さというのは、研ぎの刃角設定が全く同じであっても、刃の性質や使う砥石により、実際の刃角は大きく変わる事がありますが、そこをどうコントロールするのかというところです。
減りが早い砥石を使えば、刃先は丸くなりやすくなりますし、減りがほとんどない砥石を使えば、刃先は一定角になりやすいのですが、それよりも更にだいぶ先の考えになります。
天然砥石、人造砥石、ダイヤモンド砥石、等の研究も、刃物の性質や鋼材による違いと合わせてやってきていますが、ただ硬い砥石を使っただけではこれを成し得ない事は分かっています。
刃の鋭さだけを望むのであれば、自分が思う研ぎ角よりも鋭角気味に研ぎ進め、わずかにでも設定より落ちたとしても、そこで刃角がキープ出来るような考えでも、十分に希望通りにはなるでしょう。
和包丁などで良くあるベタ研ぎも、私が見てきたものはほとんどがこの手の状態で、ベタ研ぎと言われている研ぎをゲージで確認すると、軽いハマグリ刃状になっています。
その丸みだけ潰すように、本当の意味でのベタ研ぎを行うと、刃の強度は極端に落ち、刃付けの失敗ギリギリになりそうな事もありますので、そこまでベタ研ぎにしなければ切れると感じなかった理由は、研ぎが想定通りに出来ていなかった為という事にも繋がります。
私が考えている刃の鋭さは、最初から計算通りの角度で研ぎを行い、その通りに刃先の先が研ぎの方向と同じ向きになるようにする事ですから、上記の和包丁の話とは異なります。
その鋭さを自分の想定通りに作れるようになると、研ぎ方での余計なコントロールとは違って、素直にその通りの研ぎが完成しますから、確実な設定を維持して研ぎを行える方には、大きな強みになると言えます。
今の所、条件次第ではありますが、難しい事だと思っていた範囲で、この鋭さの構築は可能になりつつあります。
条件が厳しすぎるので、確率としてはまだまだ低いのですが、同じような研ぎに見えても、明らかに刃の入りや整いも違って出ていますので、中仕上げ以上の細かさや鋭さを必要とする場面で、この研ぎの考えは非常に有効性を持たせる事が可能となっています。
こうした研究は、お客様の刃物の研ぎにいずれ生かされる事となります。
この鋭さのコントロールに関して言えば、単純に砥石を変えたり、刃角を意図的に変えたり、研ぎ目を変えての変化とは異なり、通常時と同じ設定のはずが、7~8割くらいの方はこの鋭さの違いを感じ取れるくらい、刃物の何か変わったかのような違いとして見て頂けるくらい大きな差になると考えています。
この研究を生かせる場面は、いくつか存在していますので、割合が高く可能となれば、特別な研ぎとしてこの技術は大きな成果を発揮出来るようになるでしょう。
なお、時間と労力とコストをかけて独自に研究をしている内容の為、この手の技術的内容に関しては、ご質問を頂いても公開は出来ませんので、予めご了承ください。



