砥石

2025年6月24日 (火)

上を見たらきりがないです

どんな部類でもそうですが、上を見るとキリがないです。

刃物と砥石は数えきれないほどの数で売られていますが、その中で最上級の性能と言えるものは本当に一握りです。

しかもその刃物や砥石も、時代と共に最上級では無くなる事もあります。

逆に将来になって、もう手に入らなくなるなどの理由で、更に価値が上がるものもありますので、どの時代の何が当たるのかは読めない所があります。

そんな事は考えず、今ある物の中から、自分が思うものを購入してください。

最上級が必ず良い物として自分に合うとは限りませんし、そこまで必要がなければ、自分の目的に合った内容で選びましょう。

良くある失敗としては、予算だけで内容を決めてしまい、思ったレベルのものが買えなかったし、それについての説明もしてもらえなかったという例です。

同じような金額でも、性能差が大きく出る事は当たり前にありますし、無駄に高いだけのものを買う事は、私は推奨しません。

あくまでもその先の満足の為に購入するものと思って考えれば、もう少し出せば後に後悔せずに済むものに出会えるかもしれません。

これは無理に高い物を買おうと言っているのではなく、ご予算も大事ですが、望む内容を捨てるような買い方をすると、結局使わなくなったり、簡単に手放す事にもなりますので、そのような意味合いでのお話です。

逆に性能の事ばかり考えると、予算は2の次になり、とんでもない出費になる可能性も高いので、自分が望む内容はどのくらいなのかを知る事は、とても大切だと思います。

刃物や砥石の購入には、十分な検討も必要ですし、どこの誰に相談をするのかで、その先が決まってきます。

私個人としては、多少無理をしてでも良い物をと、自分で使うものには考える方ではありますが、そのラインは人それぞれだと思いますので、それが適切であるのかどうかを一緒に考えるのも、私の仕事の一つだと思っています。

 

2025年6月23日 (月)

刃物のご相談はこちらへ!

刃物の事でお悩みの方は非常に多くいらっしゃいます。

ご相談の内容は一般的なものから特殊な内容まで、範囲は幅広くあります。

簡単なお悩みだと「切れない」や「切れ味が悪い」といった大まかなお話ですが、それが特殊な範囲になると「この部位のここをこうしたい」や「〇用に使うのでこうしてもらいたい」などのような感じで具体的な事もあります。

どんな悩みであろうと、それはその方からすれば悩みの範囲ですから、どういう内容なのかをお聞きして、対応が可能かを考えます。

通常はそこまで考えないという内容の場合も、必要とあればそれ以上に考える事もありますし、とりあえず切れれば・・・のような感じでも、じゃあ適当研ぎます!とはなりません。

その都度、必要な内容を考え、出来る限りで対応をしていますが、お話を頂いた内容に対し、いくつかのパターンでご提案をさせて頂く事もありますから、検討の余地は十分にあるかと思います。

おまかせ設定の研磨の場合、内容はご指定頂けなくても、使えない状態でお返しするつもりはありませんので、十分な内容は盛り込んで作業はさせて頂いています。

自分が使うなら・・・という所は大切に考えていますので、実用を理解した身としての考えと技術を含め、その後の研いで使う流れまで、色々と考えた加工を行っていますから、使いやすくなったり、使用するの楽になったというご意見が多いです。

私自身、刃物を使う仕事についていた事もありましたから、その時の疑問点は今は解決出来ている部分が多く、自信を持っておすすめをしています。

 

2025年6月22日 (日)

どうして切れないのか

このようなお話は何度もしてきましたが、定期的に書かせて頂いています。

刃物が切れない理由は、刃物が悪いか、砥石が悪いか、研ぎが悪いかです。

それに少し付け加えると、刃物を生かせる使い方をしていない可能性もあります。

刃物の扱いは最低限度でも良いので、これは良く無いな・・・と思われてしまうような使い方は回避しなければなりません。

そもそもの問題として、使い手の使用や管理に関してをクリアしていないと、何を言っても信用して貰えませんし、使い方の問題が・・・と言われたら何も言えなくなってしまいます。

話を戻しますが、刃物が悪い場合、硬度や組織に問題があれば、想定の研ぎ目になりませんし、刃物の販売時に構成された研磨が悪ければ、研ぎが上手くいかない原因にもなります。

砥石が悪い場合、研ぐと刃を傷めてしまうものまでありますので、それらがどんなに研磨力が高くても、私は仕上がりに影響するような砥石は推奨しません。

また、砥石の硬度が合わない可能性もあるので、そこは相性の問題も考えて使い分けをしましょう。

研ぎが悪い場合、刃物と砥石が良い物でも、まともに研げない状況を作り出してしまったり、刃付けが出来る研ぎになっていない場合もあり、それらはすべてを崩してしまいますから、最低限度のレベルまでは学ぶ必要があります。

研ぎが上手い方の多くは、それぞれの知識と経験があり、良い意味で上手く使いこなすポイントを知っていると言えるでしょう。

その中でも上位の上手さの人は、刃物の形が崩れず、研ぎの角度も崩れず、長い事良い形をキープして、性能も安定させる事が出来ます。

どこかに不足が無いか、自分で分からない場合には、レベルの高い方に見て頂いて判断しましょう。

失敗されている方の多くは、自己判断で誤った見方をしてしまっているので、プライドは捨てて改善の為に的確な話を聞く事は大切です。

早い段階であれば癖も直りますが、悪い癖を長年続けると、そこから脱するのは難しくなります。

 

2025年6月21日 (土)

砥石の#を固く考えない事です

刃物の硬度によって、砥石の乗りは大きく変わります。

研ぎ滑りが多くなるような硬い刃物の場合には、硬口の砥石を使うと相性が悪いので、中硬程度のものまでにしましょう。

そして、今自分が思う砥石の使い方は、#2000の砥石からスタートかな?と、例えば思ったとしても、研ぎの効率は上がりませんから、砥石の乗りが悪い刃物の場合には、少し下を選んで使いましょう。

この場合、#1000~#1500が目安となると思いますが、それでも研ぎの進みが悪いと感じる場合には、#800程度まで落として研ぎ始めとしても良いでしょう。

砥石のかかりが悪い場合、実際につく砥石目は浅く細かくなりますから、思っている程の荒さにはならないはずです。

そして#3000で仕上げようと思ったとして、それも効率や仕上がりを考えると、#2000でも十分な可能性があります。

このような感じで、砥石の#はその都度、使用状況によって意味が変わってきますので、使い慣れた砥石であれば、このような感じの使い方をしてみると、研ぎの時間の短縮と結果が良くなるかもしれません。

色々試しても難しい状況の場合には、その刃物と使っている砥石がどんな感じの相性なのかを見まして、刃物がどのくらいの硬度や耐摩耗性を持っているのかも大体の事は判別する事は可能ですから、研磨でご利用の際にご相談ください。

 

2025年6月20日 (金)

研ぎを良くする為に必要な事

砥石で刃物を研ぐ事は、誰にでも出来る可能性があります。

しかし正しく研ぎを行う事は、条件が整わなければ、誰にでも出来るとは決して言えません。

良質な砥石を使い、正しく砥石を修正する修正器を用意し、それで基準を作る事はまず最初に必要になります。

そして、研ぎを安定させる為に、自分の研ぎの動作をつくり上げて行く必要もあります。

刃物が良い物でなければ、研ぐ事が非常に難しく、仕上がりも良くなる事には繋がりにくいので、必要な性質のレベルの刃物に買い替える事も、場合により必要にはなるでしょう。

レベルの高い刃物程、研ぎは安定して行いやすいので、低級刃物ほど研ぎは難しいと覚えておいてください。

あとは現在の状況が悪いと、余程の腕でもない限り、良い状態には戻す事はまず出来ませんので、修正整形の依頼をなさってください。

まず基本となる状況が良く無いと、研ぎが上手い方でも変な形になってしまいます。

刃物を扱うプロの方ですら、そういった修正整形はご依頼をなさいますから、素人の方も直しのご依頼をどうぞ。

理解すればするほど、自分でなんとか出来ない事が多い事を知ると思います。

 

2025年6月19日 (木)

胡散臭い刃物

年に僅かではありますが、胡散臭い刃物に出会います。

鋼を偽っているか、製造方法偽っているなど、そういった製品です。

例えばある鋼の刃物があったとして、それが他にいくつも触った事がある場合、大体の傾向は分かってきます。

それに対しある刃物は、どうも性質や性能が明らかに劣るなど、はっきりとした差が出ている事があるのです。

また製造方法も鍛造と未鍛造で見ると、硬さの中にある粘りなどに差が出る事が多いのですが、どうも鍛造をされていないのに、鍛造品として売られている事もあったりします。

熱処理で硬めに焼き入れをし、焼き戻しも軽めに行えば、確かに硬く強い刃の感じるかもしれませんが、砥石の乗り方や研ぎ上がり後の切れ味で、その差は現れてきます。

一部の鋼ではそういった性質の差は出にくい場合もあるようですが、それは上手い鍛冶屋さんが鋼を生かした製造をした場合のみでしょう。

ちなみ一般の鋼材に対して重鍛造をと思い、鍛造をむやみにやりすぎると、鋼を痛めて終わるだけなので、限界を超える程に鍛造をしても、それが良い刃物になる訳ではありません。

熱処理も適切な温度を越えれば、鋼は死んでしまいますから、上手い鍛冶屋さんはかなり神経を使って刃物を造っていらっしゃると思います。

 

2025年6月18日 (水)

研ぎにどのくらいの時間をかけますか?

刃物の研ぎはそれぞれで研ぎの時間が異なります。

分かりやすく言えば、18cmの三徳包丁を研ぐのと、70cmの日本刀を研ぐのとでは、とんでもなく作業時間の差があります。

それぞれ個別で考えると、研ぎをどのレベルから行いどのレベルで終えるのかや、研ぎ始めの状況によっても大きく変わるでしょう。

研ぎに慣れて綺麗に早く出来る方の場合、例えば10分で終わる刃物があったとします。

不慣れで上手く研げず一つの工程が長くなる方や、神経質で繊細に研ぎを行う方は、研ぎの時間はかなり長くなると思います。

場合により、1時間以上かかる事もあると思いますし、一日かかっても終わらない事もあるかもしれません。

それを一つの研ぎとして考えると、そんなに時間がかかるのはおかしいとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれの環境や考えと研ぎ方などによっては、思うように進まない方もいらっしゃるので、それが必ずしも無駄だという訳では無いと思います。

機械作業でも手研ぎでもそうですが、硬度が高い刃物の場合、作業はなかなか進みませんし、使う道具のレベルや相性によっても変わってきます。

ある機械で5分で終わる作業も、他の機械と部材も変えて作業をすると、30分かかる事も当たり前にあります。

なので色々な機械や部材を多く揃えれば揃える程、効率も仕上がりも良くなります。

当方では個人としてみると、最低限度以上に機材や部材は揃えている方だとは思いますが、実際はまだまだ不足な範囲も多く、こういう機械さえあれば・・・と思う所も非常に多いです。

機械は金額の問題や置く場所の問題もありますから、気軽に増やす事も出来ません。

いずれとは思っていますが、今より良い仕事をする為には、一生地道な投資は続けて行く必要があると思っています。

皆さんのご利用が多ければ多いだけ、新しい機材や道具が導入出来て、やれる事や仕上がりも変わってくるので、是非ご利用の上で応援をして頂ければと思います。

 

2025年6月17日 (火)

刃物の黒皮について

刃物の黒皮の事はご存じでしょうか?

金属に皮?と不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。

何を指すかですが、野鍛冶作成の刃物に良く見られますが、表面が黒いまま仕上げられている刃物があると思います。

あの表面の黒い部分を黒皮と呼びます。

その存在は塗装等ではなく(そういう商品も中にはあります)、熱処理の段階で表面に形成された酸化被膜と呼ばれる金属から出来た物です。

刃物の鍛造の動画などを見ると、表面から薄皮のようなものが剥がれ落ちているのですが、それも酸化被膜です。

熱処理で焼き入れの際に、表面に黒く被膜が付いた状態になり、そのまま研磨で取り除かなければ、黒皮は形成されたままです。

なぜそれを残すのかですが、近代ではデザインとする方もいますが、実際はサビにくさがあったり、傷がつきにくいなど、そういった理由もあります。

鉋や鑿や切出小刀には、特に黒皮付きが多いですが、昔から磨き等はあまり行われず、黒皮での製造が主だったようです。

黒皮のある包丁の代表は菜切り包丁や船行包丁ですが、これらは上級品を除けば、歪取りや研磨の加工の際に、綺麗に残すのが難しい事もあります。

厳密な調整をと思えば、黒皮の保護を大切にとする事は難しく、凹凸に汚れが残りやすい事もあり、プロ用の包丁で黒皮が付いている事はまず無いでしょう。

サビは削り落とすか磨くしかありませんが、汚れは激落ちくんなどの水スポンジで大抵落ちますし、明らかな傷がつくこともないので、しっかりと洗える方であれば、黒皮付きの包丁を使っても良いのではないでしょうか。

 

2025年6月16日 (月)

研ぎやすい時期

刃物は金属ですから、暖かい時期の方が研ぎやすいです。

これ自体に根拠ははっきりと無いようですが、線路のレールが夏と冬で伸び縮みする事は、有名なお話ですよね。

そのように、夏では伸び、冬には縮むというのは、やはりあるのだと思います。

冬場は刃物をお湯(蛇口から出るお湯で触れる温度内)で温めてからと、私は良くお話をしていますが、これは特に刃角が鋭角気味で、硬度の高い刃物の場合には、そのようにした方が安全です。

夏の研ぎ水は温度も高めですし、刃物の温度も高いので、そのまま普通に気にせず研いで大丈夫です。

 

2025年6月15日 (日)

歪との勝負

私が思う刃物研磨での難しさは、歪との勝負です。

しかし、強い癖が出ない限りは、ある程度まで精度を出す事は十分可能です。

その代わり、時間が非常にかかりますし、歪取りと削りを細かく繰り返し、丁度バランスの取れたところを見つけるので、簡単な事ではありません。

自然に動く分の計算は、短期でもある程度は行えますが、その為には時間の経過と共に、どのように動きがあるかまで見て行きます。

仕上げの段階で磨きも行えば、それ自体が歪の原因になる事も多いですし、どこで精度を合わせて行くのかも重要なポイントになります。

一番助かるのは、一度歪取り調整を行い、削りで全体を均等に直し進めても、そのまま動きが出ないでくれるものです。

そういったものは少ないので、毎回のようにそうはいきませんが、作業する側もこの刃物は安定してくれている!という気持ちになれます。

 

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